転生したらドラゴンだった件   作:炭酸水素水

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8話のタイトルを変更しました。(クッ殺せ!)
そして今回は、例の回のパロです。


9話 勝利の美酒はいつだって美味しいもの

ダマルガニアで暮らすのも三ヶ月程になる。私がこの世界に転生してからもう半年くらい経つかな。

その間に良く耳にしたのが、暴風竜ヴェルドラと言う天災級の魔物が消失したと言う話。

この世に四体しかいない"竜種"と呼ばれる最強種族の一体だという。

 

ダグリュールはヴェルドラと古くから付き合いがあるみたいで、喧嘩話とかを良く聞かせてくれた。

話す時のダグリュールの表情はとても楽しそうだったし、旧知の友人が消失したとあらば悲しむんじゃないかな?

そう心配したけど、竜種は滅びる事が無く、消滅しても再びこの世に戻ってくるそうだ。

 

その他にもこの不毛の大地を縄張りにしている悪魔達が活動的になったりと、外では色々とあるみたい。

 

私もここの暮らしにも大分馴れてきたと思う。

ダグラ達とトレーニングをしたり、土を正常に戻したりと相変わらずだ。

 

ダグラ達だけど、トレーニングを始めた頃と比べて大きく戦闘能力を伸ばしている。

元々のスペックが高かったのもあるだろうけど、筋力は勿論、魔素量、技能も随分高くなってきた。特に目覚ましいのがその再生力で、例え腕の骨を折ったとしてもその程度なら数秒で治ってしまう程だ。

今なら腕をポロリしても生えてきそうで怖い。

 

そう言う私も汚染浄化の際に余った魔素で、最大魔素量アップに勤しんでいる。

その影響なのか、スキルの全体的な威力が上がり、肉体的にもかなり頑強になってきている。

それに、人化の練習も形にこそならないものの、大体感覚を掴んできた。

 

『それはいいとして!』

 

そう、平穏が約束されていて、それで目ぼしい事が無くなると途端に退屈さを感じるのが人の(サガ)

そう私は今、猛烈に退屈している!

ここに住む人達がウワサ話好きなのは何となく分かる。なんたって他に娯楽がないからね!

 

『くそ、まさか退屈がこんなに辛いとは…』

 

もうなんでも良いから刺激が欲しい!今なら例え人生ゲームだって一年、いや十年ぶっ通しで遊べる気がする。

食べて死にかけたロシアンルーレットサボテンパイだって刺激欲しさに食べてしまいそうだ。 と、思わず悪魔の囁きに乗り掛ける私。

 

『おっといけない』

 

そんな私が暇潰しに始めたのが、「虚飾者」の能力である「検索」の強化。

グー○ル先生には及ばないだろうけど、なにか調べものをしていれば気が紛れると思ったからだ。

 

虚転身を使う感覚で「虚飾者」に魔素をぶち込んで消費させたところ、なんと検索で調べられる情報が増えたのだ!しかも他のスキルの能力も底上げるオマケ付き!

これは使うしかない。

 

『(何故か分からないけど強化される…それが虚飾者クオリティ!)』

 

検索で調べても、消費したスキルや存在値は「世界の言葉」のシステムに飛ばされるだけで、「虚飾者」自体に能力強化の力は無いみたいだし。

 

『まあ、元々の目的は暇潰しだし、気にしてもしょうがないかー、うん!』

 

そう、私の目的は検索の強化で何か面白そうな事を探すこと。

現代っ子の情報に対する執念を舐めてはいけない(戒め)

 

他にも私がしようとしているのが前世の知識による再現とかなんだけど…

砂漠という現代日本とは異なる環境のせいでいまいち役にたつ知識が少ない。

なんせダマルガニアはアラジンとかに出てきそうなエギゾチックな砂の国、って感じで、活かせる知識が少ないのだから。

 

 

「いよーっす。クレア」

 

そんな試行錯誤している私に話しかけてくる男がいた。

その濃い紫の髪には銀色のメッシュが入っていて、腰には二本の剣を帯びている。

 

「相変わらず妙なモン作ってるな」

 

身元不明の男、ディーノだ。私の手元にある物体…人生ゲームの回す部分、ルーレットを見てそう言う。

私の自信作に対してなんと言う暴言だ。

 

『(まあ確かに重心も偏ってるし、変な形だけどさ!)』

 

回してもほぼ1しか出ないルーレットは確かに妙だと思う。でも言い方!

 

「まあまあ、そう怒るなって!お前に話があって来たんだよ」

 

うむむ、コイツは悪い意味で有名だもんな~、ニートだし。

そんなのの持ってくる話がロクな訳がない。

いちいち付き合ってられるか!私は今とても忙しいんだ!

 

「ちょっっと待て、俺は今お前のせいで大変なんだぞ!話くらい聞いてくれたって良いだろ?」

 

ダグラ達に頭目を譲れー、とか抜かしてたからねディーノは。ダグラ達がやる気になったから肩身が狭くなった事でしょう。そうでしょう。

 

「お前のせいで飯の量が減ったんだぞ!一体俺をどうするつもりだ!」

 

どうもしないよ? ただ、自然淘汰圧的な何かでどうにかなると思います。

それでなんでダグリュールの所に居候してるディーノが困ってるのかと言うとね。

 

『(ユニークスキル「怠惰者」ってあるけど、多分これが原因だよね?)』

 

検索によると、今もディーノから放たれている不幸になりそうな謎のオーラ。

この正体こそ「怠惰者」の能力だ。

 

『(多分、三兄弟達に掛かってたのが解けたんだねー)』

 

兄弟達が私に触発されてやる気になった結果、掛かっていた「怠惰者」が解けてしまったらしい。

それに加えて私の能力で、巨人達の使える土地を広げまくったから、今のダマルガニアは地域全体が活気に満ちている。そのお陰でディーノの立つ瀬が無くなっているんだろう。

 

『(そう言えば、ディーノは結局何しに来たんだろう?)』

 

えっ?本人が目の前にいるんだから聞けって?

…いくら私と言えど、目に見えている地雷を的確に踏み抜いたりはしないさ!

まあ、ご飯が減らされてお腹が減ってるだけみたいだし、頭に栄養は回ってない訳だ。

話し掛けられても適当に流してしまおう。

 

「けど、寛大なこの俺はお前を許してやろうと思うんだが…」

 

ほほう…(ビキビキ)

ーイヤイヤ、落ち着くんだ私!

許すも何もお前のせいやろ!とか、どんな思考回路してたらそんな言葉が出てくるんだ!とか、そんな言葉は一旦飲み込もう。

カルシウムの力を信じろ!スーハー…スーハー…

 

「許してやる条件として、お前に働いて欲しいんだ。」

 

どかーん!

大人な私と言えど三度はないぞ!許さん!

 

『(そっちは気づいて無いけど、こっちはそちらの弱みを握っているからね!)』

 

ディーノのスキル「怠惰者」の対象になっているのは私の兄弟だけではない。

なんとあのダグリュールにまで対象になっているのだ。

 

つまり、その事をダグリュールにバラすぞ!と脅せばディーノの鼻っ面を明かすことが出来る。

これが貴様の敗因だ!

 

『フフフ、お前の秘密を知ってるぞ…!』

 

私はそう話を切り出した。

最初は何の事か分からないと余裕の表情を浮かべるディーノだったが、私の話が進むにつれて表情が引き吊り、最後の方は顔を青くして話を聞いていた。

 

「まっ待て、い…いや!待ってください!」

 

必死に食い下がるディーノに対し、余裕の表情を浮かべる私。

最も、私ドラゴンだからほぼ表情が変化しないけどね!

爬虫類とか鳥類は表情筋が乏しいらしいし。

 

「ク、クソッ」

 

苦渋の表情を浮かべるディーノ。

グギギ、と歯を食い縛るその姿はまるで、追い詰められた犯人さながらだ。

 

「いや、ちょっと待った!」

 

何か閃いたって感じでディーノの顔が明るくなる。うーん、私に何かやましいことなんて無いよ?

 

「お前が秘蔵の酒を、勝手に飲んだ事を知ってるぞ!」

 

な…なんだと、

 

「しかもあれはダグリュールが楽しみにしてた年代物の奴だ!」

 

あれってそうだったの!?マジか!

酒蔵の中の見にくい所にあったからいらない奴だと思ってたなー、しまった。

どうりでなんか美味しいと思ったよ。

でもなんでディーノがその事を知ってるんだろう?

 

「あれは俺が飲むつもりだったのに!!」

 

お前もじゃねーか!!

て言うか目がマジじゃん。

 

取られる前に飲んどいて良かった~って気持ちと、その事実が露見した今の状況はマズイって感情が私の中で交差する。

その間に精神の余裕を取り戻したのか、ディーノが話し掛けてくる。

 

「切り札があるのはそっちだけじゃないわけだ、さあ、どーするよ?」

 

ぐぬぬ、どうする…この状況!

このままではディーノの流れに乗せられてしまう。

 

「難しく考えんなって、俺の頼みを引き受けてくれるだけでいいんだから」

 

何か、何かないのかー!

 

「お互い秘密を抱える者同士、俺達は仲間だ!」

 

まずい、これ以上は聞いてはいけない!

 

「さあ、共に歩もうじゃないか!この地塗られた茨のロードを!」

 

はぐ ぐーッ!

そんな ばかなーッ!

 

 

その日の夜、ダマルガニア中で酒がやたらと売れたのは当事者のみぞ知る話である。




いざ書いてみた所、ディーノが普通に働きだしてしまい大変でした。
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