『さぁ!!三冠のうちの最後のひとつ!!菊花賞!!もちろん注目はこのウマ娘!!怪我を諸共せずにターフに帰ってきた!!トウカイテイオー!!』
観客がわきあがる。
「ボクは絶対勝つ!!」
ボク達の大勝負が遂に幕を開けた。
僕達の夢の舞台、最後の三つ目『菊花賞』。
その日が遂に訪れた。そんな中、僕達はどうしているかと言うと……
「テイオー!!」
「トレーナー!!」
盛り上がっていた。控え室でだ。
間に合ったのだ。つい二日前に医者から許可が降りた。本当にギリギリのギリギリだった。
「遂に……遂に来たんだねボク達!!」
「あぁ……!!」
緊張はいつも通りしている。ただ、僕もテイオーも楽しみなのだ。このレースには二人の夢が詰まっている。まぁ、緊張するから無理矢理テンションをあげているのもあるのだが。
「テイオー、色々あったけどさ、良かったよここまでこれて」
「なになにトレーナー。クサイ言葉言わないでよー」
「いやぁ、ここまで良かったなぁって」
医者からは奇跡の復活だと言われた。まさか菊花賞までに走れるように回復させるとは思ってもいなかったのだろう。応援しているとも言ってくれた。
「あれ?」
なぜだか涙がこぼれてきた。
「トレーナー!!泣くのは勝ってからにしてよね!!」
「あはは……悪い悪い」
その通りだ。今はテイオーをしっかりと送り出さなければいけない。
「……テイオー」
「何、トレーナー?」
「……終わったら、一緒にどこかに出かけよう」
「……なにそれ」
テイオーは呆れるように少し笑った。
「分かった。約束だよ、トレーナー」
「うん」
そろそろ時間だ。皆が待っている観客席に行かなければいけない。
「トレーナー」
「何、テイオー?」
「……絶対勝ってくるね」
「当たり前だ」
手を差し出す。テイオーは分かっていたかのようにその手を握る。
皐月賞、日本ダービーと同じように約束を確認しあった。
「来たな、トレーナー君」
「皆いるね」
今日はテイオーの大舞台ということでタキオンとキングはもちろんのこと会長にそのトレーナー、アルタイルメンバーまで皆が集結していた。
そして、メンバーの中に有名なウマ娘も多いもので周りの観客は少し距離を取っているのが少し面白い。
「あのー……」
「はい?」
と、思っていたら隣の観客から声をかけられた。
「テイオーのトレーナーさんですよね?」
「そうですよ」
「やっぱり……ありがとうございます!!」
突然、感謝されて困惑する。
「ここにいるのはテイオーの非公式ファンクラブでして……今日テイオーが走れるのはあなたのおかげですから!!感謝して当然ですよ!!」
「非公式ファンクラブ……ねぇ」
そんなものあったんだ。初めて知った。まぁ、テイオーは人気のウマ娘だし、容姿もかなり整ってるしね。ファンクラブがあっても何も問題ないけど……
「僕、テイオーの役に立ててるかな」
「もちろんですよ!!なぁ、皆!!」
リーダーらしき人物が周りに声をかけるとかなりの人数が返事をした。どうやらまぁまぁな人数いるらしい。
「あ、そうだ。このレースでテイオーが勝ったら僕から色々お願いして公式ファンクラブにしますよ」
「本当ですか!?」
「だから、みんなで沢山応援しましょ」
「もちろんです!!」
ちょっと自分を認められてついつい言ってしまった。まぁ、いいや。
「トレーナー君また勝手なことを……」
「すいません会長」
「……いや、まぁいい。君がそうしたいなら私も協力する」
「会長…!!」
相変わらず会長には頼りっぱなしだ。
「デジタル、今回のメンバーはどうなんだ」
「……ウマ娘ちゃん達の中には強豪も沢山います。例えばナイスネイチャさん。ブロンズコレクターと呼ばれていますが実力は間違いないです」
「サンキュー」
何だか口調がグチャグチャになるアグネスデジタル。ウマ娘に対しての知識なら人一倍あるらしい。
「テイオー君は勝てるのかい?キング君はどう思う」
「一流の私が練習を手伝ったのよ!!勝って当然よ」
タキオンとキングはだいぶ仲良くなった。これならチームを作っても問題なく進められるだろう。
『さぁ!!三冠のうちの最後のひとつ!!菊花賞!!もちろん注目はこのウマ娘!!怪我を諸共せずにターフに帰ってきた!!トウカイテイオー!!』
「テイオーちゃん出てきたよ!!おーい!!」
マヤノトップガンが手を大きく振る。それに対して、テイオーが手を振り返す。
「テイオーがんばれー!!」「応援してるぞー!!」「かってこーい!!」「信じてるぞー!!」
ファンクラブのメンバーさん達も大きく声をかける。
それを聞いてか知らないがテイオーはこちらにやってきた。
「皆ありがとう」
「テイオー」
「……会長?」
「私に追いついてこい」
「……もちろん!!見ててね!!会長!!」
「……あぁ!!」
会長だからこそ言える言葉だった。それはテイオーにとって、最も力になる言葉だ。
「ほら、テイオー。早く戻りな」
「分かってるってー」
テイオーは僕に言われてターフに戻っていく。
「トレーナー君」
「会長?」
「……君には本当に感謝している。ありがとう」
「……照れくさいからやめてください」
「でも、これが本心だ」
テイオーを見るとゲートインをし終えたところだった。どうやら、遂に始まるらしい。
『最後の冠をかけて……菊花賞!!今スタートです!!』
僕達の最後の夢の舞台が、今始まった。
前の回の誤字報告頂きましたありがとうございます