転生したらドラゴンだった件   作:炭酸水素水

5 / 12
5話 巨人族との出会い

やあ皆、私はタマゴさ!

劇的なビフォーアフターの結果がこの姿さ!……え、タマゴの時と姿が変わってないって?

それがどうやら熟練度的なものが足りないらしく、何度かやってみたけどタマゴの姿になってしまう。

 

(でも考えたら今すぐ人に合う訳でもないしね)

 

これからも合間を見つけて練習すればその内に出来るでしょ!と前向きに考えることにする。

どんな時でも大体ポジティブなのが私の良いところ。

 

(何時までもタマゴに変身してても仕方ないしね、虚飾を解除っとーー)

 

そうしてスキルを発動した私。しかし丁度その時、東の方から爆音が響いた。

 

 

(また例の三人組か!?くそぅ、こうなるならやっぱり人化の練習をしとくべきだったか!?)

 

しかし、それにしては爆発の音が小さい。それに、あの金髪の娘が暴れてるなら、その余波だけで普通に死ねる自信がある。

もしかするとあの娘が魔法を打てるのは一日一回だけで、その一回に全魔力を乗せているって可能性もある。

そうだとすると、今の小規模な爆発音にも納得できる…けど。

 

(それってあの三人がピンチってことだよね? そんなのありえないわー!)

 

少なくとも私の貧弱な想像力では、あの三人がやられる光景を思い浮かべることが出来ない。

 

(ピンチに颯爽と現れて、「ここは俺に任せな(キリッ!)」って出来れば、私が人に危害を加えない魔物だって分かって貰えるかもだけど…)

 

そうしていると、段々音が小さくなってきた。気のせいか人の悲鳴みたいな声も聞こえる。

…ちょっと向こうに行って、様子を見てから決めよう。虚飾の能力の一つに認識阻害って言うのもあるし。

バレないバレない、大丈夫だって!ダイジョーブ!

 

(見るだけならタダ!これ大事よ!)

 

私は気配を消して音のする方角へと向かった。

 

…………

……

 

 

声の発信源にたどり着いた私。遠目に見えたのは三人組の大男だ。

 

(巨人って、うーん…モンスターなのか、人なのか、判断に困るな…)

 

前の世界にあった創作では、神の敵だったり、普通に人類と共存してたり、はたまた人間を食うだけの無垢な殺戮兵器だったりするんだよね。

作品によって扱いが違いすぎて、全然検討がつかない。

しかし何やら様子がおかしい。更に近づいてみると、そこには頭から大量の血を流して倒れている巨人と、倒れた巨人に必死に声を掛け、応急処置をしている二人の巨人の姿があった。

 

「リューラ!!おい、しっかりしろ!」

 

そう叫ぶ巨人は、リューラと呼ばれる怪我をした巨人の傷口を抑え、包帯を巻いている。

でも見た感じ、余りにも血が流れすぎている。巨人は体が大きいから、その分血液も多いんだろうけど、それを鑑みても助かりそうにない。

 

「ダグラの兄貴…、俺…う…ここ…まで」

 

「喋るんじゃねぇ!!体力を、持たせるんだよ…おい…!」

 

成る程、この三人は兄弟だったのか…三人ともお揃いのピアスをしていたり、仲が良いんだろうな。

 

「リューラにいちゃん、オイラはにいちゃん達二人と、一緒に飯を食えなくなるなんて嫌でヤンス!」

 

「…デブ…ラ……!」

 

「そんな怪我、リューラにいちゃんなら何ともないではずでヤンス!また三人で飯を食うんでヤンス!」

 

そんな二人、ダグラとデブラの目からは、大粒の涙がこぼれ落ちていた。

…私にも、弟がいる。私よりも、自分の方がしっかりしてると思ってる、そんな生意気で背伸びした弟だ。

昔は素直で可愛いかったけど、今は何だか素っ気ない。私はもう死んじゃったけど、弟は悲しんでるかな?

…それがどうかは分からないけど、今目の前にいる二人はそうだ。

 

(私はこの人達を助けたい…けど)

 

私は魔物だ。ゲームとかでは人を襲い、勇者達の当て馬となるだけの存在。

この世界での魔物がどうかは知らないけれど、アリ達は間違いなく私を襲ってきた。私もきっと人からすれば、そんな危険でどうしようもない魔物に違いないだろう。

 

(…怖い、こわいよ)

 

確かな物は何もない、あるのはただ目の前の現実だけ。

現に、巨人達の近くには、怪我の原因となっただろうアリの上位種の死骸が転がっていて、周辺には争った形跡がある。あの巨人を助けようと姿を現したとして、私が攻撃されないって保証はどこにもない。

なんならあの巨人達がそっち側ってこともあるかも知れないし…

 

「……あ…にき……デブ…ラ…すま…ぇ」

 

「リューラ!逝くなっ!…リューラッ…………」

 

「にいちゃん!! にいちゃん!!」

 

(…でも、倒れた仲間を見て涙を流せる奴が、そんな奴な訳ないよね。)

 

前世で見た名言集で「人の為に流せる涙、それは愛の証明だ」みたいな言葉があるし、少なくとも、ここにいる彼らは心無いバケモノなんかじゃない。…糞野郎を助けようとは思わないけど、この人達の為になら…私も一肌脱ぐとしよう。

 

(確か虚転身を使えば、魂さえ残っていれば死者を生き返らせる事ができる…はず)

 

私もそうやって生き返ったんだし。出来ないはずがない!

スキルや存在値を消費するけど、丁度その代品になりそうなアリの死骸もある。私の知ってる奴の上位種っぽいし、エネルギーも十分だ。…ここでやらなきゃ女が廃るってもんでしょ!

 

《ユニークスキル「虚飾者」を使用しますか? yes/no?》

 

勿論イエスだ!見るだけならタダと言ったが、もう私にそんなつもりはない。私はこの三人に肩入れすると決めたのだから。

すると、私の認識阻害が解けていく、この能力は「虚飾者」をフル稼働させるので、その間に他の事を両立できないのだ。しかし幸いにも、巨人達はお互いに声を掛け合っていて、私に気付いた様子はない。

そうしているとアリと私と、リューラ…つまり、倒れた巨人との間に魔力の流れが起こり、光に包まれる。

 

「…お前は?」

 

ダグラ…多分、長男の巨人が私に気付いたのか話かけてくる。

だが済まんな、他人の魂と肉体の復元とか言う、ベリーベリーハードなアクションを敢行している私には、それに応答できる余裕などないのだ!!

 

(つまり攻撃されたら、多分そのままあの世行きさ!)

 

タマゴから孵ったとは言え、今の私は貧弱なベビードラゴン。圧倒的物理な攻撃を食らえばひとたまりもない。

なので、攻撃されないように祈る。

 

 

そうして暫くして光が収まり、倒れていた巨人、リューラは目を覚ます。

 

 

「…兄貴、それにデブラ、…ここは?俺は…助かったのか?」

 

「にいちゃん!!…ヴアアアアン!」

 

「リューラっ!ヴッグ…よく、帰ってきた!!」

 

抱き合う三人。…こう言う兄弟愛っていうのも悪くないね。

私は弟と色々あって拗れちゃった感じだけど、この三人にはずっとこのままでいてほしいな。

…っといけねェ、この私としたことが湿っぽい雰囲気にながされちまうとはな、HAHAHA!

 

(とは言え、フーッおわったぜぃ!イエイ!)

 

メッチャ神経使ったからね、疲れたね、フゥ。

チラリと向こうを見てみると、探るような視線で三人の巨人がこちらを見てくる。何か答えなけねば…!えーと、拙者はータマゴで候…。と思ったけど、ここで今の姿を確認してみる。

今の私は虚飾が完全に解けて、ビジュアルがちっこいとは言え狂暴なドラゴンの姿になっている。虚飾を使ってる時は、タマゴの姿なんだから余計ややこしい。

 

(私は何者か、タマゴかドラゴンか…うーん悩ましい)

 

たま○ラではない、断じて。

 

「ギャォ…」

 

おっと声に出てしまった、いけない、いけない。

これは威嚇ではありません。OK? でも、これじゃ話できないよね。困ったな。

そう思って自分のスキル一覧を見てみると、これ使えるんじゃね?ってスキルを見つけた。

 

 

 ●「思念伝達」

牙狼族や、群れで生活する魔物、一部の社会性甲虫の魔物が持つスキル。仲間内での魔力回線による意思の伝達を可能とする。

 

あったよ!ホンヤクコンニャク!…でかした!

いつの間にか、エクストラスキルの項目に追加されていたのだ。状況からして、アリの上位種のスキルかな?

「虚飾者」でスキルを消費したから残らないと思い込んでたけど、意外とあのアリの上位種って、存在値高いのね。

まあせっかく残ったんだし、「思念伝達」ありがたく使わせてもらいましょうか!

 

『あーあー!マイクテス、マイクテス!!』

 

「「「ぐおぉ!!」」」

 

三人の巨人が同時に仰け反る。動きがシンクロするのって、仲が良い証拠らしいね。

でも、別に今更「俺達仲良し」アピールされてもって感じ、私は既にお腹いっぱいだよ。

 

「…体から感じる魔素は大したこと無さそうだと思ったが…」

 

「ダグラにいちゃん、こいつは」

 

「ああ、分かってる。相当やるみたいだな、お前」

 

長男のダグラと三男のデブ…ラって人が話かけてくる。ちょっと怒って…イヤ、これは緊張しているのかな?

確かに話しかけようとして、いきなりマイクテストしだす奴いたら慎重にもなるよね。

…でも今のは確認の為ですよ。そう、まさかちょっと意識しただけで、ポロっと声が出るとか思わなかった訳で。

 

『えーっと私はー―』

 

「兄貴、デブラ、ちょっといいか?こいつと話をしてえんだ」

 

「悪い奴ではなさそう…だしな、分かったぜリューラ」

 

そう言うと次男、リューラは私を真っ直ぐ見て話しかける。

 

「俺を助けてくれたのはあんたなんだな?」

 

『うん、私がそうだけど?』

 

うう、正面からみるとやっぱし怖い。デカイ上に、お揃いのピアスが柄の悪さを引き立てているよ!

こう言うヤンキーを相手にする時は、ビビったら負けだ!絶対に退くなよ?(持論)

私は自信満々に見えるように、リューラの目を真っ直ぐに見つめ返す。

 

(頑張れ「虚飾者」!!私の豆腐メンタルと尊厳を守るのだ!)

 

最も、「虚飾者」にそんな能力があるのかは不明だけど。

 

「ありがとう、礼を言う。あんたがいなけりゃ俺はここで終わってたぜ」

 

『ううん、私は気が向いたから助けただけで、感謝される謂れはないよ。』

 

己が信念(みち)に乗っ取り、成すべき事をなす。これぞ極道の生きる道!

嘘をついてる訳でもないし、私は私らしく堂々としていれば良いのだ。

 

「あんたの威風、佇まい、そして何よりその心意気!」

 

フンフン、そうだろ!そうだろ!って、嬉しくなってちゃいけない。ここは冷静に――

 

 

「惚れました!姉さんと呼ばせてください!!」

 

――ファッッッッ!? えっ、えーっ…ええー!

 

「にいちゃんがそう言うならオイラもでヤンスー!」

 

コラコラ、三男デブ…ラ君。悪ノリは後で後悔すると、親に教わらなかったのかな?

 

「弟二人がすまねぇ、俺もアンタを姉さんと呼びてぇンだが、長男としての矜持って奴があるんでさあ。」

 

おお、流石は長男ダグラ君!君は話が分かる。

ドラゴンが長女の、巨人四兄弟っておかしいもんね、そうだよね。

 

「そこで、だ。俺達三人と兄弟の契りを結んで欲しいんでさあ。」

 

『兄弟か、……うん、良いよ!私でなんかで良ければ!』

 

くっ!私の隠されし能力、NOと言えない日本人が発動してしまった…!

だって、三人揃ってそんなキラキラした目で見られたら、断れないじゃん!?

 

(まあ、…でもいっか)

 

この人達…イヤ、我が兄弟は不器用そうだけど、悪い奴じゃないってことは良く分かるしね!

よーし、姉さん頑張っちゃうよー!

 

「なあ兄貴、兄弟の契りって具体的に何をするんだよ?」

 

「ん?リューラは知らなかったっけか?あれだ、名付けだよ、名付け!」

 

成る程分かったぞ、いわゆる名字…ファミリーネームを名乗れって事か!

 

『んーでも私って、生まれたてで下の名前もないよ?』

 

そうそう、私は生まれてこのかた三ヶ月、ずっと名も無き小市民なのだから。

 

「ああ、思い出しました!それで合ってます姉さん!その下の名前を付けるんです。」

 

なんと!それはマジかリューラ!って言うか、兄貴のダグラにはタメ口で、姉さんの私には敬語なのか。

リューラェ、君はそれでいいのか……

 

「ふぇーーふぇっふぇ!名付けをすると、腹が減るでヤンス!」

 

「ダグラ、腹じゃなくて魔素量が減るんでさあ」

 

「魂に名を刻む時には、名付ける側の魔素を必要とするんですぜ。」

 

デブラ、ダグラ、リューラが"名付け"とは、どういうことなのか、私に具体的に説明し始めた。コイツら意外と文字に強いぞ!?

話をかい摘まんで説明すると、名付ける側が魔素を消費して、名付けられる側が、力と名前を得るってことらしい。

ここで言う名前とは、ゲームとかで言う「○○の○○」みたいな二つ名や、ネームドモンスター的な物って言う認識でOKみたい。

 

「でもよ兄貴、それなら俺達と同じで親父に付けて貰うのが筋ってもんじゃねーか? 」

 

「普通に考えたらそれでいいんだ。親父は強えから、名を貰えれば進化だって夢じゃねぇのさ」

 

「だったら姉さんも親父に名を貰うべきだぜ。姉さんの力なら、親父も認めるレベルなのは違いないんだしよ。」

 

「そうも言ってられねえさ、親父のネーミングは……」

 

二人はチラリとデブラを見る。

 

「ふぇ?」

 

なんのことか分からないと言った顔をするデブラ。

 

「成る程、理解したぜ兄貴…もう被害者を増やす訳にもいかないしな。」

 

「あぁ、だから俺達の兄弟たるこのドラゴンには、俺が名前を付ける!」

 

な…成る程、デブラ君すまなかった…!君の犠牲は忘れない。

私は三人を助けたつもりが、逆に三人に助けられようとしていたのか…

 

「では、俺達の恩人よ、あんたに兄弟たる証の名を与える!」

 

『うん!お願い!』

 

贅沢は言わないけど、出来ればカッコいい、もしくは可愛い名前よコイコイ!

 

「よし、今日からあんたの名前は「クレア」だ!」

 

『クレアかー!何かいい響き。ありがとう!』

 

確かイタリア語で作るって意味だったっけ?でも、意味よりもこの響きがいいよね!

すると私を黄色い光が包み込む。「クレア」の名が魂に刻まれたのだ。

 

『わあ!力が溢れてくる……!』

 

それに、心がポカポカと暖かい。不思議と気分は晴れやかで、胸に訪れる安心感に私は心身を預けた。

三人との、イヤ、私含む四兄弟の間に、確かな繋がりを感じる。

魂に名を刻むって、こう言うことなのか。

 

『ダグラ!リューラ!デブラ!これから宜しくね!』

 

自分が思ってたよりも嬉しかったのか、自然とそんな言葉が口から出ていた。

 

「こちらこそ頼む、って奴でさあ!」

 

「クレアの姉さん、宜しくお願いしますぜ!」

 

「姉さんよろしくでヤンスー!」

 

 

この日、私は異世界で新たな名と、家族とも呼べる存在と出会ったのだった。

 

 

……

個体名:クレア

種族:龍族・風竜(ウインドドラゴン)

EP:6万9800

加護: ー

称号: ー

魔法:地属性魔法・風属性魔法・回復魔法

ユニークスキル

「虚飾者」(ホロウ)

…虚飾・虚転身・完全記憶・魔力場操作・権限奪取・検索

 

「浮遊者」(スカイウォーカー)

…重力支配・空間支配・思考加速・(地属性魔法・風属性魔法)

EXスキル:思念伝達

スキル:危険感知

耐性:呪縛無効・各種耐性・範囲結界

固有能力:竜鱗・汚染浄化・聖属性体質

 




今回仲間に加わった巨人三兄弟。原作ではシオンにもっとボコボコにされたりしています。
今の三人には回復薬の持ち合わせが無かったので、ケガが重症化しています。
え?自己再生?…し、知らないな~。
テンペスト印の回復薬は偉大だって、はっきりわかんだね
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。