SAOが好きすぎる俺がSAOの中に入っちまった。それもホロウフラグメントなんだけど 作:クラッカーV
「私はユイと言います!」
「そっかー、ユイちゃんかー(知ってるけどねー………)」
俺は今、キリトとアスナの娘、ユイと話をしている
そもそも何故ユイと話をしているかと言うと、エギルに部屋を教えてもらった後に一階へ下りた時にキリトとアスナと一緒にいたから………かな?
「俺はシンって言うんだ。よろしく」
ユイは可愛らしい笑顔を俺に向けているので俺も笑顔を返す
「はい!よろしくお願いします!」
「元気いっぱいだねぇ」
俺はユイの………ああ、もう。統一しとかないとめんどいな…………俺はユイちゃんの頭を撫でる
ユイちゃんは拒否することもなく気持ち良さそうに目を細めている。…………うん、可愛い
「早速打ち解けてるな」
「そうだね」
何故かさっきから二人の視線が異様に暖かい。なんだ、なんなんだ
「?どうかしましたか?」
ユイちゃんは又もや可愛らしく首を傾げている。うん可愛い
可愛いんだけど…………
「いや、なんでもない…………」
俺はユイちゃんの頭から手を離し椅子に座る
…………実は俺は内心で超焦っている
何故焦っているか、それは相手が
ユイちゃんはこの世界を制御するカーディナルシステムを作ったその開発者に作られた《メンタルヘルス・カウンセリングプログラム》だ。略称はMHCP、それの試作一号。SAOの2巻は穴が空く程読んでいるから自然と覚えた
2巻は感動作だ。赤鼻のトナカイなんかもう……。そしてそれと同じくらい朝露の少女も良い話だ
……………少しズレてしまったが、とどのつまり、ユイちゃんは『このゲームのプログラム』なのだ。今この状況ではどうなのかは知らないが………だがALOではナビゲーションピクシーとして存在していたことからすると、今もそれに近いものなのかもしれない
と言うことは、だ。イレギュラーである俺に何らかの違和感を感じるはずなんだ
いや、違和感だけならまだ良い。もしかすると元々俺がこのゲームのプレイヤーで無いことがバレてしまうかもしれない
本人を見るに、今はどうやら何も無いみたいだが…………それは今だけのことかもしれない
「……………」
少し頭が痛くなってきた。さっきから考え事ばかりだからな………。エギルに甘い物でも貰おう
「なあエギル。何か甘い物って置いてないか?あったら売って欲しいんだけど……」
「それはいいが………どうしたんだ?頭なんか抑えて」
エギルが心配そうに俺に言う
「ちょっと考え事して頭が痛いだけだ」
「大丈夫?シン君」
「今日はもう休んだ方が良いんじゃないか?」
「いや、ホント大丈夫」
ホント優しいよな、こいつら
「ほら、こっちではココアみたいな味で美味いぞ」
エギルが俺の前に黒い飲み物を出してくれた。湯気が立ち上っている、熱そうだからゆっくり飲もう
「ズズ…………!ホントだ、ココアみたいだ」
すごいな。SAOにこの味ってあるんだ………
「幾らだ?」
「いらねえよ。サービスだ」
マジか、なんか悪い気がするな………
「ありがとな」
「いいってことよ」
ああー、心にも沁みる暖かさだわ………
「甘い物は頭を働かせる時に良いですからね。大丈夫ですか?」
ユイちゃんも心配そうに聞いてくる
……………心配そう、か
「ああ、大丈夫だよ。ありがとな」
ユイちゃんにそう言い、頭を一撫でしてからまた思考の海へと身を投じる
ユイちゃんはいつ俺のことに気付くかわからない。もしかしたら気付かないのかもしれないし、気付いている上で害は無いと判断し放置しているだけかもしれない
それならばそれで良い。ていうか最高だ
俺がイレギュラーな存在だと皆に知られたら、正式なプレイヤーで無いと皆に知られたら…………皆はどういう反応をするだろうか
いくらキリト達が優しいと言えど、気不味くなるのは明らかになるだろう
何しろ俺はキリト達に嘘を吐いているからだ。沢山の嘘を
俺としてはキリト達とそんな関係になるのは嫌だ。もっと良い関係を築きたい
「ズズ…………」
俺はもう一口ココアもどきを飲む
……………そしてもう一つ。俺はさっきユイちゃんをプログラムだと言った
俺はユイちゃんをプログラムだと
こうして見てみるとユイちゃんはそこらへんの女の子と何ら変わりはしない
………だけど、俺は知っている
この子がプログラムだと言うことを、この子が0と1の塊だと言うことを、この子が浮かべる笑顔はプレイヤーに違和感が無いように与えられた機能のうちの一つであることを
だから、俺はひじょうに困っている
ユイちゃんが俺を心配する姿が、ユイちゃんが笑う姿が、さっきから俺にはプログラミングされた行動の様に思えて仕方が無いのだ
まるでその行動が、決められた物である様に思えて仕方が無い………
「………………」
俺は片手をぎゅっと握り締め、もう片方に持っているカップへと視線を落とした
======================
「………………ねえ、キリト君。シン君、ホントに大丈夫かな」
ずっと考え事をしているシンの姿をキリトとアスナはユイと共に離れた場所で心配そうに見ていた
「無理もないさ、いきなり最前線へ来てしまったんだから。これからのことを考えるとシンには厳しいだろう。それにシンは俺と同じ様にホロウエリアに強制転移させられ、その上あのスカル・リーパーに似た敵と戦ったんだ。七十五層の時の様に強くは無かったが………その疲れもあるはずだ」
シンがカップに視線を落としたのを見て、キリトとアスナはより心配が募る
「シン君も、キリト君と同じ…………」
「ああ。…………見たところシンの装備は中層……三十層辺りの武具だと思う。だとするとレベルもホロウエリアのモンスター達と比べると遥かに低いんじゃないかな」
「そんな………」
その状態で死線をくぐり抜けて来たシンにアスナは驚愕した
「……………パパ。シンさんはパパと同じなんですか?」
「ああ、そうだよユイ。…………でも、シンは俺と違って……こう言ってはなんだけど、強くないんだ。モンスター達の攻撃を受けたら一溜まりもないだろう。いつ死ぬかわからないのは、精神的に来るものは大きい」
キリトはシンを見据えて言う
「…………」
「ユイちゃん?」
ユイはシンに歩み寄る
「シンさん!」
そして手を取った
シンはいきなりのことに驚きが隠せない
「大丈夫ですよ、そんなに急いで考える必要はありません。ゆっくり、考えていきませんか?」
======================
「ゆっくり、考えていきませんか?」
俺はいきなりユイちゃんに手を握られ、そう言われた
「……………え?」
どういうことだろうか、わからない
少しの間茫然としていると誰かが俺の肩を叩く
「?………キリト、アスナ……」
肩を叩いたのはキリトとアスナだった
「ユイの言う通りだ。ゆっくり考えようぜ」
「まだ時間は沢山あるんだから、ね?」
……………もしかして、何か勘違いが起こってらっしゃる?
「いきなりこんな所へ来ちまって、これからのこととかを考えると憂鬱なのはわかる。不安だよな」
「エギル…………」
そうか、そういうことか。俺の考え事を、皆はそういう風に捉えたのか
………………ホント、何て優しい奴らなんだ。お人好しすぎるというか……
それに…………
「ああ、そうだな。ありがとう、ユイちゃん」
ユイちゃんの手は、暖かい
頭を撫でた時には気付かなかった。この子は、こんなにも暖かいんだ
「少し、休もうかな」
皆の言う通り、少し休もう
それに、さっきまでの自分が馬鹿らしく思えてきた
「夕飯の時には起こしてやるから、それまで寝てろ」
「ん、頼んだ。…………おやすみキリト、アスナ、エギル、それに………」
俺はユイちゃんの頭に手を置く
「おやすみ、ユイちゃん」
「はい、おやすみなさい」
ユイちゃんは笑顔で応えてくれた。俺はそれを見て二階へ迎う
ゆっくりと歩いて、一番奥にある今日からの自室の扉を開ける
「ふぁ」
どうやら自分でも眠たかったみたいだ。欠伸が出た
「………………俺って、ホント馬鹿だなぁ」
ユイちゃんがプログラムであることなんて関係無いのにな
…………あの子は、この世界で生きてるんだから
「おやすみ……………」
そして俺は重力に身を任せる様に、ベッドへと倒れ込んだ
※2020/02/14 視点変更箇所に
======================
に変更