転生したらドラゴンだった件   作:炭酸水素水

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前話の続きで、あのお話のパロです。
それでは



10話 ディーノの依頼

ダマルガニアの通天閣の一室にて、一匹のドラゴンと黒みがかった紫髪の青年が、

机をはさんで向き合っていた。

言わずもがな、私とディーノだ。

 

「じゃ、後の事は任せたぞ!」

 

『おい待て、逃げるなー!』

 

「儲けは山分けな!」

 

席を立ち、良い笑顔でそう告げるディーノ。

 

ディーノの要求は、とにかく金が儲かる仕事はないのか?とのこと。

なんとこの男、肝心の仕事内容を決める所から全部私に丸投げするつもりだったようだ。

 

貴様に我の全て(の仕事)を委ねようってな!

 

流石の私もそんな理不尽には断固反対だ!

帰ろうとするディーノをなんとか食い止め、話し合いの席に着かせる。

 

「クソっ、なんで俺がこんな目に…」

 

机に突っ伏して項垂れるディーノ

口ではそう言うけど、ちゃんとこちらの話を聞いてくれる気になったみたいだ。

 

 

腐ってもディーノは魔王。

さっきまで私達は扉の前で攻防戦をしていたけど、ディーノが本気を出せば、私を出し抜くのは簡単だったはず。

 

『(ああ見えて結構良い奴よね、ディーノって)』

 

そんな良い奴であるディーノを守る為、私も頑張ったのだ。

「俺は部屋に帰るぞ!」と死亡フラグを連発するディーノを止めるのはホントに骨が折れた。

 

でも私は優しいからね、仲間を見殺しになんて出来ないぜ!

 

「この悪魔め!」

 

残念、ドラゴンでした!

 

なんせこの地で利益を出すには、ここでの暮らし(居候)が長いディーノの意見が必須だからね。

居てもらわないと困る。

 

 

『まずは"何を売るか"を決めないと!』

 

私が最初に提案したのは人生ゲ…もとい遊戯盤。

机に完成した物を置き、その完成度に思わずムフーと息が漏れる。

だがしかし…

 

「いやー、ちょっと巨人が使うには小さいんじゃね?」

 

でもサイズはほら、

子どもだって使い安いし!

 

そう、巨人の子供を対象にするなら、まだまだこのサイズでも需要はあるのだ。

 

「そもそも子供向けだとしても、それ一つあれば他の奴らと使い回すだろ?」

 

ぐっ、ぐう……!

それもそうだよね…量を売らないとね!

 

あと、巨人に向かって宝くじが当たった!とか言ってもピンと来ないだろうし、識字率のこともあるかー…

 

「巨人の子どもって戦士になりたいって奴ばっかだし、そう言う遊びをする奴っていないんじゃないか?」

 

『うぅ…………』

 

ディーノって自分は意見出さないけど、出された意見には徹底抗論するタイプか!

やめて!もう私のライフはゼロよ!

 

的確な批評にガックリと項垂れる私。

ディーノの視線も、どことなく憐れんでいるように見える。

 

…このゲームを一体誰と遊ぶのかって?

フフフ、私は知ってたよ、この人生ゲームは一人用だと!

 

 

私はそんな憂いな目に合いつつも意見を出していく。

 

私のウロコ用いたアクセサリー類や、ハブ酒をイメージした変わり種の酒とか。

意見は色々出したけどいまいちコレって言うのが来ない。

 

アクセサリーは、私の会心の出来映えによりサラサラとした綺麗な粉末状に生まれ変わった。

 

「やりすぎだバカ!」

 

うう、私ばかじゃないもんー!

と言うわけで、技術不足により敢えなく撃沈。

 

ハブ酒は…うん、危なかったね。

危うく私自身が漬け込まれる側になるとこだったよ!

 

「俺は良いと思うんだけど?」

 

ディーノはそう言うが、何故かどうも目が合わない。

せめてこっちを向いて言え!あと、我慢してるつもりだろうけど口元緩んでるし!

 

『とにかくコレは無し!オーケー?』

 

「ちぇっ、ナイスアイデアだと思ったのに」

 

それ絶対思ってないよ!目も合わないよ!

それにさっきから私ばっかり意見を出している。ディーノも何か意見を出して欲しいよ。

 

『ディーノもなんかないー?』

 

「えぇ、俺?」

 

これに対してディーノが提案したのはギャンブル。

闘技大会を開いて、選手の勝敗を予想するタイプの物らしい。

しかし良く考えてみて欲しい。

このギャンブルの客層はもれなくここらの巨人達だ。

…私達四兄弟の模擬戦を見て、既に賭け事をしているあの人達が素直にギャンブルのオーナーに従うだろうか?

いいや、あるまい。

 

よってこの案もボツだ。

 

「うーん、闘技大会…良いアイデアだと思ったんだけどな」

 

「闘技大会がどうかしたのか?魔王ディーノ」

 

・・・

 

『「…え?」』

 

ディーノの呟きに答えたのはダグラだ。デブラも隣にいるではないか。

いつの間に部屋に入ったのだろう?

私達の秘密がバレてしまったかも知れない。

 

「(…まずい、話を聞かれたか?)」

 

『(今来た所っぽいし、…大丈夫じゃない?)』

 

「(ならいいけどさ、ほら、俺達の話を深堀されるのって…不味いじゃん?)」

 

『(うん、売上の話は隠した方が良いかもね)』

 

「(ああ、それで頼むぜ)」

 

目線で互いに頷く私とディーノ

ダグラが不思議そうに見ている辺り、バレてはないはずだ。

 

 

「で、何の話なんだよ?」

 

「…エェと、ナンでもナイケド?」

 

なんだその声は!ふざけてんのか!

 

『(ちょっと!いくら何でもワザとらし過ぎだって!)』

 

「(そんな事言っても口に出ちゃった事はどうしよもないだろ!)」

 

会話の裏でそんなやり取りをする私とディーノ。

 

「闘技大会を開くんでやんすか?」

 

『大会を、開く!』

 

おっと思わず片言になってしまった。

そうそう、大会を開く…ん?

あ、もしかしてこれいけるかも?

 

「(お前だってカタコトじゃねーか!)」

 

そうだけど!、そうじゃないよ!

 

『(無し無し、今のは無し!)』

 

ディーノに呆れられたようだけど、今日の私は一味違う。この状況とディーノの無茶ぶり。その両方を解決する答えに行き着いたのだ。

 

『(良いこと思い付いたんだよ!ダグラ達にも協力してもらって…)』

 

「(うん?えーっと、)」

 

ディーノは怪訝そうな顔でこちらを見る。

私は決して、誤魔化す為に適当言ってる訳ではない。

 

「(どういう事だよ?)」

 

『(つまり、……………!…!)』

 

私はディーノに考えた事を話す。

 

「(ん?これはもしかして…いけるんじゃね!?)」

 

『(でしょ!)』

 

ふふふ!

 

二人して悪い顔をする私達。

別に悪い事をしようって訳じゃないけど、この瞬間、確かに私とディーノの間に友情が芽生えた気がした。

 

そうとあらばダグラ達にも大会の準備を手伝って貰わないといけないね!

 

『ねえ!ダグラ、ちょっと頼みたいことがあるんだけど…!』

 

 

 

 

…………

……

 

 

 

 

ワシの名はダグリュール

巨人族の長であり、この地を守護する魔王である。

今は久々に目的もなく外に出て、辺りをブラブラとしているのだが、たまにはこう言った心にゆとりをもった事をするのも良いものだ。

 

ワシには最近新しく娘が出来たのだが、

ここ暫くはその姿を見ていない。

普段であれば、ダグラ達と鍛練に精を出している頃なのだが…

一体どこに居るのだろう?

 

…ワシはあの娘の事を心配しておるのか?

こうして少しの事でも気になる辺り、ワシは思ったよりあの娘、クレアの事を案外気に入っておるのかもしれんな。

 

そんな事を考えていると、ふと、周囲が騒がしい事に気付いた。

 

「おい、聞いたか?闘技大会が開かれてるって話」

 

「ん?闘技場が騒がしいのはそう言う事か」

 

「なんかすげぇ強い奴が来てるらしいぞ!」

 

そう話ていた若者達が闘技場の方へ向かっていく。

 

ほぉ、そんな強者が来ておるとはな。

闘技大会はたまに開かれるが、強さの序列が煮詰まり過ぎていて、身内同士の実力確認会になっている節があるしのう。

どこの誰とは知らぬが、こうして新しい風が吹くのは良い事であろう。

 

「折角だ、ワシも少し見に行くとするか」

 

 

・・・

 

闘技場にたどり着くと既に沢山の人だかりが出来ていた。

人の声に混じって見知った声が聞こえる。

 

「疲労にこれ一本!竜命酒は如何ですかー!

冷えたお飲み物もご用意していまーす!」

 

「私も今飲んだけどおいしいよー!竜命酒を買えるのは今だけだよー!」

 

売り子の周りには人だかりが出来ていた。

ダマルガニアのこうした大会で売り子が物を売るのは珍しい。

 

売り子の片方は良いとして、もう片方だ。

 

「(人の姿をしているが、もしするとクレアか?まさか生まれて一年もせず人化を習得するとはな!)」

 

ダグリュールもこれには驚きを隠せない。

通常ドラゴンは長い年月をかけて、上位龍族から竜王(ドラゴンロード)へ至り、更にそこから高度な知能を得てして人化を体得するものだからだ。

 

娘の潜在能力は高いと知っていたが、まさかここまでとは。

転生者故に特別なのか判断に困るが、クレアがドラゴンとして特異個体であることに変わりはないだろう。

 

「この先が楽しみだの」

 

フッと笑い、会場の中央へと目を向ける。

 

そしてその中央には、空中に闘う二人の映像が映し出されていた。

 

「(あれは光魔法か?…それだけではないな、)」

 

良く見てみると他のスキルと複雑に組み合わされた技術(アーツ)であるなと分かる。

 

「(感覚を誤認させ、映像や声をスムーズに捉えられるように工夫されておるのか)」

 

こんなことが出来るのは恐らく我娘のクレアぐらいだろう。

何のスキルかは分からんが、恐らくユニークでも上位に来る能力であるのは確かだ。

 

そんな事を考えていると、決着が着いたのかアナウンスの声が聞こえる。

 

 

『おーっと!ガララ選手ー!圧倒的な体格さを物ともせずダグラ選手に勝利です!!』

 

 

――ブフォオオ!!

 

お茶を飲んでなくて良かった。

そう胸を撫で下ろすダグリュール

ダグラが負けたのは良いとして、その相手だ。

 

「なんかどこかで見た覚えが…いやいや!」

 

その顔は目元を隠す仮面で見えないが、特徴的な赤髪と、女性としては大柄で筋肉質な彼女の姿は、かつて支えていた主の従者に似てるような…

 

「気のせいじゃろうか?」

 

うん。他人の空似に違いない、と結論付けるダグリュール。

何せ我が主の配下である始原達は、主亡き後の行方がハッキリしていないのだから。

少なくとも、こんな所で油を売っていたりはしないだろう。

 

『次はいよいよ決勝戦!グラソード選手対ガララ選手!両者とも剣を得物とする者同士、勝利の女神が微笑むのはどっちだ!』

 

「更に!優勝者には記念品もあるでやんすー!!」

 

デブラが掲げたのは見覚えのある酒瓶だ。

 

 

「……あれって、ワシの酒じゃないか?」

 

そう、それは300年物の地酒でダグリュールが楽しみにしていた物である。

 

いやいや、他の誰かに見つからないように置いていたのだし、そんな筈はない。

そう思い目をゴシゴシ擦るが効果はない。

 

「ワシのじゃ…」

 

デブラの手の位置が変わり、ラベルが見える。

 

「あの、それワシの…」

 

「「「「うおおおおおおおお!!」」」」

 

その価値を理解している周囲の者達から一斉に歓声が上がり、哀れダグリュールの声はかき消されてしまう。

 

「(ワシのじゃあああ!!)」

 

しかし無念。その声は他の者の耳に届く事は無かったのであった。

 

…………

……

 

 

 

大会は無事終了し、私達は通天閣の一室に戻ってきた。

 

「ハハハ!俺は信じてたぜ、お前と組めば俺達は最強だとな!」

 

「えへへ!ディーノの采配が良かったんだってばー!」

 

「フフフ!まさかこんなにも稼げるとはな!」

 

そして今、私達の目の前には、大量のサボテンの果実が置かれている。

これがダマルガニアにおける通貨で、この量をお金に換算すれば結構な額になる!

更にこれを加工してサボテン酒にすれば、更に価値が上がる……まさに無限ループ!

 

ディーノを主催者として開催した武闘大会は大成功と言っていいだろう。

 

特に竜命酒の売上は凄かったよ。

ディーノの提案でこれを作ろうってなった時、皮やウロコを剥ぎ取られそうになったから焦った。

これが再生怪人の哀しき定めか…

 

「(でも、あんな雑に造られた物が売れるとかどうなのよ)」

 

私がアクセサリーを作ろうとして粉々になったウロコ。

あれを溶かし混んだだけって言うね。

私の体質により、強いデトックス効果があるらしいけど…

 

「(まあ好評みたいだったし!いいか!)」

 

ディーノの呼んだゲストも強くて盛り上がったし、デブラの用意した優勝商品を見たときの観客の反応も良かったし!

めでたし、めでたし。

 

でもデブラは何を景品にしたんだろうね?

 

「とにかく、次もこの調子で稼ぐぞ!」

 

「おー!」

 

「クックックッ……二人とも楽しそうじゃのう?」

 

・・・・!?

 

ギギギっ

 

軋む机の先を見れば、そこには笑顔のダグリュールが!

 

「これがどう言うことかワシに教えてくれぬか?」

 

その右手には空になった酒瓶が、

左手にはボロ雑巾のようになったデブラがぶら下がっている。

 

「アハハハハ……ナンノコトかな…」

 

 

この日、私達は大地の怒り(アースクエイク)の、その真の意味を知るのであった。

 




と言う訳でクレアの人化回です(蹴り
虚転身を使いまくった結果、技量が上がり人の姿になれるようになったみたいです。
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