人生ソロプレイヤーのNWO   作:名無しの固有名詞

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本日2本目、投稿に余裕があったのでやりました。来週は頻度が落ちるかもです。許してください。


受難

4日目

 

 

3人は森林から出ようとしばらく歩いていると

 

「砂漠…」

 

 

目の前に広がるのはどこまで続くかすらわからない砂漠だ。一面に広がった砂は永遠にも見えるくらい。

 

プレイヤーは視界には映らない。

 

 

「さて、進みます?」

 

 

「うん、メダルがある予感がするから」

 

 

 

道中、砂漠ならではのサソリやサボテン型のモンスターが現れたが難なく突破した。見つけた瞬間マテリアルが風で斬るのだから2人はやることがなく暇である。

 

 

 

「【身体装甲】砂」

 

そう呟いた瞬間、身体が砂の粒となった。そして、突然の強風によってマテリアルだった砂は吹かれて飛んでいった。

 

 

「サ、サリー!マテリアルが消えちゃった」

 

 

「おおお落ち着いて、まずは砂を集めなきゃ」

 

サリーがマテリアルがいたところの砂をかき集める。しかし、元に戻る気配がしない。残っているのはマテリアルのものと思わしき靴だけである。

 

2人がドタバタしているとどこからか

 

 

「問題ないです」

 

 

マテリアルの声がするものの、どこにも見当たらない。

 

 

 

次の瞬間、背後の砂から人型になりマテリアルが元へ戻る。

 

 

「危なかった。あと少し気を緩めてたら迷子でした。すみません、なんかイメージしたらこんなことに」

 

 

「急に消えちゃったからびっくりしたよ。」

 

 

「攻撃とかどうなるんだろ…」

 

やめて、サリー。そんな目でマテリアルを見ないで。

 

「それはさておき、オアシスを見つけました。」

 

話題転換、クタクタの2人の注意を見事に逸らすことができたようだ。

 

「よし、行ってみよう」

 

 

 

そういうと、3人はマテリアルの飛ばされていた方向へ歩き出した。

 

 

 

〈オアシス〉

 

 

 

「むー…何もないね」

 

「残念だけどそうみたい」

 

ダンジョンに続く道を探してみたものの特に何も見当たらなかった。

 

 

「ちょっと休憩してから行く?」

 

 

「別に構いませんが、それどころじゃ無いみたいですよ」

 

 

マテリアルが見た方向には誰かの人影が見えた。

 

 

 

 

「おっと…先客か。それも、メイプルとは……私も運が悪い」

やってきたのは和服を着た女性。

上半身は桜色の着物。それに紫の袴。

そして刀を一本装備しているのがぱっと見て分かる特徴だろう。

 

「あの人前回イベント6位の人だよ」

 

「えっ!?本当」

 

「結構調べてあるから、それくらいなら知ってるよ。マテリアルは11位だったね。」

 

 

「いいな、6位」

 

 

「だめだ、これは話を聞いてない」

 

マテリアルの目は遠くを見つめている。

 

「こちらに戦闘の意思はない、できれば見逃して欲しいのだが」

 

敵意を見せないために両手を上げて意思を示すのだが

 

「やっちゃう?」

 

「やっちゃおっか」

 

クロムのように知り合いでもないので決心がついたようだ。すなわち、メダルの強奪である。

 

「…。」

 

一方、マテリアルが現実に戻る気配はしない。元々ゲームなのだが

 

「…【超加速】」

 

刹那の沈黙の末、女性が取った行動は逃走だった。

 

「【超加速】!」

 

サリーが逃すまいと後を追う。速さは同じくらいだろうか。

 

「え、待ってー」

 

【超加速】のような移動スキルを持っていないメイプルはそのAGIで走って追いかける。追いつくのはいつになることやら

 

一方、まだマテリアルはその場に立ち尽くしていた。

 

 

 

〈しばらくして〉

 

 

「あれ、いつの間にか2人ともいない。もしかして、置いて行かれた?」

 

女性を追っていったサリーを追いかけ、メイプルも走り去ってしまったことまでなんとか推測した。

 

 

 

「うーん、どうしよ」

 

このまま移動して良いものかどうか悩んでいた。

その時、マテリアルの目の前に画面が映し出された。

 

 

「フレンドチャットか、結構前からのやつかな。サリーさんからだ。えっと」

 

 

 

『流砂に飲み込まれたのでしばらく戻れなさそう。先に探索を進めてて。』

 

 

「…あー、まあ無事ならよかった。さて、仕事に取り掛かろう」

 

 

マテリアルは砂に両手をつき目を閉じる。

 

 

「【探知】」

 

 

広大な砂漠を解析しているため、かなり時間がかかってしまうようだ。背後は無防備になっているため恰好のカモだ。

 

 

「もらったー」

 

 

突然、後ろからプレイヤーが剣を振り下ろし、襲いかかってきた。

 

 

しかし、切り裂かれたのはマテリアルではなくプレイヤーの方だった。

 

 

「罠発動 カウンタートラップ。【結界】を張っておいて助かった。」

 

 

奇襲されるという可能性を考慮したマテリアルはそんなこともあろうかと結界を張って攻撃してきた相手に反撃を与えたのだ。

 

 

「まあ、そこまで強力なものじゃ無いからちょっと強いプレイヤーが来たら壊されちゃうんだけど。」

 

 

その心配はなかったようだ。そもそも、【探知】でプレイヤーがいたのは分かりきっていたことである。あの後、少しして砂漠の解析が完了した。

 

 

「【身体装甲】光」

 

 

探知でメダルを確認したところに速攻で向かい、回収する。合計3枚のメダルが見つかった。広大な砂漠から一体誰が見つけられると運営は思ったのだろう?

 

 

 

「それにしても、メイプルさんたちは遅いなぁ」

 

 

と、つぶやくと

 

 

 

「【炎帝】」

 

 

静かに呟かれたその言葉に応じて巨大な火球がマテリアルへ向かって飛んでいく。

 

 

「【身体装甲】水 水碧」

 

 

なんとか防ぎ切ったものの、爆風によって砂が舞い、辺りがよく見えない。

 

 

 

「こういうのは、とっとと逃げたほうが得策か。」

 

 

素早く飛び去ろうとしたものの

 

 

「【噴火】」

 

 

地面から火柱が現れ、マテリアルの進行を妨げる。

 

 

「どうやら簡単には逃がしてはくれないようだ」

 

 

地上に降りると、十数人の赤い服を纏ったギルドメンバーのような人達が現れる。そして、真ん中に現れたのは

 

 

「どうやら、偵察隊の1人を倒したのは貴様のようだな」

 

 

 

【炎帝】の二つ名を持ち、赤いマントを羽織った女性、ミィだった。第一回イベントの順位は4位である。杖を持っていることから後衛の魔法使いであると推測される。

 

 

「なんとことやら?ただの放浪プレイヤーですよ。」

 

 

わかりやすい声でとぼけるマテリアル。しかし、目をつけられてしまったようで

 

 

「並のプレイヤーだったらさっきの一撃で飛んでいる。そうではないということは」

 

 

マテリアルの心の中では、さっきの爆風に紛れて隠れておけば良かったという強い後悔が残っていた。

 

 

「困ったなぁ」

 

 

探知による解析と早急に済ませたメダルの回収によってかなりのMPを消費している。敵も1人だったらまだ倒せたかもしれないという希望があったので良かったものの、かなりの人数、しかもなかなかの手練れが何人か控えているようだ。

 

 

 

逃げる事はできない、かといって真っ向から勝負したら物量で負ける。そう思ったマテリアルは逃げる程度まで敵を削ることに決めた。

 

 

 

「【身体装甲】風 風刃」

 

マテリアルの両サイドから風でできた小刀が現れ、プレイヤーたちを襲おうとする。しかし

 

 

「【爆炎】」

 

 

炎によってそれは阻まれてしまった。

 

 

「私は【炎帝ノ国】ギルドマスターのミィだ、貴様は?」

 

 

「マテリアルと言います。」

 

 

爆風を避けながら簡単に自己紹介をする。今更のことなのだが、第一回イベントが終わってからいくつかの派閥ができていた。公式からはまだギルドというものはできていないが近々実装予定という噂がある。当然、マテリアルには関係ないことであった。

 

 

 

「どうだ?私のギルドに入るつもりはないか」

 

 

ミィが口を開くとギルドの勧誘である。マテリアルとしては悪い話ではないのだが

 

 

「…遠慮します。」

 

人が多いところには行きたくないようだ。

 

「そうか、それは残念だ。総員、攻撃開始」

 

 

ミィの合図と同時に多種多様な魔法攻撃がマテリアルを襲う。逃げ場もなく、マテリアルはもろに攻撃を喰らってしまった。

 

 

「…やったか?」

 

 

その発言はよろしくない。

 

 

 

爆発の跡地、砂漠の一角にてマテリアルを探したものの何も見つからなかった。

 

 

「可笑しいですね、あれほどの実力を持った者が一つもメダルを持っていなかったなんて」

 

1人のプレイヤーがミィに話しかける。

 

 

「そう、だな」

 

 

ミィはどこか気がかりがあるかのように遠くを見つめていた。

 

 

 

その頃、メイプル達一向は元の砂漠に戻ってきた。ミィ達とは反対側にいるので安全圏である。

 

「夜空だ。」

 

輝く夜空は彼女達がダンジョンから脱出できたことを祝福しているよう

 

「そういえば、マテリアルは!?」

 

はっと思い出したようにマテリアルの名を出す。

 

「オアシスのときに一緒にいた子か?」

 

「うん、おいてきちゃったんだけど大丈夫かな」

 

そのまま3人はマテリアルを捜索するようだ。

 

 

 

「ねぇ、2人とも」

 

 

「何、メイプル…!?」

 

 

3人が見たのは砂漠の上にも関わらず黒い焦げ跡の残った場所だった。そして、焦げた跡地からはどこか見覚えのある指輪が落ちていた。

 

 

「もしかして、マテリアルは」

 

 

「連絡しなきゃ」

 

 

チャット欄を開いたもののマテリアルの反応はない。

 

 

「ごめん、マテリアル」

 

 

〜〜〜

 

 

 

「危なかったー」

 

 

火山の麓にマテリアルは座っていた。砂漠からは随分と離れた場所に存在している。なぜ、マテリアルは無事だったのだろうか。

 

 

 

「【身体装甲】の砂があって助かった」

 

 

 

あの攻撃に当たる直前、マテリアルは既に砂となっていたのだ。そして、攻撃を無力化しあの勢いのままに飛んでいった。

 

 

細砂化

どんな攻撃からもダメージを受けない無敵状態になる。しかし、その状態時攻撃は不可。移動も制限される。1日1回使用可能。使用後10分間は反動で動けない。装備を高確率で1つ落とす。

 

 

 

「デメリットは運が悪かったら敵のところに行って戻る前に倒される可能性がある、ってことか。」

 

 

使用状況はかなり限られるものの、強い技である。

 

 

「それにしても、どうしたものか。」

 

 

何故かはわからないが【探知】が働かない。働くには働くのだがなぜかなすなわち、自身の居場所すらわからないのだ。いや、これが普通なのだが。

 

 

「無差別に飛び回れば…いや、効率が悪すぎる。運任せじゃ流石に無理だ。ん?」

 

 

考えていると、チャット欄にサリーから連絡が来る。

 

 

『ごめん、私達が急いだせいで。』

 

 

その一言しか書かれていなかった。まずい、これは非常にまずい。

 

 

「合わせる顔がない…」

 

 

メイプル達はマテリアルがリスポーンしたと思っている。しかし、普通に生きていたとなると顔が合わせづらい。探知も効かないことから導き出された答えは

 

 

「しばらく単独行動しよう」

 

 

であった。

 

 

本日の収穫 5枚(メイプル&サリーで2枚)

 

合計20枚

 

 

目標まで残り10枚!!

 

5日目

 

 

 

丁度よく目の前にあった火山にて、マテリアルは探索を続けていた。周囲の様子は降り注ぐ火山灰の影響でよくわからない。そのおかげで午前中を無駄にしてしまった。午後は山登りをするようだ。

 

 

「進むにつれて熱くなってる。」

 

 

【身体装甲】炎で耐熱性はあるものの、じわじわと迫る熱気にはどうしようもない。ダメージは一応はゼロだ。

 

 

 

「モンスターもほとんど出てこないし、どうなってるんだろ」

 

 

さっきから現れるのは焼けた石やろうそく型のモンスターだった。レベルは大したことなく、軽く斧を振り下ろしただけでなんとかなった。

 

 

「そもそも、こんなダンジョンに人が来れないと運営は思ったのかな」

 

 

 

普通のプレイヤーだったら火口近くで焼け倒れてしまうであろう。よほどの魔力耐性や防御力がない限り、ここには踏み入ることができない。マテリアルはそのうちの1人だ。

 

 

 

「ボス部屋かな?」

 

 

山頂に着くと、燃え盛る火山の中から何かが光っている。1日目で見た怪鳥と一緒だ。

 

 

 

「ノーダメ、MPは9割、メンタルも平気。よし、いくか。」

 

 

 

そういうと、火山へ飛び込むマテリアルであった。

 

 

 

 

 

着いたのは火山の地下、しかし今にでもボスが襲ってくる、そんなプレッシャーが放たれていた。

 

 

 

「…来る」

 

 

背後からの気配を感知し、結界を張って敵の攻撃を防ぐ。

 

 

「炎の攻撃、まあ火山だし」

 

 

 

暗い洞窟の中、明るく輝いて現れたのはあまりの美しさに見惚れてしまうような不死鳥だった。そんなことはマテリアルはするはずもなく

 

 

「熱の定数ダメージはない、切り替えても大丈夫」

 

 

と判断すると、マテリアルは水の姿に切り替える。炎は水に弱い、これは小学生でもわかる事実だ。

 

 

 

不死鳥から放たれた炎の吐息がマテリアルを燃やそうとするが

 

 

「水碧」

 

 

水の壁で防ぎ切った、そう思った。しかし

 

 

「!?」

 

 

水の壁が蒸発し、そのままマテリアルに直撃したのだ。

 

 

「熱い」

 

 

この攻撃でマテリアルのHPは7割を切ってしまった。

 

 

マテリアルは忘れていた、1日目の怪鳥の強さを。運営は作っていたのだ、怪鳥のようなぶっ壊れ性能のモンスターを。

 

 

「あの時はメイプルさんとサリーさんがいたからなんとかなったものの、一人であれをどうにかしろと?」

 

 

失笑のような、絶望のような笑いが込み上げる。

 

 

「ま、ちょうどいい。1人でもやれることを証明しないとね。」

 

 

と、一周回って振り切った。マテリアルの判断に迷いはなく、ただ不死鳥を倒すことにだけ集中した。

 

 

 

「攻撃はやはり複雑ではない。避ける事は可能だけどやはり相手の動きを見ないといけない」

 

 

燃え盛る炎の威力は凄まじく、ある程度の攻撃なら一撃くらい耐え切れる結界でも破壊し尽くしてしまうスピードと火力がある。すなわち、受け切ることはできないということだ。

 

 

 

「でも、時間を稼ぐことはできる」

 

結界で不死鳥の攻撃を弱めて避ける、これがマテリアルの防御の手段だ。だがこのままだと防戦一方で攻めることができない。

 

 

「このままじゃジリ貧、隙を見て攻撃しないと」

 

 

丁度、マテリアルのHPが半分を切ったところだった。

 

 

「【天邪鬼】スタート」

 

 

マテリアル

 

Lv.49

HP 224/480〈+150〉

MP 198/424〈+150〉

 

STR 117〈+150〉

VIT 19〈+25〉

AGI 117〈+150〉

DEX 117〈+150〉

INT 117〈+150〉

 

 

 

スタートとともに攻めに転じたマテリアルは最初からかなり全力で攻めていた。

 

 

「大海の雫」

 

 

 

それは雫と形容するにはあまりにも大きく、物凄い勢いで不死鳥を飲み込んだ。すでに部屋中が水浸しの洪水状態である。

 

 

「やったか」

 

 

 

はい、またですね。

 

 

 

水が引き、灯火が消されたかと思われた不死鳥であったがほのかに炎が輝いていた。

 

 

「嘘、だろ」

 

 

 

本の1ミリに満たなかった灯火は瞬く間に燃え盛り、さっきと同じ、いやそれよりも大きく燃えていた。

 

 

【不死鳥】

炎が全て消えない限りHPがゼロにならない。

 

 

 

「えぇ…」

 

 

運営のあまりにも酷いスキルに小さく絶望するマテリアル。しかし、次の瞬間新たな作戦を思いつく。

 

 

「一気に消し去る。」

 

 

これは作戦というにはあまりにも抽象的すぎた。だが既にやることは決まっている。

 

 

 

マテリアルの水技の中で最も強い技が先程の大海の雫だ。それが効かないとなれば打つ手はないことということだ。

 

 

 

水魔法に限っての話だが

 

 

 

「【身体装甲】風 暴風域」

 

 

鋭敏な竜巻の集合体が不死鳥を切り刻む。強力なダメージを与えることはできたものの、やはり全てかき消すことができず復活してしまう。

 

 

「でも、追い詰めた。」

 

 

暴風の中に閉じ込められた不死鳥は身動きを取ることができない。動いたと同時に暴風に炎が消されてしまうのだから。

 

 

「不死鳥の本質は炎、それも普通は消えることのない。けど、少しずつ弱めることができる。」

 

 

みるみると不死鳥が小さくなっていく。しかし、マテリアルのMPも残り3割を切り、制限時間は1分を切っていた。

 

 

「次の一撃で決める。【身体装甲】複合 水+風 風雲水流渦」

 

 

雲と水が押し上がるように不死鳥を飲み込んでいく。不死鳥は再燃しようとするも、雨雲にまとわりつかれて、雨粒に当てられて消されていく。

 

 

 

 

「勝った…」

 

 

安堵とともに疲労がやってきて、マテリアルはその場に倒れ込んでしまった。

 

 

 

本日の収穫 3枚(マテリアルのみ)

途中で1枚、倒して2枚の内訳

メイサリで2枚

合計 25枚

 

残り5枚!!

 

 




マ 「理不尽に飛ばされたんですけど。それになんかふざけたスキルのボスにも戦ったし」

作 「なんか、お疲れさん。大丈夫、次回はもっとひどい目に遭うから」

マ 「大丈夫って意味わかってます?」

作 「自分だけが辛いと思うなよ、お前のことを心配してる二人のことも考えておきな」

マ 「は、はい。なんで怒られてるんだろ」
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