ホロライブラバーズRTA(初投稿)   作:Shohei Hayase

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凡例

「白上フブキ」さん

「大神ミオ」さん

「不知火フレア」さん

「白銀ノエル」さん

「宝鐘マリン」さん



Ep.8/本編開始前(6)

えー、こんにちは。

 

ショウヘイと申します。

 

では、前回の続きからやっていきたいと思います。

 

……おや、これムービー?

 

 

 

()()は山の頂上──に生えた大樹の天辺──に建立された神社の一角から、巨大な街の全てを見下ろしていた。

 

>……見目麗しい少女だった。年の頃は16、7だろうか。

 

>美しい白髪から、2つの獣耳が突き出ている。薄浅葱の瞳は伏し目がちにされ、どこか憂いを帯びたような雰囲気を纏っていた。

 

「……フブキ」

 

>名前を呼ばれたのか、少女は静かに振り返る。

 

>縁側の欄干に寄りかかり、眼下の町並みから届く光によって暗がりになっている少女の視界の奥から、もうひとりの少女が現れた。

 

>白と黒。水浅葱と(はしばみ)。着物の差し色は水色と赤色。

 

>鏡写しな二人だが、唯一頭頂部から生えた耳の形だけが異なっている。

 

>白い少女は狐。黒い少女は狼。*1

 

「世界が揺らいだ。異なるモノがウツシヨに至り、その反発がカクリヨに押し寄せている」

 

「………………」

 

>白い少女は答えない。だがその視線は黒い少女に一心に向けられ、「先を話せ」と無言でせっつかれている様でもある。

 

「ウツシヨとカクリヨのバランスが崩れている。このままだと、異なるモノの世界ごと、3つの世界がまとめて消える」

 

「良いんじゃないですか? それでどうにかなるほど弱っちい存在じゃないでしょう、人は」

 

「分け御霊のご意見は後にしてね、フブキ」

 

>薄浅葱の瞳を半目にした白い少女が口にした言葉を軽く窘め、黒い少女は口を開く。

 

「新たなる隣人が良きものであれば包摂を。悪しきものであれば離別を。ウチたちは見定めなければならない」

 

「えー? それ私も入ってます?」

 

「入っとるに決まっとるやろがい……!」

 

>厳然とした口調を崩し、拳と声を震わせながら青筋を立てる黒い少女を見て、流石に命の危険を感じたのか、白い少女は両手を突き出して高速で左右に振る。

 

「あーいえいえ別にそんなキレさせるまで怒らせるつもりは微塵もなくてえっとただめんどくさかったというかそれいる?って感じで別に私はイワレによって成立している以上断るっていう選択肢はなくて」

 

「……へぇ?」

 

「あっ……ッスーーーー」

 

>失言。イワレを糧とする彼女達は、イワレを成立させる人々が居なくなれば力は弱まり、最悪死ぬ。つまり白い少女の先程までの言動は駄々に他ならず、それを理解していた事を自白してしまったのだ。

 

「フーブーキー?」

 

「だって面倒くさいのは事実じゃないですかー! っていうか、それならミオだけで十分でしょ!?」

 

「開き直るな! これも仕事! 二人で行くのは今回の歪みの規模が大きいから!」

 

「まだゲームが終わってないぃぃ……!」

 

「全く……10分待つから終わらせなよ。もう……」

 

>黒い少女……ミオの許しを得て、フブキは黒い板の左右に赤と青のコントローラーが付いた第九世代ゲーム機を起動する。

 

>ゲームの進行を保存してからゲームを離脱し、電源を切ってから充電器に設置する。この間、僅か45秒の早業であった。

 

>ミオは腰に手を当てながら溜息を吐き、暫し天を仰ぐ。出来るのにやらないとは、一体全体どういう了見なのだろうか。

 

「良しこれで大丈夫……ミオ、行けますよ」

 

「……ちょっと厳しくしたほうがいいのかな?」

 

「えっ」

 

>ヒュン、と雑に放たれた氷の礫がフブキの顔横数cmを通り過ぎる。

 

「ちょちょちょっとー?! 今振り向かなかったら私の頭消し飛んでましたよ!?」

 

「仮にも神が頭飛ばされた位で死なないでしょ。ほら行くよ」

 

>全身の毛を逆立てて抗議するフブキに対し、どこ吹く風といった様子でさっさと歩き出すミオ。

 

>フブキは一瞬欄干に視線を向け、己の得物を探し求め──すぐに気付く。

 

>所在無さげに手を彷徨わせるフブキを見て、ミオは薄い笑みと共にフブキにとっての朗報を口にした。

 

「村雨丸、出来たってさ……ほら」

 

>そう言いながら、ミオは一振りの刀をフブキに投げ渡す。

 

>特筆すべきは白黒の柄だろうか。漆を塗られた鮫革の上に、白い常組紐で独特な組まれ方をした柄糸が巻き付いている。

 

>刀を受け取ったフブキはそっとミオの方を見ると、ミオは頷く。フブキも頷き返し、鯉口を切って静かに刀を抜く。

 

>元になった刀は「津田越前守助広(つだえちぜんのかみすけひろ) 村雨 延宝六年二月日」、またの名を「村雨助廣(むらさめすけひろ)」。反りも特異で実用に適さない刀だったが、打ち直されたことによって実用を重視した刀へと変貌していた。

 

鎬造(しのぎづくり)庵棟(いおりむね)。身幅狭く、長寸で重ね薄く、反りは深い。子板目肌(こいためはだ)地沸微塵(じにえみじん)に厚くつき、浅く湾れ(のたれ)がまじり、匂口締まり、中切先(ちゅうきっさき)。表腰元に「大威徳明王」、裏腰元に「摩利支天」の梵字が切られている。

 

「おぉ〜!」

 

「とっておきも付いてるって話だよ……さて。門へ行こうか」

 

>まさしく霊刀。水を司る権能を有する刀を手にしてはしゃぐフブキは、慎重に刀を鞘に収めると、両手で抱えてミオの後に続いて歩き出す。

 

>「これはこれは、フブキにミオ」

 

「……げ、キュウビ」

 

>樹上の神社から麓に降り、都の朱雀大路を通って大神宮に入ろうとする所で、9つの尻尾を生やした大狐に声をかけられる。

 

>「げ、とは何ですか。仮にも私の分身でしょう」

 

「何でこんなのから神格を受け継いだんですか私は……」

 

>少しキツめなキュウビの声に、フブキは目を覆って嘆息する。

 

「キュウビ、ウチ達はウツシヨに渡る。門を開けてくれない?」

 

>「承知しました」

 

>大神宮の門を潜り、参道を暫し歩くと、キュウビは立ち止まってこちらを振り返る。

 

>「……では」

 

「お願い」

 

>キュウビは智拳印を組み、「異界渡り」の呪文を唱え始める。

 

>「我が叔母、天照大神に願い奉る。(なんじ)虚空に遍在する者。汝(あら)ゆる界に触れる者。この者二人、界渡りを望む者。カクリヨの鎖から解き放たれ、ウツシヨへと渡るを望む者。偉大なる摩訶毘盧遮那(まかびるしゃな)よ、遍く万物を照らす者よ。汝我が声聞き届け給えば、我に力を(あた)うべし。ナウマク・サンマンダ・ボダナン・アビラウンケン」

 

>「異界渡り」の呪文が完成すると、青い光が辺りを満たす。フブキとミオの下に浮かぶのは胎蔵界曼荼羅。万物の受容を基礎とする、四百余体の仏の力が込められた原初の魔法陣。それが上へと上昇し、二人を光の中に包み込む。

 

>光が収まると、二人は跡形もなく消え去っていた。

 

>「頼みましたよ、ミオ。そして……」

 

>キュウビは静かに呟く。

 

>ウツシヨでの信仰の低下は激しい。科学によってイワレが駆逐され、多数の神が零落し、消滅するか或いはカクリヨへと逃げてきた。

 

>ウツシヨでは、神は存在するだけで弱体化する。それを防げるのは、すべての神の元締めとして、他の神を圧倒する統合神性を持つ者か、或いは──

 

>──神としての神格とは異なる、別の信仰の拠り所を持つ者。

 

>「期待していますよ。陸奥の宇迦の分け御霊」

 

>キュウビは体を翻し、ゆっくり本殿へと歩いて行った。

 

 

 

ふーん?

 

へぇ?

 

ほーん?

 

……………………

 

 

あーこれ詰んだわ。

 

 

神じゃん! マジモンの神じゃん!

 

なんかこうもう一寸(ちょっと)マイルドなの想定してたのにバリバリ神格入ってるじゃないですかーヤダー!!

 

これ主人公君死なない? バッドエンドかこれ?

 

 

(10秒説明を考える)

 

 

えー……幽世組はだいぶ強さの振れ幅が激しいのですが、今回はほぼ最上級の力を持っている設定のようです。

 

フブキさんが「宇迦の分け御霊」と呼ばれたという事は、宇迦之御魂神(うかのみたまのかみ)……要は御稲荷さんですね。その力を受け継いでいるという事になります。

 

ウツシヨに入ったことで弱体化こそしているものの、システム的なレベルに換算すると最低でも20以上はあるはずです。

 

レベル差クアドラプルとか中々のクソゲーですよこれは……

 

ともあれムービーが終わって……不知火フレアさんが戻って来ましたね。

 

 

 

「お金持ってきたよー」

 

「お疲れフレア。何も無かった?」

 

「特段魔力反応も無し。不思議がられもしなかったよ」

 

>フレアは袋から小さな紙の束を取り出し、ノエルに渡す。

 

「コレが日本円。……人の顔が書いてありますね」*2

 

「すごい精巧な技術だね……額面はどのくらいになったの?」

 

「本来なら700万円程度らしいけど……流石に全額持っていくのもあれだし、半額だよ」

 

>「ってことは、350万円か……」

 

>こちらの世界の一般人が生活するのに1月20万円少々掛かるということを踏まえると、まぁまぁ適当な額と言える。

 

>「問題無いんじゃないか?宿は……ここの路地にするか」

 

「家は高いし、すぐ引き払う事も考えると、そこに費用を割くのは愚策かな」

 

>(どんなに安い宿でも5000円はするとか、アホだろ)

 

>物価が安いのか高いのかよく分からない国だ。と俺は書類に記された物価表を見やる。

 

>俺達にとっては相当な高級品であるフォーク*3が、この世界では600円程度、品質に拘らなければ100円で売られているらしい。

 

>「シートを買って、雨よけにしよう。路地の入り口には認識阻害の結界を組んでおく」

 

「了解。なら各自買い出し、予算は1人2万円!」

 

>ノエルが音頭を取り、俺以外の人間は散り散りになって路地から出ていく。

 

>俺は紙とペンを駆使して、符を複数使って認識阻害の陣を敷く作業を始めた。

 

>四方の結界を指す方面特化の符と、それらを纏める真円の符。

 

>そこまで書いた所で、この世界は大気中の魔力が極端に薄いことに気付く。

 

>陣を組む魔術は、その動力源を大気中に僅かに存在する魔力……マナに依存する。無論術者の魔力や外付けの魔石で代用する事もできるが、マナさえあればほぼ永遠に効果を発揮し続けられる為、それ以外の選択肢が選ばれる事は殆ど無い。

 

>「大気にない。 ってことは上にない……となると、下か?」

 

>祈るような気持ちで地面に魔力を通す。黒い石──土瀝青(アスファルト)と言うらしい──を貫き、砕石、土を通り過ぎ……

 

>「あった……凄いな」

 

>通した魔力が、巨大な魔力の流れに触れる。

 

>凄まじい量だ。あちらの世界のマナと比べても遜色ないどころか、ともすれば上回るだろう出力を感じる。

 

>「ここ一体にあるマナが全部集まったみたいだ……名前は何て言うんだろう」

 

 

「……それは龍脈(レイライン)。零落し、その力を減じさせたイワレが最後に残した、星の息吹にして流転機構(ピュリファイア・システム)です」

 

 

>答えは斜め後ろから降ってきた。

 

>「っ!?」

 

>後ろを振り向き見上げると、地面から少しの距離を保って浮遊している少女が居た。

 

>……白い少女だった。白い髪に白い衣服。一瞬獣人種(ライカンスロープ)かと思ったが、俺が放出している魔力が()()()()()()というありえない現象が起きたことでその考えは消滅した。

 

「ハロー、異界からの来訪者(パスファインダー)。ウツシヨへようこそ」

 

>「……ウツシヨ? それがこの世界の名前なのか?」

 

「うーん、そう言うわけでもなくて……演繹法的名称というか何というか……まぁいいです」

 

>少女は一人納得したようで、ゆっくりと地面に降り立つと、一歩進んで俺の目をじっと見てくる。

 

「ふむふむ……」

 

>「……何ですか? いきなり」

 

「おっと失敬々々。異界から来られた方は初めてでして。こうまで人型に近いと()()()とやらの悪戯を感じてしまいますねぇ……やっぱり相似と収斂は正義という事でしょうか」

 

>何か重大な情報をサラッと漏らされたような……俺が異世界から来たことを知っている?

 

>「異世界から来たってのは……どこで?」

 

「どこでも何も、あんなに時空が歪んでたら、カミならすぐ分かりますよ。辺り数百キロに影響を及ぼすレベルの代物ですからねアレ」

 

>俺はそっと白い少女の後ろ、何故か魔力を全く放出していない異世界の門を見やる。

 

>異世界を渡るなど、俺達の技術を持ってしても不可能だ。それを可能にするなどどんなシステムなのだろうかと思ってみれば……

 

>「あー……世界滅ぶパターンだったりするか?」

 

「このまま行けば、間違いなく」

 

>「まじかよ」

 

>思わず天を仰ぐ。この少女の言っていることがどこまで信用できるのかは不明だが、仮に真実だとすると俺達の国だけで済む話ではなくなってくる。

 

>「まぁそれは後で俺の仲間にも説明してくれれば嬉しいんだけど……えっと、自己紹介、と」

 

>俺は居住まいを正し、一礼する。

 

>「ウェスタ王宮所属、宮廷魔術師次席、杉下将平と申します。お初にお目にかかります」

 

「あ、えっと……私は白上。白上フブキ。ウツシヨとは異なる世界、カクリヨから、あなた方に会う為にやって来ました」

 

>フブキは軽くワタワタしながら自己紹介を終え、俺はそっと手を出す。軽く握手をして、俺達は笑いあった。

 

 

 

……何だか不穏だけど幽世組と異世界人間組が合流しました!

 

 

本当いい方向行ってくれよ頼むぞマジで……!

 

 

……ともあれ、今回はここまでとさせて頂きます。

 

ではまた次回、お会いしましょう。

 

 

 

ってかこんなムービー試走であったっけ……?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

*1
ぶっちゃけ狐も狼もイヌ科だから耳単体での区別は付かない……だが許せ。

*2
19世紀初頭、お札に人の顔は描かれていなかった。

*3
フォークが一般民衆に普及したのはフランス革命以後。カトラリーの中では最も遅い。つまりそれ以前は手うわなにをするやめ




2021/09/27追記
フブキさんに持たせている刀「村雨丸」は実在する刀「村雨助廣」を元にした刀であり、実際の描写とある程度似通わせたものになっています。
https://www.tsuruginoya.net/stories/murasamesukehiro/
拙作の「村雨丸」の描写は、上記に記載されている描写を引用、一部省略、一部改変したものとなっています。

引用元の該当部分抜粋
「身幅が一際広く、長寸で、重ねが一段と厚く、反りの深くついた造込みに加えて、鵜首造と異風な姿態を見せており、さらに茎先を極端に反らせるなど興味深い形状に仕上げられている。或いは青山家から特別に指示がなされたものであろうか。鍛えは小板目肌が最もよくつんで、地沸が微塵に厚くつき、地景が細かによく入り、刃文は直ぐの焼出しごころがあり、その上は直刃調に浅くのたれごころをおび、処々小互の目が連れて交じり、互の目足が頻りに入り、葉を交え、匂深で、小沸がよくつき、部分的に荒めの沸が強く、一層厚くつき、細かに金筋・砂流し等がかかり、棟を焼いている。また帽子は直ぐに小丸に反りが長く、中程やや上辺まで焼き下げ、先を掃きかけるなどの出来口をあらわしている。常々に見る作域とは趣を異にしている」
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