「やっと終わりましたね…なんだかどっと疲れました…。」
「そうだな…てか…色々とごめんな…その。」
やばい、なんかその話していたら記憶が戻ってきて…いかんいかん…
忘れよう…
「もう…掘り返さないでください…。私も思い出して恥ずかしくなるので…。」
「お、おう。とりあえず紅茶でも入れるか?」
ごめん…有栖。せめてもの罪滅ぼしだ。
「あ…はい。すいません、お願いします。」
「ん、分かった。もうひとつのお話は紅茶飲みながらでも大丈夫か?」
「はい。全然大丈夫ですよ。」
それにしても、よく考えたら色々と急すぎるよな…。
朝から有栖とか変わってきたけど、中学の頃と変わらない位とても濃い時間に感じる。朝はあんなに行きたくなかったのに、なんだかんだ楽しいって思えてきたかも。いやまあ、会えるなら早く小町とも会いたいけど。
「ほら、出来たぞ。」
黒を基調とした机にコースターを置き、マグカップを2つ程載せる。
改めて見ると、とても美しいというか、神秘的なように感じるな。まあ、有栖の雰囲気もあるけど。白い髪に部屋全体に象られた白い部屋に、家具は基本的に黒で統一されていて、よく似合っている。
というか、部屋づくりのセンスが凄い…。俺の寮と比べれば一目瞭然である。
「ありがとうございます…。さて、そろそろ2つ目のお話をしましょうか。」
そういう彼女の表情はとても凛々しくて、その目の中には炎がやどっていた。俺の目には、とてもかっこよく映った。惹き付けられるように、目を合わせた。
「コンビニ前で、赤髪の少年が喧嘩したのを、覚えていますか?
その時に先輩方はどうせ地獄を見るんだからなと言っていました。
1年のDクラスだということを口実に。」
さて、俺の脳もちゃんとしないとな。
Dクラス"だから"地獄を見るという解釈でいいだろうな、その言い方だと。
「その裏に何があるのかを探っているのか?」
「いいえ、それなら検討は着いています。恐らく、この学校では他のクラスは敵になるでしょう…。八幡さんはこの学校の謳っている希望の進学先に100%進むことが出来るという事に、明らかにおかしいと思いませんか?」
「そうだな。由比ヶ浜が好きな就職先に行ってみろ、迷惑をかけるのは自明のことだ。それなのにそのような人間が入学できて卒業できるなら学園の品位が落ちるだろうしな。」
「そうですね、あの方が迷惑をかけない未来が見えません…。
本意に戻りますね。そこで私が思いついたのは、サバイバルゲームです。学園としては、最も優秀な人達を送りたい。その各方面で活躍すればこの学校の品位は上がるでしょう。そして、私たちのような優秀と思われているAクラスの人材と、そうでは無い方々で分けられているのではないかと。真島先生が言っていた"実力"が高い人達が、希望の就職先につけるように篩にかけていると考えています。そして、その実力が高い所がこのAクラスで、Aクラスの人達のみが希望の就職先に進める、という考察をしています。」
正直、凄いの一言しか出ない。やっぱこいつ天才だろ…。たったこれだけの、限られた情報の中からこれだけの考察を引き出すんだからな。
「一つだけ疑問なんだが、その"実力"を明確に現すものってなんだろうな。それがないとどちらが上と決められないと思うんだが。」
「そうですね…確かにその視点は抜けてました…。まだまだですね…」
「まあ、まだ初日だからな。所で、有栖が言いたかったのはそれだけなのか?」
「いいえ、どちらかと言うと、ここからが本題です。
八幡さん、良ければ私と一緒にクラスを動かして欲しいんです。
動かすと言っても、守るつもりはさらさらないですが。
私がクイーンで、貴方はキング。他の人達に私達の影すら踏ませずに、私は他の人たちを踏み潰したい。」
「別にいいけど、有栖はなんのために動かしたいんだ?
なんのためにそこまでして、下の人達を潰そうとする」
「そうですね…。どうしても見せつけたい人が3人いるから、ですかね。恨んでいる人達と、作られた天才さん、ですね。私や貴方のような天才には作られた紛い物の天才では絶対に勝てない…と。」
ちゃんと潰したいだけじゃない、そこには明確に燃えたぎる意思の強さがはっきりと見えた。
この子に着いてみたいと思った。過去に縋るんではなく、流されるのでもなく、明確に自分から着いていきたいと。
これは過去への執着でもなく、未来への計算でもない。
自分の抱いていた理想や未来。
過去に求めていた、正しさの追求。
自分に諦めて、雪ノ下に憧れていた正しさ。
俺は今から、それを取り返したい。
いや、取り返すんじゃない、作り上げる。
有栖とならできるような、そんな錯覚を感じた。
だからこそ。
「そうか…。俺が天才なんて言われたことないけどな。まあ、その話は乗った。なんだ…改めてよろしくな。俺も、したいことがあるから。」
「そうですか、随分と頼もしいですね。
よろしくお願いしますね、八幡くん。」
「おう、任せとけ。」
半分タイトル回収!
ここからですね。