sideコウ
「なっつん段ボールの色塗り終わったん」
「了解、ご苦労さん」
「夏海~これどうすればいい?」
「あ~それは~・・・・コウに任せるよ」
「この状態で任せられても困るって」
今日集まったのはほかでもない。文化祭の準備らしい。というより文化祭までの準備期間短すぎでしょ1週間もないじゃん。
「な~んで夏海は勢いで文化祭やりたいとか言うかな~」
「え~だってやりたくない?」
「そりゃ私だってやりたいけど今週末は急すぎ」
どうやら小鞠も同じこと考えてたみたいだな。まあこの期間の短さだったらだいたい考えてることなんて決まってくるでしょうけど。
「ところで招待客はどうしますか?」
「う~ん普通に親とかでいいんじゃない」
「いやいやそれはないよ文化祭に母ちゃん呼んだら地獄絵図と化すよ」
はい、げんこつ一丁確定。
「地獄絵図ってどんな状況だよ夏海」
「簡単な話だよ。学校中に罵声が響くよ」
あーだめだこりゃ。二丁目確定。
パッポー 数秒後
「それじゃあほたるちゃんもれんげもゆっくりしていってね」
「は、はーい」
「コウ、その位置から見えてたんだから追い打ちかけなくてもいいじゃん!」
「さっきの質問に対して罵声が響くって回答した夏海が悪い」
「あ、そうそう。このちゃん来てるよ」
「え、このみちゃん来てるの?」
「お~いこのちゃーんこっちおいでー」
「はいは~い。お邪魔してるよー」
「じゃあみんなの面倒見てあげてね」
「コウくんもいるから問題ないと思いますけどわっかりましたー」
そこでしれっと僕の名前出さないでください。
「で、みんな何してるの?」
「文化祭の準備ですよ」
「文化祭?あそこ文化祭なんてあったっけ?」
「夏海が急に言い出して話が進んで」
「なるほど。あ、君もしかして噂の転校生君?」
「え、あ、ハイ」(うわさ?)
「初めまして。この家の隣に住んでいる富士宮このみです!」
「は、はじめまして」
「うんうん、噂どうり大きな転校生だ!」
すごいことになったぞ~。というかこのみさんどういう態勢ではなしてんの。
「ひらめ王!」
「は?」
「え?」
「・・・・・・・言っといてあれだけどその反応はやめてよ」
「それで、何をひらめいたの?」
「文化祭の招待客さ。卒業生呼ぼう」
「私も呼んでくれるの?」
「うん、あとはひか姉と駄菓子屋と」
「あ、私の高校の後輩呼んでいい?」
「あかねさん?」
「そうそう」
「コウ、誰?その人」
「このみさんの学校の後輩。この前このみさんの家に案内した人。僕と小鞠が同じ学校に通うことになるかな」
「なーなーひか姉東京なん。呼べるん?」
「まー電話したら呼べるでしょ」
「じゃあ私が話すよ会話術を会得してるし」
sideひかげ
ん、電話?越谷一家からか。・・・・・・・いやな予感しかしないんだけど。
「も、もしもし?」
「あ、ひかげちゃん?」
え、このみの声が聞こえる。ますますいやな予感しかしないんだけど。
「どうしたの?このみ」
「ひかげちゃん今週末帰ってこれる?」
「え、いや、無理だよ。交通費とかないし」
「交通費は一穂ちゃんがだしてくれるって」
「えーかず姉だしてくれるかな」
「私が交渉してなんとかするから」
「・・・ちょっとまって!まだ行くとは一言も」
「それじゃあ今週末にね!」
ツーツーツー
・・・・・なんてこった。
sideコウ
「よし、ひかげちゃん誘えたよ」
「いったいどこに会話術があったのだろうか」
「勢いはあったよ勢いは」
何ならさっきの蛍との会話の方が会話術あったよ。勢いもあったけど。
「先生はまあ意地でも連れて行くとして、楓さんどうする?」
「う〜ん電話番号忘れちゃったや」
「なら駄菓子屋にそのまま行くん」
「駄菓子屋なら駄菓子買って帰れって言いそうだけど」
「そうだ、れんげ。文化祭に楓さん連れて行きたい?」
「もちろんなん!」
「じゃあさ、一芝居打ってみる?行くのは僕とれんげとこのみさんで」
「うちは?」
「夏海はちょっと待機してて」
「駄菓子買って帰れ、買わないなら今すぐ帰れ」
「予想どうりだね」
「何が予想どうりだねだよ」
「楓さん。分校で文化祭開催するんですけど来ませんか?」
「店があるから無理だな」
「駄菓子屋文化祭こないなー?」
「いや行けないって」
「本当に来ないのん?」
「な、い、行かないって」
「ちょっと何してるの!れんげちゃん泣かしたらだめでしょ」
「え、いや私のせいじゃないだろ」
「本当に、来ないのん?」
「うっ、あーもう!わかった!行けばいいんだろ行けば!」
「コウにぃ!この攻撃効いたのん!」
「でしょ」
「な、コウが仕組んだのか!」
「仕組んだなんて人聞きの悪いですね、僕はただれんげさんの思いを後押ししたまでですよ。夏海~」
僕がれんげに提案した一芝居は単純に言えば泣き攻撃である。それこそれんげさんから楓さんには年の差もあり効果抜群だけどここまで効くとは。
「さっきの無しだ!行かねえ!」
「いいんですか?楓さん?」
「な、なんだよ?」
「いつもより安く美味しいものが食べれるチャンスなんですよ?それに、さっき夏海に電話で楓さん来るよって言っちゃいましたし、来なかったら夏海後でここ来ますよ?そして、夏海のことだから「なんで来なかったんだ」とか言いそうですね」
「お前なんてことしてくれてんだ!」
楓さんは面倒くさいことは避ける性格なので、そうなった場合何が起こるかの予想もすごく早い。
「わかったよ!行くよ行けばいいんだろ!」
「はい、お願いしますね。」
sideこのみ
あ〜楓ちゃんもやられちゃったか〜。ほんとこういう時のコウくんとの会話はいつの間にかコウくんのペースになってるんだよね。
「さすがコウにぃなん」
「してやられたね楓ちゃん」
「全くだ、あいつほんとに私達より年下かよ。泣き攻めといい、電話といい、利用の仕方といい。対面での話し合いだったら勝てる気しないぞ」
「ほんとほんと。あ、サクマドロップスひとつ」
「毎度」
「コウにぃ、ありがとうなん」
「急にどうしたの?」
「コウにぃがいなかったら駄菓子屋説得するの難しかったん」
「そのことか、いいよ~別に久々に楓さんいじったし」
「コウくんほんとそういうの得意だよね~」
「このみさんもよくやるじゃないですか」
(私もやっちゃおうかな)
sideあかね
「文化祭ですか?」
「そ、私の通っていた中学校で文化祭やるらしいんだけどあかねちゃんも来ない?」
「私その人達と誰一人として知らないんですけど」
「コウくんいるとれんげちゃんいるから大丈夫だよ」
「あ、そういえば中学生でしたねコウ君」
「あかねちゃーん大事な人なんだから忘れちゃだめだよ~」
「別にそんな関係ってわけじゃ!」
「へ?私は人見知りを直すのに大きな一役買ってるからって意味で大事な人って言ったんだけどな~?」
「なっ!」
だめだ、このみ先輩とじゃあこれ以上に墓穴掘りそう。
「わかりました!行きますから」
「日時は今週末だよ~また最寄り駅に来てね~」
「了解です」
明日会ったらまた墓穴掘りそう。
sideコウ
「「「いらっしゃいませ~」」」
「なんだ、その頭のやつ?」
「みんなで動物の喫茶店にしようって決めたので一人一種類の耳をつけてるんですよ。ちなみにこれは猫です」
「僕は狐ですね」
「駄菓子屋ーうちのこれなんだと思うん」
「なんだそれ、触覚にしかみえない」
「触覚がじゃないのん。わかってないんなー。これはみなさんご存じのキリンさんです!」
「わっかりずらー、確かにキリンにそんな角あったけど」
「私はロボットかと思ったよ」
「キリンさんなーん」
「これメニューとパンフレットになります」
「お、サンキュー」
「夏海主催とか聞いてたけど案外しっかりやってるな」
「まあ、せっかく来たからちゃんとしてくれないと」
ガラガラガラ
「いらっしゃいみなさんご存じUMAです」
「・・・・・・・・」
「四名様いらっしゃいませー。とりあえず注文何にしますかー?」
「じゃあ私ガーリックトーストで」
「うちもそれにしようかな」
「じゃあ私も」
「あかねちゃんはなににする?」
「じゃあ私もそれで」
「あいよーしばしお待ちをー」
「そういえばまだ話してなかったねうちは宮内ひかげ、れんげの姉だよ」
「私は加賀山楓この近くで駄菓子屋を経営している」
「私は宮内一穂あの子たちの担任だよ」
「私は篠田あかねです。このみ先輩の後輩です」
「自己紹介は終わりましたか~それならウチたちのお遊戯をみるのん!」
「ウチたち?」
「こまちゃーん。出番なーん」
「これほんとにやるのぉ?」
「何言ってるんな、一緒に練習したのん」
「うぅ、腹太鼓やります!」
~10分後~
「もうやだぁ~」
「こまちゃん、まだ終わってないんよ~」
「・・・・・小鞠ちゃんよかったよ!私にはできそうにないものだったよ」
「・・・うぅ」
「わざわざ、とどめを刺さんでも」
「へ、頑張ってたし褒めないと」
「あそこは無言で送ってやれ、というか褒め方が悪い」
「というわけで小鞠とれんげに代わり僕がマジックを披露しまーす」
「コウマジックなんてできたの?」
「クオリティは低いので種が見えても黙秘してください」
「もはやマジックじゃないよ」
「おそくない?」
確かに遅い。もうマジックを披露して30分はたってる。そろそろネタが尽きてきたぞ。
「そもそも、誰が作ってるの?」
「小鞠が作ってるはずですよ」
「小鞠が!大丈夫なのか!?」
「事前にちゃんと試食はして大丈夫だったので安心していいですよ」
「だとしても遅くないですか?」
「様子を見に行ってみるか」
結局、お客さんの人たちまで付き合わせてしまった。
「お~いそろそろ食べ物の用意できた?」
「あ、えっとそれが」
「うん、状況把握したわ」
どうりで、食べ物が遅いはずだよ。小鞠はさっきのメンタルダメージでやられていて。れんげと蛍はそのケア。まだそれはいい。
「なにやっとんねん夏海」
「いやーちょっと疲れちゃって。やっぱり喫茶店なんて思いつきでやるもんじゃないね。それにねぇー飽きた」
「つまり、飽きたし疲れたしで何もしなかったってこと?」
「うん」
「れんげや蛍に代わって小鞠の慰めて2人に何か作ってもらうことだってできたかもしれないのに?」
「・・・・うん」
「はぁ~。すみませんみなさん,40分でなにか簡単なの作りますので時間いただけないでしょうか?代金とか取りませんので」
「うまいのたのんだよコウくん!」
「兄ちゃ~ん、ちょっと手伝って~!。夏海と蛍はその間客の相手頼んだ」
「手伝わなくて大丈夫ですか?」
「うん、簡単なのしか作らないから2人で大丈夫だよ。それよりも夏海がやりすぎたらセーブしてほしい」
「えぇ~、私つかれたんだって」
「いいからやる!つかれただけでサボられると思ってんの?」
「お、思ってません」
「じゃあやる!」
「じゃあ料理のほうはお願いします」
「はいよじゃあ兄ちゃんスポンジ作るよ」
(うん)
sideあかね
「コウくんって料理できたんですか?」
「あの子一人暮らしだよ?」
「え?」
「コウはねー両親が共働きで海外出張しててね、家事全部ひとりでやってるんだよ」
「というかコウ大丈夫?怒ってたような気がしたけど」
「いや、あいつのガチギレはもっとすごいよ。あれはもう受けたくない」
「ひかげちゃん経験者?」
「うん、なぜかはもう覚えてないけど何かで怒らしたんだよね」
コウくんって怒るんだ。人だから起こるのは普通なんだけど、正直怒った顔想像できないんだけど。
「えぇっと~何する?」
「雑談でいいよ、夏海がまたやらかしたら今度こそコウの逆鱗に触れるるかもしれないし」
「じゃあ、私から。コウくんが作るのを予想してみよー」
sideコウ
よかった。あっちはあっちで平和にやってるようだし。
「よしじゃあ兄ちゃん仕上げやっちゃおうか」
(うん)
今作ってるのはマリトッツォ。元々小鞠が生クリームを用意してくれていたおかげでスポンジ部分を焼いて挟めば完成なのだが。問題はここなのだ。
「クリームを端によせてゆっくりつぶしていくと・・・・」
よし、できた!
あとは、はみ出たクリームを取って形を整えてと。
「できましたよ~って何してるんですか?」
できたので持って行ったが。夏海がれんげの作ったおもちゃから頭を出して謝罪を繰り返しているんだけど
「夏海どうしたの?」
「あ、コウくん。夏海ちゃんがテーブルクロスをやって」
「失敗して楓さんたちに捕まったと」
平和にやってるんじゃなかったのか。全く、床がびちゃびちゃじゃないか。床が木材だからふかないと腐るんだけど。
「はぁ、みなさ~んマリトッツォができましたよ~」
「あ、最近のスイーツだ」
「いや昔からあるからね」
マリトッツォは最近コンビニには出てきたけど昔からあるものだ。
「さあ、どうぞ。完全におごりですけど」
「・・・・・おいしい」
「スポンジは僕と兄ちゃんが作りましてけど生クリームは小鞠が作ってくれたからあとで感想言ってあげてくださいね」
小鞠が生クリームを作ると言った際にはかなり動揺したが、味見をしても問題なかったので安心して使えたし。
「じゃあ文化祭を引き続きお楽しみください。といっても雑談くらいしかできませんけど」
「家に帰っても暇だしもう少しゆっくりしていくよ」
「じゃあコウくんアイスティー全員分」
「今度はお金取りますよ?」
「それくらいは払えるよ私が払うの1人分だし」
side一穂
「そいじゃあ、かず姉交通費よろしく~」
「え、聞いてないよ?」
「え、ちょっとこのみ?」
「あ、ごめん。交渉するの忘れた、でも今できるよ」
ちょっと待って。何この空気。
「ほら一穂ちゃん妹が困ってるよ。姉なら手を貸してあげないと」
「うそでしょ?」
このあと、きっちりと往復の交通費払わされました。
「このみ、ナイス」
「お安い御用!」