自分のことを僕というのがトレーナーで、ボクというのがテイオーです。
夢見る少年
『シンボリが先頭に立った!! 大歓声だ!!大歓声だ、京都レース場!! 赤い大輪が薄曇りの京都レース場に大きく咲いた!!三冠ウマ娘!! 8戦8勝!!! 我が国競ウマ娘史上、不滅の大記録が達成されました京都レース場!!』
誰もを魅了したシンボリルドルフの無敗の三冠達成。このレースは人々に大きな影響を与えたことは間違いない。
もちろん、まだ10歳の少年にも、大きな影響を与えていた。
「スゴーイ!!僕は……僕は!!」
少年は1つの夢を見つけた。
「まさか15歳にしてトレーナーになる者が現れようとは、君には驚いた」
「そんなことないですよシンボリルドルフ会長」
彼は今日よりトレセン学園専属のトレーナーに就任した。水色の髪と目、年齢にしても少し低い身長が特徴の可愛らしい少年だ。
「君は謙遜しすぎだ。歴史上、例を見ない快挙だ」
「……そうですか」
冷たい返事だ。特に興味が無いらしい。
「ひとつ聞こう。君は何故トレーナーになったんだ?」
「……これしか無かったからです」
「……詳しく聞かせてくれるかい?」
「親もいないので働くしかなかったんです。だからトレーナーになりました」
働かなければならないからといってこの世界で最も倍率の高い職業であるトレーナーに就任しようと考えるのはいささか疑問ではある。が、これ以上は詮索しないのが吉か。
「分かった。一先ず学園の案内をしよう。テイオー」
「はいはーい!!会長呼んだー?」
「彼の案内を頼む」
トウカイテイオー。私に憧れてトレセン学園に入ってきた、可愛い後輩だ。今日は私とカラオケに行く約束で彼の案内をしてもらうことにした。
「じゃあ君!!早く行こー!!」
「分かった、会長失礼します」
彼の少し冷たい声。緊張しているのだろうか。それにしても素っ気ない態度な気もする。
「あぁ」
今は気にしないでおこう。
「ねぇねぇ、会長かっこよかったでしょー!!」
ボクはとりあえず会長の話を新人トレーナーにしてみる。その話を聞いて彼の目は少し輝いて見えた。
「そんなのずっと前から知ってるよ。無敗の三冠達成、凄かったもん」
「えぇー!?君もしかして会長のファン?」
「………まぁ」
少し迷ったように見えた。でも今はそんなことより彼が会長のファンだということが大事だった。ボクの心は踊った。
「ボクね!!会長に憧れてここに来たんだ~。夢は無敗の三冠ウマ娘!!」
突然、彼の目が曇ったように見えた。ボク、何か悪いこと言ったかな。
「叶うといいね」
ここもとりあえず、言ってくれた感じだった。気に触ることを言っちゃったみたい。
「君の夢は何~?」
ボクの話を聞きたくなかったのだろうかと思い、彼のことを聞いてみた。
「………叶わない夢だよ」
彼の目はもっと曇ったようだった。
~次の日~
ボクが学園に向かっていると学園の塀をよじ登ろうとしている人物がいた。
「…君、何してるの?」
「ん?取材受けるのがやだからここから侵入しようかなって」
昨日の新人トレーナーだった。
最年少でトレーナーになりあろうことか凄腕トレーナーが集まるトレセン学園専属のトレーナーになったのだ。世間が彼に注目するのも無理はない。
「危ないよ?ウマ娘ならまだしも……」
「……」
あれ?またなにか気に触ることを言ったかな。少し怒ってるみたいだけど……
「見てな」
彼は塀を軽々とよじ登ってみせた。
「おぉー!!スゴーイ!!じゃあボクもー!!」
その場のノリでボクも塀をよじ登る。
「なんだよ」
「何もないけど、折角だし話しながら向かおうよ」
彼は明らかに嫌そうな顔をしている。
「ほら、早く行かないと遅れちゃうよー!!」
「……はいはい」
そうして二人で歩きだした。
実は1章は既に出来ているので気分次第で投稿する日は決めます。