皆で歩む夢の話   作:月見草クロス

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毎日投稿はあと一週間くらいは続けますが、そこからはペースが落ちそうです。


最悪

「はぁ…はぁ……」

 

これだけ心が砕けていても、走ることだけはやっぱり楽しい。

 

「はぁ……」

 

ただ、走っていられる時間には限界がある。そして、走るのをやめてしまうとどうしてもテイオーのことを考えてしまう。

 

「ダーメだ」

 

なんだかどうでも良くなってその場に倒れ込んだ。

 

正直、どうすればいいか分からない。もう頭の中がぐっちゃぐちゃで何をしても上手くいく気がしない。

 

「どうしよっかなぁ……」

 

流石にこのまま、河川敷に寝転んでいると変人だと思われるかな。でも今、立ち上がる気力ないなぁ……

 

「ちょっとあなた大丈夫?」

 

「……ん?」

 

声をかけられ、顔を上げるとそこにはトレセン学園のジャージを着たウマ娘が心配そうに僕を見ていた。

 

 

「私はキングヘイロー。あなた、テイオーさんのトレーナーよね?」

 

「……まぁ、ね」

 

折角なのでということでキングヘイローと一緒にトレセン学園に戻ることにした。

 

「トレーナーなのに走るって、少し変ね」

 

「走ってると何も考えないでいいから。何かあったらずっと走ってる」

 

「……スズカさんみたいなことを言うのね、あなたは」

 

なんで今、サイレンススズカの話が出てくるんだろう?

 

「まぁ、いいわ。今は大変でしょう?」

 

「ウッ……」

 

「……テイオーさんとは大丈夫なの?」

 

どうやら初対面ながらも心配してくれるみたいだ。物凄くプライドが高くてなかなかトレーナーが付かないって聞いてたからもっと性格悪いのかと思ってた。

 

「大丈夫……じゃないけど、大丈夫」

 

「なによそれ」

 

呆れられた。

 

「あぁ……そうだ、ちょっと聞きたいんだけど」

 

「……なに?」

 

「キングの母さんって、確かなんか凄いウマ娘だったよね」

 

「えぇ……まぁ」

 

「親からのプレッシャーってある?」

 

突然、変なことを聞くのでキングは物凄く嫌そうな顔をしてきた。

 

「……あるわよ」

 

「だよね」

 

「それがどうしたのよ」

 

「プレッシャーって、やっぱり辛い?」

 

「……えぇ」

 

何がしたいのかサッパリなキングは僕の事を不思議そうに見てくる。

 

「それがなんなのよ!!」

 

「いや、もう大丈夫。ありがとう」

 

「えぇ……まぁ、お役にたてたなら良かったわ」

 

少し何か言いたげだったけど今はそれを聞くほど僕に余裕が無い。また今度落ち着いたら聞こうかな。

 

 

そして次の日……

 

「理事長!!あの記事一体どういうことですか!!」

 

理事長室にシンボリルドルフの大声が響いていた。

 

「あの記事!!嘘っぱちにも程がある!!」

 

「会長、落ち着いて」

 

「自分のことだぞ!!トレーナー君ももう少し怒ったらどうだ!!」

 

会長は今までに見たことの無いくらい取り乱していた。

 

「くッ……私からマスコミに直接訂正を要請しに行く。たづな!!」

 

「はい!!」

 

今日の昼に出たネットの記事には『トウカイテイオーのトレーナーがウマ娘と仲良く会話!?担当入れ替えの疑い?』と書かれていた。

記事にはバッチリ僕とキングが話している写真が貼ってあった。あの後も僕達は話しながら帰った。その時にたまたま写真を撮られ、この前の喧嘩の件と合わせれば確かにそう捉えることも出来る。

 

まぁ、きっと記事になるからって思って書いたんだろうけど。

 

「理事長、大丈夫ですよ。もういいです」

 

「……ダメだッ!!このまま放っておく訳には……」

 

「もう僕この仕事辞めます」

 

僕の心は完全にへし折られた。

 

 

「……」

 

「らしくないじゃないか、会長」

 

「あぁ……すまない」

 

タキオンが私に紅茶を差し出してくる。

私には彼に何をしてやればいいのかもう分からなかった。彼はもう完全に意気消沈している。無茶をしていた時のやる気も一切感じない。

 

「にしても困ったねぇ……彼のことだ、本当に辞める気だろうね」

 

まだ、彼が辞めるということはまだあの理事長室にいた私と理事長とたづなさん、そして私から話をしたタキオンしか知らない。テイオーには……とても言えない。

 

「私も残念だよ……全く、私のトレーナーになってくれんじゃなかったのか」

 

トレーナー君は今、トレーナー寮に引きこもって出てこなくなっている。何度か行ってはみたものの返事も返ってこなかった。

 

「……はぁ」

 

「ため息をつくんじゃない。幸せが逃げるじゃないか」

 

「……私はどうすればいい」

 

「時には見守るのも大事なんじゃないかな」

 

「……そうだな」

 

今は信じよう。それも、きっと会長としてすべきことなのだろう。

 

 

「トレーナーが……ェ…マヤノ!!それホントなの!?」

 

『う……うん。学園ではもう噂になってるみたい……』

 

マヤノから突然、電話がかかってきたかと思うと『トレーナーちゃんが辞めちゃうかも』なんて言われた。これをマヤノから聞くのは二度目だった。

 

「………いやだ」

 

『トレーナーちゃんとは最近会ったの?』

 

「……記者会見から会ってない」

 

『…大丈夫!!テイオーちゃんを見捨てるなんてことしないよ!!』

 

「ボクのせいだ……」

 

ボクが記者会見の時にあんなこと言ってなかったら……

 

『だ…大丈夫だって!!とりあえず!!今日も早く寝ること!!ユーコピー?』

 

「……アイコピー」

 

マヤノにそう言われたけど、眠れることはなかった。




キングの育成が上手くいかなさすぎて困ってます
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