あれから月日が経ち、テイオーのデビュー戦が近づいてきた。
ウマ娘はトレーナーが着いたらまずデビューレースというものに出ることになっている。それに出でやっとトゥインクルシリーズに乗り込んでいけるのだ。
「今日のトレーニングはここまでね」
「えー!!まだまだ走り足りないよー!!」
「あのな、レース前は調整があるから過度なトレーニングはできないんだよ」
「えー!?そんなぁ」
そんな声出されても困る。
「しょうがないなー」
「よろしい」
「その代わりに〜!!今日は夜ご飯奢ってよ~」
「やなこった」
お金は有り余るほどあるのは確かだが、流石に最近テイオーに奢りすぎた。
「嘘でしょー!?ねぇトレーナー!!ちょっと酷いんじゃない!?」
「今はレースの準備に時間をあてようよ」
「大丈夫大丈夫~!!しっかり準備はしてるからさ!!」
「はぁ……じゃあさ、僕がご飯作るよ」
そこまで美味しいかは分からないけど奢るよりはマシだ。
「ホントー!!ならボク着替えてくるね!!」
「ついでにゲームもする?」
「もートレーナーとゲームするのはコリゴリだよー!!」
ありゃ、流石にボコボコにしすぎたかな。
トレーナーの手作りご飯!!楽しみだなー!!
「トレーナー!!」
「来たね、テイオー」
トレーナーの部屋は相変わらず生活感が少ない。トレーナーはかなり節約家な上に欲が薄いから自分のものは全然買わない。
「何か置けばいいのに」
「置きたいものもないしね。何が起きたかったらテイオーが勝手に置いてもいいよ」
「それなら今度何か持ってくるね」
部屋に置ききれなくて押し入れに入れて置いたものが結構あったし、次部屋に行く時はそれを持って行こう。
「何が食べたい」
「なんでもいいよー」
「うーん……肉じゃが作るね」
そう言ってトレーナーは料理を始めた。
やることも無いのでその様子を見ている。
(それにしても、トレーナーの髪綺麗だよねー。染めてるにしては綺麗な色だけど、どうやってるんだろ)
「テイオー」
「なになに?」
ボケっとトレーナーを見ていたらトレーナーが恥ずかしそうにこっちを向いた。
「あんまりジロジロ見ないでよ」
「ごめんごめん。トレーナーの髪ってなんでそんな色なのかなーって」
「親からの遺伝だろうね」
「えー!?じゃあそれ染めてるわけじゃないの!?」
「何が嫌で水色に染めるのさ」
確かに水色に染めてる人はあんまり聞かないし、トレーナーは元々髪を染めたりはしなさそうだ。
「実はさ、僕のお母さんはウマ娘なんだ」
「えぇー!?」
衝撃の事実だ。ウマ娘が子供を産むとほとんどの確率でウマ娘が産まれてくるらしい。でもごくたまにウマ娘ではない普通の子供が産まれてくることがあるらしい。その中でも男が産まれるの更に珍しい。
「水色の髪も目もお母さん譲りのものだよ。お母さんはそこまで速いウマ娘じゃなかったけど、走るの大好きだったんだー。三年前に交通事故で亡くなったけど、とってもいいウマ娘だったんだよ」
「もういいよトレーナー!!こんな話聞いてごめん!!」
そんな話を聞くのはボクも辛いし、何よりトレーナーが辛いはずだ。
「ふふ、心配しなくてもいいよ。今の僕にはテイオーもいるしね」
「えっ!?……そんな恥ずかしい言葉、よく言えるね」
トレーナーは首を傾げている。今の言葉を素で言ったらしい。恐ろしい。
「とりあえずこの話はおしまい!!」
「はいはい……よし出来た」
トレーナーがお皿に盛り付けた肉じゃがと白ご飯を持ってくる。
「おいしそー!!それじゃ!!いただきまーす!!」
「どうぞー」
早速、じゃがいもから食べてみる。
「おいし…」
びっくりするくらい美味しかった。
「トレーナー、料理人になればよかったんじゃない?」
「そんなに美味しい?」
「うん!!凄いよこの肉じゃが!!」
「それなら良かったー」
そう言って胸を撫で下ろすトレーナー。
「人に料理食べてもらうの久しぶりだから、美味しかったなら良かった」
「トレーナーこの料理、誰かから教わったりしたの?びっくりするくらい美味しいけど……」
「お母さんが料理人だったんだよ」
「あー!!もうこの話おしまい!!」
危なかった。またトレーナーに辛い話をさせるところだった。
「……ねぇテイオー。折角だし親の話聞いてくれないかな。話せることなかなかないし、秘密にするような事じゃないからさ」
「えっと~……」
返事に迷う。確かに話を聞いてみたい気持ちはあるが聞いてもいい話なのか。
「僕の家さ、凄く裕福だったんだよ。お父さんはお医者さんでお母さんはウマ娘で料理人。僕の夢を笑ったりしなかったし、楽しく生活してたんだけどさ」
勝手にトレーナーが話を始めてしまった。
「お父さんは海外に行って流行病で死んじゃって、お母さんは交通事故で亡くなった」
なぜ、こんな話をするかはボクには分からないけれど今は聞くしかない。
「それでね、これがお父さんがくれたもの」
彼が持ってきたのは、白衣だった。
「僕にサイズピッタリの白衣。凄いでしょ……まぁ、もらったの小学生の時なのに今も着れちゃうの悲しいけど……小学生の時は萌え袖みたいになってたけど今はちょうどいいサイズになったんだよー」
「……」
自慢してくるけれどボクは反応に困る。
「話聞いてる?」
「えっなになに?」
「似合う?」
気づいたらトレーナーはその白衣を着ていた。
「うん!!似合うよ!!」
「……ふふ、変な話してごめんね」
「ほんとだよ!!なんでこんな話したのさ~!!」
正直、話の理由がよく分からなかった。
「この白衣、ずっと着たかったんだけど似合うか聞く人もいなくていつも着れなかったからさ」
「……あぁー……って、えぇ!!じゃあただ白衣似合うか聞きたかっただけだったの~!?」
「うん、明日から着ていこー」
心配したのに損した気分だ。
ご飯を食べ終わって、ボクは寮に戻ることにした。
「デビュー戦控えてるんだからね?早く寝なよ?」
「分かってるってー。ボクは負けないよ、トレーナーの為にもね」
そう、負けられない。トレーナーのためにも。
ちなみに課金しても僕の元にスカイは来ませんでした。星3は2体出ましたよ、2体とも被った上に既に星4に上がってましたけどもえぇ(静かな怒り)