SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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VSキリト

決して広いとは言えない管理区の中心。5m程の間を空け、俺とキリトは向かい合っていた

 

実際剣を構えて向かい合ってみると、先程の俺の軽はずみな行動をとても後悔している。あの時の自分を殴ってジャーマンスープレックスを食らわせたい気分だ

 

だが俺も男。いや、漢なのだから一度勝負をするとなるともう引くことは出来ない…………だって、ストレアがご褒美くれるとか言ったんだもん

 

「準備はいいか?」

 

「おー」

 

返事をしながら剣の切っ先をキリトに向けて構える

 

キリトもキリトで両手に持つ片手剣を俺に向けている。あ、今ちょっとキラッて光ったように見えた

 

「ルールの確認だ。これは所謂システム外デュエルだ。勝敗はどちらかが負けを認めるまで………OK?」

 

これはクラインとやった時と同じルールだ。あの時はアスナの介入があったが…………さて、どこまで諦めずにやれるか

 

「わかった。…………それじゃ、行くぞ」

 

「どっからでもかかってこいやぁ!」

 

俺は自分を奮い立たせるように大声を出した

 

「…………ふっ!」

 

瞬間、キリトの姿が消えた

 

次に現れたのは俺の目の前、俺に向かって右の剣を突き出している

 

「ちっ!」

 

だが俺はそれを予想して後ろに跳んでいた。だが、このままだとまた直ぐに追撃が来ることを悟り舌打ちをする

 

だから俺はそのまま床へ倒れ込む。俺の丁度真上を剣が通り過ぎた。あぶねぇ〜………タイミング遅けりゃ当たってたぞ

次に完全に倒れる前に後転の容量で後ろに転がり、その際に足でキリトが突き出している腕を上へ弾きそのまま距離をとった

 

「やるな……だけど、剣を使わなきゃ意味がないぞ」

 

「無茶言うなよ………これでももう精一杯なんだから」

 

話しながらもスキルを発動するのを忘れない。投擲スキルを使ってキリトに剣を投げ込む

 

「おっと……!」

 

「まだまだぁ!」

 

投擲だけじゃあ終わらねぇ。《クイックチェンジ》により新しく剣を取り出して《レイジスパイク》でキリトに迫る

 

…………だが、防がれる。絶対に

 

そんな確信が俺にはあり、その確信は事実だった

 

「行くぞ………!!」

 

二刀流が輝きを放つ。俺はスキル硬直により、その場を動けない状態だ。ソードスキルを受けるのは必須だろう

 

甘んじて受けてやるよ。来い………!

 

俺は次に来るであろう衝撃に向けて気合を入れた。瞬間、体を襲う衝撃。キリトはこの技を気に入ってるのかどうかは知らないが、何度も見た覚えのある七連撃が俺を襲った

 

一撃、二撃、三撃四撃と次々と斬り込まれる俺の体。正確には、システム的保護がある為に、破壊不能オブジェクトとして攻撃を跳ね返してるのだけど、ソードスキルの威力が強いから一撃一撃がノックバックを発生させる。何度も揺らされて変な感覚だ。そして体に走る違和感も半端じゃない

 

確か二巻で《軍》の奴らが、アスナにやられてるシーンがあったが…………成る程、こりゃ恐い。しっかり意識保ってないと心が折れそうだ。クラインとの勝負の時はあいつが手加減してたのかもしれないけど、ここまで恐ろしくはなかった

 

七連撃を体で受け止めた俺は、耐えようのないノックバックを貰い後ろへ吹き飛ぶ。このまま背中から倒れ込んだら駄目だ。心が折れて、負けを認めてしまうことになる………!そう思った俺は必死に体を捻って転がり、瞬時に態勢を立て直す

 

伊達に毎回体育のマット運動で、ローリング回避やハリウッドダイブ練習してたわけじゃねぇんだよ!

 

「お、りゃぁ!」

 

「くっ………!」

 

ちょっと折れそうになった心をなんとか持ち直して、再度剣を投擲。スキル硬直中だったキリトの腹に吸い込まれ、キリトは若干後ろへ仰け反る。《クイックチェンジ》で今度はチャクラムを装備。ソードスキルは発動せずにキリトへと力一杯投げた

 

投げたと同時にキリトの前までステップ。チャクラムを弾いたばかりのキリトは俺の姿を確認するや直ぐに後ろへ跳んだ

 

逃すまいと伸びきった鎖をキリトの方へ向かわせる。なんの意味もないが、牽制としては使えるはずだ

 

「おぉぉ!」

 

と思ったら構わず突っ込んで来やがった!?鎖を剣で弾きながらもう一方の剣を俺に向けている

 

「っ!?」

 

その剣は俺の顔面を捉えた。システム外デュエルなので、実際当たりはしないが………俺の動きを止めるのには十分過ぎる。目の前に急に突き出された剣に俺は萎縮してしまった。先端恐怖症になったらどうしてくれるんだ

 

その隙をキリトが見逃すはずもない。輝きを放つ二振りの剣は輝く

 

「今度はちょっと多いぞ」

 

俺を心配するかのようにキリトはそう言った

 

それに俺は、ニヤァと笑いながらこう答える

 

「転移、《アークソフィア》」

 

「……………は?」

 

瞬間、切り替わる視界。耳にはキリトの間抜けた声が残っている

 

俺はチャクラムをしまった後、踵を返し

 

「《ホロウエリア管理区》!」

 

勢い良く跳びながらまた転移した

 

「よっと!」

 

降り立った俺は目の前で目を剥いて驚いている観客の三人と、現在後ろで硬直しているだろうキリトを無視して近くにあった剣を拾い上げる

 

「悪りぃなキリト!使えるもんはなんでも使わなきゃ、俺お前に勝てないのよ!」

 

言葉だけの謝罪と言い訳を述べて、俺はキリトに《バーチカル・アーク》を放った

二発の剣がキリトに打ち込まれる。だが、これじゃ終わらない。俺は左拳を握って《閃打》の構えに入り、スキルを発動させる

 

放った拳はキリトの顔面を捉える。別に、一人だけモテまくるこいつに丁度良いからとか、そんな私念は混ざってない………はずだ

 

そして、ここからが俺の新技!!

 

拳を放った際に体を無理に捻る。ブーストがなくなり威力は下がるが、俺の腕は投擲スキルの構えを取る。そして、投擲スキルが発動!!

 

「おおおぉぉぉ……ぉぉ!?」

 

…………するはずだった

 

ズシャァァァァ!

 

無理矢理体を捻るもんだから、足がもつれて転んでしまった。キリトの横を通り過ぎてズシャァと無様に滑る

 

直ぐに立とうと思うがスキルの硬直があって立てない。どうしよう…………

 

「…………シン」

 

どうするか試行錯誤していたら後ろからいつもより若干低いキリトの声が

 

硬直してるから振り向けない、それが恐怖を更に煽り、俺の内心冷や汗だくだく

 

「ほら、シン。手貸してやるよ」

 

だが、なんということか!今度は優しい声音で俺に手を差し伸べてくれた

 

これはもう、俺の勝ちってことでいいんだろうか?キリトが負けを認め、お前やるなぁ!はっはっはっ!みたいなノリで熱い友情物語が始まっちゃうんじゃないんだろうか!

 

ふふ、ならば俺もこの握手に答えなきゃならんよなぁ?そう思い俺は笑顔でキリトの手を取り、立ち上がった

 

「ありがとな、キr」

 

次の瞬間、俺は未だかつて味わったことのないような衝撃を受けた

 

何故に?考える余裕など俺にあるわけもなく、ただただ意識がブラックアウトしていく

 

最後に見たのは、青筋を浮かべながら俺にソードスキルを叩き込みまくるキリトと、呆れたような目で見ている三人の姿だった

 

 

 

======================

 

 

 

十五連撃ソードスキル、《シャイン・サーキュラー》をシンに打ち込んだ後、白目を剥きながら倒れるシンを見て、少しやり過ぎたかと後悔した

 

いや、でもあれはシンが悪いと思う。確かに、ルールの中で転移門を使ってはいけないなんて言ってなかった。しかし、これは勝負なんだ。その場にあるもので戦況を立てるのも場合によっては大切なのかもしれないが、普通は転移門なんて使わない。て言うか、転移門を使うなんて想像普通はしない

 

それを踏まえて、やっぱりシンはどこか人と違うなぁ……と思いながら、シンを引きずって観客の三人の元に行く

 

「なんて言うか、色んな意味ですごいデュエルだったわね……」

 

「気絶してる………」

 

シノンとフィリアが気絶してるシンを突いたりしながら口々にデュエルの感想を言う

 

…………確かに、シンはすごかったと言ってもいいかもしれない

 

今回のデュエル、俺は最初の一撃でシンの動きを制限し、そこからソードスキルを発動する気でいた。自分で言い出したことだったが、出来れば早めに終わらせたかった

 

と言うのも、そろそろ日付が変わる頃であり、帰って寝たいと言うのも理由にあった。そろそろ解散を提案しようと思っていたからだ

 

だが、俺の思うように上手くはいかなかった。シンは俺の動きを読んでいたからだ。一撃目ならまだなんとかなった。しかし、シンは後ろへ跳んだ勢いを利用して、俺の腕を真上へ弾いた。狙いが正確だったので、驚いて追撃が出来なかったのは秘密だ

 

元々運動神経が高いのだろうか。圧倒的レベル差のある俺に対して………勿論本気ではなかったが、十分に着いて来ていたことも驚きだ

 

しかし、転移門まで使ったのは頂けない。例え転移門の側で戦っていたとしてもだ。間抜けな声を出してしまった

 

「うんうん、シンもキリトも頑張ってたね!転移門を使ったのには驚きだけど」

 

ホント、ストレアの言う通りだよ………

 

でもまあ、シンはシンなりに戦術を立てていたと言うことでは、一方的に否定するのもよくないかもしれない。頭の回転も速く、アドリブにも強いみたいだからな

 

もし、もしもシンと俺とのレベル差が無ければ……………シンは、恐らく現時点ではこと対人戦において、一番の強敵となり得るかもしれない

 

そう考えると、この世界で数少ない同年代の男友達としては、俺もまだまだ負けていられないな。それと同時に、シンが強くなっていくのが楽しみでもある

 

「……………起きないね」

 

「せめて、目だけでも閉じてあげようよ」

 

そう言ってシンの両目をゆっくりと閉じさせる

 

…………いや、待てストレア。なんか縁起悪いぞ

 

「あ、キリト。ご褒美はまた今度あげるね!」

 

「え」

 

そうだった。ご褒美の件があった

 

いったい何をくれるのかはわからないが、あまりアスナ達を刺激しないようなものでお願いしたい。アスナが怒ると怖いんだ。そりゃもう、鬼も泣いて逃げるほどだろう

 

「ふふ、何にしようかな〜♪」

 

まだ決めていなかったのか…………

 

「できれば、何か食べ物がいいな」

 

食べ物ならばアスナ達を刺激するようなものは来ないだろう。そう踏んで俺は言った

 

「う〜ん……」

 

ストレアは悩みながら、自然な動作でシンの側に座り、シンの頭を自分の膝に乗せる

 

「考えとくよ」

 

「あ、あぁ。頼んだ」

 

自然な動作過ぎて一瞬何事もなかったかのようにスルーしようとしていたが、膝枕とは………シンが起きたらひどく喜びそうだ

 

俺は別に気にしないが、どうやら他の二人は色々と気になるらしい。自然すぎる動作を見てストレアの顔をガン見している

 

「なに?」

 

「……………いや、ホント仲良いわね。アンタ達」

 

確かに言われてみればそうだ

 

シノンの言葉で、俺は先程まで賑やかに机の上に並べられた料理を食べる二人の姿を思い出す

 

仲が良い、というより………慣れている。リーファが言っていたこの言葉は正しく的を得ている。出会ってからまだそれほど経っていないが、まるで長い間を一緒に過ごしたかのように二人は見える。時がある。仲の良い兄妹のような感じだ

 

ただ、それが時たまあるだけで、実際にどうなのかはわからない

 

……………ん?そう言えば

 

「ストレア。確か、シンとはどこかで会った覚えがあるんだったよな?」

 

「え、そうなの?」

 

俺の言葉に、フィリアが反応した。俺達はストレアを見るが、ストレアは首を横に振って答える

 

「確かにそんな感じなんだけど…………どこで会ったのか覚えてないし、シンも記憶に無いって言ってるから違うと思う」

 

「そうなのか………」

 

どこかで会った覚えがあるのなら、あの慣れている?という感じも納得がいくんだが………本人達が言うのなら、そうなんだろう。もしかしたら、ただ気が合うからという理由かもしれないし

 

「ん………」

 

ストレアの膝上から、声がした。どうやらシンが目覚めたらしい

 

…………さて、じゃあそろそろ帰宅の提案でもしようかな

 

俺はそう思いながら、ゆっくりと目を開くシンを見守った

 

 

 

======================

 

 

 

「ん………」

 

頭になんだか柔らかい感触を感じながら、俺の意識は覚醒した

 

ここはどこ?私は誰?ここは管理区、俺はシン

 

勝手に脳内で質問をしてそれに答えていると、だんだんと俺がどうなっていたのかが思い出されてきた

 

「キ、リト………」

 

「なんだ?」

 

「後で覚えてろよテメェ………」

 

「いや、まあ……気絶するまでやったのは悪いと思ってる」

 

悪いどころじゃねえよ。めっちゃ怖かったんだぞ

 

…………それよりも、だ

 

「Helloストレア。俺って今どんな状況?」

 

「どんな状況だと思う?」

 

「……………」

 

俺の真上に見えるストレアの顔。後ろ頭に感じる柔らかい感触。俺を見下ろすキリト、シノンさん、フィリアの三人

 

「膝枕か!」

 

「正解!」

 

……………え、マジで?

 

「膝枕かぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

俺は膝枕だと完全に認識した瞬間、転がってストレアの膝から落ちてそのままローリングを開始した

 

「ああああああああぁぁぁぁぁぁ!!?」

 

「シ、シン!?」

 

やっべ、マジで!?膝枕!?ストレアの膝枕!?え、なんで!?なんで膝枕されてたの?気絶してたから?え、なに?ストレア俺のこと好きなの?そうなの?いや、そんなわきゃないないないないない言ってて悲しくなんかない!!

 

「……………ふぅ」

 

一旦落ち着こう

 

「天国はここにあったのか………」

 

「大袈裟ね。膝枕くらいで」

 

…………なぬ?

 

「じゃあシノンさん、膝枕しt「嫌よ」デスよねー」

 

そんな即答せんでもええやん………

 

しかし膝枕とは……人生初の膝枕。全俺が歓喜しているぜ!これで後一億年と二千年は戦えるな

 

「ストレアよ。ご褒美とは膝枕のことか」

 

「うん、そうだよ。シンのはね」

 

「ありがとうございます」

 

やべぇ、ストレアマジ天使。この世界にはいったい何人の天使がいるんだ………!

 

すぐに膝から落ちてしまったことを後悔してるぜ!出来ることならもう一度して欲しいが………だが、あれは俺が頑張ったという正当な報酬なわけだから、それを追加で貰うのはルール違反というやつだ

 

「…………そろそろ帰らないか?」

 

くっ!空気を読まない奴め

 

しかし、もう遅い時間だからな。帰って明日に備えなければならないのか………

 

「そうだな。フィリア、また来るからな」

 

キリトの提案を甘んじて受け入れフィリアへと別れの挨拶をする

 

「うん………またね」

 

フィリアは若干寂しそうにするも、笑って見送ってくれた

 

「じゃあね。私もまた来るよ」

 

「それじゃ、また会いましょう」

 

「うん、また」

 

皆それぞれお別れを済ませ、転移門からアークソフィアへ戻る

 

「いやぁ、今日は楽しかった!」

 

「そうだね。また連れてってね?」

 

「あぁ。…………いや、今度はフィリアをこっちに連れて来れるようにしないとな」

 

「…………さ、早く戻りましょう」

 

こうして、俺達の楽しい夜は終わりを告げた。きっとまた次も、楽しい一日が来るだろう

 

だがそうなると、ふと終わりのことを考えてしまう。楽しい日々が、終わる日のことを

 

「どうした?シン」

 

「お?いんや、なんでもねぇ」

 

そして俺は、それから目を反らすように考えるのを止めた

 

 

 

 




珍しく連続投稿。ちょっと放り込み過ぎたか………!
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