ありふれない青年が世界最悪 作:幻想者
久しぶりに書いてると設定を忘れかけて困るよね。
大迷宮の奥地。
目の前にはちっこいゴーレムがおり、京楽に紅茶を淹れている。
「あーくんは、長いことここから離れてたんだっけ?」
「…………そうだな。まぁ、長いとは言っても精々二十年程度だがな」
紅茶を啜り、一息つく。
「……で、ミレディ。何のようだ? 私は弟子の引率で来ただけだぞ」
「うん、それは知ってるよ。この迷宮内なら、ミレディちゃんは何でもお見通しなんだぞ♪ あまりなめないでほしいな~」
ちっこいゴーレム。ミレディ・ライセンは、ノンノンと指を振る。
「じゃあ、私を弟子の元にも返してもらえるか? 弟子が心配なんだが」
「ダメぞ♪ あーくんが居ると、どの大迷宮も超簡単になっちゃうんだから♪」
「私も昔ほどは強くない。試練の最中に死ぬかもしれないぞ?」
「ないない」とミレディが小バカにするように言う。
「だってぇ、あーくんが死ぬの想像つかないしぃ。それに、死んでも復活するのがあーくんでしょ♪」
「どれだけ殺されても死ねないもんね~」と動かない表情で遠い目をしている。ゴーレムなのに器用なもだ。雰囲気だけで感情を表現出来るとは。
「まぁ~。だから、あーくんがいくら死のうと私はそこまで気にならないからな♪」
「私に対して随分とドライだな」
「信頼の証だよ♪ よかったね♪」
過去にやらかした記憶はないが、何か恨まれるようなことをしたのかを真剣に考え始める京楽を他所に、ミレディは指輪型のアーティファクト。〝宝物庫〟から、一つの便箋を京楽に渡す。
「…………これは、……手紙、か?」
「うん。メル姉からのね♪」
宛名にはアンリ・マユ。差出人にメイル・メルジーネと書かれている。
封を切り、中を確認する。中には一枚の古びた写真が入ってた。写真にはメイル・メルジーネと抱き抱えられた赤子の姿が写っている。写真の裏を見てみると、文字が書かれており…………京楽は飲み掛けていた紅茶を吹き出した。
「うわっ、汚いなぁ! 何してるのさ! これ、ミレディちゃんの一張羅なんですけど!」
気管支に紅茶が入り、咳き込みながらミレディに謝る。ミレディが京楽から写真を奪い取り、文字を読む。
『あなたが寝ている間に作った子が元気に産まれてきたわ。名前はアンナよ』
ミレディは可哀想なものを見るように京楽を見ていた。
「……あーくん。ドンマイ♪」
「………………知らなかった……私に……、私にメイとの子供が居たなんて……」
余程ショックだったんだろう。京楽はどんよりとした雰囲気を纏いながら項垂れ、ミレディは京楽の背中をポンポンと叩く。
「孕ませておいて責任も取らずに自分の世界に閉じ籠るなんて…………あーくんってば、最低な親だね」
「…………」
京楽は何も答えず、「燃え尽きたぜ」と言わんばかりに体から生気が抜けていた。
◇◆◇
───大迷宮中腹部────
ガコンッ
「床がが揺れて!」
「…………! 落とし穴!」
アリスとエルは罠を作動させてしまい、足下に現れた落とし穴に落ちていった。落とし穴は滑り台のようになっており、壁はローション的なモノが染み出ている。
叫び声が大迷宮内をこだまする。
「……兄さん、何か聞こえない?」
「何か聞こえるな」
「確かに、女の人の叫ぶ声が聞こえるような……」
「…………嫌な予感」
大迷宮を探索する四人が、アリスの絶叫を聞き、辺りを警戒する。
四人組の一人である兎人少女の頭上に大きな穴が空き、二人が落ちてきた。
「あ、シアさん。上」
「へ? ムギャッ!」
兎人少女の上に二人が降ってきて、踏み潰してしまう。
「イテテ、エルさん大丈夫ですか?」
「…………大丈夫」
「痛いですぅ。おりてくださぁい」
「ご、ごめんなさい。お怪我はしてませんか? 怪我があれば回復ポーションを使いますけど」
「………………ごめん……大丈夫?」
アリスがピアスから回復ポーションを取りだし、エルが手を引いて起こす。
「大丈夫よ~。私、頑丈なんですよ~」
「で、でも…………」
「…………頑丈でも、謝罪品。………………受け取ってほしい」
「は、はぁ」
アリスからポーションを奪って、兎人少女に押し付ける。少女はポーションを受けとるも、少し遠慮気味だった。
「おい、お前達は何者だ? 一般人じゃないだろ?」
黒いコートを羽織り、眼帯をつけた白髪の青年がアリス達に向けて銃の様なものを向ける。
「…………私達、怪しい者。違う」
「怪しくないと言える根拠はあるのか?」
「……ない。…………敵対する気ない」
青年に向けて、エルはその場で膝をついて両手をあげる。敵対意思がない事を伝え、それにならってアリスも両手をあげながら膝をつく。
「兄さん。この人達は敵じゃないし、敵足り得ないよ。ここで争うのは時間の無駄だと思う」
「……ん。ユカリの言う通りだと思う」
白髪に赤茶色の目の少女と、金髪赤眼の少女が宥めている。
「まぁ、そうだな。……おい、そこの二人。お前達の持っている情報を寄越せ」
白髪隻眼の青年。南雲ハジメは、アリスとエルに自作の銃、ドンナーを向けてそう言い放った。
◇◆◇
「お~い、あーく~ん? 生きてますか~?」
動かない京楽の目の前で手を振り反応を見るが、反応は全くない。ただの屍のようだ。
ショックから立ち直れない京楽に溜息を吐き、攻略者達の様子を伺う。
二パーティーが鉢合わせになってしまい、雰囲気がギスギスしている。
「ん~、あーくんの弟子達と四人組の雰囲気険悪だねぇ。よし」
天上から垂れ下がっているロープを引き、トラップを発動させる。
〝ガコンッ! 〟
『またトラップか!』
四人が戦闘体勢に入り、アリスとエルが辺りを警戒している。
『さてさて、どんな反応をくれるかな♪』
天上から小さな黒い虫の様な魔物がカサカサと現れ、六人に襲い掛かり。六人からは絶叫が聞こえる。
ついでに、壁に文字を浮かばせて、ありがたいお言葉(煽り文)を読ませておく。
『〝この子達は無害だけど、少しヌメヌメしてカサカサ動くけど気にしないでね♪ あと、腐肉をあげると仲良くなれるかも? まぁ、腐肉になるのは君達だけどね♪ 〟』
この魔物は、体液が腐蝕性の毒であり、潰せば潰すほど毒を浴びることになるのだ。
『ミレディィィィイイイ!!』
叫び声が聞こえたが気にしない。ミレディは愉快そうに笑っていた。
「…………ミレディ、何をしているんだ?」
「ああ、立ち直ったの? 遅かったねぇ」
「……何も言うな。寝込みを襲われてたと知りたくなかった」
ある程度持ち直した京楽がミレディに訪ねる。
「お楽しみかな~。先輩からの激励とも言う」
「…………程ほどにしてやれよ」
「え~。やだ♪」
エルとアリス。見えない他の攻略パーティーに合掌した。
「で、これからどうするつもり? 勿論、私達には協力してくれるんだよね?」
「しないと言えば?」
「迷宮内にあーくんを永久封印する。敵になっても困るし、あーくんを封印するにはここしかないから」
真剣な声音のミレディに、京楽は溜息を吐く。
「私のやることは変わらない。奴を討つ。そして、世界を正す。その為に力をつける。ただそれだけだ」
「協力してくれるってことでいいんだよね?」
「……そうだな。利害関係は一致している。今世でも頼むぞ。ミレディ」
京楽は、アルカナとペンを取り出して魔法をページに刻み込んで破りとる。
「……私は今まで通り、協力者を探す旅に出る。二人が攻略し終えたら、この紙を渡してやってくれ。一回限りだが、通信の魔法だ」
「了解♪ じゃあ、あーくん。頑張ってね♪」
ミレディが近くの壁に張り付いているボタンを押す。ボタンを押せば、京楽の足下に大きめの穴が開く。
「じゃあな。しばらくの別れだが、達者でな」
京楽は穴に飛び込んで、大迷宮から去っていった。
「いってらっしゃい。先生」
京楽の飛び込んだ穴に、ミレディはそう呟いた。
原作死亡キャラを生存させるか否か
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生存させる
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原作通り死亡
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どちらでも構わない