あの日から、僕は二人に顔向けが出来なくなった。練習にすら、顔を出せなくなった。この様子を見た、タキオンが会長にお願いして僕はしばらくの休暇も貰った。普通のトレーナーなら休暇中は帰郷しそうなのだが、僕は故郷に帰る理由もないのでトレーナー寮にいる。
僕の代わりに今は会長のトレーナーが練習を見てもらってもらうように頼んでいる。
「トレーナー、また夢を見たの?」
「うん、でも大丈夫」
テイオーは僕の様子を毎日見に来てくれる。たまにタキオンやウララ、会長、先輩トレーナー達も来てくれる。
でも、キングとスカイは来ない。きっと、見放されたのだろう。
「二人はそんなにトレーナーのこと攻めてないよ?だから、大丈夫だから」
「うん……分かってる」
あの時見せた、あのスカイの顔が僕の頭から離れなかった。夢にも出てくるほどに。
「トレーナー寝れてないんでしょ?」
「まぁね。でも、しょうがないよ。自分のせいだし」
僕は眠る度に、悪夢を見るようになった。そのせいで眠ることが怖くって眠れなくなっていた。
「トレーナー、そろそろ話してくれない?」
「やだ」
まだ誰にも僕がなぜあんなにおかしくなってしまったのかを話していない。理由が情けなくって、恥ずかしくて言えるようなものじゃなかった。
多分、他の人は目標が叶った後には何か次の目標を見つけるだろう。でも、僕はずっと三冠という目標以外、何も無かった。友達も親もいなかった僕はあの時見たシンボリルドルフの姿を追いかけることだけが僕の出来ることだった。
それを失った僕は生きる意味を失ったようなものだった。その虚無感は凄まじいものだった。
そして、そこから自信を失った。目標を失っただけでウマ娘に感情移入することが出来なくなるほど最低なやつだと気づいてから、自分がいなくてもウマ娘達は大丈夫なのではないかと考えるようになった。
よくよく考えれば、テイオーの時だって自分の夢のために頑張っていただけでテイオーのために頑張っていた訳では無いのだ。
「トレーナー……」
「大丈夫」
僕は今出来る精一杯で笑顔を作る。
「……たまには外で遊びに行ったらどう?」
「そうだねー……明日は出かけようかな」
僕は変わらければいけない。まだトレーナーを辞める気はないのだから。
「テイオー君、今日はどうだった?」
「相変わらずだったよ……」
「……そうかい」
ボクはタキオンの研究室に来ていた。キングとスカイは菊花賞に向けてのトレーニングに集中して欲しいのでトレーナーについての話はボクとタキオンだけで話すようにしている。ウララはよく分かっていないようなので、この話に参加していない。
「タキオン、トレーナーの笑顔が物凄く怖かったよ。張り付いたような笑顔で……」
トレーナーの作り笑顔からは狂気を感じた。全ての感情を押し殺した笑顔だ。
「……なかなか深刻だね。トレーナー君が理由を話してくれれば、やれることは多いんだがね」
その通りだ。
「……でも、トレーナーの意思が最優先だよ。無理矢理言わせるのは良くない」
「そうだね」
今はトレーナーは話す覚悟を決めるまで、ボク達は待とう。それが今のボクに出来ることだから。
「……本当にそれでいいのかい?テイオー君?」
タキオンは1人で呟いた。
才能抜群のウマ娘のトレーナーは本当に病みそう
オリジナルウマ娘を出すのに賛成?反対?
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賛成
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どっちでもいい
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反対