ホロライブラバーズRTA(初投稿) 作:Shohei Hayase
「白上フブキ」さん>
えー、こんにちは。
ショウヘイと申します。
では、前回の続きからやっていきたいと思います。
>「戦う……って言ってもな。勝負にならんぞ?」
>「勿論加減はしますので。 ……それに、実地で覚えるというのはこういう事です」
>急な言葉に問い返すも、フブキの理論武装は完璧だった。
>確かに実地で覚えるとは言った。 ……その「実地」がどこまでかを見誤った俺のミスだ。
>「わかったよ……場所はどうする?」
>「お堂の手前をお借りして。 ……簡易的な陣を敷いて周りからこの場所を切り取ります。流れ弾の心配はしなくて大丈夫ですよ」
>フブキは表側へと歩き出し、さっと手を振ると右手に不思議な棒が握られていた。
>「……剣?」
>「そうですね。この国でメジャーな、刀という武器です。号は『村雨丸』。 ……ショウヘイさんは、武器は使わないので?」
>「武器の方はさっぱりだ。徒手格闘の心得はあるが、所詮は付け焼き刃だよ」
>フブキが手にしている村雨丸……それに視線が吸い寄せられる。
>(……なんか変な感覚だな。「刀に見られる」って)
>白く、華美な装飾も無い。ただその武威は、俺が見てきたどんな武具にも勝る程だ。
>王城の死蔵室に収められていたあの魔剣よりも、余程……
>「ナウマク・サマンダ・ボダナン・アビラウンケン。 ……さて、合図は……これにしますか。ベタですけどね」
>フブキが呪文を唱え、周囲数十mから先が灰色に変色し、木々のざわめきさえも静止する。
>そして懐から取り出した硬貨を見せてから、上に弾くようなポーズを取った。
>「これを弾いて、地面に落ちたら戦闘開始、という事で。条件は……そうですね。私に陰陽術を当ててください。あ、危険だと思ったら降参って言って貰えれば止めますので」
>「……了解」
>フブキから伝えられた条件……陰陽術を当てるのは、正直かなり難しい。
>魔力こそ回復したが集中力は削り取られ、魔術基盤の転換には未だ時間がかかる。単発の術式で当てられる公算が小さい以上、魔術で牽制しつつ陰陽術の一撃を狙う必要があるが、その途中、絶対に魔術を何も起動できない時間が存在する。
>その隙に距離を詰められたら、こちらの負けだ。
>「……では」
>フブキが指に力を込め、弾く。
>空に舞うコイン。それを見ながら、俺は魔術の起動準備に取り掛かる。
>(
>俺の持つ魔術では最高威力の手札、その最大展開。
>体表面のマナをコントロールして術式の発動を悟らせないようにして、コインに意識を戻す。
>落ちる。くるくると回転しながら、地面に触れ……
>キン、と音がなった。
>「
>「オン・アニチヤ・ソワカ──!?」
>フブキが真言を唱えるよりも早く俺の魔術が直撃し、雷が空気を裂く鈍い音が響き渡る。
>確実に命中した。普通の人間ならここでもう決着がついている。
>……しかし。
>(効いてない!)
>炎が燃え上がる。俺が放った雷はあっさりと消え、炎もまた何度か獲物を求めるようにうねり、消える。
>フブキは数度袖をパタパタと揺らし、少し煙たそうにしているが、傷一つない。
>「加減しているとはいえ、無傷かよ……」
>「私、
>鋭い踏み込み、鞘走りの音。
>数十mの距離を瞬きの内に詰め、横薙ぎに襲いかかる刃に宿る魔力の光を俺は知覚した。
>(威力低減の魔術、一応そっちも加減ありってことか)
>しかし喰らえば痛い物は痛い。思いっきり地面を蹴り飛ばし、横に振るわれる刃を回避する。
>(
>単発高威力、短射程だがここまで近付けば射程のデメリットは無視できる。
>4発を2セット、合計8発の魔力弾がフブキへと放たれる。
>「その程度!」
>フブキが刀を振り上げるのを見て、俺は魔術基盤の切り替えを開始する。
>「
>指先を印に変え、眼の前に突き出す。
>刀を振り上げたまま、驚愕の表情を浮かべるフブキ。
>……あとは、言葉。
>「オン・インドラヤ・ソワカ!」
>完璧なイメージ。空から雷が落ちる。
>熱量は『ケラウノス・ボルテージ』の2倍かそれ以上。高い魔力消費に見合った威力の雷は、『エレクトリカル・ウェッジ』に僅かに遅れて着弾する……
>筈、だった。
>「オン・ハリチベイ・ソワカ」
>迫り上がった
>「……これじゃ駄目か」
>「いえ。確かに凄かったです。今までのルールだと私の負けですね」
>フブキは苦笑したまま、言葉を続ける。
>「ですがそう……ちょっと。ちょっとだけ延長させてくれませんか? もちろんお礼は後程しますので……」
>居住まいを正し、頼み込むようにして、じっと俺を見つめてくる。
>答えは決まっていた。
>「俺の方こそ、お願いしたい位だ。 ……で。どんな風にする?」
>「お互いに加減しつつ、ちょっと趣向を変えてみましょう」
>そう言ったフブキは刀を鞘に戻し、手から炎を生み出す。
>「今度は私が魔術を使うので、ショウヘイさんは近接攻撃だけで。私に一撃与えられれば勝ちです」
>「格闘は苦手なんだがなぁ……」
>「あと、陰陽術も使いつつ、ですね。この呪文を唱えて、印を組んで……『オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ』」
>「オン・ベイシラマンダヤ・ソワカ」
>フブキの真言を復唱すると、俺の両手に白い光が宿った。
>「……この式は、さっきの」
>「そうです。ちょっとした小技で、本来なら武器の威力を上げてくれるんですが、パラメーターをいじればこの通り」
>フブキの刀に掛けられていたのと同じ、威力低減の術式だが、思ったよりも高い効果が出ている。
>「……なんか掛かり方が強くないか?」
>「毘沙門天は多聞天……インドラの配下たる四天王の一尊としても表されますから……その影響でしょうか?」
>俺の素の身体能力で殴ったとしても、子供の正拳位の威力しか出なさそうだ。
>予想外の事象ではあったが、戸惑いを押しやって構えを取る。
>(『ニューロ・ブースト』は使えない。魔力放出のみではあるが、龍脈から魔力を吸い上げ続ければ釣り合う。その強化でどこまで食い下がれるか……)
>「……まぁ、やるしかないか!」
>半ば諦めと共に呟き、一気に駆け出す。
>「アグニ!」
>フブキが右手を突き出すと、丸い炎が数発、こちらに向かって放たれる。
>体捌きで可能な限り避け、回避不能な炎弾は魔力を宿した腕で払いのけることでやり過ごす。
>「シィッ!」
>滑るような踏み込みで体勢を低くしながら間合いを詰め、軸足を地面に食い込ませて拳を突き出す。フブキは身を翻して正拳を躱すと、手のひらをこちらに向け、その中には炎が渦巻いていた。
>すかさず拳を引き戻しながら肘を跳ね上げ、フブキの手を反らしつつ左足を固定して右足を前に出しながら足払いを仕掛ける。
>「ほっ!」
>足払いはジャンプして回避され、謎の力場を蹴り飛ばして距離を取られかけるが、足の動き出しからフブキの動きを割り出し同じ方向へと動く事で距離を維持する。
>「逃がすか、『絶招──』!?」
>技の構えを取ろうとしたところで後ろからの魔力の塊を知覚し、全力で体を投げ出して回避する。
>距離を取って体を起こすと、フブキの周囲に5、6個の炎の弾が浮遊していた。
>「それ壊さないと駄目なタイプか?」
>「オン・バラバザラ・ソワカ。スダルシャナの劣化版ですが……行けっ!」
>炎が円盤のような形に変わり、俺に向けて一個が向かってくる。
>拳を突き出し、破壊しようとするが……硬い。
>回転する円盤と俺の魔力場がぶつかり合ってマナの火花を散らすが、それより遠くから他の円盤が俺に向けて殺到する。
>防御……不可。たとえ一個を回避しても全方位から迫る残りの円盤を回避しきることは難しい。
>……ならば。
>「ぶつけるのは、同じ物!」
>右手で円盤を掴み、コンパスで円を描くようにぐるりと一回転。
>破壊されずとも弾かれて軌道を乱された円盤はあらぬ方向へ飛んでいき、手に持った円盤を地面に向け、拳を打ち下ろして串刺しにする。
>(……壊れた。なら速攻で決める。『絶招・猛虎硬爬山』!)
>円盤が壊れたことを確認し、腰から上の構えを維持したまま滑歩で接近。
>上半身を引き絞り、一の拳。
>「……ッ!!」
>人体の関節を的確に連動させ、威力を極限まで上げた一撃は、あっさりとフブキの片手でいなされる。
>しかし、猛虎硬爬山の本質は一の拳ではない。
>その後に間髪入れず放たれる二の拳、相手の体勢を崩してから放たれる必殺こそがこの套路の真髄*1。
>(この距離は……肘!)
>引き伸ばした拳を畳みつつ、地面を踏み付けた反発力を肘に集める。
>一撃で倒せなかった分、体制を立て直した円盤、フブキが起動しようとしている魔術の気配はより強くなっていたが、それよりも肘打ちをフブキの鳩尾の上に添えるほうが早かった。
>「……これでどうだ?」
>「参りました。……いやー凄いですね! そこそこ本気でしたよ、私」
>一応確認のために問いかけるが、フブキはあっけらかんとした口調で返してきた。
>「試合じゃなかったら俺が負けてた。あまり誇るような結果じゃない」
>仮にフブキを倒すのが目的だった場合、あれよりもう数瞬の時間を必要とし、その間に円盤が俺の背中をバッサリ切り裂いてしまう。
>そういう意味も込めて返答しつつ、ゆっくりと拳を離す。
>「別に、そう卑屈になるような物じゃないと思うんですけどねぇ」
>「……
>体を伸ばしたり、腕を揉んだりして整理運動をしながら、眉を顰めて言葉を吐き出す。
>フブキは不思議そうに覗き込んでくるが、それを極力見ないようにして姿勢を正し、フブキに向かって頭を下げる。
>「手合わせ、ありがとう。足りない物が見えてきた気がする」
>「こちらこそ。私のワガママに付き合って貰えて嬉しいです」
>互いに頭を下げ合い、見計らって元に戻る。
>「さて、これでショウヘイさんは私に貸しを一つ作った訳ですが……どうします?」
>「……今は何も無いかなぁ」
>「あれ? もっと教えて下さい、とかでもいいんですよ?」
>「一度見せてもらったし、多分なんとかなる……と思う。分からなくなったらまたお願いするよ」
>印を組んだまま言葉を唱えずに中指の上に雷を出すと、フブキは思いっきり耳を伸ばしてギョッとした表情をする。
>「た、たった2回の起動で、無詠唱まで……」
>「とは言えまだまだ荒削りだし、暫くは練度向上に精を出す事になりそうだけど」
>イメージが薄れるに従って不安定に瞬く雷を消し、口を開けたままのフブキの目の前で数度手を振る。
>「……はっ! いえ失敬。正直予想外過ぎて……ならどうしましょうか……お願い……お願い……あ、変なのは駄目ですからね?」
>「どこぞの悪徳貴族じゃあるまいし、そんな事はしない」
>茶目っ気を利かせた表情をするフブキに、辟易しながらも吃ることなく言い切る。
>「わかってますよ。 ……とはいえ、そうなるとやはり保留ですか……」
>「……
>「そういう訳では。どちらかというと……借りを長く作っておくのが怖い、といった所でしょうか」
>「……なら、フブキが決めたほうがいいんじゃないか?」
>俺がそう言うと、フブキは目を一度瞬かせた。
>「……私が?」
>「俺は特に願いは無いし、フブキがやりたい事を俺に言ってくれればいい」
>「貸しの定義からかなり外れているような気もしますが……その意、受け取りました。差し当たっては、皆さん方の所に戻りましょうか」
>フブキは頷くと、俺に向けて手を差し出してくる。
>「……また飛ぶのか?」
>「あれが一番早い方法ですし」
>半ば諦めと共にフブキの手を掴むと、僅かな浮遊感を感じて二人の体が空中に浮かぶ。
>「……速くない」
>「私だって学習くらいしますよ……」
>ゆっくりと空に向けて上昇し、俺達は神社を後にした。
いやー……危なかった。
何が危ないって白上フブキさんとの戦闘ですね。
はい、先程の戦闘で表示された白上フブキさんの特殊バフ一覧です。
「白上フブキ」
『■■(○○○)』
「■□■■」□■□□■■■■□■■
『■■□■■■(■■)』
■■□○○ー○○□■□□■■□○○ー○○□■■□□(■■■)
『■■■■Ⅴ++』
■■□■○○ー○■■■■、■○○ー○■■○○○■■□■■、■○○ー○○□■■□■■□□□
『■■・■■■■』
効果なし
『■■■■』
■■□HP□■■□□□□■■□■○○ー○○□■■□、○○○、■■□■■○○○、○○○○○□■■□□□
【てかげん】
自身のステータス、与えるダメージを大幅にダウン。自身の攻撃力強化状態を無効化、自身の防御貫通、耐性貫通攻撃を無効化。
……はい。
明確に見えるものが「手加減」くらいなのですが、ここで一言。
「V++」持ってる
えー、ざっくり言うとV++は「それ専門の神に比肩するか上回る」レベルの技量であることを示します。
主人公くんの『大源同調/Ⅴ+』は「神に比肩する、人域の限界」まで達する程ですが、それすらも軽く凌駕していますね。
なによりも戦闘画面で表示される特殊バフなので、おそらく戦闘系の効果であるはずです。
ウカノミタマってそんな武勇の逸話ありましたっけ?
……兎も角今回はここまで。
ではまた次回、お会いしましょう。
ざっと主人公くんとフブキさんでどれくらいの差があるか(ステータスに関しては独自設定です)
杉下将平 Lv.5
HP 370
MP 420
STR 3
VIT 3
DEX 8
AGI 3
INT 8
LUC 3
白上フブキ Lv.???
HP 2890
MP 3040
STR 71
VIT 60
DEX 72
AGI 90
INT 75
LUC 50
なお、この一戦だけで主人公くんは5Lvくらい上がってます。