ホロライブラバーズRTA(初投稿) 作:Shohei Hayase
「白上フブキ」さん>
「白銀ノエル」さん>
「宝鐘マリン」さん>
えー、こんにちは。
ショウヘイと申します。
では、前回の続きからやっていきたいと思います。
>「んっく……よく寝た」
>「眠……起きるの早いね、ショウヘイ」
>昨晩は酷い目にあった。
>具体的に言うと、30分待ち惚けを喰らった。
>簡易ベッドから起き上がって少し伸びをすると、パキポキと身体のあちこちから音が鳴り、ヤワな自らの体に皮肉げな笑みを零す。
>「起こしたか。悪いな。 ……日課だ。少し外に出る」
>「いってらっしゃーい」
>そう言ってノエルは再びベッドに潜り込み、俺は靴を履いて天幕の方へと向かう。
>物音を建てないよう注意して天幕を潜ると、朝だというのにとても多くの人が行き交っていた。
>(まだ日も出てないのに……)
>視線避けの術式を使いつつ、軽く運動を行い、硬い簡易ベッドで少し傷んだ身体を解していく。
>「おはよう御座います」
>「フブキか。おはよう」
>いつの間にか隣に立っていたフブキは、大きく伸びをしてから手を広げ、数度深呼吸とともに腕を振った。
>「……何かのリズムか?」
>「あぁ、ラ○オ体操って言うんです。……何処か痛いので?」
>「湯冷めこそしなかったが、ベッドにやられてこの通りだ。多少は身体を鍛えておくべきだったか……」
>「私で良ければ、治癒でも掛けましょうか?」
>「……助かる」
>後ろに回ったフブキの手が、俺の肩に触れる。
>「オン・アミリティ・ウン・パッタ」
>続けて呪文を唱えると、俺の身体にじんわりとした熱さが広がっていった、
>「魔力そのものが働いている訳じゃない……特殊だな。魔力はあくまでも代償なのか」
>「陰陽術ですからね。宜しければ、お教えしましょうか?」
>「是非お願いしたいところだが……良いのか?」
>俺は少し疑問を覚えながら質問する。
>通常、魔術というのは門外不出の技術で、それが誰にでも理解できる形で発表される事はない。
>とりわけ魔術に理解がある者に対して別の魔術を伝授するというのは、前例が無いわけでもないが、相当に珍しい事だ。
>「陰陽術は通常の魔術とは異なりますし、何なら私の使う陰陽術はミオからの直伝で、通常の陰陽術とも違いますけどね。それでもちゃんとした物ですし、人間にも扱えますよ」
>「なら、お願いしようかな」
>「勿論。なら早速……」
>「……流石に探索をすっぽかすのは無理だ。日を改めてくれ」
>フブキは喜び勇んで訓練の日程を決めようとしてくるが、俺は少しの罪悪感を覚えながら制止する。
>現状優先すべきは犯罪者の捜索であって、フブキに教えを受けるというのも……非常に魅力的ではあるが……やはり第一目的を覆す程ではない。
>「無論、承知の上ですよ」
>フブキは笑みを見せる。 ……その笑みが何処となく邪悪なものに感じて危機感を覚えるが、手首をフブキに掴まれて一切の移動を封じられる。
>「えっと、フブキ……これは」
>「まぁ兵は拙速をナントヤラと言うことで。大丈夫です。ご飯は山程ありますからね」
>「おい
>不穏過ぎる言葉とビクともしない手首に冷や汗を流すも、そんなのは知ったことかとばかりにもう片方の手首も捕まえられる。
>「え゛、どうしたのショウヘイ」
>「マリンごめん早く俺を助け……」
>「すみませんショウヘイさん借りますね一日だけですから許して下さいそれではオン・イダテイタ・モコテイタ・ソワカ!」
>フブキが早口で呪文を唱えた瞬間、フブキと俺の体が爆速で上昇する。
>「うわぁぁぁぁ!?」
>「イヤッホー!Far away!」
>瞬く間に唖然としているマリンの顔が点になり、街並みを遥か上空から見下ろせる程に上昇する。
>腕が引き千切られると思ったが、不思議と引っ張られている感触はするものの、身体に負荷がかかるような気配は無い。
>「強引だな……」
>「おや、戻ろうとは思わないので?」
>「この高さから落ちたら良くて挽肉悪くて血煙だろうがよ」
>精一杯呆れた目を向けつつ、俺はそう呟いた。
>「……まぁ確かに」
>フブキはそっと目を逸らす。……その頬に冷や汗が伝ったのを俺は見逃さなかった。
>フブキはゆっくりと空中を移動し、街の西側にある山に向けて降下していく。
>「……あれは、神殿か?」
>「神社ですね。我々カミを祀る社(やしろ)です」
>「ウツシヨにもそんな施設があるのか?」
>俺が不思議そうに聞くと、フブキは困ったような笑いを返した。
>「そも、世界は表と裏の2つが在りましたが、元々人とカミが共に生きていたのはこちら側だったのです。人の世から目に見える神秘が完全に根絶されたのは……およそ500年前といった所でしょうか。それ以降、我々はカクリヨに居を移しましたが、その信仰はこちらでも受け継がれているのです」
>「……寂しい場所だな。祀られるべき者は、もう居ないのか」
>「そうですね。カミは神秘の否定によって力を失い、精霊に格落ちしました。或いは自我を擦り減らし消滅するまでこちらに留まった、人好きのカミも居ましたよ」
>フブキは神社に降り立つと裏手に向かい、俺もそれに付いていく。
>裏手には所々腐りかけの雨避けと、石材を積み上げた井戸囲いがあった。
>「これは?」
>「……井戸ともう一つの世界、というのは、切っても切れない関係にあります。古くからで言えばギルガメシュ、この国で言えば小野篁が、井戸を通って冥界へと向かった逸話があります」
>フブキは井戸囲いの縁に手を置き、魔力を放出する。その輝きに俺は目を細めながらも、フブキの言葉に耳を傾ける。
>「つまり井戸は、ウツシヨとカクリヨを繋ぐ扉足り得るのです。幸いにしてアンカーは直ぐ側にあります。ウツシヨでは神秘の否定によって修正力を受け続けている私ですが、取って返せば、私にはカクリヨへの道を繋ぐ力が有ると言うことです」
>言い終わると両手を組み、そっと瞳を閉じた。
>「我が姉、天照大神に願い奉る。
>井戸に光が走る。
>世界が切り替わり、落ち込む。
>それに使われる膨大な魔力を供給しているのは、目の前の少女だ。
>間もなくして光は収まり、フブキは満足気に井戸の中を覗き込む。
>「ふむふむ、問題は無さそうですね……すこし手を握ってもらえませんか? 中を確認したくて」
>「了解した」
>差し出した手を握られたことを確認したフブキは、大きく身を乗り出して右手を井戸の中に伸ばす。
>「よしよし、オン・アハラシャノウ……場所はキョウの近くですか。変な場所に出なくて良かった。 ……やっぱり、もともと薄っすらと繋がってたんですね。この地に祀られたカミが残した虎の子でしょうか?」
>ぐい、とフブキに引っ張られ、慌てて俺ごと落ちるまいと力を込める。
>「ありがとうございます、ショウヘイさん。お陰で助かりました」
>井戸から顔を上げたフブキは、ニコリと笑みを浮かばせたままこちらに近寄ってくる。
>「では、軽く陰陽術についてお教えしましょう」
>「……ここでか?」
>土と雨避け、その反対側には寂れた本殿。それがこの場所の全てだ。
>とてもでは無いが、教えを受ける場所ではない*1。
>「陰陽術は実践あるのみですからね。 ……まぁ、私はミオから教わったので、彼女の指導方針という事にもなりますが」
>フブキは俺の後ろに周り、肩に手を添える。
>「まずは陰陽術とは何か、ですね。陰陽術はこの国で独自に発展した魔術体系です。通常の魔術が扱うのが属性なら、陰陽術が扱うのは星とカミ。陰陽五行については人の技術なので、今回は割愛します*2」
>そこから浸透してきた魔力が俺の身体を巡り、魔力炉と接続する。
>「重要なのは「カミ」を思い浮かべること。正しき祈り、姿の想像、供物となる魔力。これらが揃えば、術式は起動します。今回は印契も用いてみましょうか」
>俺の右手が取られ、指先を数度いじられる。
>「なんか変な印だな……」
>「帝釈天印。インドラという、インドの雷の神様の印です。見た感じ、雷と一番相性が良さそうでしたので」
>フブキの言葉に頷きながら、彼女につくられた印をみる。
>小指、薬指は握り込まれているが、中指が人差し指に巻き付くように伸ばされ、親指は薬指の第一関節に触れている*3。
>「重要なのはイメージです。インドラには様々な異名があります。
>明らかに偏りのあるイメージの湧かせ方だったが、何とか想像を固める。
>天から下りて邪悪を断つ者。王として裁定を下す者。
>自然と魔力が遊離し、パチパチと辺りに火花を撒き散らす。
>「おっと、これはこれは……予想以上に気に入られた様で。 ……では
>「……オン・インドラヤ・ソワカ」
>イメージを維持したまま、自然と言葉が零れ落ちる。
>瞬時の轟音。眼の前に雷が落ちるよりも早く、フブキが腕を突き上げ魔力障壁を張る。
>フブキによって供給されていた魔力が途切れた事で術式が終了し、険しく空を見上げていたフブキが警戒を解くまで、俺は身動き一つ取ることができなかった。
>「けほっ……っつ……」
>全身から魔力という魔力が根こそぎ吸い取られ、術式に転化される。魔力が急激に減少した事による目眩によって膝を突き、荒い息を繰り返し続ける事しかできない。
>「異なる魔術基盤の、初めての起動で、よもやここまでの現象を引き起こすとは……
>スタスタと寄ってきたフブキが膝を抱え、俺の顔を覗き込む。
>「龍脈と接続して、魔力を回復しましょう。ほら」
>「分かった……」
>残り少ない魔力を地中に通し、龍脈からの魔力を魔力炉に引き込み、オドに加工する。
>ようやく人心地がついて溜息を吐くと、フブキに肩を2度つつかれる。
>「ね、ショウヘイさん」
>見上げると、フブキは少し気恥ずかしそうな顔をしていた。
>「ちょっと、私と戦ってみませんか?」
>「……は?」
>疑問の声は、風に溶けて消えた。
いやまってなんか色々情報量が多い!
えっと……これはアンロックスキルですね。しかも2つ。
『龍脈接続/Ⅲ』
補正系スキル。
##『大源同調/Ⅴ+』とは同時に使用する事ができない。フィールドによって自動で切り替わる##
##『大源同調』から熟練度を引き継ぎ。熟練度にボーナス補正##
##『異界常識』によって熟練度にマイナス補正##
##『未知』によって熟練度にマイナス補正##
この世界において龍脈とは「星」の血潮。選ばれた者にしか扱う事はできない。無論足先を浸す程度なら害は無いが、深く浸かろう物なら容赦無く星は牙を剥く。
MPを1分間につきMP最大値の50%回復する。
術式使用時にMP最大値の1.5倍までのMPが使用可能になる。
……なんか最終的にデメリット付きスキルに変化しそうな雰囲気が酷いですね。
で、問題は次。
『陰陽術(属性特化/雷:特殊)Ⅳ+』
魔術系スキル。
##『才器練達』によって熟練度がⅤで固定##
##『異界常識』によって熟練度にマイナス補正##
##神に気に入られた。熟練度に特殊裁定が付与##
『特殊裁定』
「インドラ」の術式を使用した際威力、性能が2倍、インドラ系列の神の術式を使用した際威力、性能が1.5倍。
『属性特化』
記載された属性の術式を使用する際威力、性能が1.5倍、記載された属性以外の術式を使用した際威力、性能が0.5倍。
陰陽術とは星とカミと五行を司るもの。これはカミに特化した術式。本来の陰陽術とはかけ離れた能力を発揮し、新たな術理に手を伸ばしかけている。
登録術式
「オン・インドラヤ・ソワカ/Ⅱ」
雷/3Hit/レンジ1〜10/INT100%/50/範囲/200
──「未開放」──
+記号は効果が2倍に跳ね上がるから軽率に付けちゃ駄目なんですけどねぇ……
インドラかつ雷の術式に至っては威力3倍とかいうイカれた倍率になってますよ。
術式の効果は、
属性/Hit数/射程/補正値/基礎威力/攻撃種別/消費MP
の順に並んでいます。
ダメージ、消費MPともに有用な数値ですね。
普通に終盤でも使えそうな魔法ですが、特殊裁定のせいでヤバいダメージ量になってますね。
さて、突然フブキさんに戦闘を切り出された主人公くん。どう対応していくべきか……
ではまた次回、お会いしましょう。