暗黒大陸?グルメ界の間違いだろう……   作:クロアブースト

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1章終わりまで今回の含めて残り3話。下手に話が伸びなきゃですが……

アンケート終了。十老頭の圧勝でしたね。まあ面子の大半がネテロも思わず「ワシより強くね」という連中だったので……
きっと次の話の合間とかに幻影旅団がぶっ殺された挙げ句に
「流星街の報復ぅ?構わねぇ邪魔するなら流星街の連中ごとぶっ殺せ!」
と流星街の報復程度でビビるような連中は皆無です。
きっとヨークシンで地震と火事と隕石と爆発が飛び交う刺激的なマフィアンコミュニティVS流星街の全面戦争に発展するでしょうが、イストは特に関わり合いにならないと思うので本編はスルーすると思います。
そんな中で幻影旅団を差し置いてヒソカが一人勝ちするとか凄ぇなと思う。

次のアンケートはドン=フリークスが新大陸紀行の西を作らなかった訳は何でしょうか?
選択肢は原作で言ってた三つの中からになります。
1章最終話で本編内の捏造で答えが明らかになりますが、興味のある方は予想してみてください。



メロウコーラ

ファラオとの謁見をした後、イストとジンはサラマンダースフィンクスのいる砂漠の迷宮(デザートラビリンス)へ辿り着く。

 

「おら、メロウコーラ出せ!」

「ワォォォン!?」

 

イストが腹パンしてサラマンダースフィンクスからメロウコーラを噴出させるという最低の構図がそこにあった。

 

 

 

 

 

時は遡り、ファラオとの謁見から数時間後。太陽都市から少し離れた場所にある地下通路を通る。

その通路はサラマンダースフィンクスのいる奥地へ繋がっており、太陽都市が管理している砂漠の迷宮(デザートラビリンス)へと足を踏み入れる。

 

砂漠の迷宮(デザートラビリンス)に入った途端に螺旋階段が現れる。

 

「これは…」

「蜃気楼だ。高熱に関しては問題ないがこの奥地では迷宮のような蜃気楼が発生している。迷うなよ」

 

この砂漠の迷宮(デザートラビリンス)は80℃の気温という異様な暑さに加え、迷宮のように入り組んだ蜃気楼や強力な猛獣たちが旅人に襲いかかる。

イストと会う前のジンなら確実にこの高熱の中を歩くことは出来なかっただろう。何故なら渡航するには体温調節が必要だった。

しかしこの二人は溶岩水泳というマグマを生身で泳ぎ切る程の耐熱性能な為に冷や汗一つかかずに容易く通過して行くのであった。

 

「溶岩水泳をさせられて感謝することになるとはな」

「ここに限らず暗黒大陸は暑さと寒さが極端な場所がある。戦闘力よりも先にそれを身に着けなければどれだけの仲間がいようがリタイアするだけだ」

 

イストが言うように環境に適応出来なければどんな強力な能力を持ってようが足手まといにしかならないのが暗黒大陸である。

 

螺旋階段を降りたイスト達は円を展開しながら砂漠の平坦な道を歩く。

 

「円があるから何とか蜃気楼を迷わずに渡れてるが、実際は細い一本道なんだな」

 

ジンが言うように目視では平坦な砂漠が広がっているのだが、円で地形把握をすると一人分の細い道と崖だけがあった。

稲妻のような道故に円を怠れば即座に足を踏み外して崖から真っ逆さまである。

 

無事に一本道を乗り越えたイスト達は頭に花を咲かせた大きな魚であるサンドフラワーフィッシュが現れたので仕留める。

食事と血液を水分補給代わりを行いながら進んで行った。

 

そして辿り着いたのは先程と同じくグルメピラミッド。しかし今度のグルメピラミッドは先程の城下町とは規模が桁外れだった。

 

「先程の城下町はこのグルメピラミッドのレプリカだ。亜人種が住みやすい環境にされている。そしてこのグルメピラミッドには猛獣共が放し飼いされている為に侵入者へ容赦なく襲い掛かる。ファラオの従える警備兵などは入団試験にここでの探索が命じられたりするな」

「つまり亜人種にとっては狩場というわけか」

「逆に未熟者がいけば喰われるがな。毎年入団試験があるらしいが受験者の4割が喰われてるってファラオが言ってたし」

「そりゃあ危険な場所だな」

 

イスト達はグルメピラミッドを降りながら進んでいく。道中出てきた三つ首の獣、ユニコーンケルベロスをジンが相手をする。

鋭利な一角でジンへと迫るが、ジンはその角を白羽取りの要領で掴んだ直後に背負い投げで地面に叩き付ける。

 

「ギャン!?」

 

ユニコーンケルベロスは周で強化された地面に叩きつけられたことで悲鳴を上げるが、ジンは手を緩めずに角を掴んだ手を離さずに身体を捻って180度の半円を描くように何度も宙に浮かしては周で強化した地面に叩き付けることを繰り返してユニコーンケルベロスを仕留めた。

 

「念の技術もそうだが武術とかも桁外れだな」

「念も武術も変わらねぇよ。結局は極めようとしたら行き着く先は一緒だったってだけさ」

 

ジンは大したことないかのように言うが、念能力者の大半は念能力という力に驕り我流で戦闘技術を磨く者が多い。

何故なら新しく学ぶなら念に合わせた動きの方が効率が良いからである。何せ他人の技術を習得するには時間がかかるし、自分の念能力と合うとは限らない。

しかし武術とは優れた武人の生涯を掛けて編み出した技術であるからこそ、極めれば強力な武器となる。

それをわかっているからこそ、ジンはあらゆる武術も極めているのだ。

 

イストは分かっているかのように迷うことなく道を進んでいき、ジンは着いていく。そしてイストが壁の壁面を軽く小突くと壁が音を立てて崩れていき隠し階段が現れる。

 

「おお、隠し階段か。イストはこのグルメピラミッド内の地形を把握しているのか?」

「いや全く」

「じゃあどうやって分かったんだ」

「食運だ」

「食運?」

「簡単に言うならオーラとは異なる"奇跡"という名の特殊な流れが見える。グルメ食材を探索するに当たって正しい道筋を示してくれたり、望んでいる幸運が訪れたりすることを"食運"と言われている」

「じゃあ宝くじが当たったりとかも可能ってわけか」

「可能だ」

「そりゃあ凄いな」

「いや宝くじで当たる金なんて腐る程持ってるだろうが」

「確かにそうだったな……」

 

片やトップハンターであるジンや1品で億単位の料理を扱うイストは富裕層と同レベルの資金があるのである。今更宝くじを買ったりはしないのだ。

 

「食運ってのは技術か?」

「いや生まれつきの才能だ。後天的に会得する方法はほぼない」

「つまり一応あると」

「その一つが俺のフルコースの一つである流星雨のパフェだ。短期的だが、食せばどの人間も食運を身に着けられる」

「ぜひとも食べてみたいな」

「楽しみにしていてくれ」

 

イストがフルコースにしている流星雨のパフェはメロウコーラを収穫した後に向かうスターダスト・ヒルにあるのでこのまま行けば食べれるチャンスはあるということである。

 

前方からタイヤのような甲羅を纏いながら高速回転して突っ込んで来るダンゴールの群れがやって来るがイストは正拳突きの構えを取る。

 

「エアノッキング」

 

彼がその言葉と共に拳を振り抜く

 

パンッ!

 

その拳は音を置き去りにしただけでなく、前方から突っ込んでいたダンゴールの群れ達が震動を受けて停止した。

 

会長(ジジイ)の技を簡単に再現するんじゃねぇよ」

「いやネテロじゃなくて知り合いの技だ」

会長(ジジイ)以外にも音速越えの正拳突き出来る奴がいるってわけか」

「音速越えよりもヤバいがな」

 

イストはサラっととんでもないことを言いながらもダンゴールの甲羅から実を取り出すと中からぷるんと輝く身が出てきた。

 

「こいつは一定の衝撃を与えて倒すと身が柔らかく上質なまま食べれる」

「うぉ!?確かにウニのようなふんわりとした柔らかさとイカのようなコリコリした食感がマッチしているな」

「因みに衝撃加減を間違えると身が硬化して不味くなる」

「だからイストが仕留めたってわけか」

 

イストとジンはダンゴールの群れの実を食べた後に様々なグルメモンスターを倒しながら遂にサラマンダースフィンクスの元まで辿り着く。

 

 

緑色の鱗に覆われた獅子の胴体、背中に生えた白く大きな翼、蛇のようにうねったオレンジ色のタテガミ、しっぽに生えた蛇が特徴の獣である。

そしてイスト達に向けて警戒心を顕にしたサラマンダースフィンクスは咆哮を上げる。

 

「ゴアアアアアア!!」

「うるさい」

「キャイン!?」

 

イストのワンパンで簡単に沈んだ。そしてサラマンダースフィンクスから体内で熟成されているメロウコーラを涙から絞り出す為に刺激を与える程度に手加減したパンチを叩き込むことをやりだしたのであった……

 

 

サラマンダースフィンクスの目から涙として大量のメロウコーラを噴き出す。それを直に浴びるイストとジン。

 

「爆竹みたいな音と刺激のシュワシュワ感!身体中の血流が一気に加速してくるな!」

「ジンは初めてだったな。遠慮せず飲んでみろ」

 

そしてジンは降り注ぐメロウコーラに口を開けて飲み込む。

 

「!?」

 

身体中を駆け巡るシュワシュワと駆け巡る炭酸を感じながらジンは飲み込んだ。

 

「うめぇぇぇぇ!」

 

ジンが思わず雄叫びを上げる程にメロウコーラは熟成していた。

このメロウコーラはたっぷり1年間熟成されており、その甘みはメープルシロップの数百倍の糖度を持っていた。

それに加えられた炭酸はシャンパンやソーダ水の炭酸とは比較にならぬ量で、仮にコップに注いだ場合、優雅に立ち昇る気泡は1年間止まることはないという。

 

炭酸の強烈な刺激がジンの身体中にある細胞を瞬時に叩き起こし、圧倒的な糖分の甘みは絞め技のようにじわじわと全身の隅まで染み渡っていた。

そして疲労のあったジンの身体が瞬時に回復しただけでなく潜在オーラ量も一気に跳ね上がる程に細胞が進化していた。

 

「そうだろう。ここのコーラは旨いからな。さてこいつらは出し渋る癖があるからもう少し捻りださせるぞ」

 

そして冒頭のスタイリッシュなカツアゲもどきでサラマンダースフィンクスからメロウコーラを涙から絞り出すイストだが、2匹目以降はジンにやらせていた。

メロウコーラを絞り出すには一定の手順が必要なのでイストがジンへ指示しながら空中に飛び上がったプールと言える程の量のメロウコーラを巨大な真空ボトルへと回収していた。

そしてジンは最初こそメロウコーラの余韻で感動があったのだが現在のやり方が不憫すぎてサラマンダースフィンクスに同情していた。

 

「罪悪感が半端ないんだが……」

「後、5匹だ。引き続き頼む」

「容赦の欠片もないなオイ」

 

イストはメロウコーラを巨大な真空ボトルに入れて次の真空ボトルを用意していた。

近くにいたサラマンダースフィンクス達は明らかに出荷される前の子羊の如く怯えていたのは余談である。

 

メロウコーラを回収したイスト達は次の目的地である雨の大陸に向けて向かっていた。




ニトロのいないグルメピラミッドなので呆気なく回収出来たという感じです。
因みにニトロがいようがイストがいる限りワンパンで終わりますが……

ドン=フリークスが新大陸紀行の西を出版しなかった理由は?

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  • 志半ばに挫折して本になっていない
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