「トレーナー!!」
ボクは暇になったのでトレーナー室にやってきた。そこにはトレーナーとタキオンの姿があった。
「テイオー!!」
「テイオー君、何か用かね」
最近、トレーナーはタキオンとよく話している。タキオンが授業に出ていないから話をする時間が長いだけだとトレーナーは言っていたけど……
なんだか、よく分からないけどモヤモヤする。
「暇だったからさー!!」
「やっぱりね」
トレーナーは僕のことはお見通しだとでもいうかのように机から携帯ゲーム機を取り出した。
「さっすがトレーナー!!分かってるねー」
「ふむ……トレーナー君、私は研究室に戻ろう」
「研究がんばー」
トレーナーは適当にタキオンを帰す。間違いなくボクを優先しようとしている。嬉しいけど少し申し訳ないかな。
「よーし!!今日は負けないぞー!!」
僕とトレーナーはよくゲームをする。ちなみに今のところトレーナーに勝てた事がない。アクションゲーム、パズルゲーム、リズムゲームetc……本当に色んなジャンルのゲームで戦ったけれど勝てない。あろうことか1番得意だったダンスゲームですら負けた。
「うわぁ!!負けたぁ!!」
「どやどや」
「めちゃくちゃウザいよトレーナー」
頬をふくらませて見るけどトレーナーはそれを見てむしろニヤニヤ笑ってくる。
トレーナーは中学生の時まで友達がいなかった暇な時はゲームしかしていなかったらしい。だから上手いんだと本人は言っていたけどそれにしても上手すぎる。
「また勝ちー」
「あー!!もう!!」
今日はスマ○ラで勝負しているのだが、全く勝てない。トレーナーが頭おかしいコンボを繋げてきて気づけば死んでいる。
「トレーナー、今日はここまでにする。怒りでトレーナーを殴り飛ばしそうだから」
「へいへーい」
トレーナーはボクのことをこれでもかと言うくらい煽る。それにイライラしちゃうから長い時間はできない。
それに今日はゲーム以外のことでもモヤモヤしていたからいつも以上に頭にきている。
「ねぇ、トレーナー。トレーナーにとってボクは何?」
「友達以上恋人未満の大事な担当ウマ娘様だよ」
こうやってちゃっかり恥ずかしいことを言ってくる。でもトレーナー曰くお互い様らしい。そんな恥ずかしいことボク言ったっけ?
「ねぇ、トレーナー。ボク白衣似合うと思う?」
「……もしかしてタキオンに嫉妬してる?」
物凄くニヤニヤしながら聞いてくる。トレーナーはあの日からほぼ毎日私服の上に白衣を着ている。タキオンも同じくほぼ毎日白衣を着ている。それがパッと見姉弟みたいで少し気に食わない。
「そ、そんなわけないじゃん!!」
「大丈夫大丈夫。テイオー、僕と君の仲でしょ?心配しなくても僕の相棒はテイオーだよ」
「……そっか」
トレーナーはやっぱり僕のことを大切にしてくれている。そう思うとモヤモヤも吹き飛んでいった。
「ちなみにテイオーからすれば僕はなんなのかな?気になるー!!」
「うーん……双子かな」
咄嗟に出てきた言葉にボク自身も驚いた。
「あー、でも分かるかも。それに会長やタキオンに聞いたら双子って言われそう」
「会長は双子って言うねー!!間違いない!!」
会長はボクとトレーナーが話しているのを見るといつも『君達は本当に仲がいいな』だとか『やはり二人とも似ているな』だとか『君達はウマがあっている。上手くいくだろう。ウマだけに』だとか言っている(最後のはただのダジャレだけど……)
「双子かー……テイオーともっと前に出会ってたら僕も変われたのかなー……」
トレーナーは少しいじめを受けていたらしい。ウマ娘でもないくせに三冠を目指す彼は周りの人からすれば異端でいじめられても仕方なかったんだと彼は言っていた。
昔のことは多くは話してくれない。ただ彼が沢山傷ついてここまで来たということは何となく分かっている。
「まぁ、そんなこと言っても過去は変わんないんだけどねー」
「トレーナー、大丈夫。ボクは君を幸せにしてみせるよ」
突然、トレーナーは少し顔を赤くする。
「相変わらず恥ずかしいこと言うねー。大丈夫、充分幸せだよ」
トレーナーは照れて顔をかきながら言った。照れて少し赤くなっているのがとても可愛い。
「はぁ……トレーナーは可愛いね」
「ほう、喧嘩を売るつもりか」
トレーナーに可愛いと言うと照れ隠しにいつもの言葉が帰ってくる。
「ふふ、ごめんごめん」
「全く……はぁ……僕も一回はかっこいいって言われたい……」
トレーナーは容姿の関係上、かっこいいと言われたことがないらしい。ちなみにボクは言われたことがある。
「トレーナー!!気分が乗ってきた!!もう一回対戦しよー!!」
「おっ、やる気か?」
「今なら負ける気がしないよー!!」
なんだか気持ちが湧き出てきた。トレーナーと話していると本当に楽しい。怒りを忘れてしまうほどに。
なお、このあと完膚無きまでボコボコにされ、ブチギレるテイオー様がいたらしい。
ウマ娘がトレーナーに恋愛感情を抱くのがウマ娘二次創作だと多いですけど、この作品ではそういうのはなしの方向で行きます