ホロライブラバーズRTA(初投稿)   作:Shohei Hayase

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凡例

「白上フブキ」さん

「大神ミオ」さん

「不知火フレア」さん

「白銀ノエル」さん

「宝鐘マリン」さん


Ep.16/本編開始前(14)

えー、こんにちは。

 

ショウヘイと申します。

 

では、前回の続きからやっていきたいと思います。

 

 

 

 

「さて、どうせですし物量作戦と行きましょうか」

 

>「……何を?」

 

>街の上空でフブキは目を瞑り、素早く印を組む。

 

「何って……人探しですよ人探し。いい加減きっちりと話を付けたいですし、世界の融合はこうしているうちにも進行してますし。タイムリミット付きなんですよ、この件。その前哨戦に一々構ってられませんって」

 

>俺はギョッとした顔でフブキを見やるが、彼女は目を閉じたまま、俺の質問に答える。

 

>「融合するまで、どのくらい掛かる?」

 

「ざっと一月少々でしょうか。『穴』が空いた時点でタイムリミットが近いですね。魔界との交渉に気を取られすぎて、あなた方の世界が近付いてることに気が付きませんでした」

 

>「……魔界、とはまた穏やかじゃない名前だな」

 

「なぜそんな名前がついているのか、本人達もよく分かってないようでしたけど。 ……まぁ有り様はこちらからすれば正にダークって感じですね」

 

>そこで言葉を切って、フブキは目をカッと見開く。

 

「私が同時操作できる限界500匹! 物量でこの街を丸裸にしてやりますよ! 『オン・チラチラヤ・ソワカ』!」

 

>直後、フブキの周囲に凄まじい量の白狐が生み出され、三々五々街へと散っていく。

 

「さて、ターゲットは……」

 

>「拳銃を持っていない警察官、が一番怪しい」

 

「道理ですね。では、その条件で絞り込みますか。10分位時間があるので、どこかで時間を潰しませんか?」

 

>その質問に、俺は少しの疑問を覚えながらも回答する。

 

>「……行きたい場所も無いし、何処かのビルの屋上はどうだ?」

 

「おー、屋上とはまた乙な所ですね! ……あれ、どうでしょう?」

 

>フブキはこの近辺で一番高い建物を指差し、俺が首肯で同意すると、ゆっくりとビルに向けて移動していく。

 

「ほっ、と……『オン・マリシエイ・ソワカ』」

 

>ビルに降り立つと、フブキは呪文を唱え、辺りに不可視の結界を張る。

 

>「隠形の結界か。凄い完成度だな……」

 

「摩利支天は陽炎の如く、と言った所ですかね」

 

>ビルの縁で足を下ろすフブキを真似する気にもなれず、縁から離れたところに適当に座り込む。

 

「もっと寄っても良いんですよ?」

 

>「空中浮遊の式なんて持ってないし、こんな所で落っこちたら俺の命が無い」

 

「つまり空中浮遊を覚えたらこっちに来れると?」

 

>「……術式の切り替えをミスってもアウトだから無しだ」

 

>悪戯っぽい表情をするフブキに、嘆息しながら返す。

 

>(魔術基盤(リライアンス)転換(チェンジオーバー))

 

>陰陽術の制御能力を上げるべく、低出力で雷を発生させ続けていると、彼女は足をプラプラさせたまま、体を反らしてこちらを見てくる。

 

「この街並み、キレイだと思いますか?」

 

>……少し、考える。

 

>立ち並ぶコンクリート、行き交う人々、建物に使われているガラスは、俺達の世界の物とは比べ物にならないほど大量に使われ、太陽の光をキラキラと反射して輝いている。確かに俺には見覚えのない珍しい景色だ。だがこれがキレイかと聞かれると、俺には答えを出すことができない。

 

>けど。

 

>「俺はまだ、この世界の事を何も知らないから、今はまだ答えられない。 ……けど、フブキがこの世界をキレイだと思うなら、多分そうなんだろう」

 

>目を逸らしながら質問に答えると、フブキが心無しか不満げな表情をした……気がした。

 

「むー……どうしてちゃんと目を見て話してくれないんですか?」

 

>「あの……だな、服装が……」

 

>恐る恐る目だけを向けながら答えると、フブキは自分の体勢に気付いたのか、一瞬自身の体を見下ろしてから急激に顔を赤くし、バッと胴を抱えて身体を伏せる。

 

>「……すまない。言わない方が良かったな」

 

「いえ、お見苦しい物を……」

 

>蚊の鳴くような声で話すフブキに気の利いた返しもできず、暫し考えを巡らせた俺は上着のポケットに手を突っ込み、一枚の布を引っ張り出す。

 

>「術式基盤転換、式始動」

 

>俺の手の中で布が形を変え、見る間にローブへと変貌を遂げた。

 

>マリンの扱う、錬金術の応用だ。

 

>フブキの後ろからそっとローブを掛けると、彼女は驚いたような顔でこちらを見上げた。

 

「これは……?」

 

>「火竜の革だ。入手して以降、これと言って使い道は無かったが……漸く役に立った」

 

>龍の素材は死してもなお残る属性によって、物理形質に大きな変化が生ずる。火竜の革は魔力を通さずとも暖かく熱を持ち、保温性も高く、主に厳冬地域の防寒具に使用される。

 

>魔力を用いずに状態変化を起こす特性に最初は注目したものの、結局大気中のマナを微量に吸収して発揮される効果だということが判明したため、俺にとっては無用の長物になってしまったのだ。

 

「温かい、ですね」

 

>「そうか。 ……その。もしフブキが嫌じゃなければ、服を用立ててみるのはどうだろうか」

 

>フブキはぱちくりと目を瞬かせ、唇を穏やかな笑みの形にする。

 

「喜んで、と言いたい所ですけど……当世風の服装なんて全然知りませんからね……ショウヘイさんは、そこの所どうなんですか?」

 

>「服は全然……この服装を見てくれれば分かる」

 

>肩を竦め、視線を下に向ける。

 

>白い丸首Tシャツ、黒いパーカーには身分証明代わりの飾緒が付けられ、同じく黒いズボン、外征用の黒く大きなブーツ。

 

>闇夜に紛れる犯罪者としても通りそうな格好に、我ながら呆れる他ない。

 

「それは確か、フレアさんが買ってくれたもののはず……でも彼女、普通にセンス良さそうでしたけどね」

 

>「なんつーか……色付きの服はあんまり。実験にも使うし、汚れてもいいようにと考えると、必然的に黒くなった」

 

>フレアもそれを知っているので、苦虫を噛み潰したような顔をしながら服を選んでくれたのだろう。

 

「……さて、行きましょうか」

 

>「見つかったのか?」

 

「ええ。これにてお終いです」

 

>立ち上がったフブキは、静かにそう告げた。

 

 

 

 

 

>街の一角、打ち捨てられた廃工場。俺たちが未探索だった場所を、白い狐が取り囲んでいるのはある種異様でもあった。

 

「ここで合ってるの?」

 

>「……魔力の反応はある。やっぱり合ってるんじゃないか?」

 

>心配そうに聞くフレアに、俺は工場の中を魔力探査で確認しながら答える。

 

>すでに防音と人払いの結界を敷き、後は突入するだけとなっている。

 

「船長は結界を維持しておきますから、ショウヘイが中をお願いします」

 

>「わかった」

 

>魔力の準備を終わらせ、工場に向けて手を翳す。

 

>辺りを熱風が吹き抜け、バジッ!、という鈍い音が鳴る。

 

「殺傷力を低減させるために、熱を掛けて対象の表面水分を減らしてから電撃を与える*1……なるほど、面白い術ですね」

 

>「魔術師としては、一回でそこまで見破られると商売上がったりだな」

 

>顎に手を当てて、俺の魔術を解析していたらしいフブキに、両手を上げながら言葉を返す。

 

「見た感じ汎用式のようでしたし、まぁこれくらいは。 ……さて、中を見に行きましょうか」

 

>フブキがスタスタと中に入っていくと、一階には男が一人倒れ込んていた。

 

>「……ノエル」

 

「人相書きに間違いなし、まずは一人かな」

 

>手枷、足枷、猿轡を手際よく掛けて、ノエルはそう呟いた。

 

「数が少ないですね」

 

>「残りは……下か」

 

>再度魔術を起動し、地下を射程に入れて電撃を放つ。

 

>階段を伝って下に降りると、男が二人倒れていた。

 

>その側には黒光りした蓮根のような物を挟んだ取っ手付きの棒が置かれていた。

 

「拳銃……やっぱり武器が奪われてたみたいですね」

 

「これが……こんなに小さい物が銃なんですか?」

 

>恐る恐るマリンが訊く。その「銃」という言葉には、俺も聞き覚えがあった。

 

>金属の弾丸を火薬の圧力で飛ばす。大砲をスケールダウンして人が持てるサイズにしたのが銃だという。

 

「……これが、船長の知っている銃です」

 

>マリンは銃を錬成し、フブキに渡す。彼女はそれをあちこちから眺め回し、ミオが解説を加える。

 

「雷管はあるけど、まだ先込め式なんだね。時代に直すと19世紀初頭かな。 ……これは独学?」

 

「独学……というか、船長が主導している開発プロジェクトの試作品ですね。ミオさんが「雷管」と呼んでいた機構は、船長の発案です」

 

>俺は床に置かれていた拳銃を手に取り、解析魔術を通す。

 

>銃の左側、持ち手のすぐ上にあるつまみを弾倉側に押し込むと、弾倉が外れ弾が見えるようになった。

 

>「この銃弾の中に火薬がぎっしり詰まってたら、並の魔術師の対物障壁じゃ防げないな」

 

>なにせ弾の面積が小さ過ぎる。音速の数倍で飛翔する、親指の三分の一の直径の金属片など、「全体を防ぐ」魔術障壁では防御力が足りないだろう。

 

>(そもそも、このレベルの威力を個人装備で防げるのか?*2)

 

>鎧と障壁の合わせ技でやっと防げるレベルの弾丸*3を、個人が持てる範囲内の装備でどうこうできるとは思えない。

 

>「銃はどうやって防ぐんだ?」

 

「うーん、有名所だと繊維質のボディーアーマー、あとはセラミックのプレートですかね」

 

「セラミック……陶磁器!? 食器じゃないですか!」

 

>フブキの答えに、マリンが驚愕して食って掛かる。

 

>セラミック……陶磁器は俺達も見たことがあるが、とても弾を防げるとは思えない。

 

「セラミックって言っても、炭化ケイ素を2000℃で焼き固めたものです。そう言う物もセラミックの範疇に含まれるんですよ」

 

>炭化ケイ素……隕石に少量そういった物質が含まれているとは聞いたことがあるが、それを大量生産に漕ぎ着けているとは*4

 

「なるほど……それで、コレどうします? そのまま返すってわけにも行かないでしょ?」

 

「うーん……ミオはこれからの事もありますし、私が返してきます。変装ならお手の物ですからね」

 

>フブキはバッと身を翻し、「また後程!」と言い添えて倉庫の外に走り出した。

 

>「さて、なら三人を連れて穴へ戻ろうか。そろそろ返答の使者が来てる頃合いだろうし」

 

>俺達は三人をそれぞれ担ぎ上げると、足早に倉庫を後にした。

 

 

 

 

 

犯罪者を捕獲したことで異世界側の目的は達成されたので、次回か次々回くらいで「アナザーワールド・エンカウント」のシナリオは終わりそうですね。

 

でもまだゲーム内時間では開始から2日と経っていないこと、ゲーム内でホロライブ学園のホの字も聞かないことが気がかりですね。

 

あと主人公くんのスキルに『銃器鑑識(リボルバー)/Ⅰ』が追加されてますね。

 

レベル1、しかも武器種限定なのでまだまだフレーバー程度ですが、育てれば初見で銃の詳細を看破でき、銃器の性能を詳しく理解することができる便利なスキルです。

 

まぁバトロワで銃器関係に触れる機会は山程ありそうなので、そこでの成長に期待ですかね。

 

それでは今回はここまでとなります。

 

ではまた次回、お会いしましょう。

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
皮膚が濡れている状態で電流に触れると抵抗が極端に減少し、電流による被害が拡大する。

*2
無理。NIJレベル3Aは繊維素材でぎりぎり防げるかというレベル。

*3
とはいえ、将平達の世界では史実の19世紀よりも銃による死傷者が少ない。

*4
炭化ケイ素の工業的製造法は19世紀末普及した。

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