「やっほー!!トレーナー!!」
合宿中、男子寮と女子寮の間に位置する建物で、ご飯を食べているとテイオーがやってきた。
「おー!!これがテイオーちゃんのトレーナーさん?」
「そーそー!!ちょっと可愛いでしょ?」
「うんうん!!」
えっと……?
「トレーナー、紹介するね。ボクと同室のマヤノトップガン!!」
「よろしくねー、トレーナーさん」
「あぁ、よろしくー」
マヤノトップガン、既にデビューを済ませている中長距離が得意なウマ娘。テイオーからたまに話は聞いている。
「というかテイオー、可愛いはやめてよね」
「まぁまぁ」
「……やっぱり喧嘩か?」
「違うよー!!」
可愛いというのはやめてもらいたい。こちとらしっかり男子である。
「テイオーちゃんとトレーナーさんは仲良しでいいねー。大人な感じはしないけど……なんか兄弟…いや!!双子みたい!!」
「よく言われる」
僕達もそう思ってはいるが僕とテイオーのことを双子みたいという人はかなり多い。兄弟っぽいのだけどどっちが年上っぽい訳でもないからだと思う。
「にしても、いいなー!!テイオーちゃんのトレーナーさんはこんなに可愛いなんてー!!マヤのトレーナーちゃんとは全然違うなー」
「そりゃあ、可愛くても困るだろ」
「うひゃぁ!?」
マヤノトップガンが突然、悲鳴をあげたと思うと男の人に猫のような持ち方で掴まれていた。
「やー、すまんすまん。俺はこいつのトレーナーなんだ。よろしくな、テイオーのトレーナー」
「あー……どうも」
マヤノトップガンのトレーナーはゴリマッチョだった。圧がやばい。
噂によればチームを設立しているらしく、とても腕はいいらしい。
「ほら、マヤノ。他のメンバーが待ってる、行くぞ」
「えぇー!!やだー!!離してー!!」
「それじゃあ、後輩!!また今度ゆっくり話そうな」
「あー……はい」
マヤノトップガンが「離してー!!」とずっと言っていたがゴリマッチョトレーナーは無視して連れて行ってしまった。
「行っちゃったねー……」
「だな」
ちょっと気になるし今度話を聞いてみようかな………
テイオーが海でトレーニング中なので、僕はタキオンとキングとで砂浜でトレーニングなんだけど……
「……デュフ」
「………」
なんかおる。なんだこいつ。
「おやおや、デジタル君じゃないか」
「………」
「呼ばれてるぞ」
「……尊い……ウマ娘ちゃん達の水着姿……あぁ……眼福……」
「????」
ダメだ。こいつ話聞いてないし僕なんか聞いちゃいけないこと聞いた気がする。
「デジタルくーん?」
「うわわわわ!?たたたた…タキオンさん!?」
タキオンが顔を近づけると物凄い勢いで離れた。
「あぁ…ダメ……そんなに近づかれると……フフ」
なんだこのウマ娘。恐ろしく笑い方が気持ち悪いんだけど。
「トレーナー君、なんだかよく分かっていないみたいだから紹介するよ。彼はアグネスデジタル。私の同室のウマ娘さ」
「あぁ!!推しが私のことを紹介してくれている!?あぁ…幸せ……」
「……タキオン、こいつ何とかしてくれ」
このアグネスデジタルとかいうウマ娘。僕には色々とキツすぎる。
「デジタル君は私が何を言っても聞いてはくれない。それどころか気絶されるかもしれないからね。君が話したまえ」
「はぁ……」
アグネスデジタル……所謂オタクというやつなのだろう。しかもかなり重度の。ウマ娘がウマ娘のオタクとはなかなか変わっている。
「あの、デジタルさん?ここで何してるの?」
「あなたは……トレーナーさんですか?」
「まぁ…テイオーのトレーナーだけど」
「あぁ!!タキオンさんから聞いてますよ。色々と」
「!?」
視界の端でタキオンの尻尾が見た事ないくらいピーンとした気がしたけど、どうしたのだろうか。
「トレーナー!!終わったよー!!」
そんな時にテイオーが海から出てきた。
「ふぅ……疲れたぁ……トレーナー、タオルちょうだい」
「へいへい」
ちょっとイタズラをしたくなったのでテイオーにタオルを投げつけてやる。
「わっ!?」
「ニシシ!!」
「やったなー!!」
タオルを投げられびびったテイオーが僕の元にやってきて、持ち上げられ、テイオーに海の方へと運ばれる。
「わわわ!?」
「イタズラするトレーナーは~!!びしょ濡れになれー!!」
そのまま海に放り投げられた。
「ウワッ!?」
「ニシシ!!トレーナーびしょびしょじゃん!!」
何とか浅瀬まで泳いで戻る。というか今日は水着じゃなくて普通の服着てたのに……
「オラァ!!」
「うわぁ!?」
反撃をと、水でビショビショのTシャツを脱ぎ、大きく振ることで水を飛ばしてやった。
「ほらほらー!!反撃したいなら来いよー」
「望むところだー!!」
テイオーも海に入り、水のかけあいになってしまった。
「あぁ…トレーナーさんとテイオーさん……なんて尊い……しゅき……」
「デジタル君?」
タキオンですら困惑させるウマ娘、アグネスデジタル。一体何者なんだ……
「キングちゃーん!!」
「うわっ!?」
時は変わって、夕方。トレーニングを終え、合宿用の寮に戻ろうとしたところキングがピンク色のウマ娘に突撃されていた。
「う……ウララさん。ここで何をしているの!!」
「えへへ……キングちゃんが見えたからついつい」
ハルウララ……無敗のシンボリルドルフとは正反対の無勝のウマ娘としてトレセン学園では有名だ。その弱さからまだトレーナーはついてないはずだけど……なんでいるんだ?
「ウララさんは、たまたま枠が一人分空いたから来ることになったのよ」
「あー、なるほど」
合宿のバスに乗る際に、実家に帰らなければいけなくなったのウマ娘がいると聞いた気がする。その代わりとして来てるのか。
「トレーニングは?」
「一応、会長が見ているらしいけど……ウララさんしっかりやってる?」
「もちろん!!今日もすっごく褒めてもらったんだー!!」
キングはハルウララに甘々だ。表情がいつもより凄い柔らかい。
「キングちゃん、あの人がテイオーちゃんのトレーナー?」
「えぇ、そうよ。そして、未来の私のトレーナーでもあるわ」
「よろしくハルウララ」
「うん!!よろしくー!!」
ハルウララは元気いっぱいだ。走る力はトレセン学園でも最下位だろうがこの元気は皆に力を与えてくれそうだ。
「キングちゃんねー!!トレーナーさんのこと凄く沢山話してくれるんだよー!!」
それを聞いて、キングの尻尾がピーンとなった。
「ウララさん!!は…恥ずかしいから言わないでぇ!!」
「えー!!なんで?」
「なんでもよ!!後で人参ケーキ奢るから……ね?」
「人参ケーキ!!分かったウララもう言わない!!」
めちゃくちゃキングが何言ってるのか気になるが、追求はしないでおこう。
「それじゃあ、私は失礼するわ。ウララさん、帰りましょう」
「うん!!」
……そういえばなんだか今日は色んなウマ娘に会った気がするなぁ……
何気にデジタルがかなり好き。