皐月賞の次の日……今日は全員練習休みということで僕は一人トレーナー室で仕事をこなしていた。正直、ウマ娘のトレーニングを見るよりデスクワークの方が大変だ。
僕はまだまだ若いから夜更かししてやってもそこまできつくはないけど、歳をとったベテラントレーナーってどうやってこの量の仕事こなしてるんだろう。
「まぁ、僕は要領いいしすぐ終わるけどね」
僕はデスクワークなんかほとんどしたことがなかったが、集中力はある方だった上に、何事も上手く出来る方なので全然問題なくこなせた(自画自賛)
でも、そろそろ飽きてきた。
「皆、トレーニングメニューでも作るか……」
皐月賞から日本ダービーまではそこまで期間がない。チンたらしているとすぐにやってくる。次どうするかはもう決めておくべきだ。
「………うーん」
ハッキリ言おう。今、僕はトレーナーの仕事を楽しめていない。まぁ、仕事なんて元々楽しいものではないとも言われそうだが僕はトレーナーの仕事が大好きだ。
でも、最近なぜだかトレーニングを考える時も見ている時も何も感じなくなってきていた。なんていうか……テイオーの時と何かが違う。
それに、最近走ることも楽しくない。そのせいで普通に太った。
「虚無だなぁ……」
楽しくもない、でもきつくもない。悲しくもなければ嬉しくもない。ウマ娘に対して感情移入が出来なくなり始めているらしい。
『トレーナーさんは今、なんでトレーナーをやっているんですか?』
スカイと釣りに行ったあの時に言われた言葉。
僕は元々、夢を諦めるためにトレーナーになった。そして、テイオーと出会い夢を叶えるためにトレーナーをすることになった。
でも、今はどうだろう。僕の夢はテイオーに叶えてもらった。今の僕にトレーナーをやる理由があるかと聞かれれば……ない。
「……僕って、思ったよりつまらない人間だね」
ただ、目的を失っただけでこれほどにもやる気を失うなんて、思ってもみなかった。
「どうしようかな……」
この時の僕に誰かに相談するという考えは、まだなかった。
最近、トレーナーの様子がおかしい。僕が三冠を取ってから少しずつトレーナーが変わってきていることは気づいていたのだが、最近は皆で遊んでいる時以外に楽しそうな表情をしていない。
「おーい、トレーナー?」
今日はキングとスカイが皐月賞直後ということでお休みだけど、ボクはトレーナー室にやってきた。しかし、扉を叩いてもトレーナーから返事がない。
「トレーナー、入るよー?」
トレーナー室に入るとそこには机に突っ伏して寝ているトレーナーがいた。パソコンが開きっぱなしになっているのできっと仕事をしていて寝落ちをしてしまったのだろう。
トレーナーは疲れ果てた顔で寝ていて、起こすのはなんだか気が引けた。
部屋を見回すとあるものに目が止まる。
昨年の夏合宿の時に、皆で撮った写真。その写真の中のトレーナーはとてもいい笑顔だった。
「トレーナー、どうしちゃったんだろう……」
ボクにもトレーナーがどうしてこうなったのか理解出来ない。
「テイオー……?」
どうやら、トレーナーが目を覚ましたらしい。
「トレーナー、おはよう」
「う……ぁ」
トレーナーがボクの顔を見たかと思うと、突然泣き始めてしまった。
「トレーナー!?」
トレーナーの顔は恐怖で怯えているような顔だった。体も震えている。その顔を見て、思わずトレーナーを抱きしめてしまった。
「て…テイオー……だよね?」
「うん!!君の相棒の、トウカイテイオーだよ!!」
「よかった……」
トレーナーは少し安心したのか、体の震えが収まった。
「トレーナー、何があったの?」
「……皆が、ボクを置いていく夢を見た」
「うん」
「皆に、『トレーナーなんかいらない』って言われた」
「……ボク達がトレーナーにそんなこと言うわけないじゃん」
「うん……そうだよね」
トレーナーはようやく落ち着いたのか泣き止んでいた。
「トレーナー、落ち着いた?ボクそろそろ恥ずかしくなってきたんだけど」
ボクは未だにトレーナーを抱きしめたままだった。こんな所を見られたら恥ずかしくてもう学園に来れなくなりそうだ。
「もうちょっと……」
「……甘えん坊だなぁ」
仕方なく、ボクはトレーナーを抱きしめ続けた。
トレーナーとテイオーは特に恋愛感情はありません(念押し)
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