ホロライブラバーズRTA(初投稿) 作:Shohei Hayase
「白上フブキ」さん>
「大神ミオ」さん>
「不知火フレア」さん>
「白銀ノエル」さん>
「宝鐘マリン」さん>
えー、こんにちは。
ショウヘイと申します。
では、前回の続きからやっていきたいと思います。
>「ショウヘイ、その人は?」
>「あー……なんというか……うーん」
>「それについては、私が説明した方が良いかも知れませんね」
>俺が質問の答えに窮していると、それを知ってかフブキは一歩足を踏み出す。
>「改めまして、私は白上フブキ。ここ、ウツシヨとは異なる世界カクリヨから、あなた方を推し量る為に派遣されました」
>「……推し量るとは、穏やかじゃないな」
>「……あなた、こことは別の世界の出身なのに、どうして私達を見に来たの?」
>「まぁまぁお二方落ち着いて落ち着いて」
>視線を鋭くする俺とフレアに対して、フブキは宥めるように両手を前に突き出す。
>「そうですね、なんと表現したらいいものか……大前提として、世界と言うのは「球」です。これはあなた方の観測結果とは異なるかもしれませんが、少なくともこれが事実です。あなた方の世界と、私達の世界が、重なる……というか、近付きあっている。それが今の状態です」
>「ウツシヨとカクリヨは、別の世界じゃないのか?」
>「ウツシヨとカクリヨはテクスチャの裏表……あなた方の世界はそもそも別の世界。異なる世界でも、場所が違うんです」
>フブキは2枚の赤茶けた金属片……コイン? を取り出し、俺達に一枚ずつ渡す。
>「今その十円玉をもっている貴方方は別世界、そして……」
>フブキは俺の肩に手を置く。
>「異なりはするが、同じ世界を共有するもの、それがカクリヨとウツシヨです」
>「……ってことは、俺達の世界にも……カクリヨ? があるかもしれないってことか?」
>「まぁ否定する要素は無いですが、基本的にウツシヨとカクリヨは互いを認知できません。私はあくまでも例外側だと思って下さい」
>「それで、世界が近づいているって、どういうことなの?」
>「うーんと……普通、世界と世界が近づくとき、必ず両者には斥力が働きます。世界融合は本来あってはならない事象だからです」
>「だが、そうはならなかった」
>「今回は、2世界間のエントロピー差が非常に大きいことが原因です」
>「エントロピー?」
>「この場合は、世界が有するエネルギー総量の事ですね」
>フブキはコインをもう一枚取り出し、今度はフレアに握らせる。
>「私達の世界は、既に一つの世界と接続、消極的融合を成功させています。つまり、こちらには世界が2つあるわけです」
>「その差で俺達の世界が引き寄せられたって事か?」
>「えぇ。私達が直接融合に関与したわけでは無く、世界が衝突しない為の仮初の留め具をした程度ですが……」
>「私達の世界は、このまま行けばどうなるの?」
>フレアの問いに、フブキは難しい顔をして考え込む。
>「留め具を作らない場合、世界が衝突し、異界法則の融合に加えて、無条件無制限の核融合、エネルギーの開放……少なくとも人類は絶滅し、最悪の場合世界が消滅します」
>「その留め具ってのは、どうやって作るんだ?」
>「原理としては、極めて単純な物です。世界同士の反発と、テクスチャの分割を規定する『塔』の術式です。術式自体はこちらに用意があります」
>「……塔?」
>「えぇ。ウツシヨとカクリヨを分か断つ
>「マナはどうなる?」
>「結論から言うと、変わりません。むしろ2世界間で循環する分、純度も上がります。無論人間に影響はありませんよ」
>フブキは朗々と、こちらの質問に対して即答と言ってもいい速さで返してくる。
>「ショウヘイ……どう?」
>「……問題はなさそうに思える」
>自分の所有している知識と、今フブキから齎された知識を突き合わせて、得られた結果は「恐らく正しい」だった。
>世界が重なった結果「世界が破壊される」というのには驚いたが、その現象には多少心当たりがある。
>以前金属精錬を行っていたとき、うっかり磁束を逆方向に設定してしまったのだが、金属を超圧縮*1する直前に尋常ならざる反発力を感じた事がある。
>「同じもの」を同一座標に重ねると、明確な拒絶反応が起こるのだろう。
>「ショウヘイさんの反応から察するに、量子物理学も古典物理学も解釈しきれていないのでしょうけど……いえ、むしろ魔術に関わる部分は詳しいのですね。強い力*2の半分*3を帰納的に理解していらっしゃるようなので」
>「心を読めるのか」
>俺の確認に、フブキは「しまった」という顔と悪戯っ子のような顔を混ぜたような表情を浮かべる。
>「オン・アミリタ・テイセイ・カラ・ウン……御免なさい。読心の魔法を使ってしまったことは謝罪します」
>「……他に何かあるんじゃないのか?」
>「いえ。私はあなた方の思考に害意が混じっていないかを確認する為に読心を使用しましたが、それ以外の術……魔法は使っていませんよ」
>「ホントに?」
>「本当ですって」
>フレアの半目にも負けず、フブキは軽く胸を張った。
>「フレア、ショウヘイ! ……その人は?」
>ノエルの声に視線を向けると、残った騎士とエルフ達、ノエルとマリンも続々とこちらにやってきていた。
>「ノエル……いやマリン待て銃に手を掛けるな早い早い」
>「どうも〜」
>フブキを視認した途端ホルスターから銃を引き抜こうとしたマリンをノエルが必死に抑え込む。
>それに頓着せずに緩い口調で手を振るフブキに、「メンタル強いなコイツ」という予想が確信に変わりつつあったが、ひとまずマリンを宥めにかかる。
>「彼女は敵じゃない。マリン、抑えてくれ」
>「……まぁ、フレアとショウヘイが反応していないので、大丈夫だと思いますけど……貴女、お名前は?」
>マリンは視線の質を変えぬままホルスターから手を離し、フブキの名前を訊いた。
>「私は白上フブキ。よろしくお願いしますね。マリンさん」
>「こちらこそ。船長は宝鐘マリンって言います」
>「まだ名乗ってなかったね。私は不知火フレア。宜しくね」
>「私は白銀ノエルです。こんにちは白上さん」
>マリンの自己紹介に続いて、フレアとノエルが名乗りを上げる。
>フブキはそれぞれの順に握手し、一礼し合うと、手をポンと叩いて上を向いた。
>「ミオー、そろそろ大丈夫だと思いますよー」
>「はいはい」
>ミオ、というのだろうか。もう一人の少女が上空から高速で落下し、フブキの隣に着地する。
>「ウチは大神ミオ。フブキと一緒でカクリヨから来ました。……話はしっかり聞いてたよ」
>年頃はフブキと同じくらいだろうか。わずかに青みがかかった黒……
>「ミオ、神格は抑えたほうがいいんじゃない?」
>「え、あぁごめんなさい! 神格限定、制限駆動」
>ミオが言葉を呟くと、あたり一面に撒き散らされていた悍ましい程に純粋で暴力的な魔力が消滅した。
>「なんつー純度の魔力だ……俺たちを窒息死させる気かよ」
>「えっと……うん、それはうちのミスです。御免」
>数度呼吸して、軽く咳き込みながらも、肺に浸透しかけた魔力を排出する。
>基本的に、魔術師は他人のオドと相性が悪い。
>しっかりとパスを繋げるなど手順を踏まなければ、大抵体に不調が出る事になる。
>俺、フレア、マリンはどれも荒い息を立てていて、騎士とエルフたちは卒倒する寸前といった所だ。
>ノエルが平然としてるのは、自前の魔力で全身を覆ったからだろう。
>「それで、キミ達はどうしてこの世界に来たの?
>ミオにそう問われ、俺達はそっと視線を巡り合わせる。
>「実は少し……いや。かなり重大な事件が起きてる」
>「……というと?」
>「俺達の世界とウツシヨが繋がった時、俺達は繋がった門……フブキの後ろにあるヤツだ。それの先に、何があるのか把握出来ていなかった。何かを送るにしても、その仔細を正確に把握できる、国として失っても痛くない者を送る必要があった」
>「つまり……犯罪者を解き放ったってこと?」
>「結論を言えば、そうなる」
>俺は努めて冷静に言い切った。フブキとミオの反応を伺っていると、二人は顔を見合わせ、互いに目配せをしあっている。
>俺達はノエルを守る為に丸い陣形を取り、魔力励起の予約発動を待機させる。
>通常の場合、魔力励起を待機させただけで術者の魔力状態が変化し、それを察知される危険性が高まるが、待機を更に待機させる事で極限まで魔力運用を隠蔽しつつ戦闘状態を取ることができるのだ。
>「……まぁそちらは日本の法律の管轄下ですし、おいおいと言うことで」
>「……そうか」
>フブキが出した結論に、俺は心の中で安堵しながら予約発動を解除する。
>「これがカクリヨの人達が害されていた、とかだったらウチ達が動かない訳には行かなかったけど……日本は立法国家だから、ウチ達が司法に手を出すと越権になっちゃう」
>「だが、仮に此方の解き放った犯罪者が日本の司法に捕らえられた場合……」
>「異界、神秘に関する情報を無作為に放出されると、ウチもキミ達も困る……そう言うことでいいんだよね?」
>俺は頷く。
>「まぁ……そういう事なら、さっさと捕まえまようか。フブキ、ここら辺の地図買ってきて!」
>「アイアイサー!」
>フブキはビシッと額に手刀を当て、路地の出口へと向かっていった。
せーーーふ!!
いやー良かったよかった……
やはり神秘の漏洩、イワレの崩壊というのが彼女たちにとってキーになるみたいですね。
……あと地の文で触れられていましたけど、魔術師が窒息死しかける程の魔力*4をウツシヨで放出しているって、普通にエグいですねこれ。
大神ミオさん……一体どんな神性をお持ちでいらっしゃるのでしょうか……。
首尾よく異世界とカクリヨとの協力関係を構築したところで、今回はここまでとさせて頂きます。
ではまた次回、お会いしましょう。