テイオーはデビュー戦を見事に1位で勝利し、次はOPレースの若駒ステークスにでも出て、一冠目である皐月賞を狙おうと思っていたのだけれど……
「なんで僕は拘束されてるんだぁぁぁぁぁ!!」
「あまり騒がないでくれ」
僕の目の前にいるのは僕と同じく白衣を着たウマ娘、『アグネスタキオン』。このトレセン学園では少し有名なウマ娘だ。物凄く速いウマ娘だけど、性格に難がありすぎてトレーナーもつかなければ友達も少ないらしい。
実際、僕の手を紐で椅子に縛るような訳の分からないことをしてきてるし……
「ふむ……君とは何かと縁を感じてね。私と同じ格好をしたトレーナーがいるなんてねぇ……全くこれは運命なんじゃないかな?」
「なわけあるかい!!」
どうやら僕が着ていた白衣がこの災いを呼び寄せたらしい。
「まぁそう言わず。とりあえず君には三本ほど薬を飲んで欲しいのだけれど……」
ほら、性格に難アリすぎるでしょ?実験大好きで当たり前のように薬品を飲ませようとしてくるとは聞いてたけど……
「うわぁ、何その色」
「ふふ、なに心配しなくても……「するよ!!」ダメか…まぁ飲ませるけど」
取り出した薬品の色は青緑色で人が飲んでいいようなものの色じゃなかった。
「しょうがない……」
僕は薬品を渡そうとしてきた瞬間、紐を無理矢理ちぎって薬品を奪って投げ捨てた。
「なっ!?人間があの紐を解いた!?」
「どや」
実は、ウマ娘から産まれてきた人間はちょっとばかり身体能力が高い。結構緩く縛ってあったから普通に引きちぎることが出来た。
「驚いた……君人間かい?……いやなるほど。君はウマ娘から産まれた人間というわけか」
「うわ」
なんでわかったのさ。
「その不自然な髪の色もこれで納得が行く………ふふ、どうやらいい実験体を見つけたみたいだねぇ」
そんなことを言ってることをよそに僕は全力で逃げることを開始した。
「テイオー助けてー!!」
「なになになになになんなのさぁ!?」
走って逃げた先にたまたまテイオーがいたので助けを求める。
「アグネスタキオンとかいうヤバいやつが僕に薬を飲ませようとしてくるんだよー!!」
「ほらほら、実験体が逃げるんじゃないよー」
「無理無理無理無理ー!!テイオー!!何とかしてよー」
「そ、そんな事言われてもー!!」
だけどウマ娘の足に僕が叶うわけが無い。助けてもらうしかない!!
「ダメ!!これはボクのトレーナーだから!!」
薬品を飲ませようとしたタキオンに対してテイオーが言った。素で言ったのか助けるために言ったのか知らないけど恥ずかしいからやめて欲しい。
「………ふふ、君達は面白い」
「何もこっちは面白くないんですけどー!!」
「仕方がない。今日はこのくらいにしておこう」
と、言うわけで何とか嵐は去ったのだった。
「なるほど…私からタキオンには言っておこう」
「「会長ー!!」」
あの日以降、あまりにも付きまとわれるのでタキオンと関わりがあるという会長に声をかけてみた。
「しかし、テイオーもトレーナーも運がないな。彼女はかなりしつこいぞ。私が言っても止まってくれるかどうか……」
「えぇー!?」
困ったものである。
「ただ……彼女には理解者が少ない。出来るなら友達になってやって欲しいんだ」
会長は申し訳なさそうに言った。
「彼女、ウマ娘からもトレーナーからも避けられるせいで今、退学の危険性があってね。まぁ、トレーナーもつかないのだからしょうがないが……」
トレセン学園は自由を重んじる校風だ。そのトレセン学園で退学させられそうになるなんてそうない事だ。
「よろしく頼む」
「まぁ……出来る範囲で……」
会長のお願いでもあの研究狂の相手を出来る気はしなかった。
ちなみに僕もモルモットです