有職転生〜関係ないけど本気だす〜   作:Tの決戦兵器※支援絵配り隊

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表紙①
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表紙①(改良)
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第十三話『顔合わせ』

 

 

また数週間ほど過ぎた。

最近はイオには驚かされてばかりだ。

 

普通なら理解出来ないであろう物理法則といった科学的解釈を、お試し気分でちょいと説明してみると、彼女はすぐにある程度理解し、魔術に応用しようと試み始めたり。

 

他にも中央大陸の地理の大半をこの数週間でほぼ記憶してしまったりと、もうなんでもアリな気すらしている。

 

え?読み書き?

 

教えた次の日にはもう全部マスターしてますが、何か?

 

この数週間で分かったが、どうやら彼女はとんでもない知りたがりのようで、少しでも疑問を持ったが最後、その事について何がなんでも知ろうとしてしまうらしい。

 

どうりであのデーt…お散歩の時に質問が多かったわけだ。

 

しかも説明すれば理解するから驚きだ。

 

この事を踏まえて、少し考えてみたが、俺は彼女に雑学の時間も設けることにした。

 

色んなことを知りたいと思うことは悪いことじゃないし、むしろ良いことだ。

彼女は説明したことはすぐ理解するし、無理に分からないことを問い詰めたりする事もない。

 

彼女が知りたいなら教えてあげるのが友人ってものだろう。イオの嬉しそうな顔も見れるしな

 

ともかく、イオに教えることがまた一つ増えた。

無理しすぎてイオが潰れないといいが…

 

まぁイオのことだ、これぐらいが丁度良いのかもしれない。

 

だが、それでも体調管理はしっかりしてやらないとな。

 

彼女は、前世の俺のようにはなって欲しくない。

 

話を戻して、今回雑学の時間を設けるに当たって、場所は教材になりそうな本のある俺の家になった。

 

理由としては、下手に本を持ち出して壊しでもしたら大変だから、というのがある。

 

杞憂かもしれないが、万が一を想定して動かなければな。

 

 

ちなみにそれをイオに伝えたところ、そりゃあもう喜んでいた。カワイイ…

 

なぜか理由を尋ねたところ、どうもウチで俺と体を流すのがめっぽう気に入ったらしく、これでまた一緒に入れるね!ってことだそう。

 

 

 

 

 

………エッ?

 

 

 

 

と言うことで、俺はイオに雑学を教える為に彼女を家へ招くたびに彼女と湯に入ることが確定した。

 

これはイオよりも先に俺が潰れるかもしれねぇなぁ…(出血多量)

 

 

 

今日はイオのお宅へお邪魔しに行く。

 

というのも、今日はイオが親御さんに山菜を採ってきて欲しいと頼まれたと聞いたので、じゃあ俺も手伝うかということになり、いつもより山菜が多く採れた。

 

そのため、流石にその量は1人では重いだろうということで、俺が四分の三を、イオが四分の一を持ち、ついでに両親へ挨拶も済ませてしまおう、となったのだ。

 

彼女の家は、俺が想像していたよりもずっと森の近くにあった。

村から遠いはずだ。

 

俺はてっきりイオくらいの子供にはまだ遠いと感じるくらいの距離だろうとばかり思っていたが、確かにこの位置は大の大人でも遠い、それくらいの距離がある。

 

俺がいつも鍛錬している森の真横なんだから間違いない。

逆に気づかなかった俺は鈍感か?

 

その家は一目見て分かる通りの木製で、屋根は我が家と同じ藁の平屋だ。

 

すぐ横には畑が広がっており、それを耕す女性が一人と、家の手前辺りで弓を構える男性が一人。

 

目線の先には木と藁でできた的があるので、おそらく鍛錬の最中だろう。

 

ギリギリと弓を引き絞る音すら聞こえる中、ヒュッと彼の放った矢は、見事的のど真ん中に命中した。

 

 

 

「ふぅ…」

 

「お父さん!お母さん!」

 

「ん?おぉ、イオじゃないか」

 

 

 

イオの父はそう言いながら次の矢をつがえる手を下ろし、走ってくるイオを抱き止めた。

 

 

 

「今日は前よりも早かったね。なにか、良い事でもあったのかい?」

 

「うん!今日はね、アルが山菜を採るのを手伝ってくれたの!」

 

「アル…?」

 

 

 

そう言うと、彼はイオの後ろで待機していた俺の方に目線を向けて、「あぁ」と納得したように頷く。

 

俺は歩いて二人の元へと向かい、イオの父に挨拶をする。

もちろん、貴族の挨拶の仕方ではなく、普通の礼を。

 

 

 

「初めまして、僕はアルクトゥルスと言います。娘さんとは仲良くさせてもらってます」

 

「ファランベールです。話は娘から聞いているよ、パウロさんの所の次男坊だってね。家から遠いのにわざわざここまで来てイオと遊んでくれてありがとう」

 

「イオは友達ですから、当然ですよ」

 

 

 

俺は髪が青いから警戒されることを覚悟したが、返事は思ったよりも柔らかなものだった。

 

彼はイオに目線を合わせ、片膝をついて「お母さんの所に行ってあげなさい」と言い、「うん!」と返事したイオは、そのまま自身の母の方へ走って行った。

 

その様子をファランベールはじっと見つめており、どこか嬉しそうだ。

 

イオの髪色は金だが、対して彼の髪は茶髪。

だがその瞳の色は、イオの瞳と同じ赤だ。

 

イオの母は、瞳は遠目では見えないものの、その髪は隣にいるイオと変わらない金髪だとハッキリ分かる。

 

髪を母から、瞳は父からの遺伝っぽいな。

 

そんな事を考えていると、どうやらファランベールはイオの様子をひとしきり見終えたようで、こちらに目線を移し口を開いた。

 

 

 

「はてさて、娘には友人は出来ないものとばかり考えていたんだが、まさかこんなイケメンの友人を連れて来るとはね。しかもパウロさんの所の次男坊って言うんだから驚きだよ」

 

「それはありがとうございます。この顔は両親譲りなので、とても嬉しいです」

 

「そうなのかい?それにしては右目に包帯を巻いているみたいだけど」

 

「あぁ、これは少々理由がありまして。怪我とかではないので安心してください」

 

「なるほど」

 

 

 

ファランベールはそう言い納得したように頷き、目を細めた。

 

どうやら深くは触れないようだ。

俺としては言っても良いが、面倒だしな。

 

 

 

「いやぁ〜にしても本当に出来たお子さんだ。パウロさんが羨ましいくらいだよ。娘には色々と教えてもらっているようだし、本当になんと礼をすればいいか」

 

「いえいえ、彼女の知ろうとする好奇心と、なんでもすぐに理解できる理解力の賜物(たまもの)ですよ。彼女は一度魔術を見せれば何も言わなくてもすぐに無詠唱で使えるようになりましたし、僕が居らずともいずれは友人も出来ていましたよ」

 

「その口振りから察するに、どうやら娘とは相当仲良くしていくれているみたいだね」

 

「そりゃあもう」

 

 

 

最近じゃ何度も一緒に体を流しているから、若干慣れてきたくらいですよ。

まぁ流し終わる頃には瀕死なんだけど。

 

 

 

「娘にこんな良い友人が出来て嬉しい限りだよ。でも、知り合いになるくらいならまだしも、君以外に娘と友人になってくれる子は、そうそういないと思うけど?」

 

「そんなことはないですよ。本人は明るくて元気だし、ちょっと知りたがりだけど、質問したことを相手が知らなかったらすぐに引き下がりますしね」

 

「うん?だけど娘がよく僕や妻に質問する時は僕らが知らなくてもー」

 

「おとーさ〜ん」

 

 

 

ファランベールが何かを言おうとしたが、イオが彼を呼んだことでその言葉は中断される事となった。

 

 

 

「おっと、呼ばれたみたいだ。すまないがアルクトゥルス君、話はまた今度」

 

「分かりました。帰る頃にはもう暗くなってそうなので、僕はもう帰ります。あぁそれと、コレはイオと集めた山菜です」

 

「良いのかい?元は君が採ったものだろう?」

 

「いえ、僕はあくまで見つけるのを手伝っただけですから。僕がこれを持っていたのは、山菜がちょっと多くとれたから荷物持ちをしていただけです」

 

「そうかい…まぁ無理に渡すのもアレだから、ありがたく貰っておくよ」

 

「イオは友達ですから、当然ですよ」

 

 

 

俺は彼に山菜の入った籠を彼に手渡してから、最後にもう一度そう言って帰路についた。

 

 

 

 

 

そしてまた数日が経った。

 

最近は水神流と北神流の両方を中級と親父に認められ、剣神流も初級から中級になるのも近いと告げられ、ウキウキな俺。

 

剣神流の独特な解釈にもだんだんと慣れてきて、自分でも結構成長が感じられるようになってきた。

 

親父の擬音訓練を解読するのが少し難題だが、なんとかなるっちゃなるのでまぁ問題ないだろう。

 

ちなみに兄貴のルーデウスは剣神流も水神流も初級だ。

 

初級といっても、流派に入った時点から初級と言えるので、実際は他の初級剣士よりも弱い可能性があるのだが…

 

まぁ親父の教え方があれじゃあ無理ない。

俺が裏で特訓しても良いが、頑張って教えてる親父に悪いからそれはやめとく。

 

イオとの時間を削られるワケにもいかないしな。

 

剣術も成長してきてイオとも一緒に居られてで、今が冬だと忘れてしまいそうなほどホクホクな俺に、また一つ吉報が舞い込んできた。

 

 

母が子を授かったのだ。

 

報告を聞いた日、一家全体が沸いたのは言うまでもないだろう。

なにせ俺を除けばルーデウスの二人目の兄弟が出来たのだから。

 

母はもう子が出来ないのかと悩んでいたから余計嬉しいと思う。

 

俺もルーデウスも喜んだ。

 

ルーデウスはできれば妹が良いと言い、親父は祝いの酒を飲み、これで我が家もまた一つ賑やかになると喜んでいた。

 

その一ヶ月後。

また一つ吉報が舞い込んだ。

 

メイドのリーリャもまた、子を授かったのだ。

 

俺は喜んだ。

 

だが、その喜びはそう長持ちはしなかった。

 

親父の顔に赤い紅葉型の跡が出来た日。

 

窓の隙間から吹き込んだ風が妙に冷たく感じた日。

 

俺は、今が冬である事を実感するのだった。

 

 

 

家の外では吹雪が吹き荒れる一方、その中では沈黙という吹雪が吹き荒れていた。

 

外から聞こえるその音は、まるで今のこの状況を表すようでもあり、また、部屋の片隅に縮こまるこの(当事者)を責めているようにも聞こえる。

 

ただ長い沈黙だけが流れ、吹き付ける風が窓をバンバンと揺らし始めた頃。

ようやく口を開いたのは、母だった。

 

 

 

「…それで、どうするの」

 

「奥様の出産をご助力した後、お暇を…と」

 

 

 

質問に答えたのはリーリャだ。

 

誰に聞いたのかも、何をどうするかも聞かれてはいなかったが、それでもリーリャが的確な返事を返した。

 

二人は主従の関係であるが、それでいて友人の関係でもある。

 

故にリーリャは母の言葉の抜けた質問に答えることができたのだろうし、母もリーリャの言葉の抜けた返事の真意を理解できたのだろう。

 

 

 

「…子供を産んだ後にしろ、産む前にしろ、今のあなたではどの道長旅は耐えられないでしょうね」

 

「…そうですね」

 

 

 

そうやってリーリャを心配する言葉が出てくるのは、長い友情から来るもだろうか、それとも母の持つ良心からだろうか。

 

おそらく両方だろう。

 

その様子を俺達は部屋の物陰から見守る。

 

 

 

「なぁどうする?」

 

「どうするって言われてもな…」

 

 

 

周りに聞こえないように小声で俺とルーデウスは話す。

 

とりあえず親父は使い物にならなそうだ。

 

辛うじて母がリーリャを助けたいとも思っているのが救いだが…

ルーデウスは考えはあるらしいものの、

 

 

 

「一応、策はあるんだが…」

 

「だが?」

 

「パウロとゼニスの間に溝が出来るかもしれない」

 

「ふむ…」

 

 

 

と、あまり良案でも無さそうだ。

 

確かに親父が起こした事案なのだから、親父が責任を取るって事じゃ間違っていないが、だとしても一家にしばらく気不味い空気が流れるのは避けたい。

 

俺達は他にも案を考えてみたが、結局良いものは無かった。

 

やはりアレしかない…か。

相当な博打になるが、何もしないよりかは何かした方が良いだろう。

 

そう考えをまとめ、俺は立ち上がった。

 

 

 

「お、おい。どうしたよ急に立ち上がって」

 

「…秘策がある」

 

「え?」

 

「成功すれば、誰も傷つかない。そんな秘策だ。そして失敗しても…」

 

「…失敗、しても?」

 

「…俺が傷つくだけで済む」

 

 

 

そう言って俺はルーデウスの返事を待たず、物陰から出た。

 

ルーデウスは何か言いたげだったが、もう遅い。

 

俺は、家族を守ると誓った。

ココ(異世界)で生まれ変わったその瞬間に。

 

その為なら、この身を捧げることも(いと)わない。

 

たとえ、イオと離れ離れになったとしても。

 

俺は、その一つの決意を胸に、母に話しかけた。

 

 

 

「母様。母様は、リーリャを追い出すつもりでしょうか?」

 

「……」

 

 

 

俺は単刀直入にそう聞き、母から返ってきたのは沈黙だ。

 

この沈黙を、俺はyesと受け取り、言葉を続けた。

 

 

 

「そうですか。なら、僕も出て行きます」

 

「………ごめんなさいアル。よく聞き取れなかったわ。もう一度、言ってくれる?」

 

「リーリャを追い出すなら、僕も出て行くと、そう言ったのです」

 

「…なっ!あ、アル⁉︎」

 

 

 

俺の言葉に、周りは騒然とし、誰しもが沈黙した中。

 

声を上げたのは、母ではなく意外にも部屋の隅に縮こまっていた父であった。

 

 

 

「アル!お前、自分が何言ってるか、分かっているのか⁉︎」

 

 

 

そう言いながら部屋の隅から出てきた父は、俺の目線と同じくらいまで屈んでから、俺の両肩を掴んだ。

 

母は、俺の発言に困惑してそれどころではないのか、父に対して何かを言う素振りはない。

 

 

 

「えぇ、父様。分かった上で話そうと出てきたのですから」

 

「だがなぜ、どうしてお前が出て行こうと…」

 

「簡単ですよ。この中で僕以外にリーリャの護衛は務まらないからです」

 

「……そんなこと…」

 

「そんなことない?いいえ、父様。そんなことあるんです。実際、母様は妊娠中ですし、出産後もある程度の静養が必要です。父様も、そんな母様を放っておく訳にもいきません、出産した子の面倒も見なければいけません。ルディは、確かに魔術の腕はありますし、治癒魔術だって使えます。ですが剣術に関しては、ハッキリ言ってゼロに近いです」

 

「…」

 

 

 

淡々と告げられる俺の言葉に、父は押し黙る。

 

父の目線は下がり、両肩に乗っていた腕の片方をダランと下げても、それでも尚、俺は言葉を続けた。

 

 

 

「ですが僕はある程度なら剣が使えます。魔術も出来ます。治癒魔術は使えませんが、その代わりリーリャから教えてもらった家事全般が出来ます。剣も使えて魔術も出来て、家事も代わりにこなせる。僕以上の適任は、ここには居ないでしょう?」

 

「……」

 

 

 

更に追い討ちを掛け、完全に黙ったと思ったが、諦めの悪い父は声を絞り出すようにして、言葉を発した。

 

 

 

「……だが…お前は、俺の息子だ。ルデ…ルーデウスが行かなくて良いなら、無理にお前だけが背負う必要はない。だろう…?」

 

 

 

ようやく出てきたのは、そんな淡い希望のような言葉だった。

 

だが、俺はこれを一言で遮った。

 

 

 

「……僕は紛い物。違いますか?」

 

 

 

俺のその言葉を聞いて、父は最初はなんのことか分からなかったといった感じだった。

だが、次第に意味を理解したのか、その目は見開かれ、顔は青くなっていった。

 

そうしてしばらく口をパクパクさせていたが、どうも言葉にならなかったのか、父は今度こそ完全に黙ってしまった。

自分の不甲斐なさを恥じるように。

 

これは俺も少し言いすぎたかと思った。

だが、これで準備は出来た。

 

少し番狂わせがあったが、まぁ良いだろう。

 

そうして、俺は今までの淡々とした、感情のない顔を、出来るだけ柔らかにして、話し掛けた。

 

 

 

「安心してください父様。僕だって、この家を出て行きたい訳ではありません」

 

「……アル…」

 

「これはあくまで提案です。まだそうと決まった訳じゃないんですよ。だからほら、そんな顔しないで立ってください」

 

 

 

俺はそう言って父の手を取る。

 

父の表情は先程とは違い、驚かせやがって、とでも言いたげな薄い笑みがある。

まぁ、さっきの顔よりかは幾分かはマシかな

 

俺は、母へ目線を向け、向き直る。

 

 

 

「母様、お願いです。家族が少し増えるだけです。どちらにも非はあるでしょうし、リーリャを許してはくれませんか?」

 

「……」

 

 

 

母は悩むように渋い顔をし、沈黙したままだ。

 

やはり、駄目だろうか…

最初から、大きな賭けだということは分かりきっていた。

 

もし、これで母が出て行けと言うなら、甘んじて受け入れよう。

 

そう諦めの感情が出てきた頃、声を上げる者が一人いた。

 

 

 

「母様、僕からもお願いします」

 

 

 

ルーデウスだ。

 

先程まで物陰に隠れていたルーデウスが、助けに来てくれたのだ。

 

その姿に驚いたのか、母は一瞬目を見開き、ハァ…と深いため息を一つ吐いた。

 

 

 

「分かったわ。二人には敵わないわね…リーリャ」

 

「はい、奥様」

 

 

 

母は一拍置くと鶴の一声を上げた。

 

 

 

「あなたを家族として認めます。勝手に出て行くのは許さないわよ」

 

「……はいッ」

 

 

 

これにて、我が家の家族崩壊の危機は、無事去った。

 

おそらく、母が悩んでいたのはリーリャどうこうといった事ではなく、単にルーデウスがどう考えているか、それを知りたかっただけなのかもしれない。

自分一人で勝手に決めてもいいものか、最後には疑問を持ったのだろう。

 

それは、今まで母が体験してきたことからきたものかもしれない。

 

だが真実は、母のみぞ知る。

 

 

その後、今後についてどうするかを色々と話し合った後、それぞれ自分の部屋に戻る事となった。

すると、部屋に戻る前に後ろからリーリャに引き止められた。

 

 

 

「アルクトゥルス坊っちゃまは、なぜあそこまでして私を助けようとしてくれたのか、分からないのです。なぜ私を助けようとしてくれたのですか…?」

 

 

 

そういう事か。

 

ふむ、そうだな…

 

 

 

「そんなの、決まってるじゃないですか」

 

 

 

確かに、リーリャは俺に家事や礼儀作法を教えてくれた。

だけど、やっぱり一番の理由は、

 

 

 

「あなたが、僕の母であるからです」

 

「…そうでしょうか?」

 

 

 

人の母になる自信がないのか、リーリャは頭を傾げる。

 

そんな彼女に、俺は胸を張って答える。

 

 

 

「えぇ、もちろん。ですからこれからは坊っちゃまではなく、『アル』と。そう呼んでください」

 

「…ですが坊っちゃま。私にその資格はー」

 

 

 

そう言うと思って、秘策を用意しておいたのだ。

 

 

 

「大丈夫ですよ。()()()()()()どちらも大切な母様ですから」

 

「…そうでしたね」

 

 

 

俺のその言葉の意味を理解した彼女はそう頷いた。

 

 

 

「はい。なので、これからよろしくお願いします。母様」

 

「分かりました坊っちゃ…アル」

 

 

 

こうして、我が家に新しい母が一人増えた。

 

まだ辿々(たどたど)しい部分もあるが、それでも彼女は俺にとって、理想の母親と言えよう。

 

 

 

 

 






感想欄から列強博書の序列が間違ってると指摘をいただきました。


序列は原作と変わらず、

一位『技神』

二位『龍神』

三位『魔神』←闘神

四位『闘神』←魔神

五位『死神』

六位『剣神』

七位『北神』

です。

指摘してくれた方、本当にありがとうございました。

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