遊戯王5D’s Extreme Wind   作:豆フクロウ

8 / 8
今回はデュエル無しなので短めです。


第八話 ネオバトルシティ開幕!新たな力エクシーズ召喚!

 ~ネオ童実野シティ中心部~

 

 アキとのライディングデュエル特訓を続けながら大会を待ちつつ日々を過ごしていた遊香は、その日々の中で遊星やアキと共にWRGPに参加するジャックやクロウ、記憶を無くして遊星達の所に居候を始めたブルーノとの出会いを経て大会当日を迎えた。

 

 そして、遊香は大会への登録を行ったサイトに記されていたシティ中心部にある広場にやって来ると、そこには遊香と同じく大会に参加するであろうデュエリスト達が既に大勢集まっていた。

 

 「さてと、大会の公式サイトに書いてあった参加者集合場所は此処で良いみたいね。

 それにしても、凄い数のデュエリストね、皆大会に参加するのかしら」

 

 「それ以外の理由で此処に来るやつなんて散歩で立ち寄った暇人位だろうさ」

 

 「え!?」

 

 独り言に応える声に驚いて遊香が声のした後ろを振り向くと、革ジャンとジーパン姿の華依が片手を上げて遊香の前にやって来た。

 

 「よう、調子はどうだ?」

 

 「先生、どうしたんですかその恰好?」

 

 「プライベートの時位好きな恰好でも良いだろ、ていうかお前はなんで制服で来てんだよ。

 別にアカデミアの授業は関係無いんだから私服で良かっただろ」

 

 「まあそうですけど、この格好の方がアカデミアの知り合いが居たらすぐに気づいてもらえますから、現に先生も直ぐに私の事解ったでしょう?」

 

 華依が制服で大会に来た遊香にその理由を尋ねると、遊香は制服姿の方が目立って知り合いに会いやすくなるからだと答えた。

 

 「そういう事か、確かにこんなに人が居ても直ぐ解ったしな。

 で、あっちからお前に手を振りながら来てる奴はお前の知り合いか?」

 

 「え?」

 

 「遊香さーん!」

 

 華依に言われた方向を向くと未来が手を振りながら遊香達の所にやって来た。

 

 「お久しぶりです、遊香さん」

 

 「久しぶり、元気そうね未来。

 紹介するわ、この人はアカデミアの影城華依先生」

 

 「初めまして、青峰未来です」

 

 「おう、よろしくな」

 

 華依と未来がお互いに挨拶を済ませると、広場の正面にある巨大なスクリーンに白いローブで全身を包み顔の上半分だけの仮面を付けて正体を隠している人物が映し出された。

 

 『広場にお集まりの大会参加者の皆さん、本日は大会に参加して頂き誠にありがとうございます。

 これから本大会のルールと新カードの説明を行わせて頂き、その後皆様がお持ちになられている参加登録の控えを大会の参加証と参加特典のカードパックに交換させて頂きますので準備をしてお待ちください』

 

 「・・・胡散臭い主催者だな、顔ぐらい見せろっての」

 

 「仮面に全身白ローブ、声を合成音声で加工までしてるなんて怪しさ全開ですもんねぇ」

 

 スクリーンに映った人物の恰好と声に遊香達だけでなく、その映像を見ている殆どの人物が主催者らしき人物に不信感を抱きながらもスクリーンから流れる映像と音声に意識を集中させていた。

 

 『まずは本大会のルールから説明させていただきます。

 これから行っていただく予選では、このネオ童実野シティ全体を大会の対戦フィールドとさせて頂き、大会期間中に街の外に出る事を禁止した上で、皆様にはスペシャルアンティルールで対戦して頂きます』

 

 『本来アンティルールではデュエルを行う前にデュエリスト同士がお互いに手持ちのカード中からアンティとなるカードを確認し、それを了承する事で行われるルールです。

 ですが、本大会のルールではアンティの対象となるカードを予めこちらで設定させて頂きます』

 

 アンティで掛けるカードが予め決められているという言葉に動揺が広がるが、映像の人物はそのまま話を続けた。

 

 『皆様にアンティで掛けて頂くカードはこれから皆様にお配りする参加特典のカードパックに収められている物に限らせて頂きます。

 さて、ではどうやって特典パックに収められているカードと判断するのか疑問に思われているでしょうが、その説明を行う前に新カードの説明を行わせて頂きます』

 

 『新カードはこれまでに存在しているカード達のどれにも当てはまらない全く新しいカードとなっております。

 まずは、こちらの画像をご覧ください』

 

 ローブの人物がそう言うとスクリーンに映し出されている画面がデュエルフィールドに移り変わると、レベル4の通常モンスターである《ジェムナイト・ガネット》と《ジェムナイト・サフィア》の2体がモンスターゾーンに存在していた。

 

 『現在フィールドには2体のレベル4モンスターが存在しております、この2体はどちらもチューナーではありませんのでシンクロ召喚は行うことが出来ません。

 さらに、他のカードも無いので融合、儀式も行うことは出来ません』

 

 『今回皆様にお配りしテストして頂くカードはこの状況から召喚出来るルールを持つカードとなります。

 現在フィールドにはレベル4のモンスターが2体、つまり同じレベルのモンスターが2体存在している事になります、新カードにとって重要となるのはこの”2体以上の同じレベルのモンスター”になります』

 

 『新カードを召喚するためにはレベルが同じモンスター及びモンスターカードとしても扱う魔法、罠カードを2枚以上フィールドに揃える事が必要となります。

 そして、同じレベルのモンスターが2体以上存在していることでエクストラデッキから特殊召喚することが出来るのが新しい召喚方法”エクシーズ召喚”です』

 

 フードの人物が説明を続けると画面に黒い縁取りと左側に青い星が4つ描かれた1枚のモンスターカードが現れた。

 

 『このエクシーズ召喚で召喚されるモンスターを(エクシーズ)モンスターと言い、皆様にこれからお配りするパックに必ず1枚以上封入されています。

 先ほど説明したアンティで掛けて頂くカードはこのXモンスターに限らせて頂きます、このカード以外のアンティは無効とし無理やりXモンスター以外のカードをアンティで要求した場合は反則とし、即刻大会への参加を取消しセキュリティへと引き渡します事をお忘れない様にお願いいたします』

 

 『さて、新カードの説明に戻らせて頂きます。

 この2体のレベル4モンスターをXモンスターの下に置く事でXモンスターを特殊召喚することが出来ます。

 では、実際に召喚してみましょう。』

 

 『レベル4モンスター2体でオーバーレイ・ネットワークを構築、エクシーズ召喚。

 現れよ、ランク4《ジェムナイト・パール》』

 

 説明に合わせてスクリーンに映し出されているカードが移動していき、モンスターゾーンの中央に2枚のモンスターカードが集まりその上にXモンスターのカードが置かれていった。

 

 『見て頂ければお分かりになると思われますがXモンスターには他のモンスターカードのレベルに当たる部分の反対側に青色の星マークが有ります。

 この青い星をランクと言い、Xモンスターはレベルの代わりにこのランクを持ちます』

 

 『このランクの存在により今までレベルによって行動を制限する《レベル制限(せいげん)地区(ちく)》等、モンスターのレベルに関連する効果を持つカードの効果を受けません。

 そして、Xモンスターの下に置かれたカードはORU(オーバーレイ・ユニット)と言い、XモンスターはこのORUを使用して発動する効果を持ちます』

 

 スクリーンに映されているフィールドに召喚された《ジェムナイト・パール》の周りを2つの光が回り、その光に矢印が引かれ、ORUと表示された。

 

 『また、このORUはXモンスターがフィールドを離れた時や取り除かれると墓地へと送られますが、ORUとなったカードはモンスターカード扱いとはなりません。

 一例としてレベル3の《クリッター》と《ダンディライオン》の2体がORUとなっている場合にこの2枚が墓地に送られた時の説明を致します』

 

 『《クリッター》と《ダンディライオン》は2枚とも墓地に送られた際に発動する強制効果を持っていますが、ORUとなっているこの2枚が墓地に送られた場合効果が発動するのは《ダンディライオン》のみとなります。

 これは《ダンディライオン》がどこから墓地に送られても効果が発動するのに対して《クリッター》はフィールド上から墓地に送られる必要が有るためです』

 

 『ORUとなった時点で《クリッター》はフィールド上に存在するモンスターとして扱われなくなるため墓地に送られても効果は発動しないという事です』

 

 スクリーンに映し出されているカードがランク3のXモンスターとORUとなっている《クリッター》と《ダンディライオン》に変わり、ORUを2枚とも取り除くと《ダンディライオン》の効果は発動されたが《クリッター》の効果は発動されなかった。

 

 『カード毎に様々な効果や特殊裁定が存在しますが、Xモンスターの基本的なルールは以上となります。

 それでは、続いてこの大会の予選におけるアンティ以外のルール説明を行います』

 

 『これから皆様にお渡しする参加証、こちらにはXモンスター同様にランクが設定されており最初は全員がランク1となり、対戦を行い勝利すると1ランク上昇し、負ければ1ランク下がります。

 また、自身よりもランクが上の相手に勝利すると相手とのランク差分が上昇するランクに追加されますが、逆に下のランクの相手に敗北すればランク差分追加でランクが下がります』

 

 スクリーンが再び白いローブの人物が映る画面に変わり、その人物が持つカードにXモンスターと同じ青い星とランク数が表示され、説明に続いて星とランク数が上下して行った。

 

 『予選ではこのランクを12にまで上げて頂きます。

 予選はこの後カードパックの配布が全て終了後1時間のデッキ調整時間を設け、本日18時までと明日の10時から18時の間行い、その間にランクを12にまで上げ大会終了時刻までそのランクを維持して頂きます』

 

 『ただし、明日の17時以降は参加者の皆さんはこの広場に集合して頂き、その時点でランクを12にまで上げている参加者は挑まれたデュエルを必ず受けて頂き、デュエルを拒否された場合は失格となります。

 そして、明日の18時時点でデュエル途中の方を除いてランク12を維持されている方を予選通過者とします』

 

 予選最後の1時間を一か所に集まりランク12の参加者はデュエルを拒否できないというルールに再び動揺が広がるが、主催者はそのまま説明を続けた。

 

 『この最後の1時間はランクが既に12になっている方に不利な条件となっていますが、参加証のランクには特例としてランク13を設けております。

 ランク13はランクを無敗で12にまで上げた後、2連勝する事でなりランクが13になりますとランク数が固定となりこれ以降はデュエルに敗北してもランクが下がらない様になります』

 

 『また、このランク13になられた参加者には配布するカードパックに少数入っている特別なXモンスターを別途お渡しするようになりますので、興味のある方は積極的にデュエルを行ってください』

 

 『以上で大会のルール説明を終了いたします、それではカードパックと参加証を参加登録控えと交換を行いますので皆様順番にこのスクリーンの下に設営している大会本部テントへお越しください。

 参加登録者全員にカードパックを配布したことを確認した時点でスクリーンに開始までの時間を表示しますので、スクリーンが見える位置で開始までお待ちください』

 

 白ローブの人物がそう言うとスクリーンの映像は消え、遊香達を始めとした大会参加者は続々とスクリーン下にあるテントに向かって移動を始め、テント前に参加者たちの行列が出来上がり遊香達がカードパックを受け取りテントから出た時点で半分ほどの参加者がパックを受け取りその中のカードを確認していた。

 

 そして、テントから離れた遊香達は広場の傍にあるカフェのテラス席でそれぞれが配られたカードパックを開けて入っているカードの確認を行っていた。

 

 「さてと、早速パックを開けて見た訳だけど二人はどんなのが出たんだ?」

 

 「私はXモンスターの《始祖(しそ)守護者(しゅごしゃ)ティラス》と《終焉(しゅうえん)守護者(しゅごしゃ)アドレウス》に《ダイガスタ・エメラル》とXモンスター用の魔法・罠が2枚です」

 

 「私のは《サンダー・エンド・ドラゴン》と《輝光帝(きこうてい)ギャラクシオン》というXモンスターとXモンスターに対する効果のある《銀河眼の光子竜(ギャラクシーアイズ・フォトンドラゴン)》とサポートカードが2枚でした」

 

 華依の質問に遊香と未来はパックから出てきたカードをテーブルの上に広げ、それを見た華依は自分もパックから出したカードをテーブルに並べた。

 

 「お前たちはXモンスターだけじゃなくてサポートカードも有ったのか、私のパックにはXモンスターだけだったんだがもし欲しいのが有ったらトレードしてくれないか?」

 

 「えっと、それって大丈夫なんですか?

 反則や規則違反とかになるんじゃ」

 

 「大丈夫だって、さっきパック受け取った時に聞いてみたけどXモンスターを最低1枚持ってれば失格にはならないし、召喚条件のあるカードも有るからトレードはOKって話だから、5枚もXモンスターが出て来たから1、2枚交換しても問題は無いさ」

 

 華依がそういうと遊香と未来は華依の広げたカードを確認して行った。

 

 「それじゃあ、見させて貰いますね。

 えっと《幻子力空母(ミラージュフォートレス)エンタープラズニル》、《アルケミック・マジシャン》、《シャーク・フォートレス》、《虚空海竜(こくうかいりゅう)リヴァイエール》に、あれもう1枚は?」

 

 「ああ、最後の1枚だけちょっと他のと違ってる感じだから分けてたんだよ、ほら」

 

 遊香がテーブルに出されたカードが4枚だけなのを不思議に思って華依に尋ねると、華衣は他のカードと分けてあったカードを二人に見えるようにテーブルに置いた。

 

 「《No(ナンバーズ)61 ヴォルカザウルス》?

 なんなんですかね、このNoって」

 

 「さっきの説明の最後に言ってた少数入ってる特別なXモンスターってやつなんだろうが、態々番号付けしてる理由が解らん」

 

 華依はそう言って、ヴォルカザウルスのカードを手に持って他のカードと見比べながら首を傾げていたが、直ぐに悩むのを止めてトレードの話に戻すことにした。

 

 「ま、カードの名称の由来なんて考えても仕方ないしそういう物として考える事にするさ。

 それで欲しいカードは在ったか?」

 

 「なら折角ですし、私はこの《虚空海竜リヴァイエール》というカードが良いんですけど、未来はどうする?」

 

 「私のデッキに合いそうなカードがなさそうなので、残念ですけど今回は遠慮します」

 

 未来は今回のトレードを断った一方で遊香はトレードして貰うカードを選ぶと、華依は自分が欲しいカードを遊香が持っているか尋ねた。

 

 「それじゃあトレードするカードだけど、涼風は《クリバンデット》って持ってるか?」

 

 「はい、持ってますけどXモンスターじゃなくても良いんですか?」

 

 「ああ、私のデッキだとXモンスターよりもアドバンテージを思いっきり稼げるこっちの方が良いからな、そういう訳でトレード成立だな」

 

 遊香がサイドデッキから《クリバンデット》のカードを取り出すと、華依は自分の《虚空海竜リヴァイエール》を遊香に渡し代わりに遊香から《クリバンデット》を受け取ると早速デッキの調整を開始した。

 

 そして、遊香と未来もそれぞれのデッキ調整を始め三人がデッキの調整を終えてしばらくするとテントに出来ていた行列は無くなり広場のスクリーンに予選開始のカウントダウンが開始され、三人はカウントが終わるまでそのままカフェで時間を潰す事となった。

 




どうだったでしょうか。
ちなみにこの話の時点で、原作でのクラッシュタウン編終了時点まで時間を飛ばしてWRGPの予選開始直前くらいになります。
それでは、これからもこの作品をよろしくお願いします。

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。

評価する
一言
0文字 一言(任意:500文字まで)
※目安 0:10の真逆 5:普通 10:(このサイトで)これ以上素晴らしい作品とは出会えない。
※評価値0,10は一言の入力が必須です。また、それぞれ11個以上は投票できません。
評価する前に 評価する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。