「トレーナー……!?」
「テイオォォォ……」
倒れ込んで終わったかと思っていたのだが、ボクは抱き抱えられていた。誰でもない、トレーナーに。
「トレーナー!?こんなところで何してるのさ!!」
「よろけてたからこうなると思って助けに来たんだよ!!バカ!!」
トレーナーは泣きながら僕を軽く叩く。
「あはは…やっぱりトレーナーには敵わないや……ありがとう、トレーナー」
「テイオー」
涙を拭きながらトレーナーはボクの顔を見た。
「全く……心配させないでよ」
「ごめんごめん、あとさ……恥ずかしいからこれやめない?」
「……!?」
トレーナーは勢いで抱き抱えていたらしくそれに気づいて顔を真っ赤にした。
「トレーナー、肩貸して」
返事を待たずにトレーナーの肩に捕まる。
「……!!」
足に激痛がする。これはまた折れているかもしれない。
「テイオー、早く手当てを……」
「トレーナー……待って、マイク貰ってきてくれないかな」
「……誰かマイクを!!」
トレーナーが大声で呼びかけてみると、すぐ近くでボクのことを心配そうに見ていたネイチャが貰いに行き、持ってきてくれた。
『みんなありがとう』
ボクの声がレース場に響いた。
『ボク、無敵の三冠ウマ娘に慣れたみたい。まだ実感ないや』
レース場はボクの声を聞くために静まり返る。
『ボクの……いや、ボクだけの夢じゃない。ボクのトレーナー……今隣にいるトレーナーと二人で二人の夢を!!今叶えたんだ!!』
今までは会長の真似をして指を一本、二本とやってきた。だから今日も……あ、そうだ。
「ほら、トレーナーも。会長のやつ!!分かるよね?」
「……はい?」
「ほら、やるよー!!せーの!!」
ボクとトレーナー、二人が三本の指を掲げる。
その瞬間の大歓声は今まで静かだったとは思えないものだった。
『テイオー!!テイオー!!テイオー!!』
『ここで!!テイオーコールが巻き起こっています!!この奇跡の復活劇に会場が震えています!!』
隣でトレーナーが大泣きしている。人のことは言えないんだけどね。
『今一度!!歴史に名を刻む無敗の三冠ウマ娘!!トウカイテイオーに大きな拍手を!!』
こうして、ボク達の夢の舞台は幕を閉じた。
あれから一週間が経過した。
「テイオー、これからどうするよ」
「うーん……とりあえず怪我を治してから考えようかな」
テイオーは再び同じ部分を骨折していた。前の骨折の時の医者によればレースで明らかに限界を超えた走りをしたかららしい。ただ、医者はテイオーの勝利に感動していてまだ走ってくれと言ってくれた。応援してくれる人がまだまだ沢山いる。どうやら、まだ僕達は止まれないらしい。
「まぁ、まだ勝ってないウマ娘もいるしね」
「そうそう、とりあえずマックイーンとは対決したいなー」
「あー、それは確かに」
テイオーは再び入院。だけれど今回は前回より軽かったので二週間で退院となる。即ち後一週間だ。
「ねぇ、テイオー実はさ……チーム!!作れるらしい!!」
「えぇー!?ホントに!?」
テイオーの無敗の三冠に大きく貢献したというのと、菊花賞の際にテイオーを助けた勇気ある行動により世間からの評判が上がり、理事長にチーム設立の許可を得た。これで、タキオンとキングが正式に僕の担当のウマ娘になる。
「やったね!!トレーナー!!」
「テイオーのおかげだよ」
「でも、ちょっと寂しいなー……トレーナーボクだけのトレーナーじゃなくなるんだよね?」
テイオーがニヤニヤしながら言ってくる。
「ニヤニヤしながら言うな」
「あぁ……顔に出てたかぁ……困らせようと思ったのにー……」
三冠ウマ娘になり、怪我をしていても相変わらずだ。
「トレーナー、ボクいつか会長を越えるウマ娘になる。だからこれからもお願い出来る?」
「もちろん。チームになっても、テイオーは大事な担当ウマ娘だからね」
「相変わらず恥ずかしいこと言うよね……」
いつも思うけどお互い様だよね。
「よーし!!まだまだ頑張るぞー!!」
僕達はこれからも走り続ける。
ここまで読んでくださりありがとうございます。
正直、思いつきで投稿し始めたので思っていたより読まれて驚きました。
まだ続きはあるのでこれからもよろしくお願いします。しかし毎日投稿をしたせいで今現在ストックがあまりないので少しの間お休みを入れます。書くことはある程度決まっているのでお楽しみに。