SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど   作:クラッカーV

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一体どれ程の時間を費やしているのだろう

一体どこに行けばいいのだろう

この森を何度も何度も行き来して、何度も何度も建物の中を行き来して

捜し続けた。いや、今でも捜し続けている

彼なのか、彼女なのか、物なのか、それとも形の無い何かなのか

わからない…………思い出せない

だけど、ずっと捜し続けている。求め続けている

きっと一目見ればわかる。きっと気付く



俺の大切な…………







聞こえる

「……………えっ」

 

自分でも顔が引きつったのがわかった。目の前のキリトを見てみれば俺の顔を見たのか苦笑いをしている

 

「あー………あぁ、はいはい。私めの今までのストーリーですか」

 

頭に手を置きながらゆっくりと、キリトに誘われるがままに椅子に座り飲み物に早速口を付ける。うむ、うまい。こんなん常に持ち歩いてんのかこいつ、マジうらやま

 

「えーっと………どこから話せば良いかなぁ」

 

うーん………いや、てかはっきり言っちゃうとさ?

 

 

 

 

マジやべっす

 

 

 

 

 

 

だ、だっておま!今まで何してたの?とか聞かれて、SAOのゲームしてたらここに来ちゃった、てへぺろ!とか言ったらお前何言ってんの?とか言われちゃうよ!いや、それだけじゃねえ。もう何が何だかワケガワカラナイヨ状態になっちゃってこの先真っ暗闇しか続かなくなっちまう!!

 

それは俺としてもよくなさ過ぎるのだよ

 

つまりだ

 

「………………」

 

どれだけ俺がキリトをうまく誤魔すかに掛かっている………!

 

「そ、そんなことよりさぁ?リズベットは沢山武器を作ってるな!お、あれカッコ良くね?」

 

作戦1!取り敢えず違うとこへ逸らそう

 

壁に掛け立ててある武器をそれぞれ指差すとキリトもそれに合わせて顔を向ける

 

よしよし、良い感じだぞ。…………いやー、マジで沢山あるな。アンリミテッドにブレイドワークスって感じ。宝物庫でもいいや。とにかく空中に出してドヒューン!ってやりたくなってくるね

 

「あぁ、リズも毎日頑張ってるみたいだからな」

 

へぇー、毎日武器作ってんのか。飽きないのか?………いや、好きなことなんだから普通飽きないか

 

「……………」

 

「……………」

 

…………え、終わり?

 

え、ちょっと待って終わり?他になんかないの?ほら、あるでしょ。この武器はどんな素材使ってるんだぜ、とかドヤ顔で説明してくださいよぉ!

 

「………あ、あぁそうだ!おいしいお菓子を売ってるお店があるんすよ。そこで買ったクッキー食べる?おいしいよ?あ、飴ちゃんあげようか、持ってないけど」

 

「持ってないのかよ……」

 

大阪のおばちゃんみたいな真似してみたけど呆れられた不思議。てか、ホントに大阪のおばちゃんって飴ちゃんくれんのかな?ホントだったら優しいよね。一度もらってみたい

 

てか、どうしよう。これで上手くいくと思ってただけに作戦2を考えていなかった。捏造でもするか?くそ、下手したら面倒なルート直行しちまうぞ………

 

「シン」

 

どうしよう、どうしようどうしようどうしよう………。下手な嘘吐きたくねぇし、かと言って嘘吐かなきゃいけねぇ状態だし

 

このまま無理矢理お流しにでも出来たら良いんだが、それじゃあただの後回しになっちゃうから根本的な解決にはなってない。逃げ出しても同じ、それにリズベットに武器を渡してるから逃げようにも逃げれない

 

「なぁ、シン」

 

「ふぇい!」

 

たす!………いや、違くて

 

「なんだよ、驚かすなよキリト」

 

「いや、さっきから話しかけてたんだけど」

 

マジかよ。やべ、ちょっと集中しすぎたかもしんない

 

顔を上げてみれば少し困ったような顔をしているキリト。そんな顔されても俺が困るんだが、てか現在進行形でお前の質問に困らされてるんだが?そこんとこどう思うのよ。ねぇ、ねぇ!?

 

「別に、話したくないんなら無理に話さなくてもいいんだ」

 

「………は?」

 

はあぁぁぁぁぁぁ!?

 

なに!?何それ!!それ先に言えよふざけんなよもおおおぉぉぉぉん!!

 

今すぐにでも声を大にして叫び出したいよ!変に怪しまれないように顔はポーカーフェイス作ってるけどね!?でも良かったぁ、心底安心したわ。変なこと言いそうにならなくて良かったよマジキリトサンクス

 

…………いや、今思えばキリトのせいだからお礼言う必要無くね。ざっけんなキリト、ブーブー!

 

「なんだよぉ、人悩ませておいてそれかよぉ」

 

内心地団駄踏みながらキリトへの不満を隠そうともせず………あ、ポーカーフェイス出来てないじゃん

 

「ごめんごめん。少しシンのことが気になったんだ」

 

言い方、言い方。勘違いされるよそれ

 

「でも、話したくないならしょうがないよな。誰にだって、話したくないことはあるだろうし」

 

そう言ってコップの中の飲み物を口にするキリトの顔に影が差したように見えた

 

「あ〜……えっと」

 

なんだか勘違いされているような気がしてならないのは気のせいでもなんでもないだろう。何故か気不味い雰囲気になってしまったので俺は顔を逸らして人差し指をちょんちょんと打ち合わせる

 

うむ、なんかややこしいことになったぞ?

 

「キリト?何か勘違いしt「前々から思ってたんだ」

 

話を聞いてくれ!?

 

「シンは、俺達に何か隠してるんじゃないか?って」

 

瞬間、体の奥から冷え上がるような感覚に襲われた

 

「…………」

 

おいおい、マジかよ………嘘だろ?

 

いや!待て落ち着け。まだキリトの言ってることが確証を突いているわけじゃない。隠してることと言っても、また別のことなのかもしれない。ましてや、わかるはずがないんだ。理解が出来るはずがない、俺がイレギュラーだということを

 

理解出来るとしたら、この世界を創ったあいつならばあるいは………いや、非科学的なことだ。あいつでさえ、俺がイレギュラーだとわかっても異世界から落ちてきたなんてわかるはずがない

 

つまりキリトが言っている隠しごとに関して、キリトは内容にあてがあるわけじゃないってことだ。OK、落ち着け落ち着け、クールになるんだ。まだ大丈夫だ

 

しかし、勘がいい奴だとは知ってたけどそれが戦闘やロールプレイング以外で発揮されるなんて、とことん主人公してるぜキリトさんよぉ

 

「隠しごとしてたら、駄目か?」

 

少なからずバレてるなら、誤魔化す必要もないだろう。そう思い椅子の背もたれに右腕が乗るように体を傾ける

 

内容を話すつもりはない。だけど答える気もない。その意を伝える為にちょっとそれっぽい態度をとってみた。あ、なんかホントそれっぽいな………こういう系のキャラ、もしかして俺向いてる?

 

「駄目じゃないさ」

 

「あ、そうすか」

 

キリトの声を聞いてホッと安堵の息を漏らす。ここで駄目とか言われたらどうしようかと思ったし、お前言ってること矛盾してね?ってなっちゃうからね

 

…………そうだ。参考までに何故気付いたのかを聞いとかないと。これ以上面倒なことを増やさない為にはね、あくまで参考までにだけど

 

「でも、なんでそう思ったんだ?俺ってばそんなにわかりやすいかね」

 

「どちらかと言えばわかりやすいな」

 

即答……即答しおったこいつ……!!ま、まあいい

 

「挙げれば幾つかあるんだけど、それじゃあ取り敢えず二つだけ」

 

ちょっと待って、幾つかあるって………二つ以上あるって、マジで!?嘘、どこだろ………

 

「まず一つ目は、皆でクラインがドロップさせたS級食材を食べた時だ」

 

…………あぁ、《フライングバッファロー A5肉》だったか?あれはうまかったなぁ。もう一回食べたい。クラインもう一回ドロップして来ないかな?あ、でもそうしたらあいつ、運使い切って生涯独り身になっちゃうから駄目だな。エギル辺りが落としてこないかな

 

「あの時、アスナが作ったシチューを食べてシンは泣いてたよな?」

 

「いやー、あれはあのシチューが超うまかったからだろ」

 

正直俺も理由がわかってない。確かにあのシチューは今まで食べたことがないくらいうまかったけど、涙が出たのはホントわかんない。辛かったわけでもないし、苦かったわけでもないし

 

「まあ、可能性としてそれはあるんだろうけど………」

 

お互いに苦笑いしか出来なかった

 

「まだこの時はそうかもしれないと思ってた。それで二つ目になるんだけど」

 

「おっと、来たか」

 

若干身構える。一体何が来るのやら………

 

「それが今日のことなんだ」

 

「今日!?」

 

マジすか!今日っすか!?

 

えっと、今日何かヘマしたことは…………迷宮区での時か?おいおい、ヘマなんて普段からやらかしてるから心当たりありすぎるぜよ。どうすればいいでごわすか

 

「シンは今日、武器が壊れたから他の武器もそうならないようにメンテナンスに来たんだよな?」

 

「ん…….うん、まあそうだな」

 

「武器の消耗を忘れるってことはよくあるんだけど、流石に壊れる前には気付くんだ。それをやってしまうのは………言ってしまえば、初心者」

 

「…………」

 

雲行きが、怪しくなってきた

 

「シンのことをバカにしてるんじゃないんだ。だけど、中層にいたって言うシンは、どう考えても初心者じゃないだろ?この二年間、ずっとじゃないにしてもこの世界にいたのなら、始まりの街に籠ってもいない限りは………」

 

あぁ、これはやばい

 

思わず、右手を額に置いてしまう。この態度じゃあ明らかに、はい貴方の言っている通りですと言ってるようなもんだが、そうせざるを得ない程だということだ

 

あぁ、これは本当にやばい

 

さっきの俺の解釈は、それこそ勘違いだったのかもしれない

 

「その、滅多に犯さない間違いが俺に違和感を覚えさせたんだ。武器のメンテナンスを怠った場合、もしかしたら圏外で壊れてしまうかもしれない。そうなると、命に関わるからな。死にたがりじゃない限りは、そんなミスまず犯さない」

 

「…………他に武器を持ってたら」

 

「シンの戦闘スタイルは珍しい。大抵まずは遠距離からの片手剣を投げる攻撃、もしくは片手剣である程度攻撃してから、距離を取って投擲。その後にもう一つの剣を取り出して、同じことを繰り返す。合計三本の剣を持っているシンは、剣の在庫が無くなった後はチャクラムを使っての攻撃へ移る。一回の戦闘に、殆ど必ずと言っていいほど持てる武器全てを使っている」

 

さすがキリト、よく見ている。そこまで言い当てられると若干気持ち悪い気がするが………あちゃあ、こりゃどうすりゃあいいんだ?見事に弾丸論破されてしまっているこの現状。恐らくキリトが感じている違和感を突き詰めて行けば、自ずと俺が何者なのかという所まで行ってしまうだろう。それは出来るだけ阻止したいんだよなぁ

 

でも、どうすれば…………

 

「シン、本当に話したくなければ話さなくていいんだ。ただ、違和感を拭いたくて………」

 

ここまで論破しておきながらよく言う

 

「ただ、仲間なんだからさ。仲間を疑い続けるってのも気持ち悪いし、何より」

 

 

 

 

 

「『信じたいから』」

 

 

 

 

 

 

 

 

まただ。また聞こえた

 

キリトの声に、重なるように聞こえた誰かの声

 

同じ言葉なのに何故か、込められている意味が違うような………そんな感じの声が重なって

 

「………っ……」

 

「………シン?」

 

俺の心を掻き毟る

 

気付けば俺は、奥歯を噛み締めていた

 

『@?,あとujzvh『た』』『62の1Gmtん『…xl$…☆♪1・だ〒々#2〆$』!!??ぜ!?』

 

色んな声が一気に、一斉に駆け巡った

 

何を言ってるのか理解出来ないし、変なノイズも混じって全く理解出来ない。頭の処理が追いつかず、一気に頭に熱がこもる。処理がしきれない

 

『嘘つき………!』

 

『ごめんね。もう………会えないみたい』

 

『明日も生きて、ここで会おうぜ』

 

『また俺は独り………か』

 

「………っ!!」

 

 

 

 

======================

 

 

 

 

 

ガタンッ!!

 

大きな椅子の倒れる音に、一瞬だが体を強張らせる

 

その発生源は目の前で机に手を突いて、顔を俯けているシンだった

 

「………だ」

 

何かを呟いた。小さい声だったからよく聞こえなかったんだが………何て言ったんだ?

 

「誰なんだよ、お前ら………ちくしょう………!」

 

シンは今にも泣きそうな顔でそう呟いた。右手で頭を押さえて言うその姿は、少し目を離すと消えてしまいそうな程に弱く見える

 

「くそがっ」

 

「おい、シン!」

 

ふらふらと、机に体をぶつけたり武器を落としそうになったりしながら外へ向かうシン。急いで立ち上がり体を支える

 

「大丈夫か?」

 

「…………わり、ちょっと出てくるわ。武器は後で取りくるって、言っといて」

 

「あ………わかった」

 

目も合わせず、俺の支える手を優しく払うと店の外へ歩いて行ってしまった

 

「…………」

 

やっぱりだ

 

やっぱりシンは、何か俺達には言えないような過去を持っている

 

最初は確かな確証はなかった。シンはなんと言うか、その…………少し俺の知るような普通の人間とは違う行動をする時があるから、もし間違っていた場合凄く遣る瀬無い気持ちになるので出来るだけ心の内に止めるだけにしておいた

 

しかし何事も聞いてみるもので、シンの反応を見る限りは間違いないだろう

 

……………それに、気になることも増えた

 

『誰なんだよ、お前ら…………』

 

シンの発したあの言葉、一体誰のことを言っているのだろうか。いや、シンもわかってすらいないのだから、一体誰のことを………じゃなく、何のことを言っているのか、ということになるのか

 

外からの声であるわけがない。シンの様子が変わったのはあれが原因だということが推測出来るが………一体、何が聞こえていたんだ?もしくは、何かが見えていたのか

 

もしシンの過去と関係があるのなら、精神状態と何かがキーワードとなってるのか?そうだとするなら、シンが俺達に隠している過去は、相当の…………

 

「お待たせー!きちんと整備しといたわよ!今度からはきちんと…………って、あれ?」

 

店の入り口を眺めながら考えていると、武器のメンテが終わったらしくリズが戻ってきた。俺一人だけなのを見て首を傾げている

 

少し、考えを中断させよう。これはきっと、俺一人の力で解決出来るようなことじゃない気がする。少なくとも本人から話す気になってくれないとどうしようもないだろう

 

「キリト、あいつどこいったのよ?」

 

「あぁ、少し出掛けてくるって言ってた。後で取りに来るらしいよ」

 

「はぁ?………まぁ、いっか」

 

腰に手を当ててはぁ、と息を吐くリズが店の入り口へ目を向けるのと一緒に、俺も視線をそちらへ動かす

 

人のことを言えたもんじゃない。だけど、どうか俺達に頼ってほしい

 

……………お前は見てて不安すぎるんだよ、シン

 

 

 

 

 

 

======================

 

 

 

 

 

 

「あー、くっそ………最悪」

 

リズベットの店の裏手で壁に背を付け座り込む。まだ頭が痛む。勉強とか長時間集中してやった後みたいな、頭を働かせすぎて知恵熱でも起こしたかのような、そんな感じ

 

ストレージからクッキーの入った袋を取り出してガサガサを中を漁り、数枚を口の中に放り込む。本物のクッキーとは若干違うが、サクサクした食感と口に広がる甘さはよく似ている

 

「一体誰なんだ、お前らは……」

 

まだはっきりと思い出せる、最後の声

『また俺は独り………か』

 

その、俺によく似た声(・・・・・・・)は今でも俺の頭の中で回っていた

 

 

 




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