狼人の生態についてちょっと触れます。
パン!パン!パシッ!パシッ!
拳と木刀が交差する。キメラアントの巣を壊滅させた数日後、現在狼人の村でジンとローウェルによる組手が行われていた。
ローウェルが接合した腕のリハビリがてらジンと手合わせしたいと言って了承した形である。
木刀をジャグリングのように空中で回転させながら振るうローウェルに対してジンは両手のオーラを変化させて戦っていた。
ジンは右手のオーラを鉤爪状に変化させて振るうが、ローウェルも木刀で受け流す。
だがジンは鉤爪を剣で受け太刀した瞬間に形状変化させて爪のオーラが剣に巻き付き、刃を覆って無力化する。
そのままもう片方の拳を振るうが、ローウェルも木刀の柄を起点に鉄棒の逆上がりの様に回転を行うことで拳を躱しながら回し蹴りを頭部へ叩き込もうとする。
ジンは右手のオーラを解除して回し蹴りを腕でガードすると後退する。
「イストが言ってた通りにオーラの扱い方が変幻自在だなアンタ」
「お前さんも武器の扱い方が巧いな。ここまで太刀筋が読みにくいのは久しぶりだ」
そう言いながら手を上下から相手に掌を向けて構えるジン。
「
ジンはオーラを東洋の龍に形状変化させる。
「ん、これは……」
イストはその技がかつて自分への刺客として放たれた暗殺一家の技じゃなかったっけと思い出す。
「
ジンはローウェルへ向けて龍の頭部を伸ばして攻撃した。
ローウェルは迫る牙突を躱すが、ジンは龍を旋回させ追いかけさせる。
そしてもう一度ローウェルが龍を躱そうとした瞬間に龍の頭部を四体に分裂させて上下左右から攻撃する。
「守護方陣」
ローウェルは木刀を地面に突き刺して発した周囲を円で囲う様に吹き出したオーラで迫り来る四体の龍を全て弾き消滅させた。
組手が一通り終わった後、イスト、ジン、ローウェルが昼食を取っていた。
イストは草食の森にいた100m級のガーリッ牛がいたので、ノッキングで仕留めた。
その後、広場で巨大な鉄板を出して狼人全員分のガーリッ牛のステーキを調理して配ったのである。
「ジンが使った技、確かゾルディック家の爺さんが使ってた技じゃなかったっけ?」
「ああ、以前襲われた時に受けたんだ。物理系の能力は一回くらうと大体真似出来るんだよ」
「チートじゃねぇか……ジン、やっぱ化け物だわ…」
「ゾルディック家をワンパンしたお前が言うな」
人間界にいるゼノからすれば、他人の技を勝手にコピーした挙げ句応用技まで作り出すジンもゾルディックの歴代当主をワンパンで返り討ちにするイストも化け物と思われているのは余談である。
因みに既に死んだ歴代当主の1人がナニカにイストを殺してと願ったらしいが、その願いは私の力を超えていると断られたという事実はゾルディック家の記録に残されておらずマハ・ゾルディックが知るのみである。
イスト達が会話していた傍らで今日も元気に遊び回る狼人の子供達、石を投げ合う姿も見受けられる。ある一点を除けば微笑ましい光景である。
「イスト、俺の目の錯覚じゃなければあの子供達大人サイズの岩を投げ合ってないか?」
「確かイ○ツブテ合戦とか言うらしい。2m級の岩を投げ合うとか普通おかしいよな」
2m級の岩がブォンと音が鳴る程の豪速球が狼人の子供に激突するが、潰れるどころか岩がより硬いものに激突したかのように爆散する。そして激突したが無傷な上に笑顔な狼人の子供はお返しに同じく2m級の岩を片手で掴んで投げ返していた。
「普通あんな大岩が激突したら人間が吹き飛ぶだろう。やっぱ狼人おかしいわ」
「そうか、俺も子供の頃は小石投げは良くやってたけどな」
ジンの言葉にキョトンとした表情で言うローウェル。彼等にとっては2m級サイズは小石という解釈らしい。
他にも大玉転がしで使う様なボールで木のラケットでテニスをやる子供達や、人間界サイズのバスケットボールを三つ使ってドリブルを行うというちょっと訳の分からないスポーツをやっていた。
「これ念能力が広まったせいでスポーツや遊びのレベルが跳ね上がってるな」
「まあ念能力使えば漫画の技とか簡単に再現出来るせいってのもあるだろう」
テニスでは大玉サイズがポールの外から飛んでくるという魔球を狼人の子供は容易く行ってくる。普通あのサイズの大玉が不規則で飛んできたら恐怖ものなのに狼人の子供達は笑顔で恐怖は一切ないらしい。
少なくともジンやイストは幼少期にあんな桁外れなスポーツをやった覚えは無い。まあコイツらはベクトルこそ違うがそれ以上のことを幼少期にやっているのは余談である。
「亜人が人間の上位互換と言ってたのも納得だな。あんな大岩投げあったりとかこっちじゃやらねぇしな」
「そうそう。俺やジンも溶岩水泳とか深海ダイビングとかやってた位だ」
「いやアンタら充分おかしいよ。何で生身で溶岩と深海泳げるんだよ……」
ドン引きするローウェル。改めてローウェルは絶対人間界に行かないと決意するのだが、そんなイカれた奴等はイストとジン、次点で人間界にいる副料理長位である。
「ジン、話変わるけど十老頭って知ってるか?」
「確かマフィアンコミュニティを取り仕切る十人だったか?」
「つい最近大幅な人事改革があったらしく、武闘派老人に構成員を変えたらしい」
「何か
「確か地震を操る白い髭の爺さんやら仮面を被って果実を手掴みで喰らうシラットの爺さんやら『おしゃぶりの鬼』とか言われてる杖を持った好々爺とかが新しくなったんだと。ネテロ以外にもゼノやマハにもオファーきたらしいがゾルディック家からは断られたと十老頭になった1人に愚痴られたよ」
「ふ〜ん」
ジンはマフィアンコミュニティとは関わり合いが無いのでそうなんだなという認識しか無かった。とばっちりを受けるのは後にマフィアンコミュニティに戦争をふっかける幻影旅団や安易に十老頭抹殺依頼を受けるイルミ含めたゾルディック家なのだが、本編とは関係ないので置いておく。
「ところでスターダスト・ヒルまでは後どれくらいなんだ?」
「まずは砂海を超えないといけないな。そこにあるグルメピラミッドでメロウコーラを回収しつつ、雨の大陸へ向かう」
「メロウコーラ?」
「そう。サラマンダースフィンクスっていうグルメモンスターから取れる世界一美味と言われるコーラだ」
「メロウコーラを取るならピラミッドの王様と謁見する必要があるな」
「ローウェルの言う通り、グルメピラミッドは一つの国家でそこのファラオという王職に着いた権力者と会う必要がある」
グルメピラミッドでも至宝とされるメロウコーラを取るにはそれに値する食材を渡す必要があるのだ。
ファラオを名乗るだけあってその亜人は砂海全域のことを把握出来るらしく、砂海で謁見せず無断で取りに行こうものならファラオが侵入者とみなして刺客を放ってくるのだ。
「まあそれに関してはコンソメマグマやビリオンバードの卵を用意しているから交渉自体は問題ないよ」
「ビリオンバードの卵か……確かにあれは美味かったな……」
ジンは思い出す。ビリオンバードとは億年食える鳥と呼ばれる程に繁殖力が高い上に栄養価も高いという食材だ。
イストはとある紛争地帯の食糧難を解決する為にビリオンバードを使ったのである。
唯一の欠点が味の不味さなのだが、イストは自身のフルコースのドリンクにする程ビリオンバードの調理法には長けており、人間界の料理以上の美味さまで昇華させていた。
そして何と言ってもビリオンバードへの感謝から産まれる輝く卵こそがイストがフルコースのドリンクにする程の美味を持つ。
イストがかつてコンビを組んでいた相手とビリオンバードをどうしたら美味しく食べれるかを研究してた過程で見つけた副産物らしいがジンにとってはあれ以上のドリンクは無いだろうと思える体験をした。
そうして数日後、イストとジンは砂海へ向かうのであった。
Q:何故龍頭戯画(ドラゴンヘッド)?
A:以前ゼノ・ゾルディックに狙われた設定。ジンの経歴不明だから彼専用の発が作れない以上、かつて戦った強敵の技を使いこなすという感じです。
しかも勝手に応用技まで作り出すのでジンが本作でチートと呼ばれる所以とかだったりする。
本編では劣化になるから絶対やらないけど百式観音とかも出来る。祈りの動作速度だけが真似出来ねぇとぼやいてたとか……
Q:え、物理系?原作準拠なら打撃系じゃない?
A:本作では打撃系に関わらず物理系ならガードしてでも受ければコツを掴めると曲解しております。まあ個人的にはジンがここまで出来ても不思議じゃないと思う。
因みに十老頭の件は、この暗黒大陸編書く前に自分が考えてたボツネタの『十老頭は化け物か』という話で書いてたのを抜粋。
自分が読んでた漫画の強いジジイばかり構成員にしてました。暗黒大陸編書いたので書く予定はありません(念押し)
まあネテロやゼノ位のレベルに弱体化しているので幻影旅団ならきっと勝てるでしょう平気平気(他人事)
因みに本作最強格であるアカシアの三弟子は含まれておりません。
この作品において八王とアカシアの三弟子は暗黒大陸上位層になってるので……
イストのかつて組んでたコンビはお察し。尚、原作と違ってドンの力まで十全に使うので三虎どころかアカシアとまで渡り合える模様。