ホロライブラバーズRTA(初投稿)   作:Shohei Hayase

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凡例

「不知火フレア」さん

「白銀ノエル」さん

「宝鐘マリン」さん



Ep.4/本編開始前(2)

えー、こんにちは。

 

ショウヘイと申します。

 

では、前回の続きからやっていきたいと思います。

 

 

 

>「さてと……3人集まったことだし、積もる話もあるだろ」

 

「私はここに部屋が無いから……ノエルか将平の部屋でいい?」

 

「船長は良いですよー」

 

「私の部屋はちょっと……」

 

「ノエル……まだものぐさが直ってないの? 騎士団長でしょ? ちゃんとしなきゃ」

 

「うわぁぁん、フレアがイジメる〜!」

 

「おーよしよし、良い子良い子」

 

>目をバッテンにして泣きつくノエルを、マリンが優しくあやす。 ……ちなみに、ノエルの片付け能力は壊滅的で、学生時代はフレアとマリンにちょくちょく助けてもらっていた。

 

「てことは、将平の部屋か」

 

>「……特に見所も無いけど、それでもよければ」

 

「よしよし、行こう行こう!」

 

>余程自分の部屋を見せたくなかったのか、いつに無く食いついてくるノエルに押され、俺は王宮の自室へと歩みを進める。

 

>「……着いた。ここだよ」

 

「お邪魔しまーす……うわぁ、相変わらず殺風景な部屋ね」

 

>「褒めてるのか、ソレ」

 

「……一応?」

 

>壁一面の書棚に収まっている書物と魔法薬の素材を見てのフレアの反応は、ある意味正しいのかも知れない。

 

「この書物、魔法学の……? けど、船長こんなの見たこと無いですよ」

 

>書棚の一角、薄く虹色に輝く本を取って、マリンはそう呟く。

 

>「……どうやらこちらに流れ着いたものらしい。既存のあらゆる言語体型とも異なる物だけど、魔力運用に関する記述だと思う。手首が消し飛んでも知らんぞ」

 

「うひゃい!? っとと……」

 

>反射的に本を放り投げそうになったマリンだが、落とした衝撃で異変が起こるのを嫌ってか、数回お手玉した後にどうにかキャッチした。

 

「異界から人ではなく書物が流れ着くなんて……将平はどこでこれを……?」

 

>「自室。1ヶ月くらい前に部屋に戻ったらあった」

 

「そんな怪談の出だしみたいなこと言わないでよ……」

 

「船長めっちゃくちゃこれの中身気になるんですけど」

 

>虹色のラインが走る本を()めつ(すが)めつ眺め、時たまノエルの眼前に本を押し付けてからかいながら、マリンは俺に視線を向ける。

 

>「特殊な鍵が要る。恐らく特定の魔力波長をぶつけないと開かない。魔力波長が先天的なものである以上、これを正攻法で開けるには外法(げほう)を頼るしかない」

 

>俺は緩く首を振った。人皮(じんぴ)装丁(そうてい)されているわけでもなく、紙も一般的な羊皮紙。そんな平凡な物にこれだけの細工を施すなど、この本を作った者が本当に人間かどうかすら疑わしいレベルの物だ。

 

「そうですか……」

 

>マリンはそういったっきり、ヒョイと本を元の場所に戻し、書斎机から椅子を引き出して座った。

 

「あー! マリン!」

 

「ベッドがあるじゃないですかー」

 

>「阿呆かお前は、椅子2つくらい自力で作れるだろ」

 

>ニヤリとした表情を浮かべるマリンに、俺は憮然として返す。久々の再開だと言うのに、その雰囲気を壊したくはない。

 

「まぁそう言うのは船長の得意分野ですけど……『錬成』」

 

>懐から小さい金属棒を取り出したマリンは、それに術式を掛けて金属製の椅子に変化させる。

 

「クッションはそこらへんのでお願いします。タオルあるよね?」

 

>「取ってくる」

 

>脱衣所脇の引き出しを開けて、ストックしてあったタオルを取り出す。新品未使用のタオルは最早これしかない。

 

>「俺の任官祝いに送られてきた物だ。一応最高級品……の筈だ」

 

「……それを尻に敷けと?」

 

>「野郎の使った物よかマシだろ、やるから使え」

 

>恐る恐る、といった感じで袋を開け、タオルを取り出す二人。

 

「これ私の給料何年分なんだろ……」

 

>「そんなに高いのか?」

 

「規格化できない、材料が貴重、加工に魔法が必要、貴族の予約たくさん……このサイズだと一つで金の延べ棒10個分位はするんじゃないかな」

 

>「うへぇ……っていうか薄給(はっきゅう)過ぎませんかね騎士団長様」

 

「武器防具ポーションその他諸々……肉体労働とは言え、準備費がタダと言う訳ではないの……」

 

>しくしくと泣くノエルだが、コイツの収入の3分の1は食費に消し飛んでいる*1とは王宮内のもっぱらの噂で、残念な事にそれは事実だ。

 

「ノエル、確か舶来品のご飯が最近のお気に入りなんですよね?」

 

「舶来品の?」

 

「そうなんです! 牛肉を東方の調味料に浸して煮込んだ物で……」

 

>「材料からしてバカ高ぇじゃねーか。浸すってことは液体だろ? ただでさえ可搬性の低い液体調味料を大量に使うとか、そりゃ高くなるわ!」

 

「うぐぐ……でもあの味は一度食べたら虜になります! 今の私は、あれを手にする為に働いています……!」

 

>「やべぇ物でも入ってんじゃねーのかそれ*2!?」

 

>明らかにヤバいことを言い出したノエルを見て、俺は目を剥く。曲がりなりにも貴族の娘であり味にうるさいノエルを、こうまで虜にするとは……

 

「なんだろ、すごく興味が湧いてきた」

 

「船長も……」

 

>「二人とも正気に戻れ! ノエル、本当に大丈夫なんだよな?」

 

>恐る恐る手を上げた二人を声で制しつつ、俺はノエルに再度の確認をとる。

 

「やだなぁ、一応対毒系は掛けてましたけど、何も反応ありませんでしたよ?」

 

>「……なら大丈夫か。 その食べ物の名前は何ていうんだ?」

 

「牛丼、だそうですよ?」

 

「牛丼? 牛は動物の名前だけど、丼って?」

 

「丼は、舶来語で「コメ」という穀物の上に何かしらを乗せる料理形態に付けられる総称で、今回は牛肉が乗っているから牛丼らしいですよ」

 

>「へぇ、固有名じゃなくて形態名なのか。穀物の上に牛肉の煮付けか……確かに美味しそうだ」

 

「そうですよね!」

 

>「だがまぁ、暫く食べられないと思った方が良い」

 

「ウッ……」

 

「今回行くのは異世界、ですもんね」

 

「ウグッ」

 

「他に美味しいものがあれば良いんだけどなぁ」

 

「カハッ……」

 

>ノエルは喀血(かっけつ)したような声を出して椅子から転げ落ちた。 ……心なしか、ノエルの口から霊魂の類が出ているような気がする。

 

>「……本当にヤバい物入ってないんだよなぁ?」

 

>慌ててノエルを助け起こしにかかる二人を見ながら、俺は呻くように呟いた。

 

 

 

えー、白銀ノエルさんは牛丼がお気に入りのようです……でも異世界では本当に希少ですからね醤油*3。それを常食できるとは、さすが騎士団長といったところでしょうか。

丁度いい時間になったので、今回はここまでとします。

 

ではまた次回、お会いしましょう。

 

 

 

*1
一般的には2割5分。戦前ですら3割。

*2
牛丼は日本人のソウルフード。何であんなに美味しいんでしょうね。

*3
現実世界で醤油の海外輸出が始まったのは18世紀、年間約700リットルが輸出された。

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