無題奇譚〜Untitled tale〜   作:惰眠

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#38「反逆者たち」

 風読夜見は、陽香の婚約者だった男だ。

 彼は異能一族皐月原家の人間で、その才能を当時の当主──風読秀陽に認められ、婚約者となった。

 ふたりが初めて出会ったのは陽香が十五歳の時。当時の陽香は既に仮面を被っており、偽物の笑顔で次期当主を演じていた。当然、それは夜見にも向けられたが、彼はその笑顔がつくりものであると見抜いた。

 陽香は自室にひとりでいる時や、専属の執事──小原俊と話している時には、嘘の仮面を外していた。それをたまたま目撃したのか、それとも直感的に気づいたのかは定かではないが、ともかく夜見は陽香の演技を見破り、その下にあったひかりのない瞳に気付いた。

 瞬間、夜見の中に禍々しい感情が湧き上がった。それは情欲に等しいものだったため、激しい性的興奮を感じながらこう思った。

 

 ──彼女にもっと絶望してほしい。

 

 方法はなんでもいい。とにかく陽香を絶望の底へと突き落とし、そのさまを観察したい……そんな思いが膨れ上がったのである。

 そして、陽香との婚約がその第一歩である事に気付いた。彼女が夜見を嫌っているのは分かっていたし、そんな男と生涯を共にするというのは、生きた屍と成るのと同義だろうと思った。

 だからこそ、夜見は陽香に執着し、屈服させた。表向きは()い婚約者として振る舞い、裏では陽香に様々な(きず)をつけ、悦に浸っていた。数十年が経過したいまも、まだ残っている(きずあと)があるほどだった。

 そのようにして夜見は幸せの絶頂にいたが、ある時それをぶち壊しにする男が現れた。何を隠そう、茨羽巧未である。

 茨羽が地獄から陽香を救い出し、攫っていった事により、夜見はどん底に落ちた。荒れに荒れた彼は八つ当たりで親族を(みなごろし)にし、皐月原家を滅ぼした。それでも怒りは収まらなかったが、その時、名案ともいえる考えがひらめいた。 

 どれだけ時間がかかってもいい。陽香の大切なものを全て破壊し、自分の元に戻る以外の選択肢を失わせればいいのだ。そうすれば陽香は戻ってきて、自分のモノになる。

 陽香が茨羽と結婚し、子供を産んだという噂を耳にしても、彼は平静でいられた。茨羽の事は憎いし、いつか自分の手で殺してやりたいと思っている。だが、陽香が幸せになればなるほど、それを失った時の絶望も大きくなる。いずれ自分の手に落ちると分かっているのだから、どんな事があっても耐えられる──それが風読夜見という人間だった。

 そして今、待ち望んだ瞬間がやってこようとしている。

 もはや怪異型異能力などどうでもいい。自分に必要なのはただひとり、陽香だけなのだから……。

 

   *   *   *

 

 風読はじっとりした視線を陽香に向けながら立ち上がり、彼女に近づいていく。

 

「ずっとこの時を待っていたんだよ。キミが、僕のモノになる瞬間をね」

 

 陽香は動かない……否、動けない。風読の視線が彼女を絡め取り、蜘蛛の巣にかかった獲物のように縫い止めていたからだった。

 風読は陽香の背後に回り、その首筋に鼻を近づける。汗の匂いとともに、優しい匂いが鼻腔を(くすぐ)る。ずっと渇望していた、陽香の匂いだった。

 

「キミが手に入れば、あとはどうだっていい。怪異型はこちらが手に入れる事でコントロールするし、“HELLO WORLD”やキミの仲間の無事も保証しよう……ただ、茨羽巧未とその子供だけは赦さないけどね。キミが僕のモノになるのをたっぷりと見せつけてから殺してあげるんだ」

 

 細く繊細な指が、首元から服の中に入り込み、擽るように這い回る。それでもなお、陽香は唇ひとつ震わせずに耐えていた。

 

「気丈なお姫様だ。だけど、感じてきているだろう? 昔、僕が躰に教えこんだ事を思い出しただろう? どう足掻いても、キミは僕から逃れられないんだよ」  

 

 耳元でそう囁きながら、尚も躰をまさぐる風読に、陽香は小さく息をついて、

 

「……ここで私があなたのものになっても、巧未くんと子供たちの無事は保証しないと、そういう事ですね」

「当たり前じゃないか。アイツは僕からキミを奪った外道だ。容赦する必要がどこにあるというんだい?」

「……分かりました。なら──」

 

 瞬間、風読は何かに首を絞められ、躰を持ち上げられた。

 それは植物──部屋に置かれていた、観葉植物の蔦だった。

 

「……なんのつもりだい?」

「家族や仲間が無事でいてくれるなら、私はあなたのものになってもいいと思いました。だけど、あなたは家族に危害を加えるつもりだと言った。だから、私はあなたのものにはならないし、あなたを赦さない」

 

 陽香の口調は淡々としており、驚くほどに冷酷だった。

 ひかりのない黄金色の眼が、風読を捉える。それは彼が渇望していたものとは違い、殺意に溢れた、禍々しいものだった。

 

「……っ、いいねぇその眼。ゾクゾクしちゃうよ」

 

 頬を汗が伝う。初めて感じる恐怖に、しかし風読はニヤリと笑ってみせた。

 

「あなたを殺します。風読夜見さん」

 

 そう言って、陽香は自らの異能を完全に解放した。

 

 ──百花繚乱

 

 瞬間、陽香の躰が植物に覆われた。躰のあちこちから花が咲き、草木が芽吹く。溢れんばかりの生命力を発揮したその姿に、風読は敵対している事も忘れ、恍惚とした表情で呟いた。

 

「……美しい」

 

 人間植物と化した陽香はそばにあった電気スタンドに触れる。するとスタンドが植物に変換され、鋭利な蔓となって風読を貫いた。

 

「……っ」

 

 左と右、両方の肩を貫かれるが、風読は笑みを崩さない。拘束から逃れる事もせず、ただ陽香を見詰めているだけだった。

 その様子は陽香にとっても予想外のものだったらしく、小首を傾げる。しかし殺意は消えておらず、周りにあるものを次々と植物に変換していき、それで風読を串刺しにしていった。

 鮮血が迸り、緑が紅に染まる。風読の躰は空中で縫いとめられたまま静止しており、絶命している事は誰の目から見ても明らかだった。

 それを確認すると、陽香は異能を解除し元の姿に戻ってから、風読の躰を床に落とす。

 ──それが、過ちである事も知らずに。

 

 

 床に落ちた躰はその衝撃で弾け、中から大量の蛆虫が飛び出してきた。

 

「なっ……!?」

 

 流石の陽香も困惑し、反射的に後ずさる。

 蛆虫は瞬く間に床を埋め尽くすと、陽香に襲いかかる。“百花繚乱”は連続で使用ができず、陽香自身が突然の事で対応しきれなかった事もあり、ほとんど抵抗できぬまま蛆虫に呑み込まれた。

 無数の虫が全身を這い回る感覚は、地獄そのものだった。意志の力で悲鳴を呑み込んだため、口は閉ざされていたが、蛆虫は穴という穴から体内に侵入してくる。

 思考が停止し、全身が麻痺したように動かない。あまりの事態に、恐怖を感じる事すら忘れていた。

 体内に侵入した蛆虫は陽香の胎内に辿り着くと、卵を産み付ける。蛆虫を孕んだ躰は膨れ上がり、破裂し、そして──

 

 

「………ぁ」

 

 

 ……気付くと、床に倒れていた。先程まで床を覆い尽くしていた蛆虫は元から存在しなかったかのように消えており、風読の死体もなくなっていた。

 そこでようやく、先程まで見ていた光景が幻覚であると理解する。しかし、どこからどこまでが幻だったのか、その境目を見失っていた。

 その証拠に、今も体内に蛆虫がいるような気がして……陽香は涙を流しながら、胃の中が空っぽになるまで嘔吐した。

 幻覚とはいえ、自分は今、穢された──その事実が陽香を包み込み、絶望の闇へと引き摺り込む。

 

(……巧未くん)

 

 今は自由を奪われている夫の事を想う。次いで、逃亡者となった子供たちの事も。

 ここで諦める訳にはいかない。返り討ちにされたと、認める訳にはいかない。自分はいま、敵地に乗り込んでいるのだ。せめて情報を持ち帰らなければいけない。

 そう考え、風読の机を漁る。鍵はかかっておらず、また人が来る事もなかったため、調べる事は容易だった。

 その結果、陽香が手に入れたのは──

 

(()(かな)()(はる)……って、前に起きた変死事件の?)

 

 事件の確信に迫るであろう、重大な情報だった。

 

   *   *   *

 

 ──同時刻、苛内の研究室

 

「本当によかったのかい? あの子に情報を盗ませて」

 

 苛内は椅子に座り、デスクの上に置かれた資料に目をやりながらそうきいた。

 質問された男──風読はその近くにあるソファに座り、「重要な資料は苛内さんのところに置いてありますし、問題はありませんよ」と答える。

 

「それに、あちらがあの異能と接触する方法を見つけ出してくれれば、それを横から掠めとるだけです」

「それもそうか。といっても、きみも随分と無茶するんだねぇ〜」

 

 苛内は視線を風読の方へと向け、ニヤニヤと笑みを浮かべる。

 

「僕が幻覚の異能を使わなければ死んでいたよ?」

「その点に関しては感謝しています。僕も、陽香があそこまで強くなっているとは思いませんでした」

「油断禁物だねぇ〜。ま、風読の血を引いているのだから、あのくらいは当然かもしれないね」

 

 でも、よかったのかい?──苛内は同じ問いを繰り返すが、その意味合いは先程とは少し異なっていた。

 

「あの子を取り逃しちゃってさぁ。せっかくのチャンスだったというのに」

「陽香を屈服させる策は用意してあります。今取り逃がしたとしても、彼女はいずれ僕の元に現れますよ……自分からね」

「あそう。ま、頑張ってねぇ〜」

 

 再びデスクに視線を戻した苛内に、風読が訊ねる。

 

「そういえば、先程から何をしているのですか?」

「ああ、これ? “世界の外側”をこちらに引き寄せるための調べ物。どうやら異能力者を生贄にする必要があるみたいだから、ヒカルくんか……ミナモあたりを生贄にするよ。特にミナモは“世界を終わらせる鍵”の模造品だから、順応するだろうし」

「なるほど。では、もうすぐ実現すると?」

「そうだねぇ。(うつし)()(かくり)()が混ざったらどうなるか気になるし、あの子(・・・)をこちら側に連れ戻す事もできるかもしれないからね」

 

 苛内はそう言って、研究に没頭し始める。

 それを見た風読は研究室を出ていき、自分の書斎へと戻った。

 書斎には誰もいなかったが、窓が割れていた。どうやら陽香は逃亡したようだ。

 想い人を取り逃がした風読は、しかし口元を吊り上げて笑っていた。

 いずれ、陽香が自分のモノになると確信していたからだった。

 

   *   *   *

 

 ──十二時五分、冬桜山奥地

 

 茨羽家の子供たちが黒い倉庫に到着した時、周りには誰もいなかった。

 下界の喧騒が嘘のように、辺りはしんと静まり返っている。警察官の姿がない事に安堵しながら、翔一は倉庫の扉を叩き、「鮮真だ。開けてくれ」と呼びかけた。

 すると翔一の端末にメッセージが届いた。送り主は零導で、その内容は、

 

カラス:赤坂小鳥の口癖を答えろ

 

 というものだった。

 変な謎かけでなければ、答えは単純だ。翔一は扉に向かって、

 

「おーきーどーきー!」

 

 と叫んだ。

 すると扉が開き、紗由がひょっこりと顔を覗かせた。きょろきょろと周りを伺ってから、「入っていいよ」と促したので、三人は中に入る。

 倉庫内は以前見た時と全く変わっていなかった。扉を閉めてしまうと光源は格子窓から差すひかりのみとなり、ほとんど真っ暗といってもいい状態になる。

 それでもしばらく目を凝らしているとだんだん闇に慣れてきた。奥に零導が座っているのが見えたので、そちらに近づく。

 

「無事だったか」

 

 零導も三人を認識したらしい。口元を僅かに緩め、座るように促した。

 戻ってきた紗由を含めた五人はそれぞれに情報を交換し合い、状況を把握する。

 

「そうか、美幸さんと亜美さんが……」

「無事だといいんだけど……それに、陽香さんも……」

「母さんは何か考えがあるんだと思う。無策で動く人じゃないからな」

 

 和樹が冷静に言うと、翔一も頷く。

 

「今は巧未さんたちを助け出す方法を見つけないと」

「やっぱり、変死事件を解決して冤罪だと証明するしかないよね。でも、どうやって調べればいいんだろ……」

 

 紗由がそう言った時、外から「リンドウせんぱーい!!! さよりーん!!! いるーーーー???」という大声がきこえてきた。あまりにもデカい声だったため、倉庫内にいた全員が耳を押さえた。

 

「この声……小鳥か」

「……そうみたいだな」

 

 零導が携帯端末を取り出し、何かを入力する。すると数秒後、「揚げ餅ーーー!!!」という声と犬の鳴き声が木々を揺らした。

 紗由が扉を開けると、小鳥と菫が飛び込んできた。しばらく目をしょぼしょぼさせていたが、そのうちに全員の姿を認識したらしく、「和樹と翔一と……ほむ姉! 無事だったんだね!」と満面の笑みを浮かべた。

 

「小鳥ちゃんも無事でよかった……!」

「大丈夫だったか?」

 

 和樹がそうきくと、小鳥は「あたしと菫は大丈夫。でも、お父さんと美桜姉が……」と表情を曇らせた。

 

「なんで警察が襲ってきたのか分からないし、楓と爽介と叶とよいちゃんは連絡くれないし……どうしよう……」

 

 小鳥はそう呟いて弱気になっていく。普段は元気の塊だが、こういった状況に置かれるととことん弱い。全員がそれを知っていたので、代表して和樹が口を開いた。

 

「……確かに今の状況は絶望的だが、諦めるにはまだ早い。爽介たちがくたばったとは思えないし、事件を解決できれば冤罪を証明できる。それに……美桜さんや亜美さん、美幸さんが足止めして、俺たちを逃がしてくれたんだ。俺たちが諦めたら、みんなの想いまで踏み(にじ)る事になっちまう」

 

 それに……と、和樹は続けて言った。

 

「多分、この事件にも風読家が絡んでいると思う。過去からの因縁を断ち切るって親父たちと約束したろ? だから、諦めずに動くしかない」

「……そうだね。ごめん、弱気になった」

「気にすんな」

 

 和樹は薄らと笑みを浮かべてから、「でも、どうするか」と呟いた。

 

「手掛かりは見つからないし、警察に追われている以上へたに動くわけにもいかないしな……」

「異能対もほぼ全滅してるし、そうなると異能研にも制限が掛かっているだろうしね……」

「せめて、なにかきっかけがあれば──」

 

 紗由がそう呟いた瞬間、なんの前触れもなく扉が破られ、警察官が押し寄せてきた。

 

「なっ……!」

「どうしてここが分かったの!?」

 

 全員が立ち上がり身構える。すると警察官たちの奥から、スーツの男が姿を現した。

 

「まさかこんなところにいるとは、考えましたね」

「誰だ」

 

 和樹が警戒しながらきくと、男は「そういえば初対面でしたね」と呟いてから、

 

「冬天市警の並貴多と申します。本件の責任者を務めています」

「並貴多……?」

 

 小鳥が怪訝そうに呟く。それに気付いた並貴多はそちらに視線を向けると、

 

「貴女が赤坂小鳥さんですか。息子から話はきいていますよ」

「やっぱり……並貴多のお父さんが、なんであたしたちを捕まえようとするの!?」

「残念ですよ。息子の友人を逮捕する事になるとは……」

 

 並貴多は小鳥の非難を受け流し、「せめてもの慈悲です」と感情の籠らない声で言う。

 

「抵抗しなければ、こちらも危害は加えませんよ」

「その割には拳銃向けてくるじゃねぇか」

 

 警察官たちは拳銃を構えており、指先ひとつで子供たちをハチの巣にできる。対する子供たちは異能を持っているとはいえ六人と一匹しかいない。多勢に無勢というほかなかった。

 しばらく膠着状態が続く。どちらかが手を出せば、血で血を洗う惨状に発展するであろう空気は、しかし突然破られた。

 突然、子供たちの後ろから呑気な声がきこえてくる。

 

「あ、こんなところにいたんだ」

 

 その場にいた全員がそちらに視線を向ける。

 そこにいたのは──

 

「サカナミとみいろちゃん!? それに、海月さんまで……」

 

 サカナミとみいろ、そして異能研の妖怪──海月眠梨が佇んでいた。

 

「あれ、きみサカナミっていうの? 奇遇だね、僕も逆浪ってやつの記憶を受け継いでるんだ」

「それは──」

『おしゃべりしてないで、はやくにげようよ』

 

 眠梨の言葉に目を見開いたサカナミは、しかしみいろに指摘されると黙り込む。眠梨はみいろを見て「それもそうか」と頷くと、子供たちに言った。

 

「そこ、動かないでね」

「それはどういう──」

 

 帆紫が言いかけた瞬間、眠梨は指を鳴らす。間抜けな音がして、宙に大量の原稿用紙が舞った。

 

「これは……小説?」

 

 警察官のうちのひとりが原稿用紙に目をやりながら困惑したように呟く。彼の言う通り、原稿用紙に書かれていたのは何かの物語のようだった。

 

「じゃあ、失礼するよ」

 

 眠梨は口の端を僅かに吊り上げ、一礼する。

 

 “駄文並べ(バッドセンテンス)──『虚無の牢獄』”

 

 紙吹雪のように舞った原稿用紙が全て床に落ちた時、眠梨や子供たちの姿は跡形もなく消えていた。

 逃げられた事にざわめく警察官を他所に、並貴多は不快そうな表情を浮かべ、じっと黙り込んでいた。

 

   *   *   *

 

 意識が一瞬だけ断絶し、復旧するまでの空白。

 その間に、一同は見慣れぬ空間へと転移していた。

 床も壁も白いだけで、あとは何もない部屋。ぐるりと見渡した紗由が、戸惑ったように尋ねる。

 

「ここは……」

「僕の異能で作った空間だよ」

「眠梨の異能って、“過眠症”でしょ? こんな事できたっけ?」

 

 困惑する一同を他所に、眠梨はなんでもないように言うと、「あ、そうだ」と呟き、合図するように柏手を打つ。

 瞬間、この場にいる人の数が更に増えた。その姿を見て、“HELLO WORLD”の子供たちが驚きの声をあげた。

 

「爽介! 楓と叶も……無事だったんだ!」

「柘榴さんと真中さん……天河さんも、どうしてここに……」

「お母さんとゆき姉も……!」

 

 その困惑は今しがた現れた者たちも同じようで、しげしげと互いの顔を見合っている。

 その様子を見て、眠梨が咳払いしたあとにこう言った。

 

「あー、感動の再会シーンのところ申し訳ないけどさ、とりあえず認識の擦り合わせをしておかない?」

 

 それもそうだと全員が頷き、自然と車座になって座る。

 そして情報交換を通してそれぞれの空白を埋めていったのだった。

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