有職転生〜関係ないけど本気だす〜   作:Tの決戦兵器※支援絵配り隊

12 / 18
第十一話『初心(うぶ)

 

 

イオと出逢って数日が経った。

 

イオは初対面時は分からなかったが、その容姿の通り優しくて明るい子だった。

その証拠にあの後、少し話すとすぐに打ち解け、意気揚々と明日もここで会おうと約束するほどになったのだ。

 

おそらく、隠れていたのに見つかって驚いていただけで、これが彼女本来の性格なんだろう。

 

イオの話によると、彼女はこの村の最も外れに位置する農家の一人娘で、母は畑を耕し、父も普段は畑を耕し、たまに狩りに出かけたり、魔物を討伐して村を守っているらしい。

 

狩りで仕留めた鹿や猪、野鳥は、四分の一を家族で食べ、残りを村を守護する討伐隊の隊長である、親父に売ったりして過ごしてるそうだ。

 

ウチで出るあの肉たちは、イオの家から来ていたわけだ。

 

ちなみにそのことを話すと、イオはものすごく驚いていた。

まぁ、村を守護する騎士様の息子の一人が、こんな森の岩場で一人剣を振ってたらそりゃあ誰だって驚くか。

 

じゃあ、なぜイオはそんな森の奥に一人で入って来たかと言うと、本人曰く山菜を採りに来ていたそうだ。

 

まだ幼いからか、女の子だからか、イオはまだ畑の手伝いとかはしていないらしく、村からも遠いためそれよりも近い森へよく遊びに行っていたのだという。

 

いつもはもう少し浅い場所で遊ぶのだが、あの日は親に山菜を採りに行ってくれないかと任されて、少し深いところに来ていたとのこと。

 

その親御さんには、感謝しかないな。

なにせ、イオが山菜を採りに来なかったら、俺は彼女に会うことすら出来なかったんだから。

 

 

そんなある日のことだ。

 

俺がいつもより少し早く岩場に着いて、イオが来るまで一人で魔術の訓練をすることにし、その後遅れて到着したイオに終わるまで少し待ってとお願いした。

 

最初イオは「分かった〜」と少し伸びた感じの可愛らしい返事をして、素直に腰を下ろし待っていた。

 

だが、数分後に訓練が終わりイオを呼ぼうと彼女の方を向くと、最初の位置から、少し動けばぶつかってしまいそうな程近い距離に移動しており、彼女の顔がすぐ目の前にあった。

 

簡単に言うと、恋人同士がキスをする3秒前くらいの顔の近さだった。

 

イオは、まるで今まで見たことが無いほどの絶景を見た子供のような純粋無垢な目でこちらをジッと見つめている。

 

しかもイオは俺の身長よりも頭半個分小さいので、本人が意識せずとも自然と上目遣いになっていて、なんというかこう、脳細胞が粉砕されていくのを感じる。

 

そうやって俺が数秒間固まっていると、イオが話しかけてきた。

 

 

「ねぇ、アル」

 

「な、なんだ?」

 

 

俺のハートは期待と緊張でとてつもなく速いビート刻み、今から彼女がなにを言うのかドキドキしている。

というかこれはアレだよな、絶対愛の告白とかそう言うのだよな?そうに違いない。

 

とか考えつつ、俺は固唾を呑んでイオの言葉を待った。

 

 

 

 

「私もソレ(魔術)、使ってみたい。教えて?」

 

 

 

 

ですよね。

 

分かってた、分かってたよ?

まだ五歳の子供に恋愛感情なんてあるわけない、だろ?

 

…うん…でも、はぁーーーー…

 

いや、別に今惚れられてなくてもいいんだ。

少しずつ少しずつ好きになって貰えれば、それで良い。

 

恋愛経験ゼロのヤツが下手に色々動くよりも、そうやってコツコツ良いことを積み上げていく方が効果があるハズだ。

 

こういう言葉がある。

 

塵も積もれば山と成る。

 

これからの行動は、これを中心的に考えるとしよう。

 

そんな感じで自分の心に区切りをつけた所で、俺はイオとの会話に戻ることにした。

 

 

「うーん、イオがやりたいなら別に良いけど、やるなら出来なくても文句は言っちゃダメだぞ?」

 

「もちろん!友達にそんなこと言わないよ!」

 

 

 

イオは元気いっぱいにそう言い放ち、胸に手を当ててフフンと鼻を鳴らす。

 

うん、これなら大丈夫そうだな。

 

 

「分かった。じゃ、明日から魔術の特訓だ!」

 

 

そう言って俺がオー!と手を上げると、イオもそれに釣られるようにオー!と手を上げた。

 

 

 

 


 

 

 

 

 

そして数ヶ月後(今日)、時が経つのは早いもので俺達は六歳になった。

 

あれからイオに魔術を教え、イオはあっという間に俺の使える全ての初級魔術と中級魔術のいくらかを覚えた。

もちろん無詠唱で。

 

魔力眼で見る限り、彼女の魔力総量も急激に増えてきており、これを見る限りルーデウスの()()仮説の信憑性は、だいぶ上がってきたと思われる。

 

そうそう、魔力眼と言えば最近、魔力眼の制御方法が分かってきた。

 

完全にオフにはできないが、

 

空気中に漂う魔力、

無機物有機物に流れる魔力、

そして生物の中心部にある一際明るい魔力。

 

大体この三つに分けて、そのどれかに絞れるようになった。

 

いちいちこう言うのも面倒なので、

 

一つ目の空気中に漂う魔力を宙魔力(ちゅうまりょく)

二つ目の無機物有機物に流れる魔力を流魔力(りゅうまりょく)

そしてこの三つ目の生物の中心部にある一際明るい魔力を、魔力魂(まりょくこん)と名付けた。

 

その三つの内この魔力魂は主に、その生物の魔力総量を表しているようで、イオの魔力総量もこれで分かった。

見方としては、大きければ大きいほど、明るければ明るいほど魔力が多いって感じだな。

 

魔力眼の機能を使い分けれるようになったおかげで、脳への負担がいくらか減ったことだろう。

これは包帯(コイツ)を取っ払うのも近いか?

 

 

まぁそれはそれとして、今日はイオと村の散歩だ。

 

最近気づいたが、どうやら俺のやっていた()()は普通のソレとは違うらしく、事実ではないそう。

リーリャにそう指摘されたのだ。

 

じゃあ遊びとは何かと聞いたところ、普通の子供ならおにごっこやボール遊び、知らないところへ探検しに行く、と言ったものを『遊び』と言うのだそうだ。

 

思えば俺は元ブラック社員。

遊ぶ機会自体なかったため、そういう常識が抜け落ちていたのだろう。

 

なら丁度いいし、休みついでにあまり行かないところにでも行ってみようとイオも誘ったところ、二言返事で「うん!」と頷いてくれた。

 

そしてあまり知らず、かつ危険の少ない場所を考えたところ、村の散歩ということになった。

 

 

現在、俺は見た事のないものを見てはしゃいでいるイオの質問に、ロキシーから聞いた情報を総動員させて、冷静かつ的確に質問に答えている。

 

 

 

「ねぇアルー。あれなに?」

 

「あれは水車だな。川の流れを使ってあの輪っかを動かして、小麦粉を作ってるんだ。」

 

「へぇ〜。あっ、あれは?あれはなに?」

 

「あれは石橋。木で出来ている橋より頑丈なものだな。あのアーチ状になった脚の部分が重い物や石橋自身を保つのに一役買ってるんだ」

 

 

 

と、言った感じで知っていることを話している。

まさかこんな所でこの知識が役立つとは思ってなかったが。

 

たまにはこうやってただ散歩して会話するってのも悪くないな。

 

とくに、質問に答えている時のイオのおぉ〜という声と共に、目をキラッキラさせる仕草とかがもうマジ天使。

 

脳みそ壊れちゃう。

 

そんなことを考えていると耳のあたりに何かが当たった。

 

 

 

「へぇ〜。じゃあー…あれ?」

 

「うん?」

 

 

 

イオもそれに気付いたようで、二人で顔を見合わせてから、ゆっくり目線を上にやる。

 

一瞬、ポツポツという音がしたかと思うと、一拍置いて、

バラララララララ‼︎

と、大粒の雨が叩きつけるように一斉に降ってきた。

 

 

 

「あわわっ」

 

「ヤベッ」

 

 

 

俺は、咄嗟イオの手を取り「ちょっと走るぞ!」と言いウチの方へと駆け出した。

 

 

 

「えっ!でもアル、そっち私の方じゃないよ⁉︎」

 

「いや!下手に向こうに行くよりうちの方が近いから!」

 

 

 

大きな雨音で声をかき消されないように、イオも俺も大声で話す。

 

 

 

「あっなるほど!でも、私なんかが急に行っちゃって大丈夫なの⁉︎」

 

「大丈夫!父様も母様も、そんなことで怒ったりしないから!」

 

 

 

むしろ、イオのことも紹介したかったから丁度いい。

 

そう思い、俺は我が家(ウチ)へ急いだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ウエーもうびしょびしょだぁ」

 

「そ、そうだね…ぜぇ、はぁ…」

 

 

 

俺がイオの手を引いたこともあってか、家までそんなに時間は掛からなかった。

 

正直言うと、別にあれくらいの雨を止ませることは出来たし、止ませずとも、風魔術を応用して降ってくる雨粒を弾き飛ばすことくらいは出来た。

伊達に風裂(ウィンドスライス)岩弾(ストーンキャノン)ばかり練習してきている訳じゃないのだ。

 

だがそうはしなかった。

 

何故か?

自然に悪いから?

 

いいや、違う!

 

全ては雨に濡れたイオの姿が見たかったから‼︎

水も滴る良い女を見たかった!

それだけのために、俺は魔術を使わなかったのだ‼︎

 

最低と罵って貰っても構わん。

俺は、ただ俺の見たいものを見るだけだッ‼︎

 

今、イオは長時間の運動によって、息切れを起こしている。

見るなら膝に手をついている今しかないィ!

 

そして、俺はそっとさりげな〜く後ろを振り向いた。

 

 

 

 

…!!!!!

 

 

アルクトゥルスに電流走る。

 

一体どうしたと言うのか。

 

説明すると、イオの着ている服は結構露出多めなのだが、実はそれに加え、生地も薄めになっているのだ。

 

土砂降りの雨。

水浸しになる衣服。

 

勘のいい者ならもう分かるだろう。

 

それでもまだ分からない者たちに比較的分かりやすく、かつオブラートに包んで説明するとー

 

 

ー彼女の持つ二つの『さくらんぼ』が、雨に濡れた衣服からモロに()()()いたのだ。

 

年齢イコール彼女いない歴の、少年のような初心(うぶ)な心を持つDTおじさんには、それはあまりに刺激の強すぎるモノであった。

 

ヤベェよヤベェよ想定外だよ。

 

ここまで透けちゃうとは思わなかった。

ヤバい鼻血出そう。

 

確かに至福だがそれ以上に今現在俺の目と脳みそがぁっ‼︎

 

 

 

「ん?どうしたのアル。私の顔に何か付いてる?」

 

「えっ!あぁ、いやぁ…ナンデモナイデス…ほ、ほら、それよりこのままだと風邪引いちゃうかもだから、早く家に入ろう」

 

「?そうだね」

 

 

 

イオはどうやら気づいてはなさそうだ。

ひとまずセ〜フ。

 

とにかく、風邪を引く前にどうにかしないとな。

 

そう思い玄関を開けると、そこにはリーリャが待機していた。

 

 

 

「お帰りなさいませアルクトゥルス坊っちゃまとお友達の方」

 

「あぁリーリャ、ただいま」

 

 

 

友達の方って言葉がスムーズに出てきた。

一緒に連れてくることを想定していたのか?

 

 

「申し訳ありませんが、今は浴室をルーデウス坊っちゃまとそのお友達の方が使用しておられます。アルクトゥルス坊っちゃまがよろしければすぐにお部屋の方に用意しますが、如何(いかが)なさいますか?」

 

 

あぁなるほど。

先にルーデウスがもう一人連れてきていたから、俺も連れてくることを予想できた訳だ。

 

そう一人で納得がいくと、俺はすぐに返事を返す。

 

 

 

「そうですね。では、そうしてください。ですが待っている間に風邪を引いても困るので、体を拭くためのタオルくらいは欲しいですね」

 

「それならこちらに用意していますので、どうぞお使いください」

 

 

 

そう言って、リーリャは用意していた大きめのバスタオルを『二つ』俺に手渡した。

 

 

「では、私はお部屋の方に用意しに行きますので、少々お待ちください」

 

 

そう言い残すと、リーリャは俺の部屋の方へと歩いていった。

 

俺もイオも黙々と自身の体を拭く。

イオは緊張しているのか、今のところ家に入ってから全然喋っていない。

友達の家に初めて招待されて戸惑い緊張している姿は、小動物みたいでまた可愛い。

 

と、思っていると、イオがおもむろに口を開く。

 

 

 

「さっきの人さ」

 

「ん?あ、リーリャの事か?」

 

「うん。リーリャさんってなんていうか、こう…」

 

 

「お母さんみたいだな、って」

 

「あぁ、確かにそうだな。何か言うこともあまりないけど世話焼きだし、俺にとっては第二の母的な、自慢のメイドだよ」

 

 

 

思えば、この世界で初めてコミュニケーションを取ったのはリーリャだったし、初めてお願いを聞いてくれたのもリーリャだった。

 

こんな人が母親だったらなぁ、とも思った事がある。

そんな本当に自慢のメイドさんだ。

 

 

「フフッ、アルはリーリャさんのこと大好きなんだね〜」

 

 

そんなことを考えているとイオにそう言われた。

顔に出てただろうか?

 

今はあまりイオの方を(色んな意味で恥ずかしいので)向けないから、相槌を打つだけして頭を拭いていると、数分後リーリャが戻ってきて湯の準備が出来たことを告げ、颯爽と去って行った。

 

それを聞き、俺たちも部屋の方へ向かう事にした。

 

 

 

 

 

 

当初、俺は先にイオが湯を使い終わるのを待ってから、次に俺が入るものと思っていた。

だが事は俺の全く予想外の方向へと向かっていく。

 

俺が用意されていた桶に湯を入れ、湯加減を調節し終わってイオから入ってもらおうとした時だ。

 

 

 

「よし、これぐらいでいいか。じゃあイオから先に入っていいぞ。俺は部屋の外で待っているかrー」

 

「ーんしょ(ヌギ)ん?」

 

 

イオは服を脱ぎ始めていた。

 

下はもう既にキャストオフ済みである。

 

 

 

 

 

 

【挿絵表示】

 

 

 

 

 

 

 

「な、ななっななっな…」

 

「どうしたのアル。早く脱がないとせっかくのお湯が冷めちゃうよ?」

 

「おまっちょっっ、どうしたもこうしたもあるかぁ!まだ俺がいるだろ!なんで脱いでんの⁉︎」

 

 

 

そう言って俺はイオの反対を向く。

 

こんなに可愛いのに痴女なのかウチのイオは⁉︎

 

 

 

「?だって脱がないと入れないしぃ」

 

「だからって他の異性がいる前で脱ぐな!」

 

「お父さんとは一緒に入ってたもーん」

 

 

 

…はっ、そうか。

よくよく考えてみれば、イオは俺と同じ六歳。

まだ父親と一緒に体を洗うくらいはする年だろう。

 

おそらく、まだ羞恥心という感情も持ち合わせていない、そんな年頃。

 

イオにとっては、異性の前で素っ裸になることは別に恥ずかしい事でもなんでもないということか…

教育がなってませんよお義父さん‼︎

 

だがしかし、それなら俺が教えればいい話よ。

 

そう考えた俺は、説明する言葉を選びつつ、イオから背を向けたまま口を開いた。

 

 

 

「…えっとな、イオ。女の子は男の前でそんなやすやすと裸を見せちゃいけないんだ。もちろん、父親なら別に構わないが、知らない人や友達に裸を見せちゃいけない」

 

「そうなの?」

 

「そうなんだ」

 

「そっかぁ…」

 

 

お、案外あっさり理解してくれたようだ。

よし、じゃあ行くか。

 

 

「分かってくれたんならいいんだ。じゃあ俺は扉の前で待ってるからー」

 

「あ、待って(グイッ)」

 

 

ーと思ったら速攻でイオに服の隅を掴まれた。

 

 

「ま、まだ何かあるのかぁ?」

 

 

引き止められた俺は、顔だけイオの方に向けそう答える。

 

 

「私…アルと一緒に入りたいの!」

 

「……」

 

 

え?今なんて?

俺の聞き間違いか?

俺もとうとう幻聴が聞こえてきたか?

 

あ、やめて?

そんな上目遣いでこっちを見ないで?

 

み、見えちゃう、見えちゃうから。

 

俺の心臓がそろそろ爆発するから、ね?ね?

 

そうやってしばらくジーッと何も言わず見つめて合う時間が続いたが、すでに俺の負けは明らかであった。

 

 

 

「分かった、分かったよ。入るから。ただし、背中を流すだけだからな!」

 

「うん分かった!ありがとう、アル!」

 

 

結局、俺はイオのお願いを断りきれず、彼女の背中を流すこととなった。

どうも俺は彼女の上目遣いに弱い。

 

まぁ、イオは可愛いからそれでもいっか。

 

 

 

 

 

ちなみにお願いを了承した際にイオに(下半身裸で)抱きつかれた時は、天にも昇る…というか、本当に昇天してしまいそうになったのは、絶対に言えない。

本当にありがとうございました。

 

 

 








【挿絵表示】
イオ全体図



※お知らせ

無職転生2次創作、『虎眼転生』より。
岩本虎眼改め、ウィリアム・グレイラットの支援絵を活動報告欄に投稿しました。

今回のイオのサービスショットはどうでしたか?※私がアマチュアである事を踏まえてお答えください。

  • え、上手くね?
  • まぁ上手いんじゃね?(適当
  • 成長してやがる…だと…?
  • いやどちらとも…
  • 下手じょん
  • 下手すぎワロタ
  • 下手になってないか?w
  • エッチだ…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。