SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど 作:クラッカーV
未だ日も昇らぬ時間帯、何故か俺は目が覚めた
別に怖い夢を見たからとか、そんなわけじゃない。わかんないけど何故か目がぱっちりと開いている
「くっそ寝れねぇぜおい」
若干喉の渇きを感じながらベッドの上で起き上がる
「えっと、そう言えば昨日リズベット達が買ってきた飲み物があったような………あったあった」
俺はストレージを開いて飲み物の瓶を取り出し栓を開けると、そのままラッパ飲みをする。そう言えばこれ、結局飲んでなかったな。まあいいか
「ぷはぁ。美味でござる」
これ案外うまいな。ココアの次に俺のフェイバリットドリンクとして迎え入れてもいいかもしれない
まあ、そんなことは置いといて………
「っしょ………」
ベッドから降りてマフラーを首に巻く
どうせこのままじゃ寝ようにも寝れないだろう。なら時間は有効活用しなきゃな
そう思い俺はいつも剣を振っている場所を目指して部屋を出た
「おっとと」
なんか知らんがふらついちまったぜぃ
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「おはよう、キリト」
「あぁ、おはようエギル」
朝、いつもより少しだけ早く起きた俺は早めに支度をして一階へと降りる。一階には店の準備をしているのか、早くもエギルがエプロン姿でいた。いつもより早い時間なだけあって、まだ誰もいないようだ。もう少ししたらアスナが起きてくるかもしれないから、アスナが降りて来たら今日は攻略に誘ってみようか
「今日はどうするんだ?」
「七十七層の攻略に行こうと思ってる。昨日はどこまで進んだんだ?」
「七十七層は環状に連なっている浮島の中央に迷宮区塔がある。昨日は迷宮区に向かう途中でゴブリンがやけに多い洞穴をアスナが見つけたらしい。今日はそこの攻略を中心にするんだそうだ」
「そうか」
俺がホロウエリアを探索しているうちにもきちんと攻略は進んでいるようだ。アスナ一人とは考えられないため、恐らく《Kob》のメンバーと一緒に行ったんだろう
ホロウエリアとアインクラッド、どちらの攻略も出来るのは俺とシンしかいない。アインクラッドの攻略はアスナ達に任せて、俺達は出来るだけ早くホロウエリアを攻略するべきだろうか…………いや、ホロウエリアにばかり付ききっきりでボス戦となったらいざ現れると言うのもなんだし
それに、これから攻略をしていく上で戦力増強は必須だ。特に俺と同じく、どちらも行き来できるシンは優先しないければならない。本人もそれがわかっているようだし、少々無理があるかもしれないが常に探索にはシンを連れ回した方が良いか。レベルが高い場所だからと言って、下がらせておいてはいつまで経っても成長はない
「あ、おはようございます!キリトさん、エギルさん」
「ん?」
「おはようシリカ」
シリカか。こんなに朝早いのは少し珍しいんじゃないだろうか
「あ、あの、キリトさん!」
「どうした?」
少し緊張したような、上擦った声に不思議に思いシリカを見る
「今からご予定は……あ、ありますか!?」
「今から………?アスナが起きて来たら攻略に行こうと思ってるけど」
「そうですか……」
急に表情を暗くして俯くシリカ。一体どうしたんだろうか。エギルに解答を求めてみるがエギルは肩を竦めるだけで何も言ってはくれない
「あー……どうかしたのか?」
「いえ……その、大した用ではないんですけど………」
『きゅるぅ』
シリカは一呼吸置く。頭の上でピナが安心させるように一鳴きしたのに、ありがとうと一声掛けた
「きょ、今日はわた………私と攻略に行きませんか!?」
顔を紅く染めながら俺に言うシリカ。攻略………恐らく七十七層のことだろうが、それに同行したいということだろう
うん、十分大したことあるよシリカ
まあ、安全マージンは多く取れてるしな。偶にはシリカと行くのもいいだろう。シリカのレベルが上がれば戦力増強に一歩、少なからず近付くわけだし
「いいよ、行こう」
俺は快く了承した。そうなると、準備を整えたらすぐに出発しよう
「本当ですか!?」
「ああ。ただし、危なくなったらすぐに転移結晶を使うんだ。無理は死に直結するからな」
「はい!やったよ、ピナ〜♪」
『きゅる♪』
喜びを分かち合っているのかピナを抱き締めているシリカを横目に見ながら、ポーションなどの残量を確認する
しかし、そんなに喜ぶことなのだろうか。少しでも攻略に貢献したいと思い今回のことを申し出たんだと思うが………少しでも貢献出来るのが嬉しいのかもな。本当にシリカは良い子だと思う。この前紹介した生産系クエストも頑張っているみたいだしな。…………まあ、どこで働いているのかは知らないが
「それじゃあ早速行こうか」
「わかりました!」
椅子から立ち上がり軽くエギルに挨拶をする
さて、今日も一日頑張ろうかな
「気を付けて行ってこいよ」
「わかってる。アスナには伝えておいてくれ」
アスナをパーティに加えてもいいのだが、折角やる気になっているんだ。俺とアスナの二人で組めばシリカの出る幕はほぼ無いだろうからな。道中で会うこともあるだろうし
何より自分が攻略組のトップクラスのプレイヤーだと言う自覚はあるつもりだ
トッププレイヤー同士が組むのもいいが、違うパーティで攻略した方が効率が良い場合もあるかもしれない。まあ、効率と言う言葉を出してしまえば、現状ではアインクラッドとホロウエリアを右往左往して攻略している俺も悪いと言えば悪いのだが、敢えて言い訳させてもらうならばシンとフィリアが心配だ。色んな意味で
身の心配ということもあるし、何より俺もネットゲーマー。二人だけの攻略中、超レアなアイテムやらスキルやらが出た時には嫉妬と着いて行けば良かったという後悔の念を募らせる自信があるぞ
「了解」
俺はその言葉を聞き、店を出るために歩き出す
「あぁ、そうだ。ちょっと待ってくれ二人共。少し聞きたいんだが」
「?」
エギルの静止の声に顔だけをエギルの方へ向ける
「どうかしましたか?」
「いや、大したことじゃないんだがな。昨日、買ってきてもらった飲み物と一緒にあそこに置いていたやつがあるんだが、それが消えてるんだ。誰かが片付けたのかと思ってな」
飲み物?そう言えばリズとストレアが沢山買ってきてたな
「無くなって困るものならちゃんと管理してろよ」
「別に困るわけじゃないんだ。ただ、中身が………圏外で飲むと、少なからず危険性があってな……」
そんなものなんで置いてるんだよ………
「まあ、誰かが持ってたら俺に届けるように言っておいてくれ」
「わかった」
そう言って俺とシリカは店を出た
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「いい汗を掻いた。エリート塩作れるんじゃね?いや、気持ち悪りぃからいいや!」
お日様サンサンサンルァァイズ。実際は太陽じゃないけど、日が俺がいつもいるこの場所を照らしてなんか………うん、朝って感じがするでやんす!
てか、なんかさっきからテンションおかしいんだよね。なんでだろ?なんかね、リズベット達が買ってきたジュースで水分補給しながらやってたら変なテンションになっちゃったのよ。しかもなんかいつもより素晴らすぃ動きが出来ちゃってもうなんかGOOD!
もしかしてこのジュースのせいかぁ?
「あーはっ。そうだ、突撃隣の朝ごはん」
と言うわけで、エギルの店に帰ろう(使命感)
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キリト達を見送った後、俺は開店の準備をしながら一人きりの空間を楽しんでいた
賑やかなのが嫌いなわけじゃないが、こう言った一時も悪くない。早めに準備が終われば一服するのもいいかもな
「ゥエッギルー!ご飯寄越せやオンドリャァ」
……………どうやらそれも叶わねぇらしいが
店の扉をぶっ蹴り開けた目の前の白いバカを俺は半目で睨む
「気配がねぇと思ったら外にいやがったか。夢遊病か?」
「むゆーびょーなんてなってますぇーん。それより腹減ったんでなんか寄越さんかい」
人を小馬鹿にしたようなこの態度、腹が立ってきた。そもそもなんでこいつは朝からこんなにテンション高ぇんだよ………持病か?いつもより早い時間から起きていたみたいだからな
しかし、他人に飯を集るような奴だったか?いつもならココアをくれと普通に頼みに来るんだが………
「いい汗掻いたんでぇ………水分補給って、大事ですよね」
俺の目の前にどかっと座ってキメ顔を作りながらそんなことを言うバカ。ストレージを操作すると何か飲み物の入った瓶を取り出す
……………いや、おい待てよ。それは!!
「あ〜………シン?お前、それはどこで手に入れたんだ?」
「んぁ?教えて欲しい?」
いいから早く教えろ…………と言いたいところだが、恐らくこれを飲んでいるだろうシンには逆効果か
「あぁ、是非とも教えt「教えねぇー」
ブチ切れてもいいよな?
「これなー、昨日リズベット達が買うて来たジュースやねん。ホロウエリアで飲も思ったらな、忘れとったんやでっすぇ!」
もう関西弁もメチャクチャになってきてるぞ。てか、結局教えてんじゃねえか
「はぁ………」
確定だ…………よく見てみれば顔も紅くなってやがる。こいつ、大分飲みやがったな
《バッカスジュース》、シンが手に持っている瓶の中身の正体だ
こいつはプレイヤーのステータスじゃなく、運動能力を強化してくれるアイテムらしいんだが………飲んだ後に酔ったような感覚になっちまうのが欠点だ
全く、今まではなかったってのに、ここに上がって来てから急に現れやがった。レストランのメニューを見た時飲もうと思ったが、丁度その時《バッカスジュース》を飲んで酔っ払ったプレイヤーが一騒ぎ起こしたから飲まずにすんだぜ
酔って下手なことしてもいけねぇからな。それから飲まないよう気を付けていたんだが…………まさか知り合いの伝手で手に入るとは思わなかった。あの後にクラインが《フライングバッファロー A5肉》を持って入って来たから、取り敢えずと思い机に置いておいたのがいけなかったのか。丁度買ってきてもらった飲み物の死角に隠れてたみてぇだし、俺も存在を忘れてたからな
…………しかし、なんてことだ。まさかこいつがそれを持って行っちまってたとは
「コップコップ………」
「って、何してんだ!?」
「何って……コップを探してるんでありますよ二等兵」
だからと言って椅子の下にはないと思うぞ………おい、カウンターの中に入ってくるな
「あ、因みに俺軍曹な」
俺より上かよ!?
と、取り敢えずこのバカをどうにかしねぇと………
「おはよー」
いい所に来た!
「お、おっはよーアスナ!今日も元気ですかー!!」
「え?あ、うん。元気だよ」
「それは良かった。最近流行ってるよねー、元気があればなんでも出来る!!」
「へ、へぇー……そうなんだ」
大分古いがな
てか、アスナが少し引いてるじゃねえか
「シ、シン君どうしたの?なんだかいつもより二倍くらいテンション高いけど……」
「ん?」
「大丈夫?」
「ん?」
もう駄目かもしれん………
「《バッカスジュース》を飲んでるんだ………」
「それって………この前騒ぎになった?」
「あぁ……今こいつは酔ってる状態だ。持続時間はそんなに長くないが………こいつ、継続して飲み続けてるみたいでな。恐らく後数分はこのままだぞ」
「えぇ………」
そんな顔にもなるよな………だがこいつの相手をさっきからしている俺の身にもなってくれ
「なんか楽しくなってきた!こりゃあ祝杯じゃあ!」
「馬鹿!もう飲むな!!すまんがこいつから瓶を取り上げてくれ!」
「わ、わかった!」
また飲もうとしやがったバカを羽交い締めにする。こいつ、暴れるな!
あ、危ねぇ……更に効果が追加されたら俺はこいつに何するかわからなくなるぞ
「離せぃ!俺は男に抱き着かれる趣味はねぇ!」
「俺だって男に抱き着く趣味はねぇよ!」
「じゃあ嗜好か!?」
「ほぼ一緒だろうが!」
こいつ……!このまま噴水にでも落としてやろうか!
「いや、マジで離してくんね?」
ん?なんか急にテンションが低くなったな
「酔いが冷めたのか?」
「あん?酔うってどういうことだよ。ここじゃあアルコールは入らねぇんじゃなかったの?」
どうやら正常に戻ったらしい。いや、元々正常だったのかどうかはまた別だが…………そうか、こいつはこのジュースのことを知らないんだったな
やれやれ、説明してやるとするか………
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「いやぁ、すまんねぇ二人とも。まさかあのジュースにそんな効果があるなんて。どうりでいつもよりいい動きが出来るもんだと思ったよ!」
いやぁ、酔いって恐ろしいですな。まさかSAOにもそんな物があるなんて………何より、酔った勢いで口を滑らせて、ヤバイことを口走らなくて良かったー!
「対応するこっちは結構疲れるんだからな………」
「シン君。今度から勝手に飲み物持って行っちゃ駄目だよ」
「へーい」
二人ともめっちゃ疲れたような顔してるけど、なんかごめんね?
「まあそんなことより取り敢えず。エギル、ココア頂戴」
「…………はいよ」
俺が頼むとエギルは少しジト目でこちらを睨んでからココアの用意に取り掛かった。いや、そんな目で見られてもなぁ………ジト目はお前がやっても需要ないよエギル
暫くしてから俺の目の前に置かれるココア。お礼を言った後口を付ける
うむ、うまい
「なぁー、アスナ。今日はどうすんの?」
一息ついたところで俺はアスナに今日の予定を聞くことにした
「キリト君と一緒に攻略にでも行こうかな。最近ろくに二人でパーティ組めてないし……」
え、そうなの?おいおい、大丈夫かよ。正妻の座が危ういことになってるんじゃないのか?
全くキリトめ。まあ確かに、嫁さんだからといって常に行動を共にしなきゃいけないわけじゃないからどうとも言えないけどさ?もうちょい大事にしてあげようよ。まあ、そんな暇がないってことなんだろうけど
「キリトならついさっきシリカと一緒に攻略に出たぞ」
「え?」
………………え?
「そうなんだ……それじゃあしょうがないね」
「……………」
エギルの言葉に寂しそうに呟いたアスナ。すぐに笑顔に戻るがさっきの表情を見てしまったことにより居た堪れない気持ちになる
あいつ…………いや、でも絶対一緒ってわけじゃないんだ。何度も言うけど、絶対一緒ってわけじゃ。でも本人のあんな顔を見るとさ、なんか遣る瀬無い気持ちにもなるんだよ
キリトもアスナのことをどうとも思ってないわけじゃないと思うよ?てか、アスナとユイちゃんのことを一番大事にしてると思う。なんだろうなぁ………なんか、すれ違ってるというか、キリトがこう言ったことに関して不器用というか
……………うむ!
「エギル、キリト達の向かった詳しい行き先わかる?」
「恐らく最前線だろうな。アスナが昨日洞穴を見つけたって言ってただろ?そこの探索にでも行くんじゃないか?」
ふむ、成る程。ついさっきって言ってたし、追い付ける可能性もあるな
「アスナ!」
ガタッ!と椅子から立ち上がり、机をバン!と叩いてアスナを呼ぶ
「な、なに?」
「俺と攻略に行かねぇ?超ハイスペースで!」
手をアスナに伸ばして、そう俺は言った
「………………ふふ」
一瞬呆然としてるアスナだが、俺の意図がわかったのか口を押さえて笑い声を漏らす
「うん、行こうか」
そしてアスナは俺の手を取って立ち上がった。おぉう、やべえ……握手しちゃった。アスナの手柔らかいです
「よし、そうと決まれば早速行くぜ!!」
俺もあいつに言ってやりたいこととかあるしな!んでもって、攻略に出れば俺のレベルも上がるはずだし、俺にもメリットがあるってもんよ
「道案内は頼んだぜ」
「うん、わかった。無理はしないでね」
「了解した」
手を離し、お互い拳を合わす後に俺はメニュー画面を開いてアイテムを確認する
転移結晶は………ポケットの中入ってるな。あと数個ポーションも入ってる。残量もOK
「…………うし」
せいぜいアスナも邪魔にならないよう、精一杯行くとしますか
閃光と白バカ、二人だけの珍しいコンビ
さぁ、どうなっちまうんでしょーか。それは作者にもまだわかりません
あ、でも多分神様なら知ってるんじゃないかな