スパッツ小隊in戦車道(まるで二次創作)   作:未確認動物

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デュエルスタンバイ☆

※今回はデュエル描写多めなので、興味の無い人は最後の場面だけ見ていっても大丈夫です。


第二話「スパッツ小隊、死す(まるでお約束)」

「俺のターン! スタンバイ、メイン」

 

「何もないよ~」

 

芥さんは自分の5枚の手札を見て少し考えると、一枚のカードをテーブルの上に出した。

 

「≪マジシャンズ・ロッド≫召喚! 効果発動、デッキから≪ブラック・マジシャン≫の名が記された魔法、罠カードを手札に加える。俺は≪黒の魔道陣≫を手札に加えるぜ」

 

「通すよ」

 

山札から芥さんが手札に加えてカードは緑色をしていた。芥さんはそれを間髪入れずにテーブルの上に置く。

 

「永続魔法、≪黒の魔道陣≫を発動! 発動時の効果として、デッキの上から3枚を確認し、好きな順番で戻すことが出来るが、その中に≪ブラック・マジシャン≫もしくはその名が記された魔法・罠カードがあれば手札に加えることが出来る」

 

「それも通し」

 

(おそらく杏は手札誘発を握っていない……なら、ここは一気にいくぜ!)

 

そのまま芥さんは山札から黒い男の人が書かれたカード、おそらく≪ブラック・マジシャン≫のカードを手札に加える。

次に芥さんが発動した魔法カードは、杖のイラストが書かれていた。

 

「≪ワンダーワンド≫を≪マジシャンズ・ロッド≫に装備し、効果発動! 装備モンスターをリリースし、二枚のカードをドロー!」

 

再び山札に触れ、二枚のカードを引く芥さん。芥さんはそれを見てニヤリと笑うと、手札から4枚のカードをテーブルの上に伏せた。

 

「俺は4枚のカードを伏せて、ターンエンド! 杏、掛かってきな!」

 

今二人がやっているカードゲームのルールは分からないけれども、芥さんの顔を見る限り、芥さんに良い展開になっているようだった。

そして、後攻の会長に手番が回ってくる。

 

「あたしのターン、ドロー!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(───勝ったっ!)

 

(フィールドにモンスターこそいないが、伏せている≪マジシャンズ・ナビゲート≫を発動すれば(フィールド)に≪ブラック・マジシャン≫と≪ブラック・マジシャン・ガール≫を、相手ターンに呼び出すことが出来る)

 

(そして≪黒の魔道陣≫は≪ブラック・マジシャン≫の特殊召喚に反応して、相手(フィールド)のカードを除外*1することが出来る。相手の展開の起点にこれを撃てれば、かなりの妨害になる)

 

(≪ブラック・マジシャン≫を効果で除去しようとしても、永続罠≪永遠の魂≫による補強で≪ブラック・マジシャン≫の耐性を強化出来るし、≪黒・爆・裂・破・魔・導(ブラック・バーニング・マジック)≫で相手(フィールド)を一掃することも出来る……)

 

(そして相手のデッキ次第だけど、ドラゴン族デッキだったなら≪超融合≫で除去しつつ≪竜騎士ブラック・マジシャン≫を超☆融☆合することも出来る。そして何より……)

 

(≪灰流うらら≫。現代遊戯王において最強の手札誘発*2が私の手札にある! この盤面を突破することはいかに杏といえど突破不可能、突破されてもワンターンキルはあり得ない!)

 

(ハッキリ言うぜ! 杏……お前は俺に勝てない!)

 

 

 

 

 

この時の慧留最を見ていた隊員達は、それぞれこう思ったという。

 

(ふぅん、なるほどな。……負けましたねこれ)

 

(あのフェイスをしたリーダーは、どれだけグッドな手札でも負けてマース……)

 

(部長だしなぁ……。今のうちに私のデッキも用意しとこう……)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「あー……」

 

手札を見た会長は、苦笑いをする。

 

「どうした杏? 事故ったか?」

 

「いや、そのー……」

 

「事故ったならサレンダーするんだな。負けを認めることはけして恥ずかしいことじゃないZE? 一回くらいならやり直しても───」

 

芥さんは自信ありげに語りかけるが、どうにも会長の考えとは()()ているようだった。

 

「えっと、芥ちゃん……ごめんね?」

 

「ひょっ?」

 

申し訳なさそうに、会長は一枚のカードをテーブルの上に出す。

それは、箒のようなイラストが描かれた、緑色のカード。

 

「───手札から≪ハーピィの羽箒≫を発動! 相手(フィールド)の魔法・罠カードを全て破壊する!」

 

「ゑ?」

 

首を傾げて、固まってしまう芥さん。

どうやら会長の使ったカードは、芥さんの伏せたカードを全て破壊してしまう効果を持っているらしかった。

そうなると、芥さんの側の(フィールド)には何も残らないわけで……。

 

「───やめろ杏、そんなことしちゃいけない!」

 

「何かチェーンありますか~」(カードパチパチ)

 

「ちくしょう、聞く耳持たずかよ!? 俺はリバースカードをオープン、≪マジシャンズ・ナビゲート≫を発動! 手札から≪ブラック・マジシャン≫、デッキから≪ブラック・マジシャン・ガール≫を特殊召喚!」

 

芥さんは一枚のカードを表にして、(フィールド)に二枚のカード、先ほど手札に加えた≪ブラック・マジシャン≫と、可愛い女の子が書かれたカードを出す。

しかし他のカードは全て破壊されて墓地に送られてしまい、先ほどまでの自信は何処へやら、芥さんは焦りの表情を見せていた。

 

(れ、れれれ冷静になれ! (フィールド)にモンスターを残すことは出来たし、まだ私の手札には≪灰流うらら≫がある!)

 

「あたしは更に≪天帝従騎イデア≫を召喚、効果発動!」

 

「ここだ! 俺は手札から≪灰流うらら≫を捨てて効果発動、その効果を無効にする!」

 

最後の手札、小さな女の子が書かれたカードを捨てて会長のカードの効果を無効にしようとする芥さん。

しかし、会長は更にカードを発動する。

 

「速攻魔法発動、≪墓穴の指名者≫! 対象は墓地の≪灰流うらら≫、その効果を無効にする」

 

「あ、あぁり得ないぃ!?」

 

「遊戯ぃ、それは俺の台詞(セリフ)だぜぇ?」

 

奇妙な棒を持った人が芥さんにツッコミを入れるが、芥さんは反応しない。

もはや打つ手無し、といった様相だった。

 

決闘(デュエル)続行、デッキから≪冥帝従騎エイドス≫を特殊召喚し、≪エイドス≫の効果を発動! 私はこのターン、もう一度アドバンス召喚を行なう権利を得る」

 

「ちくしょう、出すのはなんだ? ≪アイテール≫か、≪エレボス≫か?」

 

「≪轟雷帝ザボルグ≫をアドバンス召喚!」

 

「そのカードは!?」

 

芥さんが驚愕に目を見開く。

あのカードはそんなに強いカードなのだろうか?

 

「効果発動、(フィールド)のモンスター一体を破壊し、そのモンスターのレベル分、お互いにEX(エクストラ)デッキからモンスターを墓地に送る!」

 

会長の発動したカードの効果、その対象となったのは───会長の操る≪轟雷帝ザボルグ≫そのものだった。

 

「破壊された≪ザボルグ≫はレベル8、つまり8枚のカードを墓地に!」

 

「何時もの切腹デース!」

 

「更に、破壊したモンスターの属性が光属性の場合、墓地に送られる相手のカードは自分で選べる! ……じゃあこれとこれとこれと、あとこれもだね」

 

会長が芥さんの、左手側にある束を手に取って、何枚かのカードを墓地と呼ばれるスペースに置く。

よく分からないけれども、強そうなモンスターのイラストが書かれたカードが墓地に送られているので、芥さんにとって非常に難しい展開になったということが分かる。

 

「くっ……だ、だが≪ザボルグ≫の切腹のせいで、お前の(フィールド)もがら空きだぜ!」

 

「たしかにその通りだねぇ。あっ、そうそう。私が墓地に送るのはこの8枚ね」

 

そう言って会長は自分のEXデッキから8枚のカードを墓地に送った。

 

『墓地に送られたカード』

≪ルーンアイズ・ペンデュラム・ドラゴン≫×2

≪スターヴ・ヴェノム・フュージョン・ドラゴン≫×2

≪クリスタルウイング・シンクロ・ドラゴン≫×2

≪ダークリベリオン・エクシーズ・ドラゴン≫×2

 

「……は?」

 

一瞬、演技ではない素の声を漏らす芥さん。

たしかに強そうなドラゴンのイラストのカードだけど、墓地に送ったなら大丈夫なのではないかと思う。だけど、芥さんを始め珍妙な格好の人達からはざわめき始めた。

会長の取った行動に、いったい何の意味があるんだろう?

 

「おっ、おおお落ち着けよ。ゲームはま、ままままだ始まったばかりだぜぜぜ?」

 

「遊戯、貴様口調が動揺隠せてないからかっこ悪くなっているぞ?」

 

「だったらお前代わってくれ海馬ぁ!」

 

決闘者(デュエリスト)にとって最大の敵は己の心に潜む『恐怖』という魔物に他ならないのだ。遊戯、貴様が真の決闘者ならば『恐怖』に打ち勝ってみせろ」

 

「海馬ぁ!?」

 

「これでトドメを指す! 魔法カード、≪ミラクルシンクロフュージョン≫を発動! 墓地からシンクロモンスターを含む融合素材をゲームから取り除くことによって、融合召喚を行なう!」

 

動揺し、カメラを構える銀髪の女子に助けを求める芥さん。その姿を尻目に、会長は残った七枚のEXデッキから一枚のカードを選び取り、(フィールド)に出した。

それは黒々と、そして圧倒的威圧感を感じさせる、ドラゴンのカード。

 

「私は≪ペンデュラム・ドラゴン≫、≪フュージョン・ドラゴン≫、≪シンクロ・ドラゴン≫、≪エクシーズ・ドラゴン≫の4枚を除外し、融合、いや統合召喚!

出でよ、≪覇王龍ズァーク≫!」

 

「絶対ヒロインの使うカードじゃねぇ!?」

 

「≪ズァーク≫の効果! 融合召還された時、相手フィールドのカードを全て破壊する!」

 

≪覇王龍ズァーク≫の発動した効果によって、ついに芥さんの(フィールド)から全てのカードが消え去った。手札も無い。

完全に、打つ手無しである。

 

「お、俺のモンスターがぁぁぁぁぁぁぁ……ぜ、ぜん、め、めつめつめつ……」

 

「遊戯、それ俺の台詞(セリフ)だぞ」

 

「くそっ……だ、だが俺は諦めない! 次のドローで≪守護神官マハード≫をドロー出来れば、まだ勝負は───」

 

「何か忘れてないかな? ───あたしの墓地には、もう一セット分あるんだよ?」

 

会長が手札から無言で一枚の魔法カードを発動させる。

それは、二枚目の≪ミラクルシンクロフュージョン≫。

 

「あ”」

 

二枚目の≪覇王龍ズァーク≫が(フィールド)に出される。二枚目の≪ズァーク≫の効果も発動するが、既に吹き飛ばされて真っさらになった芥さんの(フィールド)には何の意味もない。

 

「攻撃力4000のモンスターが二体、その意味が分かるね?」

 

「やめろ杏! 憎しみの果てに真の勝利は無い!」

 

「憎しみはないから問題無いみたいだね。二体の≪ズァーク≫でダイレクトアタック!」

 

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ! あぁ、うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!?」

 

結局、何がなんだか分からないうちに、ゲームは会長の勝利で終わった。

まるで本当にダメージを受けているかのように迫真の悲鳴を挙げる芥さんだけど、その手は澱みなくプレイヤーの体力(ライフ)を表示していたスマホアプリを操作していたのがとてもシュールだった。

 

 

 

 

 

「なんでだよ! あの盤面からワンターンキルっておかしいだろ!?」

 

「いやぁ、こればっかりは巡り合わせだよねぇ」

 

「さてはリストバンドにカードを仕込んだか!」

 

ゲームが終了し、芥さんは会長のイカサマを疑い出す。よっぽどあの盤面に自信があったのだろうが、その主張は絶対に通らないだろう。

ゲームのルールが分からない私は、とりあえず芥さんや会長の動きを見ていたけれども、イカサマをしている様子はまったく無かったからだ。

 

「結果に納得出来ずイカサマを疑い出すとは、随分と落ちたものだね……その性根、あとでじっくり調きょ……修正してあげるよ」

 

「今『調教』って言いかけただろ! いやだ、俺はタダ働きしたくないぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃぃっ!」

 

 

 

 

 

『そこまでだぁ!』

 

ジリジリと芥三との距離を詰め始める会長の前に立ち塞がる人影が3つ。

残りの演劇部員と思われる、先ほどまで観戦やら撮影やらをしていた人達だ。

 

「ふぅん、我々を巻き込みたいというなら、全員倒していくのだな!」

 

「その通りです海馬ガール! たかが隊長がやられた程度で我々全員巻き込もうというなどvery absurd(馬鹿げてる)デース!」

 

「まさか俺達を引っ張り出すとはね……大したことじゃないが褒めてやるよ女ぁ……!」

 

「これが結束の力だぜ! まるで被害に遭うのが俺だけだったら見捨てていたみたいな雰囲気は気にするな!」

 

「まあ、こうなるとは思ってたけどね……いいよ、付き合ってあげる」

 

そして、まさかの延長戦に突入したのだった。

会長がいくら強くても、三回連続で勝てるものだろうか?

 

「あ、デッキは変えさせてね。流石にこっちだけネタ割れてるってのは、リスペクト精神に欠けてるでしょ?」

 

「ふぅん、早くしろ!」

 

……なんとなく、先の展開が読めた気がする。

 

「行け! 『スパッツ小隊』、発進!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「融 合 召 喚 !

 ≪|青眼の究極亜龍《ブルーアイズ・オルタナティブ・アルティメットドラゴン》≫ン”ン”ン”ン”ン”っ!

攻撃力4500、相手の効果の対象にならず、相手の効果で破壊されない!

強靱、無敵、最強っ!!!」

 

「融合召喚、≪竜破壊の剣士─バスター・ブレイダー(ドラゴン絶対ぶっ殺すマン)≫!」

 

「死んDAAAAAAAAA!?」

 

 

 

 

 

「≪トゥーン・キングダム≫発動! この世界ではトゥーン・モンスターは無敵の生命体となるのデース!」

 

「≪アクセスコード・トーカー≫をリンク召喚! 効果発動、アクセス・インテグレーション(六連続効果破壊パンチ)

(フィールド)が! がら空きになるまで! 殴るのをやめない!」

 

「Oh,Nightmare~! You're the meathead!」

 

 

 

 

 

「貴様のフィールドのモンスター三体を生け贄に捧げ、出でよ! ≪ラーの翼神竜-球体形(スフィアモード)≫!

こいつは次の俺のターンに、俺の(フィールド)に戻ってくる! 貴様に神を拝ませてやるよぉ!」

 

「≪球体形(スフィアモード)≫の効果発動! このモンスターをリリースし、ヲー、じゃなかった≪ラーの翼神竜≫を特殊召喚! ≪ラー≫はあたしの僕となる!」

 

「待てや! なんで『十二獣(じゅうにしし)』に≪ラー≫を入れてるんだよ完全に俺のピンポイントメタ───」

 

「≪ラーの翼神竜≫の攻撃! ゴッド・ブレイズ・キャノン!」

 

「イワァァァァァァァァァァァァァァァァァァク……!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「『スパッツ小隊』、全滅! 君達も罰ゲーム確定だ!」

 

「ワ、ワンタイムスリーキルゥ……」

 

「この屈辱、三乗にして返してやりたかった!」

 

「Are you serious!? どんだけガチで私達を引っ張っていこうというのデスか!?」

 

「ていうか私だけ完全にメタ張られてた……」

 

正しく瞬殺と呼ぶに相応しい蹂躙劇だった。

あまりの容赦のなさに、若干一名は奇妙な言動を止めて素に戻っている様相さえ見せている。

 

「これで隊員達の壁も消えた! 覚悟を決めるんだね芥ちゃん!」

 

「いやだぁ! 助けてAIBOOOOOOOOOOOOOOOO!」

 

「闇の扉が開かれた……こいつを連れて行け!」

 

「「イエッサ!」」

 

ジリジリと会長から距離を取り始めていた芥さんの両脇を川嶋先輩と小山先輩が抱え込み、動きを止める。

もはや芥さんに、打つ手は、無い。

 

「な、なんだこいつら! なんか出てき、止めろ! HA☆NA☆SE!」

 

「スマンな芥、今は手段を選んでいられんのだ!」

 

「ごめんねぇ、芥さん」

 

うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……

 

強制的に何処かへ連れて行かれる芥さん。私はそれを見つめているしか出来なかった。

私がここにいる意味とは、果たして?

 

「はぁ、はぁ……。やっぱり、ぜひゅ、こう、なるんですね……。のど飴のど飴……」

 

「杏の勝ちデース。for now(とりあえず)、片付けて撤収しておきましょう」

 

「なんで私、演劇部に入ったのにこんなことやってるんだろ……」

 

「いやぁ、色々ごめんね? あたし達にも深ーい事情があってさ?」

 

意味不明なまま進行した事態。

二重の意味で置いてけぼりにされた私には、一言、呟くしかないのだった。

 

「なぁにこれぇ……」

*1
遊戯王では墓地以外にも除外ゾーンと呼ばれるスペースがありますん

*2
カードゲームでは基本的にカードを場に出してゲームを行なうが、手札誘発と呼ばれるカード群は手札から直接捨捨てる、つまり場に出さず効果を発動出来る。現代遊戯王で手札誘発やその対策カードが入っていないデッキで公式大会などに出場すると『紙束』扱いされる




とりあえず、ここまで。
好評がいただけたり、お怒りが飛んでこなかったら続きます。
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