有職転生〜関係ないけど本気だす〜   作:Tの決戦兵器※支援絵配り隊

17 / 18
第十六話『帰還』

 

 

 アルクトゥルスとイオ捜索のため、少しでも体力を回復させようと、あらかじめ装備一式を身に着けた状態でベッドに横たわるパウロは、中々眠る事が出来ずにいた。

 

 その脳裏に浮かぶのはアルクトゥルスの横顔。あの時あの中でパウロだけが捉えることの出来た、息子の表情だ。

 まるでこの世の全てを憎む者がする様な怒りのみを孕んだ顔。

 その顔を思い出して、彼は今更になって不安と後悔の念を抱いたのだ。

 

 真っ直ぐな性格というものは、確かに強さや決意に繋がる。

 

 だがそれ故に目的の為なら自分自身の身すらも削り代償とし、いずれその目的に必要ないと断言したもの全てを捨て去れてしまうということを、今になって思い出してしまった。

 

 そしてその目的を信じて疑わずに曇った(まなこ)は、ソレを要らないものと錯覚している事にも気付かず、自身の大切なモノさえも代償にしてしまう事も…

 

 だが、同時にこう思ってもいた。

 アルクトゥルスの事だから、きっと誰にも見つからずにイオを救い出して、今頃我が家へ歩いて帰って来てることだろう、と。そして平気な顔して『只今戻りました、母様、父様』と、パウロとはまたベクトルの違うイケメン面を晒して言うのだろうと。

 

 しかし、これはただの願望でしかなかった。

 

 なんの意味もないただの願望、だがそう思わずにはいられなかった。

 冒険者時代に培った、彼の錆びついた悪い予感が、これでもかというほどに警鐘を鳴らしていた為である。

 

 必死に気の所為だと首を振るが、悪い予感は消えず、結局眠る事は無かった。

 

 その日、彼は今までで感じた事のない、強い不安感に駆られた。

 

 彼の普段のチャラチャラとした雰囲気からは想像もつかない程の、深く強い不安。

 

 果たしてそれは、アルクトゥルスが発する、真っ直ぐな者特有の自己犠牲の様な何かを案じてか、それともパウロの鋭い潜在意識が感じ取った、アルクトゥルスの中に眠る()()()が目覚める事に対してのものか。

 

 それは、彼自身にも分かることはなく、気付けば夜は明けていた。

 

 窓から差し込む日の光は、うっすらとその顔を照らし、彼に夜明けを自覚させた。

 おちおち眠る事も出来ず、不安ばかりがグルグルと回っていた為か、彼の顔は一目で分かる程に老け込み、その目には隈が溜まっていた。

 

 

 ゼニスにあんな事を言っていたにも関わらず、実際の所は自分自身が一番不安だったのだと、その時気付いたパウロは、自らへの嘲笑を漏らす。

 

 

 

「…日が昇った、か……」

 

 

 

 リーリャからアルクトゥルスが帰ったという報告は、来ていない。

 なら自分がやるべきは、願望や妄想をしてただ待つのではなく、アルクトゥルスとイオ、二人を探す事だ。

 

 そう自分に言い聞かせ、彼は思考を切り替える。その素早い切り替え様は、ルーデウスが見れば尊敬の念を持つだろう。

 残念ながら当人はまだ眠ってるのだが。

 

 彼は自室の扉を開けて廊下を進み、まずは捜査隊を集めなければと考えていると、不意に、玄関の開く音がした。

 その音に、ハッと考え込んでいた顔を上げるパウロ。

 

 まさか、と思い無自覚に早くなる足。

 それに反応して、下にいたゼニスが声を上げた。

 

 

 

「アルクトゥルス!」

 

 

 

 パウロの目に玄関が入ったのとほぼ同時に、ゼニスがそう声を上げた。

 パウロには、その肝心のアルクトゥルスの姿が見えない。ゼニスの影で丁度見えないのだ。

 

 若干焦り気味になりながらも横にズレてそのシルエットを確認したパウロは、急いでアルクトゥルスの元へ駆け寄る。

 

 

 

「大丈夫か⁉︎ア、ル……」

 

 

 

 しかし、咄嗟に掛けた声は、アルクトゥルスの姿を見てしまった時点で完全に途切れた。

 ソレを見て、安否を問う事など、彼には出来る筈も無かったのだ。

 

 その姿を表すとするならば、『凄惨』の一言に尽きる。

 

 その身体にはとにかく血が付いており、血の付いてない部分を探す方が難しいほど真っ赤。

 中には肉片までへばり付いてある。

 

 明らかにアルクトゥルス以外の者の返り血。

 

 

 そしてその胸には、とても大事そうに抱えられている少女、イオがいた。

 一定のリズムで規則正しく動く身体からは、彼女が気絶しているだけという事がよく分かる。

 

 対照的にアルクトゥルスの呼吸は、間隔は長くそれでいて浅い。時折り聞こえる微かなヒューという呼吸音は、彼の状態が限りなく悪い事を物語っていた。

 

 アルクトゥルスの返り血が滴り、イオを赤く染めているが、一目見て分かるほどの外傷は見当たらない。

 だがそれの代わりのように、アルクトゥルスは一目で分かるほどにボロボロだった。

 

 その中でもよく目立ったのは、左肩に刺さり半ばから折れた剣の刃と、腰深く刺さったナイフの二つ。

 

 腰に刺さったナイフは急所は外れているようだが、明らかに内臓に達しており、今も柄から血を流している。

 

 左肩に刺さっている刃は、正確には刺さっているというよりも左肩から斜めに斬ろうとして折れたような、左肩に減り込んでいるというような形。

 

 いずれにせよ尋常ではない傷が、彼方此方と見て取れた。

 

 剣士であるからこそ、パウロには何が起こったのか想像が出来た。

 『戦い』でもなければ『蹂躙』でもない。更に殺伐とした、いわば、『殺し合い』。

 その惨状の一端であると…

 

 沈黙する空間に、行動を起こす者はいないと思われた。

 だが、一人だけ、意外な人物が、静寂とした水面に波紋を起こした。

 

 

 

 

 

 パウロが、アルクトゥルスを抱き締めていた。

 

 それが出来たのは、アルクトゥルスの身に起こった事が想像出来たからか、それとも彼の父親(拾った者)としての責任感故か。

 分かる事は、それまでピクリともしなかったアルクトゥルスが、まるで今その存在に気付いたかのように、ハッと息を呑んだ事だ。

 

 

 

「父、さま…?」

 

「アルクトゥルス。お前は、よくやった。よく頑張った」

 

 

 

 出てきた言葉は精一杯の労いの言葉。

 単純だが、だからこそ嘘偽りのないその言葉は、凍りついたアルクトゥルスの心を確かに動かした。

 

 

 

「…父、さん……」

 

「…おう」

 

「…俺、よくなんてやれてない…今日だって…ッ俺が、ヘマしてなければ、イオが酷い目に遭う事なんてなかッた……人だって殺すコトも…」

 

 

 

 アルクトゥルスは泣いていた。

 明確に何かを悲しむ訳でもなく、理由の分からない涙がただただ流れる。

 パウロからその様子を窺う事は出来ないが、押し殺した嗚咽と肩に感じる生温い涙の感覚でその状況を把握していた。

 急に口調が変わった事には少々驚いたが、血は繋がっていなくとも口調くらいは似るだろう、と、そう納得してパウロは表には出さなかった。

 

 

「それなのに、とてもッよくやったなんて…頑張ったなんてッ…俺、には…俺には…」

 

 

 

「…だが、それでもお前はよくやった。6歳の子供には十分すぎるほどに…もっと早くにこう言っておけばよかったと、今になって気付いたんだ」

 

「ッ……でも…でもッ」

 

「でもじゃない。偶には自分に自信を持て、お前はよくやっている。だから泣け、アル」

 

 

 

 そうパウロが言うと、アルクトゥルスの抑えていた感情はとうとう決壊した。

 

 

 

「ウッウゥァ…フゥッアァアア…ッゴメンッなさいッウァ…どぉさんっしんぱっいばっか、かけてッェ……ゴメンッゴメン……」

 

 

 

 

「ああ……最後に一つだけ、言わせてくれアル。

 

 

本当に、よく帰って来てくれた」

 

 

 

 

 アルクトゥルスは、それから暫く泣いていた。

 

 パウロは泣くアルに釣られて自分も少し泣きそうになったが、なんとか耐えていた。

 泣くのが子の仕事なら、それをあやすのは親の仕事。

 泣くのは自分の仕事ではないと、そう理解していたのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 自分のような父親が子に出来る事なぞ、せいぜい剣と女への身の振り方を教える事。

 

そして、自分の肩を貸してやる事ぐらいだ。

 

 

       ——パウロ・グレイラット——

 

 

 

 

 


 

 

 

 

 

 私、イオはご機嫌だった。

 その日は村に来ていた冒険者の人に、キレイな指輪をプレゼントしてもらったから。

 

 それがあまりにも唐突だったから、何か裏があるんじゃ?と疑ったけど、冒険者の人が「お嬢ちゃんが可愛いから」というアルにも言われた事ない言葉を聞いて嬉しくなった私は、そのまま指輪を受け取った。

 

 日に翳せばキラキラと輝く、赤い宝石の付いた銀の指輪。

 

 するとどうやら顔に出ていたのかな、アルにどうしたのかと聞かれた。

 私はその時の話を自分でも分かるくらい自慢気に彼に話した。

 話を聞いて少しムッとした顔になるアルを見て、ふふーんそんな顔してもあげないもーん、と考えたけど、言葉にする前に表情を戻したアルに、どんな風貌だったか、何人いたか、そんな事も聞かれる。

 

 それくらいなら覚えていたから、言葉を濁す事なく聞かれた事を話す。

 でもさすがにフードの上からその顔を見る事は出来なかったから、私は素直に謝る。

 アルは気にしていない様子で、いつもの優しい、柔らかな笑みを私に見せてくれる。

 

 彼は私と同い年なのにすごく優しい。私ならたぶん、文句の一つくらい漏らしてしまうかも。

 魔術とか知識だけじゃなく、こういう所も見習わなきゃね。

 

 

 それから、二ヶ月と三日。

 

 確かあと三ヶ月と十七日くらいでアルとルディの七歳の誕生日だったかな?

 ルディっていうのはアルのお兄さんで、アルの家にお邪魔している時にアルから紹介された人。

 

 もう一人シルフィちゃんっていう女の子もいて、最近は一緒に遊んだりもする、私のアルに次いで二番に出来た友だち。

 

 ルディともよく話すんだけど、こっちはなんだか目がちょっと怖いから、まだ友だちと言うほどでもないかな。

 

 そんな二人はもうあと三ヶ月ほどで七歳。

 

 私はその一週間前に七歳になるので、実は私の方がお姉さんなのだ。

 だけど、アルの話によると彼はグレイラット家に拾われた身であるそうで、本当はもう少し前に生まれたのかもと言ってた。

 

 本当の親の顔は覚えているのか聞くと、アルは“覚えていない”とも言ってた。

 

 

 話が逸れたけど、そんなある日、私はいつもより遅く帰ることになった。日も暮れ()れで、空が真っ赤に染まる、そんな時間帯。

 

 露骨に心配しているアルに、心配しすぎと言って笑った。

 

 友だちに心配してもらえるのは嬉しいけど、私だって帰り道くらい分かるし、森で遊んでた時だってこれくらい遅くなった日もあった。

 アルや他の人と関わり出して、私は自分が周りより幾らか賢い事が分かり始めていたので、それもあって私は自信満々だった。

 

 確か、慢心って言うんだっけ?私はそんな状態だったと思う。

 アルは最後まで不満そうな顔をしていたけど、イオがそこまで言うなら…って最終的には了承してくれた。

 

 

 帰り道は予想通り苦もなく、道を間違える事なく進んでいった。

 でも間違えないだけで、歩み自体は遅い。

 

 歩幅の狭い六歳の子どもの足では、どうあがいても時間が掛かってしまう。

 

 結局、そうこうしている内に日は沈み、左手に火魔術で灯りを作り、それで視界を確保する形になった。

 火魔術といってもただの灯りなので、特に何の魔術という訳でもないんだけどね。

 

 

 道のりが残り三分の一くらいに差し掛かった辺りで、私は気づいた。

 

 あれっ…?私…なんで森の中にいるの?

 

 何故か私は帰り道ではなく、道なんて影も形もないような深い森の中に、一人で立っていた。

 道は一本で間違えようはなく、しかもここまで深い森なら通る途中で気づけたはずなのに。

 いくら灯り一つで視界が悪いとはいえ、これはおかしい。

 

 そして記憶を辿ろうとしても、ある瞬間から朧げで、ここに至るまでの道がどうしても思い出せない。

 

 ハッと後ろを振り返るが、そこには茂みが広がるばかりで、どこを通って来たかも分からない。

 

 朧な記憶、意思のない歩み、不自然な移動…

 

 たぶん、私が十五歳だとか、それぐらいの歳ならまだ冷静に状況を判断出来たと思う。

 でも私は六歳児。

 いくら頭が良くても経験はどうしようもない。

 

 焦りに焦り、私はどうしたらいいのか分からなくなっていた。

 

 

 

 

 

 

「流石は『妖精の導き』。コレを使って待つだけで金のなる木が歩いて来るんだから、まったく楽な仕事だぜ」

 

 

 

 

 

 

 そう声が聞こえ、その方向を見る。

 

 

 

「だっ誰⁉︎」

 

「おいおいそんな警戒すんなよ『お嬢ちゃん』」

 

 

 

 そう言いながら夜の闇の中から姿を表したのは外套を羽織った男。

 その口調と声、風貌、そして『お嬢ちゃん』という呼び方で、私は一つの答えを見出した。

 

 

 

「……あの時指輪をくれた…?」

 

「おっ、覚えてくれていたとは嬉しいねぇ。俺はてっきりもう忘れていると思っていたんだが」

 

 

 

 独特な口調で話すその男は私に指輪をくれた人だった。

 濃い燻んだ紅の外套やその内に見える剣は変わっておらず、今回は顔を出しているのが唯一の違い。

 

 明らかにアヤシイけど、とにかく対話の先手を取るために、私は質問をする。

 

 

 

「…なんでこんな場所にいるんですか?それに『妖精の導き』って…?」

 

「お嬢ちゃんの着けてるその指輪のコトさァ」

 

「指輪…?」

 

 

 

 指摘され、左手人差し指に着けた指輪を見る。

 

 

 

「そうだぜ。その指輪を着けているヤツはこの俺の着けている指輪に反応して、自動的に装着者の所まで引き寄せる優れ物、ってコトらしいが俺にゃ〜よく分かんねェ」

 

 

 

 そう説明しながらその人は、左手に着けているサイズの違う私と同じ指輪をこちらに見せる。

 

 これでもかというほど親切に説明してくれるのは、私がただの六歳の女の子だと思っているから、かな。

 自動で引き寄せる…それならさっきの朧な記憶も説明がつきそう。

 でも、流石にそんな強力な効果をそう何度も使う事は出来ないんじゃない?

 

 そう考えながら相手を見つめると、それを察したのか続けて、

 

 

 

「まぁ、その代わりこの魔力付与品(マジックアイテム)の効果は一日に一度しか使えねェって話らしいがなァ」

 

 

 

 と説明される。

 

 魔力付与品(マジックアイテム)という物があるという話は、アルから一度だけ聞いたことがある。

 どういう物かはアルも知らなかったけど、この指輪がそうなの?

 

 私はそう熟考するけれど、そんな事は気にしないとばかりに目の前の外套の人は回答を続ける。

 

 

 

「あとォー、もう一つの質問はなんだったけか…あぁ〜そうそう。なんで俺がこんな所にいるか、だったかァ」

 

 

 

 頭をポリポリと掻きながら思い出した様に質問内容を繰り返す外套の人。

 

 

 

「なんでって言われてもなァ、ガキでもそれくらい分かるだろ?それとも夜遅くに外を出歩く悪い子に、お仕置きを加えに来た、とでも返せば満足か?」

 

 

 

 予想はしていたけど、本当にそういう事みたい。

 どうしよう?こういう時どうすればいいかは一応アルから聞いている。

 

 けどそんな事私に出来るの?アルのように剣も振った事のない私が?

 

 やるとしたらどうするの?火魔術と土魔術は殺傷力が高すぎる。

 水魔術じゃ威力不足かも。風魔術で吹き飛ばすのは?

 

 でも風魔術はあんまり使ってない。アルなら出来ると思うけど、練度の足りない私に出来るの?

 

 

 アルは言った、私ならなんでも出来る、本当にやろうと思えば出来る、私にはそれが出来るだけの才能と気質がある。

 

 …なら、私は…

 

 

 

 彼の言葉を信じる。

 

 

 

「私は悪い子だから、お断りさせて貰います!」

 

 

 

 私はそう決意の言葉を放ち、空気の衝撃波を発生させた。

 

 

 

「ウオッ⁉︎」

 

 

 

 凄まじい轟音と爆風にやられないよう、しっかりと鼻と口、耳を塞ぐ中、確かに聞こえた声。

 見ると、外套の人が立っていた場所から10メートルほどの所で転がっていた。

 

 成功っした!

 

 でも成功に喜んでいる暇はない。

 受け身を取って素早く体勢を整えていた身体を動かし、すぐにその場から離れる。

 

 走る走る走る。

 

 緊張して思うように動かないかもと思っていた身体は、驚くほど冷静で、躓く事なく確実に距離を離す。

 

 これなら…!そう思っていた時、目の前の茂みを抜けると、広い場所に出た。

 いや…違う。見覚えのある場所に出た、というのが正確。

 

 そう、ここは——

 

 

 

「イテテ、危ない危ない。もうちょっと強かったら、意識が飛んでたゼ」

 

 

 

 聞き覚えのある声が聞こえた。

 

 見覚えのある外套、衝撃波によって乱れた髪。

 

 

 

「なんで?って顔だなァ?簡単なコトさ、コレの効果が『実は一日に二度使えました』ってだけさァ」

 

 

 

 …そっか、道理で親切に教えてくれると思ったら、私を騙して絶望させる為の虚言(ブラフ)だったのか。

 馬鹿だ、私。

 

 そうだよね、相手が自分の手の内を、タダで晒す筈はないんだ。

 賢い賢いと持ち上げられて、慢心して、それで騙されてたら、失笑も出てこない。

 

 

 

「すまねェなァ。コッチの依頼主が絶望した状態が見たいって注文なんだ。だからま、俺を恨むなよォ?」

 

 

 

 そう言いニヤニヤと笑う外套の人。

 恨みはしない、自業自得だから。

 

 でも…ここで捕まっちゃったら、お父さんやお母さん、アルの、迷惑になる。

 …それだけはイヤだ。

 

 私は再び手に魔力を集める。

 一日に二度しか使えないというのが嘘だったとしても、私は何度だって逃げてみせる。

 

 

 

「しかし魔術まで使えるとは、こりャ〜もっと高く売れそうだ。だがお嬢ちゃん…」

 

 

 

「デカイ音を出したのは失敗だったな」

 

 

 

 私の後頭部に強い衝撃が走り、手に集めた魔力は霧散した。

 

 え…

 

 

 

 

 

 

 その後は知っての通り、私は捕まり、アルに救出される事で事なきを得た。

 でも、何?この感情は…この治まらない胸の鼓動は…一体?

 分からない、こんな気持ち始めて。

 ただ一つ確かなのは、アルが近くにいる時にこうなっちゃうって事だけだけど…

 

 

 

「どうしたイオ?何か…体が痛むか?」

 

 

 

 俯いて考えに耽っていると、アルが心配した顔でそう聞いてきた。

 ここはグレイラット家の客室の一角、そのベッドの上。

 

 アルに救出された私は、ゼニスさんにヒーリングで治療して貰った後、この部屋で安静にさせていた、そう起きた時にアルから聞いた。

 

 

 

「あ…う、ううん。大丈夫、全然平気だよ?」

 

「そうか…ならいいんだけど」

 

 

 

 そう言って目を合わせると、もっと鼓動が強くなってくる。

 

 や、やっぱりダメだ、どうしてもドキドキしちゃう。

 何?この正体は、一体なんなの?

 

 私は、アルの目に心の内を見透かされるような気がして、咄嗟に目を逸らした。

 

 

 

 





 遅すぎた明けまして()
 どうも皆様。
 前回の投稿から実に三ヶ月程の期間が空いてしまいました。ほんと何やってんでしょうかね(白目

 今回はグダつきながらもなんとか投稿出来た形なので、お兄さん許して…
 あと、アルクトゥルスの魔剣のデザインを変えてみたんですよ。


【挿絵表示】


 前のやつは月光剣っぽくて良かったは良かったんですけど、なんというかコレジャナイ感があったので、大幅に変えてみました。
 前のやつよりも圧倒的なカッコ良さが出てると思うので、今回の魔剣は気に入って貰えるのではないでしょうか?

 ちなみに今回は少しアルトリウスの大剣を参考にさせて貰っています。

 もう一つ、活動報告に『斧の勇者の魔王譚』の斧の勇者「奥寺 夕」の支援絵を載せていますので、そちらもどうぞ。


 もう見てくれている人が居ないかもしれないけれど、居ると信じて私は頑張ります。


 では…
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。