SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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フレンド一号と二号

 

「待たせたな。よく頑張った」

 

ホロウ・リーパーの剣を弾き、そう言ったのは漆黒の剣士

 

これが誰だろうかは言うまでもない、キリトだ。状況が状況でなければ生キリトだぜひゃっほい!と叫んでいただろう。だが俺にはそれだけの気力も無ければこんなシリアスな雰囲気を壊せる程の勇気があるわけでもない

 

俺はただ脱力してその場にへたり込んだ

 

「フィリア、行けるな?」

 

「うん」

 

キリトの呼び掛けにフィリアは応える

 

「行くぞ!」

 

そしてホロウ・リーパーへ向けて走り出した

 

 

 

 

 

 

 

そこからは直ぐだった

 

キリトが鎌を防ぎ、フィリアが横からソードスキルで攻撃。更にスイッチなども使い回してどんどん追い詰めていく

 

「すっげ……」

 

めまぐるしく変わっていく戦場に俺はただ感嘆することしか出来なかった

 

「はああぁぁぁぁぁ!」

 

キリトが雄叫びを上げながらソードスキルを放つ

 

…………1……2、3、4……7連撃技か

 

ホロウ・リーパーの顔面へと食い込んだ最後の一撃は、HPを全損させた

 

破砕音と共に崩れ落ちるホロウ・リーパーを見て心から安堵する

 

「や、やった………」

 

俺は呟く。そしてそれと同時に俺の体が金色の光を放ち、ファンファーレが鳴り響いた

 

「レベルUPおめでとう」

 

「え?あ………ありがとう」

 

レベルUPしたのか。だとしたら44かな?不吉な数字だが不思議と不吉だと思わない

 

「しかしビックリしたよ。フィリアから早速メールが来たと思ったら助けて!の一言だもんな」

 

「しょうがないじゃない。打つ時間が無かったんだから」

 

「まあ、無理もないか…………。立てるか?」

 

キリトが俺を心配してか手を差し伸べてくれる

 

「ああ、助けてくれてありがとう」

 

手を取って立ち上がる。こうして見てみると俺より背が低いんだな……

 

うん、キリトだ。少し女顔だし、イケメンだし

 

「俺はシン、よろしく」

 

「キリトだ。よろしく」

 

俺達は握手を交わす。まさか握手まで出来るとは思わなかった

 

「それじゃ一旦安全な場所に移動しよう。いつまた襲われるかわからないからな」

 

キリトが俺の後ろの黒い物体に触れて起動する

 

そして俺の視界が切り替わる。次に視界に映ったのはまるでコンピュータの世界へ入ったかのような光景だった

 

「すげぇ……」

 

これで感嘆するのは二回目だ。いや、ホントすげぇ

 

「ここは管理区って言うんだ」

 

「管理区……」

 

つまりここでホロウエリアを管理してるってことか?

 

「それにしても、ホロウエリアはホントに謎が多いな。一般プレイヤーを強制転移させるなんて」

 

一般プレイヤー?………….ああ、俺のことか。正確に言うと俺はイレギュラーなんだが………

 

「そう言えば、あんた達知り合いなの?」

 

「ん?どういうことだ?」

 

「さっきあんたに会いたいって言ってたから」

 

フィリアは俺を指差して言う

 

「シンが?」

 

「……………あー」

 

そう言えば言った。うん、言った覚えあるよ

 

「い、いや《黒の剣士》キリトって言えば有名じゃん?ほら、下の方にだって知ってる奴は多いと思うぜ?一方的な知り合いって奴」

 

「あー、確かに。一時期話題になったこともあったな……」

 

キリトはその時を思い出してか何とも言えないような顔を作る

 

「そ、そーそー!それで俺もキリトを知ってたわけだよ」

 

あっはははは、嘘しか吐けないってつれぇー

 

「それでどうして会いたいってなるの?」

 

おぅふ、そう来たか

 

「ほら、有名人には会ってみたいって思うじゃん?いやー、マジで。握手とか出来たし俺この手洗えねえわ」

 

これは本心だ。ゲームの中だし手は洗わなくても大丈夫だろ

 

「ふーん」

 

「なんかそこまで言われると照れるな……」

 

照れてるキリト、何かとレアじゃないか?

 

ふむ………、最初の時点でフィリアとキリトに出会う、ってのは中々良い滑り出しだ。ここからアスナを始め原作キャラと出会えるかもしれない

 

それにここはホロウフラグメントの世界。リーファやシノンさん、ストレアにも会え「あぁ!!」…………なんだ?

 

俺が考え事をしているとキリトが急に大声を上げた

 

「そう言えばリズを待たせてるんだった!早く行かないと怒られる!」

 

なに?リズ、ってのはリズベットのことか

 

「それじゃ、俺は先にアークソフィアに行ってるからな!あ、アークソフィアってのは76層の名前だから!じゃあなシン、フィリア!」

 

「お、おう」

 

「じゃ……じゃあね」

 

俺達が唖然とする中、キリトは持ち前の敏捷力を生かし字みたいなのが刻まれている床へとダッシュする

 

…………もしかして、あれが転移門の代わりなのか?

 

「転移、《アークソフィア》!」

 

どうやら正解だったみたいだ。キリトは叫んだ瞬間青い光に包まれて消える

 

「…………アークソフィア、ね」

 

俺はなんとなく呟いた

 

「あんたも行ったら?」

 

「フィリアは?」

 

「行かない、まだここでやることあるから」

 

やること?うーむ、手伝えるなら手伝いたいが………如何せんレベルがなぁ……

 

モンスターの相手とか絶対に足手まといになる

 

「んじゃ、フレンド登録しとこうぜ」

 

俺はウインドウを操作する

 

フレンド登録しとけばメール送れるし、情報の交換が出来るからな

 

…………あ、キリトとフレ登録してない

 

「えーっと、これが………こうか?んで…………よし、送れた」

 

なんとか申請を送ることが出来た。後はフィリアが承諾するだけだ

 

「……………(ジー」

 

「え、なんでせうか?」

 

申請を待っているとフィリアの視線に気が付く

 

「操作、慣れてないみたいだね」

 

「!………」

 

しまった。そうだよ、仮にも2年はいるってことになってんだから操作が下手だったら怪しまれる

 

「…………(友達、いないのかな)」

 

あれ?なんか視線に憐れみが混じってる感じがするのは気のせいか?

 

いや、それよりもどう言う?……………んー

 

「…………俺、フレンドいないんだ」

 

はっはっはっ、言っちまったぜ…………(泣)

 

これでフィリアの中での俺の印象が『レベルが低いのにホロウエリアに連れて来られた可哀想なボッチ』になったのは言うまでもないだろう

 

「そう(やっぱりそうなんだ……)」

 

フィリアは俺の答えに納得したのかYESを押す。これでフィリアは俺のフレンド第一号だ

 

…………いや、納得されても悲しいんだけど

 

「それじゃ、俺は行くぞ」

 

「………それじゃ」

 

「おう、じゃあなー」

 

俺は転移門の前まで歩いていく

 

「あ、そうそう」

 

「?」

 

フィリアに、一応言っとこうかな

 

「無理だけはすんなよ」

 

「………?うん、わかった」

 

なんでそんなこと言い出すのか、って顔してるが………まあ、そのうちわかるかもしれない

 

フィリアはこのゲームのメインキャラクター。そして公式サイトで見たPVでは何かただならぬ秘密があるらしい。その内容はわからないが

 

…………だから、せめて無理だけはして欲しく無い。命の恩人でもあるしな

 

「また会おうぜ。転移《アークソフィア》」

 

俺はさっきキリトに教えてもらった名前を唱える

 

………これ、キリトが教えてくれなかったらどうしてたんだろ

 

そんなことを考えてる俺を他所に俺の体は青い光に包まれる

 

「………………おぉ」

 

青い光の先には街並。俺がいるここは………広場、か?

 

「思ったより人がいないな」

 

見渡すけど二、三人程度しかいない。NPCってこともあるだろうし、実際プレイヤーは一人もいないのかも

 

「皆攻略に出掛けてるのか」

 

もしくは広場に誰もいないだけ………か。まあ賑やかな場所はあるだろう、住宅地とか

 

「どれ、これからの方針を決めるかね」

 

俺はその場に丁度良い段差があったのでそこに腰掛ける

 

「…………」

 

それにしても綺麗な街だよな〜。公式サイトとちょこっと見たけど、やっぱ実物は違うね

 

「おっと、それよりも今後の方針だよ」

 

まずは宿探して………あ、ちょっと待て、俺って今金どんだけ持ってる?

 

…………えーと

 

「なんだ、少なからずあるんだな」

 

2万か………これで宿とか泊まれるかな。まあゲームの中だから野宿でもなんでもするけどさ

 

「でも、食っていく為には金は必須だよな」

 

これをどうやって手に入れるか、だが…………なんか俺考えてばっかりだな

 

「うーむ、初期装備を売れば少しは金に………まあホント少しだろうけど、それにレベルとかも上げなきゃ駄目だしな」

 

誰かの攻略に連れて行ってもらうか?それなら幾分か安全ではあるが………

 

まあまずは何かアクションを起こさないと、考えてばかりじゃ駄目だ

 

「よし、宿を探そう!」

 

手をパンッ!と叩く

 

そして立ち上がろうとした瞬間、俺の後ろで青い光

 

「…………ん?え!?」

 

「え?何…………ぐぇっ!」

 

転移門から出てきた人に、俺は頭を踏みつけられた

 

 

 

 

 

 

 

「ごめんなさいごめんなさい!本当にごめんなさい!」

 

「い、いやもういいって」

 

俺は絶賛女の子に頭を下げられ中である。どうしてこうなった?

 

「いきなり転移門から出てきたら人がいるなんて!ごめんなさい!」

 

「いや……ね?転移門の真ん前で座ってた俺も悪いわけだし」

 

そう、これは明らかに俺が悪いだろう。転移門の真ん前に陣取って座ってたんだ、そりゃ誰かが出てきたら踏まれる

 

それに…………

 

「そう……ですか。あ、私アスナって言います、あなたは?」

 

アスナなんだものーーーー!!!この人キリトの嫁さんなんだものーーーー!!!キリトも命の恩人だからその嫁さんを怒鳴れるわけねえよ!てか嫁さんじゃなくても怒鳴れねぇ!

 

てか実物も可愛いな。こんな可愛い娘に愛されるとか、キリトマジ爆発しろ。さっき命の恩人とか言ったけど、マジで爆発してくれ

 

「………?どうかしました?」

 

「い、いや!?なんでもな………ないでせうよ。俺、シン………です」

 

ヤ、ヤベェ………まともに話せねぇ。なんか俺がコミュ症みたいじゃん

 

「?敬語はいいですよ?」

 

「そ、そうでありますか………いや、そうか」

 

えぇ!?何この人、めっちゃ良い人!なんでこんなに笑顔なの!?

 

「それにしても、なんであんな所に座ってたんですか?」

 

「今後の方針を決めてたんだ。それで宿を探そうとしてた」

 

アスナ、俺なんかと話してていいのかな。キリトのとこ行かなきゃ駄目なんじゃね?キリト嫉妬するよ?

 

「今後の方針?もしかして七十五層以下に戻れないことを知らずに来ちゃったんですか?」

 

うーん…………どちらかと言うと違うんだが……

 

「まあ、連れて来られたというか……」

 

「?」

 

わかりませんよね、すいませんでした

 

「と、ところでアスナは何をしてたんだ?やっぱ攻略か?」

 

こういう時は話題転換だ

 

「いや、ちょっと人を捜しに………全くキリト君ったら、SOSが来たのはわかるけど一人で行っちゃうなんて………せめて私も呼んでくれれば良かったのに……」

 

「……………あぁ〜」

 

わかった。わかっちまった

 

つまりあれだな。俺達を助けに来たキリトを捜してた、ってわけだな

 

「なんか………ごめんなさい」

 

「なんで謝るんですか?」

 

「いや………ごめんね?あと敬語いらないから」

 

「?うん」

 

てかなんで俺達の助けに行った、ってわかったんだろ。リズベットにでも聞いたのか?キリトはリズベットを待たせてるって言ってたし

 

「ああ、そうだ。人を捜しに行ったのに戻って来た、ってことはその人がもう戻って来てるか見つかった、ってことだろ?会いに行かなくていいのか?」

 

お互いこれ以上ここにいる必要は無いだろう。アスナと話せたことは収穫だが、なんだかアスナを見てると罪悪感が………こんなに健気な娘を置いとくなんて、キリトはなんて罪作りな奴なんだ

 

「あ、そうだね。それじゃ」

 

手を振って去ろうとするアスナ。ふと振り向き、右手を振って何かをしだす

 

「ん?」

 

俺の前にフレンド申請を示すシステム窓が出てきた

 

「…………」

 

「どうしたの?」

 

「いや…………」

 

俺はYESを押す

 

「それじゃ、またね」

 

そう言ってアスナは走って行ってしまった

 

「……………フレンド第二号はアスナ、と」

 

フレンド欄を開き俺は呟く

 

 

 

 

 

少し嬉しかったのは言うまでもない

 

「あ、キリトとフレンド登録してない」

 

そしてそれを思い出し肩を落としたのも言うまでもない

 

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