別世界の自分になったけど親友は変わらないようです   作:kumakiti

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前編

 目が覚めたら前髪が邪魔だ。急にどうしたと思われるかもしれないが、寝る前まで自分は短髪だったはずだ。それが一晩で伸びてるとかホラー以外の何者でもない。というか叫んでしまった。そして甲高い越えにビックリしてさらに叫んでしまった。

 

 落ち着いて部屋をよく見てみると、部屋も見覚えがない。何が起きたか全くわからない。部屋に置いてたゲーム機もないし、かけてあった制服もない。

 鏡があったからその前に立って絶句した。見知らない女の子が立っていたからだ。

頬をつねってみる。痛い……。女の子も泣きそうな顔でつねっている。泣きそうな顔がかわいくて見とれてしまっていると、机の上にある携帯が鳴った。

 

 着信を見てみると、ユウキの文字が出ている。着信画面は親友のユウキと自転車で行った湖の写真だ。あいつは景色を撮るのが好きで、よくつれ回されていた。その時々で撮った写真をよく待ち受けやアイコンにしていた。最近はずっと湖の写真にしていたはずだ。

 

 藁にもすがる思いで電話に出た。

 

「もしもし?ユウキ?今、ヤバイこと起きててお前に相談したいことがあるんだ。家に来てくれないか?」

 

 テンパっていた俺は、ユウキの用件も聞かずに捲し立てた。

 

「うん、分かった。落ち着いて。今から家に向かうよ。今日は日曜だしね。」

 

「おう、待ってる」

 

 電話を切ってから気づいた。相手の声が高いことと、聞き覚えがないことに……

 

 

 

「うん、それで?」

 

「目が覚めたら、いきなり女になっていたんだ。ていうかお前も女になってるし、両親は俺が変わっていることに気づいてないし……」

 

「ちょっと落ち着こう。情報を整理させて。」

 

 そう言われて相手を見る。ユウキと名字も同じなのに性別も見た目も違う誰かを。

 

「まず一つ目、朝起きたら同じ名前の性別が違うその体になっていた。二つ目、周囲の人間はそれに違和感を持っていない。三つ目、私とカズキ……でいいんだよね?私たち以外の性別は変わっていない。」

 

無言でうなずく。

 

「ごめんね、私にもどうしてあげたらいいか分からなくて……」

 

「しょうがねーよ。急にこんなこと言われても信じられないよな……」

 

「ううん、信じるよ。嘘を言ってないって分かるよ、こんなに必死なんだもん。」

 

「ユウキ……」

 

 目の前が涙でぼやけてきた。不安で一杯だったけど、安心したら今まで堪えていたものが溢れてきた。

 

 その時、ユウキから急に抱きつかれた。

 

「え?え?」

 

「大丈夫だから、泣かないで。これからの生活はちゃんとフォローするよ。」

 

 女の子と今まで付き合ったことも、ましてや抱きついたこともない俺は涙も引っ込んでガチガチに固まってしまった。

 

「どうしたの?」

 

 柔らかいものが自分の胸に当たっている、そんなこと言える雰囲気でもなくて

 

「あ、ありがとう……もう大丈夫だから」

 

 そう返すだけで精一杯だった。

 

 

 ユウキは今俺の前で何か考え込んでいる。余裕がなくてさっきまで気にしていなかったけど、改めてユウキの性別が変わっているん  だと実感がわいてきた。ユウキは俺の世界でも顔が整っていたがこの世界のユウキも顔が整っていて、かわいいというよりも美人という感じだ。肩より少し長いロングヘアから覗く顔を見てると、目が合った。

 

「明日はどうしようか?」

 

「どうするって、学校じゃん。遊べねーよ」

 

「登校するんだよ?制服の着方とか分かる?」

 

「……たぶん」

 

「分からないよね、よし!今から教えるよ」

 

「適当でいいじゃん、制服着て下には今着てるインナーでいいんじゃね?この体胸も小さいし」

 

「ダメに決まってるでしょ……それカップつきのインナーじゃないし、ブラぐらいして!確かに小さいけど……」

 

「っ、ユウキだって大きくないじゃん!」

 

 胸の大きさなんてどうでもいいと思ってたのに、なんか急に腹が立って口答えしてしまった。

 

「Cはある。小さくない」

 

「ハイ、ゴメンナサイ」

 

 睨まれてしまった。

 

 その後、一通り気を付けることを教えてもらっていよいよ服を着ることになった。

 

 

「ブラジャーて案外簡単につけれるんだな。もっと難しいと思ってた。」

 

「まぁ、スポーツブラだからね。背中にフックがあるわけでもないし」

 

 制服の着方も一通り教えてもらってその日はユウキも帰っていった。ベッドのなかで明日のことを考えていたらそのまま寝てしまった。

 

 夢を見ている。多分男に入ってるもう一人の俺、この体の持ち主。すごく慌ててるのをぼんやりと眺めていると、ズボンを下ろし始めた。おい!やめろ。見るな!声が届くわけもなく、小さいとボソリと呟かれたのが聞こえた。別世界の自分とはいえ女の子に言われたと思うと泣けてくる。その時インターホンが鳴った。こいつは気付かずにずっとかまってる。必死でアピールしてもこいつは気付かない。こいつはノックされて始めて気づいた。返事するな入ってくるだろ、やめろヤメロ……

 

 もとに戻ったときユウキに、どうやって言い訳しよう……




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