有職転生〜関係ないけど本気だす〜 作:Tの決戦兵器※支援絵配り隊
魔力眼越しでも分かる。
先程よりも倍はある雲が、空を覆い尽くす。
たぶん、詠唱による自動操作と、ルーデウスの完全な勘による手動操作が同時に行使されるからこうなるのだろう。
一言で言えば幻想的。
幾つもの光が星のように輝き、どんどんとその光を明るくしてゆく。
重なり合った点が集まり雲の形を型取って、渦のようになっている。
ロキシーの言う通り、こんな光景なかなか見れるものじゃないだろう。
その渦を中心に、近くのものから遠くのものまでどんどん雲の形をした魔力を吸収、合体していく。
おそらくだが、魔力はあらゆるものに形を変える、もしくは元からあったものを取り込みそれを利用して形を変えるのではないか?
そうやって生まれてきた物は魔力を普通にあるものより濃くして、ああやって魔力眼に映る。
その濃度がある一定以上濃くなると魔力は自身を保てるようになり、その場に停滞するようになる。
中級以下の魔術のいくつかが、魔力を常に供給しないと状態を保てないのは、そういったことが原因にあるのではないだろうか?
それでも問題なく保てる水や土、風魔術(呼び出した際の形状は含まない)は、物理的に消えないのかもしれない。
今、ルーデウスは物理的に雲が消えないようにしているが、無意識のうちに魔力も注ぎ込み、集まってくる雲と魔力で生まれる雲によって凄まじい勢いで肥大化している。
これも自動操作と手動操作を同時にしているためだと思う。
そして、肥大化した雲の魔力は突然フラッシュのように光り魔力の形を変化させる。
変化するのは水と雷。
魔力眼で見ると、水はどちらかというと光る墨汁のように見える。
雷は色以外ほぼ同じ見た目だ。
その光景が30分くらい続き、次第に雲の光が弱まる。
たぶん肉眼だと変化が分からないんじゃないだろうか?
それぐらいの小さな変化。
そこから更に30分ほど経った頃、もうほとんど雲は散り元の形に戻っていた。
「どうやら、終わったみたいですね」
こちらに歩いてくるルーデウスを見て、ロキシーがそう言う。
「そうみたいですね。じゃあ、次は僕の番ですか?」
「はい、そうなります。では頑張ってください」
俺は、いつも通り眼帯が付け替えられるのを待つ。
が、いつまで経っても付け替える様子がない。
…あれ?
「あの、先生。次は僕の番ですよね?」
「?はい、そうですよ」
これは…眼帯を付け替えることを忘れている、のか?
ロキシーの言葉に、俺は若干困惑気味に答える。
「いや、『そうですよ』じゃないです。早く眼帯を付け替えてください」
これで眼帯を付け替えてくれるだろう。
そう思ったその時だった。
「あぁ、その事ですか。アルは今回、無詠唱による魔術の行使をしてもらいます。なので付け替えることはしません」
……えっ?
付け替えない?なにを?
もちろん眼帯のことだろう。
無詠唱による
ふーん、なるほど。
俺は魔力眼があるから最初から使えると。
そうかそうか。
それが試験の内容。
分かる、分かるよ?
でも、言わせてください。
「ええぇぇぇーーーー!!!???」
俺の驚きによる悲鳴に、ロキシーは耳を塞ぐ。
「なんですか急に叫んで。当たり前じゃないですか」
「え、でもっ。えぇ??」
いや、でもぉ…
こりゃないよロキシーぃ。
確かに、俺には二人と違って魔力眼って言うハンデがあるよ?
でも、でもさぁ。
まだ手に入れて一週間とちょっとしか経ってないし、練習する機会自体が少ないから魔力眼の方はまだ若干操れるだけなんだよ?
でも、ロキシーの方は本気で付け替える気がなさそうだし…
自分でやるにしても事故りそうだしぃ…
心配事を上げるとキリがなく、何回も考えているうちにいつの間にかまた同じことを考えていくという無限ループにハマって悶々としていると、俺は考える事をやめた。
あーもう考えるのはめんどくせぇ!
やってやんよやりゃいんだろぉ⁉︎(涙
「もう、やりますよ!その代わり、失敗しても文句言わないでくださいよ⁉︎」
「フフッ。えぇ、分かりました。文句は言いません」
ヤケクソに答える俺を、ロキシーは微笑ましそうに笑い送り出した。
ルーデウスと入れ替わるように土のカマクラから出た俺は、先程ルーデウスがキュムロニンバスを使っていた場所と同じ位置に着く。
ああは言ったがひとまず落ち着こう、うん。
動揺すれば失敗する可能性が高まるだけだ。
俺の辞書に、パニックという文字はない。
いや、それは怒られるか?
気楽にいこう、
今まで無詠唱でやってきたんだ。
思い出せ、なんのために無詠唱で水弾を出しながら腕立て伏せをしたんだ。
自分の努力を自分が信じないでどうする!
俺は、無言で空を睨む。
ルーデウスは
例えるなら、FPSのエイムサポート無しでスナをするようなものか。
確かに難しい。
だが、逆に言えばほぼ自由に操作設定できるということ。
そうだな、なら俺はせっかくだから雲をかき集めて作り出す、物理的なキュムロニンバスを作ってみるか。
大体の構成はできた。
あとは使うだけだ。
俺は、ロキシーにもらった初心者用の杖を大空に掲げた。
イメージは散り散りになった雲を集める感じだ。
雲を倍集めたらまた倍集めて更に倍…これを繰り返して巨大な雨雲を作る。
集まった雲を渦にしてから今度は横から上へと伸ばす。
極力魔力を消費せずに、物理的に周りの雲を集められる機能を形作る。
強風を発生させて雲を運ばせるのだ。
この方法は計算通りならルーデウスがやった方法よりも魔力の消費を少なくして強力なキュムロニンバスを作り出せる。
なぜこの方法を選んだのかというと、俺がルーデウスより3分の1ほど魔力総量が少ないためだ。
やってきた訓練はほぼ同じだが差が出るということは、そもそも体質が違う可能性がある。
なら、今のうちに魔力の燃費の良い使い方を模索しておこうという考えがある。
だが、自然に出来るものより早いとはいえ、やはり発動が遅い。
ある程度は自動化出来たとはいえ、雲の生成に物理のみを使うと、どうしても時間がかかるようだ。
その点では、ルーデウスのやり方は最速と言える。
結局、発動までにはルーデウスの倍以上の時間がかかった。
しかし、発動時の魔力の発光の強さはルーデウスのものと遜色ない明るさだった。
つまり、俺の無詠唱によるキュムロニンバスの行使は、成功したのだ。
「おめでとうございます。これであなた達は水聖級です」
そう言って、ロキシーは晴れやかな笑みを浮かべた。
「では、帰りましょうか」
「「はい!」」
こうして試験は無事終わり、俺達は帰路につくこととなった。
この世界でまず1つ目。
大きな目標を成し遂げた。
この日、俺達は『第一歩』を踏み出した。
その後、帰ると俺の焦げ焦げになった服を見て怒った母に、ロキシーは申し訳なさそうに何度も謝っていたことは、また別の話。
ちなみに、焦げてしまった服は翌日にはリーリャが修繕していた。
流石の手並みだ。
翌日。
旅支度を整えたロキシーは、二年前とまったく変わらない姿で立っていた。
変わっていることとすれば、それは来た時は
あとは、俺とルーデウスの背が伸びたことくらいか。
「ロキシーちゃん、まだウチにいてもいいのよ?教えてないお料理も一杯あるし…」
「そうだぞ。村の奴らだって歓迎するぞ?」
そう言ってロキシーを引き止めようとする両親。
だが、その言葉にロキシーは首を横に振る。
「ありがたい申し出ですが、今回のことで自分の無力さを思い知りました。なので、しばらくは世界を旅しながら魔術の腕を磨こうと思います」
俺も強くなろうとしているが、ロキシーの向上意欲には頭が上がらない。
彼女の生き方を見習わなければな。
「そうか…まぁ、なんだ。悪かったな。うちの息子達が自信を失わせてしまったようで」
こういう言い方しちゃうからあんまり見習う気になれんのだよなぁ、親父の生き方。
いや、どちらにせよ見習わないか。
「いえ、思い上がりを正していただいたことを感謝しています」
「水聖級の魔術が使えて思い上がりってことはないだろう」
「そんなものが使えなくとも、工夫次第でそれ以上の魔術が使えることを教えてもらったので…」
そう苦笑すると、ロキシーは俺達二人の頭に手を置いた。
「ルディ、アル。精一杯頑張ってみたつもりですが、わたしではあなた方兄弟を教えるのには力不足でした」
「そんなことはありません。先生は僕達に、色んなことを教えてくれました」
「そうですよ。先生がいなければ、今頃僕はこの世にいないんですよ?」
そう、ロキシーは命の恩人だ。
ロキシーいなければ、確実に俺はあの時死んでいた。
「そう言ってもらえると助かります…あぁそうだ」
ロキシーは、自身の懐を探るとそこから、革紐についたペンダントのような首飾りを一つ取り出した。
緑色の半透明の石でできた、三つの矢尻が組み合わさったような形をしている。
「卒業祝いです。用意する時間もなかったので、これで我慢してください」
「これは?」
「ミグルド族のお守りです。気難しい魔族と出会った時、これを見せてわたしの名前を出せば、少しぐらいは融通してくれる…かもしれません。一つしかないので、二人のどちらかが持つことになりますが…」
「大切にします」
「かもですからね?あんまり過信してはいけませんよ」
そう言ってロキシーは、ルーデウスにそのお守りを渡した。
俺は、特に何もいうこともなくその様子を見ている。
俺よりもルーデウスが持っていた方がいいと思ったからだ。
勘だがね。
そしてそのまま立ち上がり去って行くのか、と思いきやロキシーは俺を見て、少し動きを止める。
「アル。あなたは……」
と、何か言いかけたが考えるように俯くと「…いえ、なんでもありません」と言って立ち上がった。
ロキシーはなにを言いいかかったのだろうか?
あなたは強くなれます、とかだろうか?
いや、そんなことはどうでもいい。
「先生!」
去り行くロキシーに、ただ一つだけ。
これだけは言いたかった。
「また何処かで!」
ロキシーは振り返らず、そのまま去って行った。
結局、ロキシーにも俺がなんの種族なのかも、母の種族がなんなのかすらはっきりしなかった。
だが遠くない未来。
その母の種族について知ることを、
今回(第九話『卒業2』)のアルクトゥルスの全体像の挿絵はどうでしたか?
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え?普通に上手くない?
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まぁ〜上手いんじゃね?(適当)
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いや下手だと思う
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下手過ぎるやろw一からやり直して来いww
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下手ではないけど上手くも…
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最初からその画力でやれやこの猿ぅ!