三層が解放され、マテリアルは早速三層へ続くダンジョンの攻略に訪れていた。
「よしっと、ここまでは順調。あとはボスだけ」
三層へのチケットを手に入れるのも既にチェックメイト、あとはボスを倒すのみである。
「【結界】」
事前にボスの攻撃を耐えるために自身の身体に結界を張っておく。マテリアルの耐久はあるとしても現在は装備が市販のものだからほとんど働いていないのでVIT値が不安なのである。まあ、平均以上はあるのだが
「残念ながら、【結界】にも下方修正入ったんだよね」
『
【結界】
獲得条件
自己創作スキルより
効果
自身のMPを使用することにより、敵の攻撃を弾く、もしくは防ぐ壁を作り出す。使用したMPとVIT、INTの値に比例して結界は強くなる。
変更点(追加点)
強度の他に大きさに関してもMP消費を追加。
詳しくは概要欄を参照
概要欄はあまりに長かったので簡単に訳すと
0.5m以下は基本MP消費なし
0.5〜3mまでで今までと同じ
3m以上はn倍になる(n≧3 、nは長さ、単位はm)
仮に5mの場合3倍使用となる
なお、全て立方体とする。
強度に関しての追記
連続攻撃による損傷を一回一回で判定するわけでなくダメージは蓄積するものとする。
という感じなので何か不明点があれば連絡お願いします。 』
とのことだった。
「でも、抜け道がある。」
おい、マテリアルよいきなり2mの創生剣を作って……!?
「大きさに関する消費MPはゼロ、0.5mの立方体よりも体積が小さいから。まあ、強度は少し強めにしたけど」
準備万端の形でボス部屋に移動するマテリアル、
中に入るとやはりボスは木型のモンスターだった。
「うーん、運営さんはこういうタイプが作りやすいのかな…」
と、1人考えつつ戦闘態勢に入る。
ボスは早速尖った葉をマテリアルに向けて放つ。マテリアルはそれに対応し、剣を振って葉を落とす。
「意外と鋭利だな、当たったらちょっとまずいかも」
一撃当たったらそこからどんどん追い込まれていくハメ技だとマテリアルは推測し、攻撃に転換する。
「【身体装甲】が使えればどれほど楽だろう…いや、無いものを考えても遅い」
マテリアルがボスの方向へ走り出す。ボスはラッキーと思わんばかりに攻撃する葉の量を増やす。
「…!?」
多くなったせいか、剣では捌き切れずマテリアルの脇腹に当たる。しかし、ダメージは通らない。
「身体に結界を張ってたんだった。これもある意味身体装甲?」
と、くだらないことを考えながら既にモンスターまでほんの少しのところにたどり着く。剣はモンスターの足元を削るも、大したダメージが入らない。このままでは結界が全て破れてマテリアルが先に倒れてしまう。
「作戦変更」
マテリアルが軽くジャンプすると、そのまま上空を走り出す。もちろん、身体装甲の技ではない。
「っ、ちょっと滑る」
結界を空中に設置し、それを階段のように使って走っているのだ。ステータスのおかげで現実よりも数段速く走ることができる。
「もらった」
モンスターの目の前で剣が巨大化し、モンスターを貫く。もちろん、これも細工済みだ。
「たくさんの結界を張ったからね、それを集めれば」
一度に大きな結界を張るのではなく、細かい結界を1箇所にまとめることにより、巨大な剣を模したのだ。ちりも積もれば山となるというのはこのことだろう。
ボスのHPゲージは順調に減少していき、ゼロになった。
「ふぅ、終わった。」
いつもよりも体を動かしたマテリアルはかなり疲れ気味のようでその場に座り込む。
「装備が出来上がるまでこれでなんとかしなきゃ。そういえば、第四回イベントって」
第四回イベントはギルド対抗戦である。そのため、ギルドに加入していないプレイヤーは参加することができない。
「盲点だった、どうしよう」
一先ず、ボス部屋で悩むのはやめておいて三層に入る。三層は機械と道具の町だった。
「良い道具ありそう、後で見ておくか。」
ちょくちょく機械を使って空中を飛んでいるプレイヤーを見かける。まだ三層は解放されたばかりなのでプレイ人口も少ないが見かけた殆どが飛んでいた。
「機械、だよね。…あれか?」
近くへ寄ってみるとどうやらゴールドを消費して空を飛べるアイテムのようだった。
「まあ、使わないんだけど」
空を飛ぶのは結界があればなんとかなる。節約家のマテリアル君は決して無駄なゴールドを払わないんだね、流石だよ(皮肉)。
「修理代でかなりかさんでるんだ、しかも簡単なのだけど装備も買ったし」
肝心の武器は自身で作れるのだが、もしそれを鎧とかの部分にしてしまったらどうだろうか。どのタイミングで壊れてしまうかもしれない結界で代用するには少々勇気が必要だ。
「今必要なこと、それは…」
マテリアルが来たのは地下道。探知で探し当てたようだ。
「うーん、なんだか良いアイテムが見つかりそう」
マテリアルは今作で一度もダンジョンで良い装備を入手したことがない。そろそろ出てきてくれても構わないはずだ。
「まあ、指輪はなかなかの上物だったけど」
魔除けの指輪はモンスターの攻撃を軽減させるというかなり優秀な道具だ。対人戦のときには微塵の役にも立たないだろうが…
「ここ、かな。」
辿り着いた先には
「あれ?マテリアル」
そこには完全武装したメイプルがいた。身体から武器が生えていていつでも発砲してきそう。
「あー、これは完全に先を越されたという感じですか…」
その場の状況を理解したマテリアルにメイプルが近づく。
「ちょっと待って、その武装解除してから近寄って」
銃口を突きつけられながら満面の笑みで近づいてくるのは恐怖以外感じられるものはない。しかし、一定の層の方々には喜ばれるかもしれない。
「あ、ごめん」
ガシャガシャと音を立てて武器が仕舞われていく。
「それにしても、何だったんですか」
「実はね…」
簡単に言い換えるならば、三層の裏ボスのようなものを倒した戦利品だそうだ。こういったクエストを探し当てるところ、メイプルはかなり運が良い。どこかの誰かとは違って
暇つぶしにと、互いに近況報告をし合い、情報共有をする。
「へぇ、私の装備は【破壊成長】があるからそんなことは考えたこともなかったなぁ」
「【破壊成長】かぁ…」
メイプルの一言でマテリアルは流石と思う反面、もう訳がわからなくなって遠い目をしている。
「そうだ、マテリアルはギルドに入った?」
「それがまだ入ってないんです…。メイプルさんはどんなギルドからもお誘いがあるのでしょう?」
「ううん、そんなことないよ。それに」
社交辞令だな、と聞き流そうとした瞬間
「ギルド作ったから」
思考が止まった、マテリアルからしたら思いもよらぬ方向だった。
「なるほど、その手があったか。」
まあ、マテリアル自身は人望がかなり乏しい方だと分類されるので自らギルドを作ろうとはしない。その上コミュ力不足なので統率もままならないだろう。
「っていうことをチャットで送ったんだけどなぁ」
そういえば、といったような表情でチャット欄を見るとかなりおぞましいことになっていた。
「うわぁ…」
フレンドはメイプル、サリー、カスミ、カナデ、ユイマイであった。
逆にフレンド欄が全員【楓の木】という謎の連鎖となったマテリアルはこれもメイプルの仕業かなと思い始める。
「で、どうするの?」
「……入ります」
一息の間考え、知っている人が多いならとギルド加入を決めた。
「じゃ、行こうか」
第三層にある【楓の木】本拠地へと向かう2名。途中、メイプルと一緒に歩くことになるのだがメイプルがトッププレイヤーということもあり、周りからかなり注目を浴びるため少し良い気分ではなかった。
ついでにマテリアルも前回イベントで一位を取っています。本人はそれには気づいていない模様。
周りはギルド関連の話でほとんど上がることのない話題なのだが…本人は注目はそこまでされたくないのでちょっとラッキーと考えるそんな余裕はない。装備が大破してしまっているのだから…
ようやくギルドに着き、中に入る。中にいたのは…
「おかえり、メイプル。そこの人は」
「クロムさん、でしたっけ?お久しぶりです。」
マテリアルは一度クロムと会ったことがある。いつかと言われれば第二回イベントの初日の怪鳥戦前だ。
「合ってるぞ。確かマテリアル…だったか?」
「はい、その通りです。」
と、クロムと違和感なくフレンド交換する。
ということもあり、【楓の木】のメンバー全員マテリアル君の顔見知りです。偶然ってあるんだね(故意)
兎にも角にも、マテリアルが馴染めるようなギルドだったようだ。
良かった、難なくギルドは入れた。これで次回も投稿できる。問題とか、起こさないよな?