ホロライブラバーズRTA(初投稿)   作:Shohei Hayase

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凡例

「白上フブキ」さん

「大神ミオ」さん

「不知火フレア」さん

「白銀ノエル」さん

「宝鐘マリン」さん


EP.13/本編開始前(11)

えー、こんにちは。

 

ショウヘイと申します。

 

では、前回の続きからやっていきたいと思います。

 

 

 

 

>食事は静かに進行し、20分程度で用意されていた食事を全て食べ切った俺達は、食後の挨拶もそこそこに各々の行動に勤しんでいた。

 

「ノエル、寝具は?」

 

「外征用の物が一人ずつあるから、テーブルをどかして場所を確保しましょう」

 

>「12人分だぞ? ……まぁやるしかないか」

 

「天幕で仕切っちゃいましょう。物資置き場も少し拝借して……フレア、配給の確認は出来てますか?」

 

「3食、3日分を五人分作ってる。他の消耗品は少し待って」

 

「良いペースだよ。予算関連は私が仕切ってるから、不足品があったら言ってね」

 

>ノエルの言葉に3人は「了解」と返し、作業に取り掛かる。

 

「……うーん、手持ち無沙汰ですねぇ」

 

>「そりゃ、他人に触らせるわけにも行かないからな」

 

>椅子に寄りかかったまま、フブキは間延びした口調でそういうが、流石に後で上に報告する物を部外者に関わらせるのは危険だ、というのが俺達の総意だった。

 

「理解していますよ、無論。それはそれとして、つまらないということです」

 

>間延びした口調が、段々と退屈そうな口調に変わっていく。

 

>考え込む様なポーズを取って数度目を瞬かせた後、フブキは唐突に手を打ち合わせた。

 

「そうだ、温泉行きましょう?」

 

>「温泉? 湯治か? あまり無用な出費は……」

 

「銭湯……公衆浴場ですし、格安ですよ?」

 

「へぇ……船長は水風呂が好きですけど、普通のお風呂も好きですし、できれば行ってみたいですね」

 

>フブキの提案に食いついたのは、普段船上で潮風に当たっている関係で風呂にも理解があるマリンだった。

 

>「俺たちも入ることは入るけど、あんまり好き好んで入るって感じはしないな」

 

「でも楽しそうではあるよね。それに、異世界の湯治がどんなものか気にならない?」

 

「そうそう。私は行ってもいいかなって思うんだけど……ショウヘイ、行く?」

 

>知己の殆どが賛成に周り、無言の圧力を掛けられているような気分がした俺は、素直に心のなかで白旗を挙げる。

 

>「……なら、俺も行ってみるか。 ミオさんは?」

 

「そりゃあ勿論、行くに決まってるでしょ!」

 

>最後の抵抗代わりにミオに話を振るも、鼻息を荒くして詰め寄ってくる彼女によって打ち砕かれた。

 

>「なんだってそんなに行きたがるんだ……?」

 

「うーん…… あ、そっか。 現代日本では、大抵の場合一家に一台は風呂桶があって、毎日そこで入浴してるんですよ。なので、今度は公衆浴場の方が逆に珍しくなってしまったんです」

 

>「……なるほど」

 

>ピンと指を一本立てて、フブキはそう説明する。

 

>一家に一つ風呂がある世界。自分の常識からは想像し難い光景ではあるが、確かに家に風呂があるならば外に出る必要は薄い。

 

「なら折角だし、フレアさんを手伝おうかな。並べ替えるくらいなら問題ないよね?」

 

「ミオさん……ありがとう。ノエル、良いかな?」

 

「それくらいなら。 ……さて、さっさと終わらせて、銭湯へ行ってみよう!」

 

>ノエルの号令に、応、とみんなが唱和した。

 

 

 

 

「よし、ざっとこんな感じかな……ノエル、チェックお願い」

 

「はーい。 ……ふむふむ。大丈夫だね。よし終わった!」

 

>フブキとミオを加えて、先程よりも作業効率が大きく向上した俺達は作業を次々と終わらせ、最後に残っていた配給品の分配作業も終わらせ、ノエルにも確認を取った。

 

>「さて、銭湯に行くって話だけど……着替えは持ってるのか?」

 

>その言葉に、俺以外の全員がさっと手を上げた。

 

>「お前ら」

 

「ぶっちゃけ異世界の服飾に興味があった! 満足!」

 

>「……ノエルの場合は自分の金だし良いと思うが。 フレア、マリン?」

 

「異世界出身って事を一瞬でバレるような服装をするわけにも行きませんし、必要経費って事で」

 

>「まぁそうか。……抜かった。俺も何か買えば良かったな」

 

>マリンにやんわりと反論を封じられた俺は、顔を抑えて溜息を吐く。

 

「そう言うと思って……ほら、これ」

 

>フレアに差し出されたのは、彼女の体型には余りにも釣り合わない……おそらく男物の服。

 

>「俺の……か?」

 

「そう。せっかく服を着るんだから、みんな一緒じゃないと」

 

>「……ありがとう」

 

>受け取ってから丁寧に畳み、側に置いていた道具袋に入れる。

 

「意匠は確認しなくてもいいの?」

 

>「信頼している。 突飛な服は勘弁だが、それは無いだろうとも思った」

 

>思い起こすのは、学園での記憶。

 

>俺が着替えを隠されて困っていた時、服を貸してくれたフレアは、今はそっと「ありがとう」と呟いた。

 

「そっか。 ……フブキさん達は?」

 

「当然、準備万端!」

 

>そう言って、フブキとミオは色違いの手提げ鞄を掲げた。

 

「日本国民たるもの、お風呂の準備は万端にしておくのが当然! ……まぁ、私達カクリヨ住みですけどね」

 

>最後に少し戯けて、フブキはノエルに視線を向ける。

 

>その視線を受けて、ノエルは俺たちに役目を割り振っていく。

 

「銭湯の場所はミオさんに案内して貰って、マリンはこの場所の戸締まりをお願い。フレアとショウヘイは視線避けと侵入防止の常駐式を。龍脈は借りて問題ないですよね?」

 

「どうぞ」

 

>「そういうことなら、やるか」

 

「おっけー」

 

それを請け負った俺とフレアは、互いに一つの円形陣を組上げ、もう一つの陣を地面に直接描いていく。

 

「それが、龍脈を汲み上げる式ですか?」

 

>「いかんせん龍脈の深さが深いせいで、紙に書いた式だと影響力が足りなさすぎる……フレア、導通を」

 

「了解」

 

>フレアが式に起動用の魔力を通し、魔法陣を起動させる。陣の輝きは白へと変化し、接続された2つの式へと魔力を供給し始めた。

 

「これで問題ない筈」

 

「常駐式にしては魔力消費が少ないですね……何か理由でも?」

 

>「大気中のマナを消費する式は効果と消費マナのトレードオフだ。広域探索でマナが薄い場所がある事を知られたら真っ先に疑われる」

 

>マナの濃度はあらゆる場所で一定で、たまに超常生物*1の影響でマナが変質、高純度化している事があるが、減るのは大規模な術式を使用したときに限る。

 

>マナの減少を防止するには、広範囲からマナを少しずつ集めるか、或いは魔石を使うという手もある。

 

>それをフブキに語ると、彼女は納得顔で頷いた。

 

「なるほど……腰を折ってしまいましたね。では行きましょうか」

 

>拠点を出て、歩いて20分程度の場所に、ミオが案内してくれた銭湯があった。

 

「ここだね。さ、入ろ」

 

>カラリと引き戸を開けて中に入ろうとしたミオは、何か気づいたような表情でこちらを振り返る。

 

「そっか。日本家屋は初めてだもんね。まずは中に入って、そこで靴を脱ぐの」

 

「珍しい習慣ですね……無い事もないですけど」

 

>マリンが呟いて、早速銭湯の中へと入っていく。

 

「で、そうしたら番台さんに入湯料を払う……これで。あと、タオルも4人分お願いできますか?」

 

>「俺は大丈夫。自分でやれる」

 

「そう? なら3人分で」

 

>手を振ってミオに拒否の意志を示すと、薄く微笑んで俺の意図を汲んでくれた。

 

「いいの? ショウヘイ」

 

>「俺はどうにでもなる。だがノエル達はどうにもならんだろ。……フブキ達は自前のタオルがあるのか?」

 

「まぁ工業化の波といいますか……割と普通に」

 

>「触れても?」

 

「どうぞ」

 

>差し出されたタオルに人差し指を擦らせる。

 

>(……柔らかい。俺達の世界で言えば、間違いなく高級品に属するだろう)

 

>流石に俺の部屋にあった最高級のものに比べれば劣るが、それが比較に上がる程度の品を普通に持てるという事実に、少し眩暈がする。

 

>「工業化、とか言ったか……つまり、本来人がやる作業を機械に代替させる? ……その動力は?」

 

「画期的な力ですよ。まぁその分面倒事も沢山で、何より有限ですからいつかは枯れます。我々の世界は貴方方から見ると発展しているように見えますが、千年二千年後にその優位が保てているかは疑問ですね」

 

>「……スパンが長いな」

 

「カミですので」

 

>得意げな顔をしたフブキは、「では」と短く言い添えて、女性陣の輪に戻っていった。

 

>「んじゃ、入ってくる。帰る時は全員揃うまで待つか?」

 

「そうしよっか。夜風がアレだったら魔術で温めればいいし」

 

>段取りを決めて暖簾をくぐる。フブキ達とは違う方の暖簾だ。

 

>手早く服を脱ぎ、俺達の世界にある公衆浴場と同じような手順で入浴する。

 

>「あれ、山か? ……なんの効果があるんだ*2? それにこの桶」

 

>浴場の一面に書かれた巨大な山を胡乱げな目で見つめた後、俺は黄色い桶を手に取り、解析の魔術を通す。

 

>「何だコレ、気持ち悪っ……」

 

>解析結果に思わずそんな言葉を漏らす。

 

>「2種類の物質が特定の割合で存在している未知の物質……こんな物が作れるのか」

 

>水に濡れ、ツルツルとした中にザラリとした感触が残る……恐らく年季が入っているのだろう桶を元の場所にもどし、俺は体を湯船に沈める。

 

>久方振りの大きな風呂に、暫し体の力を抜いた。

 

 

 

 

「ノエルさん達は、ショウヘイさんの事をどう思ってるんです?」

 

>湯船で唐突にフブキが疑問を呈し、三人は面食らう。

 

>彼女達は誰ともなく顔を見合わせ、当たり障りの無い回答をする。

 

「普通? ……友達かな?」

 

「私も。悪い奴じゃないし」

 

「船長は……うーん」

 

「マリンは歯切れが悪いね」

 

>ミオの追撃に、マリンはバツの悪そうな顔をして目を逸らす。

 

「本当に……悪い人ではなくて、特にどうとか思っている訳でもなくて……何て言うんですかね。腐れ縁?」

 

「成程成程……」

 

「そういうフブキさんは?」

 

「うーん……そうですね……かなり良い人だな、と」

 

「ウチもかな?」

 

>予想外の反応だった。

 

>三人は揃って目を丸くする。

 

「それっていわゆる……一目惚れ?」

 

「あぁいや、そう言うんじゃないですよ」

 

>フブキは少し困ったように手を振り、言葉を続ける。

 

「あの天稟(てんびん)*3、あの力に、少しばかり興味がある、と言うだけです」

 

「……まぁ確かに、ショウヘイは魔術が上手いけど……貴女にそこまで称賛されるほどかな?」

 

>フレアが首を傾げながらフブキに訊く。

 

>三人の目から見ても、フブキとミオは人間と隔絶した能力を持っている。

 

>ショウヘイの魔術は、この二人には決して届き得ない。それが彼女達の考えだった。

 

「うーん……今現在の実力、と言うのは特に評価対象では無いんですよね。それは追々何とかなる筈なので。重要なのはあくまでも才。その点において、ショウヘイさんには眼を見張るべきものがあります」

 

「……と言うと?」

 

「正しくその能力を伸ばす事が出来さえすれば、私に届きうる程度には」

 

「出力の桁が2つ3つ違いますよ?」

 

「そこはまぁ……創意工夫ですかね。有史以来人が神を打倒した例というのは存在しない訳ではありませんし……彼には()()()()が付いてますよ。一体どんな生まれなのでしょうかね、ショウヘイさん」

 

>その言葉に、三人は少し目線を下げる。それを見て取ったフブキは話を変えようとするが、それより早くフレアが口を開いた。

 

「本人は平民の生まれだって言ってたし、過去4代に貴族の血筋は無し。「何故」が分からないって、本人は訝しんでたよ」

 

「……何故、と言うのは存在しない、と答えた方が良いでしょうか」

 

>フブキは口をへの字に曲げて視線を逸した。

 

「……それは?」

 

「おっと失礼。流石に口が過ぎました……ですがご安心を。私だけじゃなく、ミオも居ますし」

 

「……ここでウチに振る?」

 

>ミオは一瞬恨めしげにフブキを睨み、その後3人に向き直った。

 

「ウチは航路の守り神。宗像三神(むなかたさんじん)一柱(ひとはしら)多岐都比売命(たきつひめのみこと)。即ちミオ(道行)を司るのがウチの役目。未知を導く事に関しては得意中の得意なんだ」

 

「その能力を生かしてショウヘイを鍛えるの?」

 

「……まぁ、そうなるかな。それに、これは多分彼にとっても重要な事だと思うよ」

 

>少々喧嘩腰になったノエルを宥めるように、ミオは柔らかい笑みを見せた。

 

>……やはり油断ならない、とノエルは二人への警戒を強める。

 

>海千山千の狸蔵(たぬきぐら)で生き抜いてきた身として、腹芸にもそれなりに理解のあるノエルだが、ミオの微笑みはその警戒すらも貫通しようとしている。

 

>それは恐らく、二人の持つ美貌による物だろう。

 

>不躾にならない程度にフブキとミオの姿を目に焼き付けつつ、その美しさに内心歯噛みする。

 

>一切の外付けが要らない、自然の儘の姿態には、まさしく人間とは別の……二人の言葉を借りるなら「神」の面影を感じざるを得ない。

 

>さぱり、と水面に波が立つ。

 

>それが、自らの眼前まで近寄って来たフブキが立てた物だと気付くまで、少し時間が掛かった。

 

「どうしたの、フブキさん?」

 

「いえ、とても面白い色ですね……」

 

「髪の色? ……それは」

 

>すこし、触れられたくない事だった。

 

「……あぁ、御免なさい」

 

>しゅんと耳が垂れる。心情を的確に表したのだろうそのコミカルな動きに思わず吹き出す。

 

「昔ちょっとね……今は気にしてないから。フブキさんも、きれいな色だね」

 

>会話のペースを持ち直す。程なくして、和気あいあいとした団欒が始まった。

 

>団欒は一時間ほど続き、先に上がっていたショウヘイに大遅刻をかます事になるとは、彼女たちは知る由もなかった。

 

 

 

 

……さて、これで二個目のシチュエーションをゲットしました。

 

団欒系のシチュエーションは取りづらいのもあって後回しにしようかと考えていたのですが……これは中々良い引きですね。

 

今回はここまでとさせて頂きます。

 

ではまた次回、お会いしましょう。

 

 

 

 

*1
竜種、あるいは自らの属性を有するマナを外界へと放出する存在。侵食固有結界は例外。

*2
1912年、東京都千代田区の銭湯が発祥。特に医学的効果は無い。

*3
生まれ持った才能。てんりん。慣用読みとしててんぴん、てんびんがある。

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