ONE PIECE 〜空に乗る少年〜   作:Many56

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第1話 最悪の転生

 

 

 

 

「オギャー、オギャー!」

 

部屋の中には元気な産声が響き渡る。

今まさに、この場で新たな命が芽吹いたのだ。

 

ドカドカドカ……バタン!

 

産声を聞くなり、扉が壊れるほどの勢いで部屋の中には1人の男が入ってきた。

その顔は歓喜に包まれている。

 

「う、産まれたか!」

 

「ちょっと、まだ入って来ちゃダメでしょう?」

 

今赤ん坊を産んだばかりの女性から気だるそうな声が聞こえる。

 

「いやいや、俺は父親だぞ? 入っちゃいけない訳ねえだろ!」

 

「はいはい。全くもう、困ったお父さんでちゅねえ」

 

「ルミー、この野郎……」

 

「あら、野郎だなんてヒドイじゃない」

 

「ぐぬ……それはそうと、俺にも顔を見せてくれないか?」

 

「はい。ああ、強く抱きしめすぎて絞殺なんてしないでよ?」

 

「そんな事するか! ……おおお、元気な男の子だ……」

 

赤ん坊の父親からうるうると涙が溢れる。

 

「さてと、名前つけないとね……。ダスティン、何かいいのある?」

 

そう聞いた途端、外では突風が吹いた。

 

「……ゲイル。ゲイルはどうだ?」

 

「あら、いいわね。この子に、いい“風”が舞い込む事を願って、この子の名前はゲイルにしましょう」

 

「「よろしくね、ゲイル」」

 

こうして、この物語の主人公   プレアデス・D・ゲイルの人生が始まった。

 

 

 

■■■

 

 

 

初めまして。

俺の名前はプレアデス・D・ゲイル。

どこにでもいる赤ん坊(1歳児)です。

いや、前世分含めたら赤ん坊(18歳児)になるか。

まあ、495歳児よりかは全然マシか。

今話した通り、転生者でもあります。

かつて、俺は日本の高校生だった。

ちょっと漫画やアニメに詳しいのが特徴で、それ以上は特にない。

ただの高校生だった。

プ○ウスミサイルを食らうまではね。

そして、気づいたら生まれ変わってたという訳だ。

 

さて、今俺は父親に抱きかかえられている。

そして、目の前にはとても辛そうに身体を横にしている、俺の母親がいる。

母さんはふと起き上がり、腕を前に出した。

 

「ねえ……」

 

母さんがそう言うと、俺の父さんは俺を母さんに預ける。

母さんの表情は、どこか切なそうだ。

 

「ごめんね……。私、もう長くないから……これが最後のハグになるかも……」

 

そう言って俺を抱きしめた。

正直なところ、生まれたばかりの俺にそんな事言わないで欲しい。

死んだと思ったら、生まれ変わってたのだ。

最初は戸惑ったが、これはこれでいいと思えたのだ。

豊かではないが、中々楽しく生きられそうだと思ったのだ。

それなのに、いきなり母親が死ぬなんてそんなの嫌に決まっている。

だが、現実は非情だった。

母さんの心境が手にとるように分かる。

自身の死期が近い事を本能的に理解しているのだ。

だから、その事が余計に辛い。

そして、間もなくして、母さんは死んだ。

しかも、悪い事は続いて起きた。

母さんが死んで2年程経った頃、今度は父さんが体を壊した。

そんな頃に、1人の男がやって来た。

爺さんだった。

だが、爺さんのくせしてメチャクチャガタイがいいし、目つきもかなり鋭い。

正直言って、かなりおっかないというのが第一印象だった。

というか、なんか見覚えのある顔なんだけど。

 

「まさかお前さんから、子供を預かって欲しいと言われるとはな」

 

それがその爺さんの一言目だった。

 

「ははは。悪いな、頼れるのはアンタだけなんだよ、ガープのおっさん」

 

ゑ?

今、父さん“ガープ”って言ったか?

というかそうだよ!

この顔どう見ても某大人気海賊漫画の主人公の爺ちゃんじゃん!

この声でしかもガープ……決まりだわ。

俺、『ONE PIECE』の世界に転生したんだわ。

そういえば、なんか名前に“D”ってついてたわ。

はあ、なんで『ONE PIECE』なんかな……。

どうせならラノベっぽい世界だったらって思うな。

 

「はっはっは! 中々可愛らしい子じゃ」

 

恐らくこの流れ……このままこの爺さんに俺は引き渡されるんだろうな……。

 

「ええか? お前さんは、父ちゃんみたく海賊になるんじゃなくて、立派な海兵になるんじゃぞ」

 

「ああ、海兵になるのは却下で。アンタみたいなクソジジイに海兵として育てられたくはないよな、ゲイル」

 

「なんでじゃい! ワシが預かってやるんじゃから、そのくらいええじゃろ!」

 

「よくねえよ! 俺の子だ!」

 

そうして父さんとガープの爺さんの口喧嘩がしばらく続いた。

そして、最後にこう父さんに言われた。

 

「まあ、海賊になるも、海兵になるもゲイルの自由だ。だからとにかく、元気に育ってくれれば……それでいいから」

 

そして、この日を最後に俺は父さんと会うことはなくなった。

翌日、父さんは心臓病で亡くなった。

 

俺を抱えながら、ガープの爺さんはこう呟いた。

 

「まさかロジャーだけでなく、ダスティンからも子供を任せられるとはの。ワシは託児所じゃあねえってのに」

 

確かに、そうだね。

だが、俺からしてみれば笑い事ではない。

両親共々俺が赤ん坊の頃にあの世へ旅立つとかどうかしてる。

しかも、そんな俺を引き取ったのがガープの爺さん。

はあ、前途多難だ。

 

 

 

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