'31/6/14   作:siffis

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xx.7 "Verneinung für Bejahung"

'31/6/14

 

 

xx.7

"Verneinung für Bejahung"

 

 

「……」

 

『胸を豊かにするスタイーリ。足を美しくするスタイーリ。ウエストを細くするスタイーリ。みんなで楽しくスタイーリ。スタイーリは組み立て式ですから、このように、簡単に折り畳めます』

 

──ぱく。

 

『「フランスデウンマレタスタイーリ。ワタシニデンワシテクダサイドウゾヨロシク」』

 

──ぽりぽり。

 

『あなたに届ける素敵な夢を! とっておき、テレショップCM!』

 

──ごくっ。ごくっ。

 

『「セカンドインパクト前ぇ、も宝石サンゴって、物凄い人気がっ、あったじゃないですかぁ。で意外とこう一過性のものだ、っていうなふうな部分の、感覚あったんですけどぉ、も未だにずうーっと人気が高い、宝石サンゴ」 「ええ、今やもう定番ですよね」 「そうなんす、これ2ヶ月で、もう1万本近くぅこうあわせてぇ」 「エェーッ!」』

 

──ぷは。

 

『「見て下さいよ、これサンゴぉ」 「オォーッ」 「あーっ。サンゴってぇ、色っんなサンゴありますけどぉ、非常ぉにぃ、希少価値の高いのが、この血赤サンゴぉ、これ桃色サンゴ、それからこれがピンクサンゴ」 「これ、色がぜんっぜん違うんすよ」』

 

──ぱくぱく。

 

『「じつっこれですねぇ、どれくらいこの宝石サンゴがぁ、長年かけてぇ、この世の中に出てくる、とぉおもわれますぅ」 「アァーッ」 「1cm成長するのにぃ、数十年くらいかかるんす」 「エェ―ッ!」』

 

──ぽりぽり。

 

『「ひじょーに今回の、デザインを、見ていただきたいんですけどぉ」 「オォーッ」 「素敵、女らしい」 「これは、これはちょっとどちらっとこう、ベルトふうのぉ、もぅブレスレットに仕上げたというものなんですけどぉ、これはベークライトで」 「エェーッ!」』

 

──ぱくっ。

 

『「もう今回、ちょっとぉ驚くんですけどぉ。この本っ当にいい宝石サンゴのぉ、最新デザインのぉ、ブレスレットぉ、をぉ、お安くっていぅ感覚でぇ、えぇえぇ、お値打ち、してるんですけどぉ……これ……」』

 

──……。

 

『「……よんまんきゅうせんはっぴゃくえー」 「エェーッ!」 「嘘ー!」』

 

──ぽりぽり。

 

『「これ二本でぇ、ブレスレット二本でぇ、よんまんきゅうせんはっぴゃくえん」 「エェーッ!」 「え、セット!?」』

 

──すごい。

 

『「で、これネックレスの方はぁ、通常1本が99800円だったんですけどぉ……今回はぁ……二本でぇ……きゅうまんきゅうせんはっぴゃくえー」 「エェーッ!」 「凄ーい!」』

 

──すごい顔。

 

『「ほんとそれくらい、是非この、宝石サンゴを手にしていただきたいなっていう気持ちでぇ、お持ちしたというふうなんすけどねぇ」 「これ随っ分買いやすくなりましたけど」 「忘れてましたけどぉ……これリングも作ったんですよ」 「え、凄い可愛い、ほら」』

 

──んぐぁ。

 

『「宝石サンゴのぉ、これは、リングなんですけどぉ、今回は……これおつけしようとぉー」 「エェーッ!」 「おおまっつり、って感覚で出させていただきましたけどね」 「凄い、おまけ大好き!」 パチパチパチ……』

 

──ぼりっ。ぼりっ。ぼりっ。

 

『ベークライト宝石サンゴブレスレット。2本セットで、消費税込送料無料の49800円。ベークライト宝石サンゴネックレス。2本セットで、消費税込送料無料の99800円。どちらも一括払い、分割払いに対応しております。または金利手数料なしのボーナス一括払いもご利用下さい。それぞれのセットに、ベークライト宝石サンゴリングも一本おつけします。 「フリーダイヤル012345♪ にーさんさんよーんきゅっきゅっ♪」 スマートデバイスからでもご利用いただけます!』

 

──かしゅっ。

 

『今の健康を維持したい! 活力みなぎる毎日を過ごしたい! そんなあなたに! 発売から60年! おかげさまで販売累計3億袋! にんにく健康食品売上世界一! それが、伝説の証です!』

 

──ごくっ。ごくっ。ごくっ。ごくっ。

 

『71歳の四谷さん。今でも元気に、毎朝食堂の仕入れを行っています。彼の元気の秘訣とは?』

 

──ぷはぁっ。

 

『「毎朝ニンニクランオーを取り出してから、朝の仕入れが楽になったんです。まず一番は健康、それが生涯現役でいれる秘訣です。まだまだ若いもんには負けたくない。もうずっと、毎日飲んでますよ」』

 

──ごくっ。ごくっ。ごくっ。

 

『こちらは78歳の中野さん。ニアサーから帰ってきた彼女は、心機一転、ニアサー孤児のためのボランティア活動を、1年間継続して続けています』

 

──ぷはぁ。

 

『「後悔しちゃダメだなって。自分のやりたいことをやろうって決めたんです。そのために、ニンニクランオーを始めました。今は、ニアサーの前より元気ですよ」』

 

──ぱく。

 

『最後にご紹介する80歳の三鷹さんは、なんと50年以上、ニンニクランオーをご愛用していただいております』

 

──ぽりぽり。

 

『「セカンドインパクトの前から、もうずっと。元気で百まで生きたいとおもいます」』

 

──ごくっ。ごくっ。

 

『ケンコーファミリーオリジナルブランド、新青森産最高級にんにくのにんにく女王と、新鹿児島産最高級品質のサンエッグを使用。独自開発のシェルカプセル構造で、においも気になりません』

 

──ぷは。

 

『もちろん味も保証付きです。単なる健康食品ではありません。ご飯のお供、ビールのおつまみとしても、ご愛用していただけます』

 

──えっ。

 

『通常一袋2000円のところ、定期購買をお申し付けのお客様限定、なんと25%オフの1500円! さらに、今ならお試し期間中! 最初の一月は無料にてご提供いたします!』

 

──……くぴ。

 

『あなたも毎日一錠の習慣で、美味しく健康に元気な体を! 伝説、ニンニクランオー! 詳細は今すぐ検索! 「カチッ」』

 

──……本当に、おいしいのかしら?

 

「……」

 

──おかえり。

 

「……」

 

──あら、こわい顔。エプロン姿なのに、可笑しい。

 

「……」

 

──アスカ、寝た?

 

「……」

 

──ふふ、キス、しなかったの?

 

「……」

 

──私、よくしてる。アスカ、可愛くって、ポカポカするから。

 

「……」

 

──スキンシップ。お姫様抱っこと、あまり変わらないわ。

 

「……」

 

──もう一杯、飲む?

 

「……」

 

──そう。注いでおく。

 

「……」

 

──今日は、お疲れ様。

 

「……」

 

──大丈夫。もう、ビンタしないわ。シンちゃん。

 

「……」

 

──シンちゃん。ふふっ。シンちゃん。

 

「……」

 

──あははっ。シンちゃんですって。あはははっ。とても、可笑しい。

 

「……」

 

──うふっ。ほら、シンちゃん?

 

「……」

 

──そろそろ、映画が始まるわ。

 

「……」

 

──さあ、こっちにいらっしゃい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 俺は、ちょうどアスカ一人分の空白を残して、ソファーの端に座った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

  ◎

 

 

 俺は特段、映画鑑賞を趣味に持つというわけではない。

 映画館で映画を見たことくらいはある。しかし内容は一つも覚えていない。

 きっと子供の頃、ヒーローものの映画なんかは夢中で見ていたのだろう。

 だが結局、それもよく覚えてはいない。全ての記憶を取り戻せても、あのクソの掃き溜めのゴミカスの記憶を覗いても、一度リセットされた幼少時の記憶は、ところどころ朧気なままだった。

 そのゴミカスの奥さんのことも、よく覚えていない。

 

 俺は、新たな世界には、本当に必要のない存在だ。

 しかし、必要がなくても、どんなに最低な過去をもっていても、俺は居て良い。

 それが、みんなが教えてくれたことだ。

 

 居て良い。この世界に。俺が。どんなクズでも。

 だから、俺はこの世界が嫌いになった。

 

 クズだらけだった。

 

 俺はその映画を黙って見ていた。結末が気になったからだ。

 映画は、そのCMが開けてから、40分程度で終わってしまった。

 スムースなジャズと美しい夜景を背景にした洒落たエンドロールが、暗いリビングに流れていく。

 

 この映画の主人公は、俺と同じようなバカだった。

 今の俺から、アスカとレイとこのクソみたいな力を引っこ抜いたら、こうなるだろう。

 

 俺の予想通りの結末だ。

 

 主人公は、無謀に死んで、妄想の世界に行った。

 

「……変な、映画だったわ」

「……」

「私は、あんまり好きじゃなかった」

「……レイも、こういうの見るんだね」

「ええ。それが、この番組の良い所なの」

 

 レイは、目を細めて笑った。

 二人きりで映画を見たのは、これが生まれて初めてだった。

 

「シンジの感想、聞きたい」

「……」

「……」

「……俺も、あんまり好きじゃない」

「……」

「だけど、最後のシーンは、好きだ」

「そう」

「ああ、綺麗だと思った」

「……」

 

 レイは身体を動かして、俺の方に近寄ろうとする。

 

 俺はとっさに右手を出して、それを止めた。

 

「……」

「俺に優しくしてくれて、ありがとう」

「……」

「頼む。もう少し、もう少しだけ、時間をくれ。頼む。我慢する時間をくれ」

「……良いの──」

「頼む。泣きたくないんだ」

「……」

 

 自分は打たれ弱い。この世界の誰よりも。

 

 俺がこの世界を新しく創生したらしい。

 そんなわけないだろ。

 

 仮にもし、自分が世界を作れるなら、こんな世の中にはしない。

 こんなにも新たな世界が辛いだなんて、わかってなかった。

 俺は本当に皆に会いたかった。だから全てが壊れるのを何度だって否定した。

 だが、新たな世界を迎えて、ようやくわかった。

 

 今度、アスカを失ったら。今度、レイを失ったら。今度、誰かを失ったら。

 今の俺は、全部をぶち壊しにしてしまうかもしれない。

 

 今日の俺は、どうすれば良かったのか。

 これから俺は、どうしていくべきなのか。

 

 そんなのはもう決まっている。

 

 俺が滅ぶ。それしかない。

 この世界はエヴァのない世界じゃない。俺が滅ぶことで完成する。

 

 だが、流石にそこまで馬鹿でもない。

 今滅べば、アスカが悲しむ。レイが悲しむ。それがわかる。

 悲しんでくれる。

 それが、死ぬほど嫌だ。

 

 だから、居場所をつくりたいんだ。絶対に。

 今度こそ、俺を完全に消去しても、大丈夫なように。

 

「……」

 

 だから、言っただろ。

 俺は碇シンジじゃない。

 

「……」

 

 碇シンジは、史上最高のヒーローだ。世界を守るために、新しい初号機に乗って、いのちを救った。

 

「……」

 

 俺は、史上最低の殺人鬼だ。自己満足のために、旧い初号機になって、いのちを殺しまくった。

 

「……」

 

 クソったれだ。クズで変態のケダモノだ。ゴミクソ以下のカスだ。オナニー狂いのキチガイ野郎だ。

 

 誰を愛す覚悟もない、史上最悪のビッチだ。

 

 だから。

 

「……ちょっと、クサい」

 

 

 だから、抱きしめられると、どうしようもなく、幸せなんだ。

 

 

 だから、やめてくれよ。

 

 

 綾波。

 

 

  ◎

 

 

 だから、わかってるよ。

 

 

 俺が滅ぶなんて、そんなの無理だ。

 縁は残る。完全に消去しようが。

 だからみんなが、俺を認識できる。

 

 俺は不滅だ。みんな不滅だ。

 完全な消去は不可能だ。どこかに必ず縁は残る。完全犯罪がありえないのと同じだ。

 その縁の在り処は個人に依る。しかしその軌跡を辿れば、形而上だろうとなんだろうと、いつかはその魂にたどり着ける。

 その認識は自己中心でしかあり得ないが、その集積がいつかは意識を形成するんだ。

 だからみんなが、アスカを認識できるんだ。

 

 だから。

 仮にアスカが死んでも。

 仮に綾波が死んでも。

 仮に誰かが死んでも。

 縁は残る。俺たちは不滅なんだ。

 

「……」

 

 だから、正直に言うよ。

 

 俺は別に、みんな死んだって余裕だった。

 

 わぁ、アスカが第13号機に食われて死んだ。大変だ。

 魂が残置されてるだって。そうだったのか。

 なら、はい、どうぞ。生き還したよ。

 魂が在るから。

 

 ええ、綾波が初号機に乗ったままだって? 任せとけ。

 ほら、これで生き還れるよ。

 おっと、俺のATフィールドで固めておくのを忘れてたぜ。これでメンテナンスもバッチリだ。

 魂が在るから。

 

 そうだ、綾波がLCLになって死んだんだ。なんて可哀想なんだ。

 もちろん。当然、生き還しましたよ。

 ATフィールドの鎧も完璧です。

 魂が在るから。

 

 お次の注文は? ミサトさんと加持さんですか。

 年齢はどういたしますか? 43と30? はいよ。

 お待たせしました、2人です。生き還しました。

 魂が在るから。

 

 ああ、アスカか。おっとっと、こいつはすみません。オーダー抜けでした。

 アスカどこだ。どこにいる。ここに居るのは全てアスカか。

 なんてな。俺の体全部やるよ。ほら。生き還った。

 魂が在るから。

 

 

 はは、なんだこりゃ?

 

 

 余裕だぜ。全部余裕だ。誰も助ける必要ないじゃん。負う責任なんかどこにもない。助けることも殺すことも選ばなくていい。

 魂がありゃ何でもできるよ。ケジメなんか取る必要ない。みんな余裕で死んでくれ。死にまくってくれ。

 幾らでも俺にオーダーしてくれ。俺の食堂は人間もやってんだ。

 

 アスカをケンスケの家にエントリープラグごとブチ込んで、俺はこのやり方と快楽を知ってしまった。

 

 誰が死んでも魂があれば生き還せる。縁が残る限り魂は不滅だ。そして縁は残る。

 つまり、超余裕だ。もうゲーム以下だ。

 好きなキャラが死んだら復活。嫌いなキャラは死んだらほっとく。それだけ。

 

 なあ、親父、見てるか?

 マジで余裕だぜ。ヤバいくらい簡単だ。ガフの扉開けて縁を辿って魂かっぱらってくるだけ。どんな料理よりも、カップ麺作るよりも簡単。なんたらの槍もかんたらのオブジェクトもいらねえ。幾らでも出来る。考えれば終わり。

 なあ、奥さんの魂だせよ。在るだろ?

 在るよ。不滅なんだから。

 親父の探しようが悪いだけさ。俺の中に在る。親父や冬月さんやマリの中にも在る。

 だから、それで終わりだ。そこを探せばいい。

 ああ、良いんだ。もう俺がやっとくよ。すぐ見つかるから。

 親父の魂もやっとこうか? ついでに。

 はは、全部やっとくよ。礼はいいさ。実の親なんだからな。

 なあに、俺に任せとけ。

 

 全員生き還してやる。全員な。全員残らず、生き還してやる。

 

「……」

 

 クソったれ。クズで変態のケダモノ。ゴミクソ以下のカス。オナニー狂いのキチガイ。史上最悪のビッチ。史上最低の人殺し。

 そんなもんじゃ済まされない。

 

 俺は生と死を強姦した。

 

 滅茶苦茶だよ。

 本当に生き還しちまった。

 気が狂ったんだ。

 アスカも、綾波も、ミサトさんも、加持さんも、みんなも。

 魂があったからパクってきた。それだけ。

 

 俺にとって、生きるだの死ぬだの、本当にどうでも良いことだ。

 人の命がどこまでも軽いんだ。

 何十億人を何遍も殺したせいで、完璧に麻痺した。

 1人生き還したら、2人生き還しても一緒だ。

 2人生き還したら、全部生き還しても一緒だ。

 俺は中学も出てないバカだから、数の数え方は、1、2、たくさん、なんだ。

 

 俺は本物の悪魔だ。

 

「……」

 

 生き還して代償を払った。

 安かった。めちゃくちゃ。ほぼノーリスクだ。

 みんなやったほうが良いよ。どう考えてもお買い得だ。

 

 そして俺は力を失って、そんでピーピー喚き出した。

 

 家族が大事だ? 許さねえだ?

 

 全部嘘だ。

 てめえが焦ってるだけだ。今更になって、死に直面するのが怖くなった。

 もう本当に取り返しがつかないからだ。

 

 俺には尊厳の欠片も残ってない。

 

「……」

 

 もちろん、親父みたいになるつもりはこれっぽっちもなかった。

 ネオンジェネシスはうまく行ったと思う。止まっていた時を動かしただけだ。戻さなかった。

 できるけど、しなかった。

 そこまでは良かった。俺は立派だった。それをしたら親父と同じになっちまうもんな。

 ちゃんと背負ったんだ。みんなの想いをちゃんと受け取った。

 

「……」

 

 嘘だ。

 戻した。

 アスカをケンスケの家に戻した。

 俺は全然立派じゃない。

 アスカを戻して、それでもう諦めただけなんだ。

 アスカはケンスケとやっていける。

 それでいいんだ。

 

「……」

 

 

 

 それから、在ることを認識して、俺は完全に終わった。

 

 

 

 アスカが大切だからじゃない。

 その理不尽さに耐えきれなくなっただけだった。

 

 

 

 別人だなんて、当たり前なのにな。

 綾波。お前だってさ、ホントは毎回別人なんだぜ。

 俺もだ。一つだって同じものはないんだ。

 仮に魂が同じだとしても、たとえ記憶を受け継いだとしても、違うんだ。

 綾波ならよく知ってるよな。

 

 だからこれは、ただの自己満足なんだ。

 本質的には何の意味もない。

 あのアスカはもう居ない。

 今のアスカは虚構なんだ。

 

 親父が綾波を作ったのと、なんら変わらないんだ。

 

「……」

 

 どこでミスったんだろうな。

 俺の選択肢は2つだった。

 新たに続く世界に向かうか、別の世界に向かうか。

 俺は前者を選んだが、今思えば、後者の方がマシだった。

 

「……」

 

 マリが好きだ。

 

 理由は、海水で透けたオッパイがマジでエロかったから。

 

 本当にそれだけだ。

 

 マリと一緒に別の世界へ行ければ、こんなクズにならず、普通にマリと付き合って、今頃イチャイチャしてたんだろうな。惜しいことをした。

 別の世界なんて作りゃあ良いしさ。

 やろうと思えば生命なんざ幾らでも作れるんだ。魂はそこら中にゴロゴロ転がってた。ゴミと一緒だ。

 元々箱庭みたいな街が好きなんだ。

 ネルフの職員で固められた昔の第3新東京市は大好きだったけど、ガキの頃住んでた第2新東京市には何の思い入れもないのが、いい証拠だ。

 今の第3新東京市は、大の苦手だ。どうしようもねえクズばっかだ。

 

 平行世界っていうのか知らねえけど、そういう世界に行くのもアリだったな。

 例えばさ、綾波が転校生で、アスカが幼馴染で、親父と親父の奥さんがいて、仲良くやってんだ。

 ミサトさんとリツコさんが先生でさ、エヴァは居たり居なかったりだ。トウジだけじゃなくて、ケンスケもエヴァに乗るんだぜ。すげえだろ?

 カヲルももちろんいるよ。一緒にバイオリンとチェロで二重奏するんだ。綾波がそれ聴いてさ。すげえ可愛いんだ。

 俺とアスカとトウジといいんちょでスーパー行くんだ。餃子パーティーしたりさ。すげえ楽しいんだ。

 マナがいたりさ。マユミがいたりさ。ネネがいたりさ。綾波がキャピキャピしてたりさ。コスプレしてたりバンド組んだり。もう色々あるんだ。

 そんな世界にマリと一緒に行って。はは、もう最高だろ?

 

 どれ選んでも全部虚構なんだ。

 今と同じだ。

 

 本当に、別の世界に行けば良かったな。

 少なくとも、新たな世界を滅茶苦茶にするよりはマシだった。

 

「……」

 

 綾波。

 

 ごめんな。本当に、ごめん。

 

 アスカはケンスケと一緒にしたのに。

 カヲルは加持さんと共に居たのに。

 俺はマリを待ってたくせに。

 もうひとりの綾波は、綾波じゃないのに。

 

 一人ぼっちにしてごめん。

 

 どこ行っても良いよって、そんなつもりだったんだ。

 だから、それだけはわかってくれ。

 

 来てくれてありがとう。

 

 でも、多分、一番ダメな所に来たよ。

 

 きっと後悔させたな。きっと失望させたな。きっと幻滅させたな。

 

 ごめんな。

 

 ずっと抱きしめてくれていて、本当にありがとう。

 

「……」

 

 綾波はあったかいよ。本当にあったかい。

 ずっと居てくれる。ずっと抱きしめてくれる。

 

 涙が出そうだ。

 もう我慢できない。全く耐えられない。

 もう我慢の限界だ。

 本当なんだ。

 

「……」

 

 俺は泣かないんだ。

 

 きっと綾波は気づいてるよな。

 そんな気がしたんだ。

 

 でも大丈夫だ。それでも最高にポカポカしてる。本当に感動してるんだ。

 新たな世界を滅茶苦茶にしたけど。

 綾波に迷惑をかけて、失望させて、幻滅させたけど。

 

 俺は今の生活が死ぬほど楽しいんだ。

 最高なんだ。

 

 だから泣かないんだ。

 

「……」

 

 ミルクティーは本当に美味しかった。嘘じゃない。本当だよ。

 まさに最高の味だった。紛うことなき世界一だ。間違いない。

 

 まず滑らかさが最高だ。すなわち、その液体の粘度。

 これは微細な滴として分散する脂肪分が原因なんだ。通常牛乳を温めるとラムスデン現象が起こり乳膜が発生し脂肪分がそこに吸われ粘度が落ちる。今回のミルクティーはその現象が起きないギリギリの温度帯を土鍋で保ち続けたんだろうな。だから液体内に脂肪分が残っていて、だから従来よりも粘度が高いんだ。

 

 その香りも素晴らしいよ。その液体から発せられるガス。

 紅茶と土鍋の蓋から香ったリナロール、 n-ペンタノール、iso-ペソタノール、アセトアルデヒド、 ジメチルサルファイド、 エチルアセテートの調和。おそらくそのハイグロウンセイロンのトップノートは極上だったろう。是非作成現場に立ち会わせてくれ。

 

 そしてなによりその味わい。ヒトの味蕾を刺激する物質。

 脂質、糖質、タンパク質、ミネラル類、ビタミン類、ブドウ糖、果糖、蔗糖、麦芽糖、タンニン、カフェイン、カテキン類、テアニン、グルタミン酸、γ-アミノ酪酸、没食子酸、テアフラビン類、遊離糖類、シュウ酸。

 

 その秀逸な比率。

 

 

 

 そんなの全部どうでもいい。

 

 

 

 そんなの、本当に、クソどうでもいいんだ。

 

 

 

 綾波が頑張って作ったのがわかるんだ。

 綾波の今までの成長が詰まってるんだ。

 綾波のいっぱいのまごころがこもってるんだ。

 綾波の味がするんだ。

 それがわかる。わかるに決まってるよ。

 

 

 

 料理は愛情なんだから。

 

 

 

 だから、綾波の料理は、当然、世界一に決まってる。

 

 

 

「……」

 

 この味なら、もちろん専門店を出しても100%やっていける。史上最強の紅茶専門店だ。

 綾波は料理の天才だから、世界一、いや、もう宇宙一を掲げた看板を出すべきだ。

 正真正銘、この世で一番美味しい飲みものなんだ。絶対、繁盛間違いなし。俺が保証する。

 

「……」

 

 買わねえやつはボコボコにぶん殴ってやる。

 

「……やめて」

 

 冗談だよ。

 泣くなよ。

 

「……」

 

 さあ、弱音はもう終わりだ。

 狂ってても、お先真っ暗でも、とにかく前に進まなきゃ。

 だから、俺はこれからどうすりゃいいのか、それを考えさせてくれ。

 

「……真希波さん」

 

 ……。

 

「今日、真希波さんに、助けられた」

「……マリに?」

「うん」

「……そりゃそっか」

「それで、家に誘った」

「そしたら?」

「行けたら行く、と言った」

「……」

「……」

「わかった、やってみる」

「……ありがとう」

「いいんだ、レイ」

 

 ありがとう、綾波。

 

「……あなたは、人を助けたことがある」

「あるのは碇シンジだ。碇シンジは、もういない」

「いいえ」

「……俺は碇シンジじゃない」

「そう」

「……とにかく、俺が助けた覚えはない」

「いいえ、私を助けた」

「……え、いつ?」

「……知らないっ」

 

 綾波は笑った。

 本当にわからん。碇シンジもしてねえよ。いつだ?

 綾波は腕を離して、笑顔のまま、俺の両手を握ってくれた。

 綾波の潤んだ赤い瞳が、テレビの光を反射して、煌めく。

 

──大丈夫。私も思い出してる。あなただけじゃない。

 

「……」

 

──だから、信頼して。

 

「……」

 

──色んな人が居る。だから、楽しい。

 

「……」

 

 俺は、綾波の頬をそっと指で拭って、肩を軽く抱きしめる。

 綾波は、鉄鋼のように強いから、これくらいじゃびくともせず、俺の背中をさすってくれる。

 綾波は、羽毛のように暖かくて、このまま、本当に眠ってしまいそうだ。

 俺は目を瞑ってみる。

 俺は鼻で深く息をしてみる。

 

 シャンプーの香気成分。

 トリートメントの香気成分。

 ボディーソープの香気成分。

 残った香水の香気成分。

 柔軟剤の香気成分。

 洗濯洗剤の香気成分。

 食器洗剤の香気成分。

 ポップコーンの香気成分。

 ビールの香気成分。

 

 

 

 綾波の匂いがするよ。

 

 

 

「レイ。いつもありがとう。本当に、ミルクティー美味しかった」

「……」

「愛してる。レイ。大好きだよ」

「……」

「……」

「…………クサい」

「……風呂入ってくる」

 

 俺は姉貴を離して、ヘラっと笑った。

 やっぱそうらしい。

 

 

  ◎

 

 

「……」

 

 親父の記憶を見た。野郎がインパクトの中心になったからだ。

 別に何の興味もねえのに、見せられるってのも考えものだ。

 

 いや、あの当時は、興味があった。

 ただ、あそこまでくだらなかったとは。俺の想像を遥かに下回っていた。クソ以下のボンクラの自白は、聞くに堪えない史上最低最悪のものだった。

 

 人と馴染めない。以上。

 終わり。それだけ。世界中のどんなコンドームよりも激薄なエピソード。親戚の家に遊びに行ったり、知り合いの家に遊びに行ったり、最新のSーDATを買ってもらったり、ピアノを練習する時間もたくさんあったり、勉強する時間もたくさんあったりする、只のくだらねえ暇人。クソ食って死んでろ。

 

 頭は良かったらしい。俺にもちょっとはそのおつむを分けてほしかったな。

 京大のインテリだ。中学すら出てねえいい歳して食堂働きの俺とはわけが違う、本物のエリート。

 ポスドクだか助教だか、飯を作る脳しかねえ肉体労働者の俺には別世界すぎてわからねえけど、ああも簡単に10歳も下の学生と付き合えるもんなのか? 羨ましいぜ。しかもその学生は超絶美人ときてる。しかも付き合ってすぐに学生結婚だ。最高じゃねえか。

 何がお前は不満なんだよ。言ってみろ。

 

 親父と奥さんのセックスをみた。

 マジでクソみたいにつまらねえセックスだ。

 俺は色んな知り合いのセックスを見た。知り合いじゃないやつも見た。一発目のインパクトの時に全人類分を見た。ネットに転がってるやつと同じだ、全部。俺の好みはネットの方だ。AV監督ってのは大事な職業だってことを、思い知れただけでも良しとするよ。新たな世界では、AVは買うようにしてる。

 

 奥さんが死んだらしい。

 アホか、てめえ。

 何が起動実験だ。何がダイレクトエントリーだ。アホくさすぎて吐き気がする。

 奥さんが実験体だ?

 そんな倫理の欠片もねえ実験なんざ、夫であるお前は死んでも阻止すべきだ。

 お前が阻止せんで、誰が阻止するんだ。

 冬月さんか? ファザコンが抜けてねえのか? 気色悪いゴミクズが。

 世界の平和のために奥さんが死んだってか。泣ける話ですこと。すぐにその奥さんと会うために世界を滅ぼそうとするんだがな。

 どうも京大っつーのはマジに楽勝らしい。とてつもねえ馬鹿でも入れる。

 少なくとも俺と同レベルの馬鹿なら余裕だ。

 

 泣きながら奥さんのクローンを作っているのを見た。

 マジでキモかった。コイツはマジでリアルなオーダーメイドのダッチワイフを作ってる。〇〇〇〇〇工業も真っ青だ。

 なんか、ユイじゃないとかなんとか叫んでたけど、ダッチワイフが女じゃないのと一緒だよな? それ。

 そんなことを知らなくても京大の研究者になれるのか? だとしたらもう興味もねえよ。

 それにしても、一回目は輪をかけて最低だったな。奥さんが死んだら即赤木ナオコを抱いた。なんでもお高くとまったご計画とやらのためらしいが、だったら最初っからその実験を却下するんだな。覆水盆に返らずとはこのことだ。

 なんとなくわかるぜ。お前、赤木ナオコがブスだったら抱かなかっただろ。再婚したらどうだとは思ったぜ。お前は冷徹じゃねえ。抱けば情が湧く。中身は只のザコだからな。

 そしたら赤木ナオコはクローンの首を絞め殺した。流石に同情するよ。まあ許さねえけどな。てめえも死ね。

 そしたらこの馬鹿はクローンを即作りなおした。まあ当然だよな。そしてリツコさんも当然親子丼だ。どうしようもねえチンポだ。それがやりたかっただけか。性欲強えんだな。ご立派ご立派。立派なチンポだ。歩くチンポです。

 

 ただこのマジでキモい行動のおかげで、レイに出会えたんだから、わからねえもんだよ。

 

 レイを産んでくれてありがとう。

 

 そこは、本当に感謝している。

 

 念の為言っておくが、1ミクロンも許さねえよ。

 レイはお前が好きだった。唯一の絆だったからだ。てめえはそれに甘えて、レイをボロボロになるまで酷使した。

 だからレイはどこまでも命知らずな特攻人間になった。お前に教育されてな。

 レイをあんなクソどうしようもねえバケモンに乗せやがって。手のひら火傷して助けたくらいでいい気になるなよ、チンポ。

 っていうか、なんでいい気になれるんだ? どうもわからねえな。おまえ好きな人乗せて後悔したばっかりじゃん。

 奥さんを戻すためってことか? そのためなら何でもするってか? 頭に下痢便でも詰まってんのか? チンポ。

 

 で、レイをボロボロにして、俺を呼んだ。それはいいかもう。「ほったらかしにしておいて、今更なんなんだよ、父さん」なんて言ってた頃の俺は本当に可愛いかったな。お前は父さんに呼び出されてるんじゃない。親子丼大好きロリコンの歩くビンビンの勃起チンポに呼び出されてる。初めて俺は初号機に乗って、暴走して、使徒を殲滅した。まあビンビンの勃起チンポの精子からできたキチガイチンポ息子ならそんなもんだろう。ただ先にビンビンの勃起チンポのチンポを殲滅すべきだったようだな。

 

 そっから俺は使徒と戦い続けた。わけもわからず。今でもよくわからないよ。

 

 

 ただ、最高だったんだ。

 みんなに会えた。

 本当に最悪だったけど、とにかく、最高の思い出だ。

 それが俺の結論だ。

 

 

 トウジ。

 俺はお前を、本当に尊敬する。俺の目標なんだ。

 あんなパンチで済むわけない。

 大切な家族ができて、初めてわかったんだ。

 本当に酷いことをした。今からお前にぶっ殺されても何の文句もない。

 

 むしろ、お前に殺されるのは、本望なんだ。

 

 俺はもう、いいんちょとサクラさんに、合わせる顔がない。

 俺はもう、お前に謝ることすら出来ない。

 

 そのことを言ったら、知らん、精神科行け、って言ってくれたな。

 

 本当に、その通りだ。

 お前よりでかい男を、俺は知らないよ。

 俺を許してくれて、ありがとう。

 

 

 俺は親父のようにはならない。

 トウジを殺しかけた俺は、そうだと信じてた。

 そして気づいたら、俺が歩く勃起チンポになってた。

 血は争えなかったようだ。

 病んだアスカでシコった。記憶の無いレイでシコった。疲れ果てたミサトさんでシコった。シコってシコってシコりまくった。病気だ。トウジは正しい。精神科に行くべきだった。

 二代目歩くチンポは、アスカの生オッパイで公開オナニーした。もちろんバッチリ監視カメラには映ってた。

 初代元祖歩くチンポは、レイのアソコに手を突っ込んだ。監視カメラには映ってない。

 今でも爆笑もんだ。頭の良し悪しがここで出た。

 意味が違う行動でも、最低であることに変わりはない。

 

 後はもう、最悪だ。

 軍隊がやってきた。ミサトさんが死んだ。エヴァにのったら、空を飛んだ。アスカは終わってる。レイがデカい。カヲルもデカい。

 みんな死んだ。

 

 

 僕はアスカの首を締めたんだ。

 

 

 アスカは、本当に優しい。

 世界中のどんな誰よりも優しい。本当だ。この全時空のどんな生命よりも、アスカは優しい。

 

 はっきり言うよ。比べ物にならないんだ。

 

 全ての生命の中で、アスカだけが、形を取り戻してくれた。

 アスカの首を締めた、僕の頬を撫でた。

 ちゃんと、気持ち悪いって言ってくれた。

 

 これが、優しさそのものでなく、なんだというんだ。

 

 首を締めた僕は、一生の誓いを立てた。

 契った。残った全てをアスカのために使う。全て使った。

 待った。生き物はいつか必ず戻ってくる。ずっと待った。

 愛した。アスカをどこまでも愛した。愛して愛して、愛し続けた。

 アスカのことが、大好きだから。

 

 ずっと、ずっと、二人っきりだった。

 アスカをずっと看病した。アスカの身体が元気になるまで。

 泣きあったり、笑いあったり、怒りあったり、喜びあったりした。

 色んなことをした。

 誕生日パーティーをしたり、出会った記念日のパーティーをしたり、始めてキスした日のパーティーをした。

 指輪をあげた。結婚式もした。二人で沢山泣いた。

 変態みたいなこともした。いっぱいした。子供の話もしたんだ。

 

 何も帰っては来なかった。

 

 アスカは、僕のことを独り占めできるから、これでも良いよって、そう言ってくれたんだ。

 優しいよな。そんなの、嬉しいに決まってるよ。僕もそうに決まってる。

 その気持ちだって、本当なんだ。

 それもまた、本当の幸せだった。

 

 

 アスカは死んだ。

 当たり前だ。僕は医者じゃない。アスカの怪我を直せない。

 

 

 僕は死んだ。

 当たり前だ。生き物がない。食べ物がない。

 

 

 でもなんか僕は生き還ったらしいよ!

 やったぁ! わぁい! ラッキー!

 そんで全部最初っからやり直しだ!

 綾波も生き還る! ミサトさんも生き還る! 加持さんもカヲルもトウジもケンスケもいいんちょも!

 凄い! こんな方法があったなんて! 凄すぎる!

 みんな戻ってくる! またエヴァに乗って戦うんだ! 今度こそゲンドウを倒す! ゼーレをやっつける!

 アスカ! 凄いよ!

 結婚の話とか、子供の話とか、将来の話とか、色々約束したけどさ!

 ゴメン、あれ全部無し! ゴメンね!

 だって全部最初っからやり直しなんだ!

 はは、全部忘れた! 凄い! 全部ふっ飛んだんだ! もうなんにも覚えてない! 凄い!

 全部忘れた! 問題ないよ! 凄い! 全部忘れた! 全部忘れた!

 全部忘れて最初っからやり直しなんだから何の問題もない!

 

 

 くれぐれも言っておく。

 俺はこれを選択した。

 

 

 もちろん、アスカも一緒に決まってる。

 そうさ。約束なんか忘れても大丈夫だから、これを選択したんだ。

 アスカとなら、全部忘れたって、また絶対に出会える。まるで引き合う磁石のように、二人はまた一緒になれる。大丈夫だ。

 また一緒にミサトさんとペンペンと暮らせる。もう今度はヘマしないよ。

 いや、ヘマするかもしれないけど、でもさ、そんなの二人には関係ないんだ。また一緒になれるんだ。

 ユニゾンも出来る。戦える。今度はもう大丈夫だ。光を出す使徒も、量産型も、全部一緒にやっつけよう。

 一緒に遊ぼう。みんな生きてるんだ。絶対楽しいよ。買い物行ったり、ゲームしたり、テレビ見よう。チャンネルは基本アスカに合わせるけど、たまには僕の好きなのも見せてよね。

 ご飯も作る。もうこんな保存食なんかじゃない。弁当も作る。ハンバーグ、ウインナー、卵焼き。アスカの好物で、弁当をいっぱいにする。でもたまには、魚や野菜も食べて欲しい。強い体になって欲しいから。

 九州ラーメンだって作る。もちろんすっごくコクのあるやつ。腕によりをかけて、本格的に作る。家中がラーメンの匂いになっちゃうだろうな。でも、絶対美味しく作るよ。

 たまにはアスカにも作って欲しい。味噌汁を作って欲しい。絶対美味しい。絶対、美味しいに決まってる。

 一緒にご飯も作ったり、一緒に掃除したりしてさ、ヘトヘトに疲れて、一緒にグーグー寝たりしよう。

 やっぱり変態みたいなこともしたいかも。いや、かもじゃない。したい。キスも毎日する。アスカがイヤって言ってもやめない。僕がイヤって言ってもやめないでほしい。

 とにかく、今よりもっと、良い未来が待ってるはずなんだ。

 また、告白する。何度だってする。一緒に幸せになろう。結婚しよう。今度こそ、みんなの前で、式を挙げるんだ。絶対最高だ。二人で絶対、どこまでも幸せになれる。立派な家庭を築ける。おばあちゃんになったって、絶対毎日キスする。絶対好きなままだから。

 だから大丈夫。全部忘れても、二人は絶対大丈夫。何がどう起きたって、僕とアスカは、絶対切れない運命の糸で結ばれているんだ。

 だから、大丈夫だよ。安心して、輪廻の世界へ、一緒に行こう。

 全部忘れたって、これから何が起きたって、二人は大丈夫。

 アスカが居てくれさえすれば、全部大丈夫なんだ。

 だって。

 

 

 

「アスカはアスカだ」

 

 

 

「それだけで十分さ」

 

 

 

 

 

 そんなつもりで言ったんじゃない。

 そんな意味で言ったんじゃない。

 そんな文脈で言ったんじゃない。

 アスカに向けて言ったんじゃない。

 

 

 だが、人を助くために極限まで削ぎ落とされた言葉は、時に限界まで人を滅多刺しにする。

 

 

 他人の面の皮を被った罰は、思ったよりもすぐにやってきた。 

 思いだして全部滅茶苦茶にした。

 耐えられるわけがなかった。

 

 

 くれぐれも言っておく。

 俺はこれを選択した。

 

 

 アスカ。

 

 

 もう言葉がない。

 

 

 一発目の焼印が俺の魂に刻まれた。

 

 

  ◎

 

 

 二回目以降は、親父はちょっとはましになった。少なくともチンカスにはなった。

 レイはチンカスにとって娘みたいなもんだった。娘を勝手に作るってのは、まあどうかとは思うがな。

 今度の俺に愛情を注げなかったのは仕方ない。俺の焼印はどんなクズでも触ったら一瞬で腐り落ちる。

 

 俺はアスカが好きになった。

 

 俺は本当の化け物だった。アスカなら何でも良いんだ。親父以下だった。

 会う度に恋に落ちた。何度でも好きになった。何度でも殺した。何度も何度も何度も殺した。何度も何度も何度も好きになった。

 それを繰り返す度に、焼印が俺の魂に打ち込まれる。焼印が押せなくなると、パスポートみたく、焼印の上から焼印を押した。

 

 

 アスカ。

 それでも俺は、お前が好きなんだ。

 昔はアスカが好きだった。今はもっと好きだ。大好きだ。

 情けないけど、未練がましいようだけど、迷惑だろうけど、絶対言えないけど。

 世界を滅茶苦茶にして、お前にそっくりな女の子を持ってきた俺の言う言葉なんか、不快でしょうがないだろうけど。

 好きじゃないわけないだろ。俺はアスカのことが大好きだ。当たり前だ。

 ガラスにパンチしてくれたこと。唇掴んで引きずってくれたこと。

 レーション食わせてくれたこと。毎日毎日俺をこっそり見守ってくれたこと。

 こんな焼印まみれの俺に、告白してくれたこと。

 今も飽きもせず、俺の作った弁当を食ってくれること。

 

 アスカの暖かさが、俺のどれだけの救いになっているか。

 俺のどれだけの血肉になっているか。

 

 好きで好きで仕方がないんだ。

 

 全部思い出した俺は、アスカがどこまでも好きだ。

 絶対信用してくれないだろうけど、それで良い。

 もう理由なんかない。大好きだ。大好きに決まってる。一生大好きだ。

 絶対に幸せになれ。大好きなアスカが幸せになれない世界なんてクソだ。

 本当に、好きだ。

 畜生。

 

 

 ケンスケ。

 俺はお前を、本当に尊敬する。

 死ぬかと思うくらい嫉妬した。

 当たり前だ。お前の家に裸のアスカが居て、頭がおかしくなりそうになったんだ。アスカが裸で、チョーカーを見て、吐いて、一晩中ずっと泣いて、アスカが構ってくれるまで、もう二度と立ち上がれなくなったんだ。

 あのときは何でかわからなかった。

 でも、着ぐるみを着て、ようやくわかったんだ。

 俺はケンスケに嫉妬していたんだ。

 それも、本当の気持ちなんだ。

 

 ケンスケ、お前は本当に凄いよ。俺はあんな風に、アスカの居場所にはなれなかった。何遍やっても駄目だった。俺はアスカを傷つけてばっかりだった。

 俺はお前の奥さんを何遍も殺した。やっぱり俺は、お前に殺されても何の文句もない。

 俺はお前の皮を被った。何の断りもなく無断でだ。

 それでもお前は、余裕綽々で笑ってくれたな。俺を許してくれた。

 お前より広い背中を、俺は知らない。

 

 ケンスケにアスカを託したのは、アスカを幸せにするためじゃない。

 焼印まみれの俺が幸せになるためだった。

 

 絶対に二人なら、どこまでも幸せになれる。

 それが嬉しいんだ。

 それも、本当の気持ちなんだ。

 

 本当にありがとう。

 

 アスカにはバラすなよ。一生隠してほしい。頼むから。

 

 

 本当に、第3村のみんなには感謝しかない。

 本当に、優しくしてくれた。

 

 

 レイ。

 勝手に本とか持ってって、綾波じゃないとかなんとかいって、ごめんな。

 知らねえよな、そんなの。俺はとびっきりのバカだったんだ。

 お前の真っ直ぐな生き様が、命を賭した告白が、そんな俺のバカな脳みそに、色んなことを叩き込んでくれたんだ。

 本当にありがとう。お前は本当に、最高に真っ直ぐな人だ。

 

 今も最高だよ。最初に再会したとき、なんて言ったと思う?

 「いらっしゃいませー」だぜ?

 声を張り上げてんだ。大声でだ。店中に澄んだ声が響き渡ってるんだ。

 もう最高だった。俺の思った通りだ。どこだってやってけるんだ。

 俺は大声で笑った。レイは怪訝そうな顔をしてた。

 そりゃそうだ。俺はどっからどう見ても26歳の薬中のキ印だった。

 

 俺は勝手に無理矢理レイを戻した。

 もっとレイが見たかったから。育成ゲームと一緒だ。

 超好きなキャラが死んだから生き還した。

 それだけなんだ。

 

『ありがとう。嬉しい』

 

 俺の正体を知って、そう言ってくれたね。

 多分さ、まだわかってないな。倫理観とか。まだまだ成長途中だ。

 レイ、お前が行ってた、あのクソゴミネルフのキモ根暗野郎、居るだろ? キモい方。

 俺、あれ以下だよ。

 レイが第3村でゆっくり積み上げてきた、俺に伝えてくれた、大切な想い。

 俺はあれにツバ吐いて踏み潰してグチャグチャにして勝手に生き還した。

 お前のこと、ゲームのキャラとか、そういう風にしか見てないのと同じなんだ。

 だから──

 

『ありがとう。嬉しい』

 

 こいつさ、全然話聞いてねえんだよな。

 まあそうだ。26のキチガイオジサンの話だもん。15歳の女の子は聞かないよ。

 もういいや。もう当たり前に好きだ。どう考えても最高に大好き。可愛すぎ。

 俺のことが嫌いになったら、きっと大人になったってことだから、誇りに思ってほしい。

 

 2週間前、一緒にイヤホンを買いに行った。何かと思ったけど、あれ誕プレだったんだな。

 今日ドライブ行った時、シンジ君のポケットからひょろっと出てたよ。

 シンジ君が好きって聞いて、また笑っちまった。レイはどこまでも真っ直ぐだ。

 今不登校みたいだけどさ。大丈夫、絶対帰ってくる。

 レイが居るんだ。シンジ君は絶対行く。会えるんだから。

 シンジ君は俺に似てないけど、基本、俺はそういうやつだ。

 

 カヲル。

 出会えたときは本当に嬉しかった。死ぬほどびっくりしたけどさ。

 お前は言うことなしの天才だ。俺を一回全部消しても、俺のクローン作ってんだもん。たまげたよ。

 はは、でもさ、人間になったら、誰よりも人間臭くなった。

 最高に一途だ。俺と全然違う。言っちゃあ悪いが、親父に似てるというか、親父より酷いよ。何十億年拗らせてるんだ。レベルが違いすぎる。流石に引いた。

 だが、そんなとこも、好意に値するよ、好きってことさ、君達には未来が必要だ。

 なんてな。言ってやったぜ。もう抱き締めてキスしたくなるくらいカッコよくて可愛いやつだ。もう男でも良いや。好きだ。

 やっぱカヲルが大好きだ。最高の親友で、最高の共犯者で、最高のバディだ。

 いつも色々ごめんな。いつもありがとう。また一緒にピアノ弾こう。ピアノも最高。

 

 

 なんか、やっぱ世界は最高な気がしてきたな。俺が最低なだけじゃん。

 そりゃそうだ。ヴィレのみんなが必死こいて守ったもんだ。最高じゃないわけない。

 

 

 ミサトさん。

 どんなにお礼を言っても言い切れない。今も背中を押してくれてる。

 いきなり槍ぶちこんできたり、とにかくめちゃくちゃだけど、全部のきっかけだ。

 オカズにしたけど、やっぱり俺の育ての親だ。オカズにしたけど。良いんだ、そりゃしょうがない。ミサトさんが悪い。

 本気で家族を作ろうとしてくれた。たとえ上手くいかなくても、それが嬉しかったんだ。

 やってみてわかった。本当に難しい。酒のんで暴れるのも演技入ってたろ。ホントはもっと酒強いもんな。

 まあ、色々言いたいこともあるけど。

 一個だけ言うとさ、大人のキスってありゃなんなんだよ。身に覚えはないだろうけど、あれ思い出してちょっち狂ったよ俺。

 しょうがねえから、帰ってきたら続きをするって話、あれは無しにしとくよ。

 

 その代わり、勝ち逃げも無しだ。

 はは。今までのストレスのし付けて返してやるよ。食らいやがれ。

 死んで逃げんな。本当の家族と向き合ってみろ。絶対上手くいかねえだろうな。ざまあねえぜ。

 やってみろよ。家事の辛さを味わえ。本当の母親になってみろ。

 二度と俺とアスカの時みたいになるなよ。加持さんとリョウジとやっていってみせろ。

 

 

 しかし加持さんとリョウジはすげえ。親子揃って完全無欠の超男前。ああ、マジで羨ましいぜ。俺ら親子とは大違いだ。

 今でもやっぱりアスカは加持さんに夢中だ。加持さんに会うたび、アスカは本当に嬉しそうにはしゃいでる。

 変な話かもしんないけど、俺はそれが本当に嬉しいんだ。やっぱどう考えても最高なんだ。

 それは恋愛ではなく、大人になりたいだけのアスカの我儘だ。

 なんてほざくやつはこの無敵のシンジ様が引き摺り回して首もいでブッ殺してやる。アスカの心を踏みにじんじゃねえ。

 加持さんとセックスして大人になりたい。上等なんだ。立派な好意なんだ。

 それでいいんだ。アスカは俺も好きだったし、加持さんも好きだった。それが、最高なんだ。

 加持さんがひょっこり海から上がってくるのを心待ちにしてたんだ。アスカも、俺も。

 帰ってこなかったけどな。

 

 だからこいつも無理矢理戻してやったよ。

 はは、天国で寝てたか? カヲル相手にイキって良い気になってたか? 面目丸つぶれだな。悔しかったらVTOLにでも乗ってかかってこいよ。なあ?

 俺はお前に妬いてたんだ。かっこよく死ぬなんて許すわけねえだろ。こっからは豚糞の地獄を見せてやる。

 俺と同じ14年のギャップを味わえ。お前の幸せを叶えてみろ。矛盾を抱えてダサく生きろ。

 ミサトさんを二度と他人に任すな。わかったか。

 

 

 はは、俺、全く加持さんのこと言えねえけどな。アスカをケンスケのとこ送ったのが良い証拠だ。

 嘘ついた。

 加持さん以下だ。

 ツバメの人形を抱き締めるレイを、一人にして放っといたのが、良い証拠だ。

 それでも、レイを完全に自由にしたかった。もう二度と会うことはないと思っていたんだ。

 

 そしたらレイは俺んとこ来た。

 わけわかんなかった。

 

『よくわからなかった』

 

 そりゃわかんねえよ。

 

 一人ぼっちなんだから。

 

 俺は泣きかけた。一人ぼっちにしたことじゃない。

 現実で会うのがこんなにも嬉しいだなんて、思ってもみなかったから。

 

 レイは本当に強い女性だ。誰よりも強くて、誰よりも向こう見ずだ。

 毎回自爆して死んだ。全部俺を守るためだった。

 俺、ホントに、お前になんにもしてないよ。押し倒してオッパイ揉んだだけだ。あのビンタは痛かった。あれでオッパイ星人になったんだ。性の目覚め、全てのきっかけだ。

 そんでようやくまともに助けたと思ったらニアサーだ。最悪すぎる。

 しかも助けてなんかない。何をしても血の匂いと味しかしない豚小屋の以下の独房に14年閉じ込めただけだ。

 歴史上最悪、鉄の処女以下の拷問だ。

 

『楽しかった』

 

 んだとさ。

 

 それでわかった。

 

 俺の14年は空白じゃない。

 

 もうそっからは、自分に素直に生きることにした。

 レイが大好きだ。レイを愛してる。レイと一緒に居たい。

 そういうことだ。一生の恩人。ずーっと好きなまんま。当たり前だ。

 それでいいんだ。こんな良い人が好きになれて、俺は幸せだ。

 俺の誇りだ。世界中のどんな誰よりも好きだ。

 

 

 

 俺は素直になったから、全部滅茶苦茶にしてアスカを持ってきた。

 

 理由は単純だよ。全時空中のどんな誰よりも好きだからだ。

 

 アスカは俺を忘れてくれなかった。

 無理だって。

 でも、もう関係ねえよ。

 

 アスカはもう、無敵だ。俺なんか目じゃない。虹色に光ってる。俺の幻覚かもしんねえけど。

 ちゃんとした選択肢さえ与えられれば、アスカは誰よりも最強だ。

 

 アスカは、もう、自分の未来を歩みだした。

 寂しくないといったら嘘になる。

 二人以外は何もいらない、最期は二人っきりで、お互いに誓いあったんだ。

 誰よりも大好きで、誰よりも愛していて、俺の運命の人だ。

 俺は未練がましいゴミクズのゲボクソだ。

 

 だがな、今のどこまでも自由なアスカの姿は、そんな俺の未練が脳みそまるごと吹っ飛ぶくらいキく。

 どんなドラッグよりもヤバい。もう病みつきだ。完全に中毒だ。何発でも打っちまう。何発でもイッちまうよ。

 キマる度に好きになる。もうエンドレスだ。アスカ。大好きだ。愛してる。アスカが笑う。キマる。愛してる。大好きだ。大好きだ。どんな言葉でも追いつかない。アスカが泣く。キマる。言葉が無い。なら何度だって言う。大好きだ。アスカが怒る。キマる。嫌いになってくれてもいい。それすらも死ぬほど嬉しい。アスカが飯食う。キマる。自由なアスカの存在が、まさに俺の存在理由だ。好きだ。アスカが服を選ぶ。キマる。アスカが居ないと、俺は死んじまう。離脱症状で世界を全部ぶち壊す所だったんだ。アスカが靴を履く。キマる。好きだ好きだ好きだ。アスカがメニューを選ぶ。キマる。アスカが人と話す。キマる。大好きだ。大好き。どんな誰よりも大好きだ。アスカが街を歩く。キマる。たまんねえ。誰よりも愛してる。死ぬほど愛してる。アスカが手を挙げる。キマる。もう俺はアスカが無いとヤベえ。アスカが選ぶ。キマる。大好き大好き大好き。アスカがない世界は意味ねえ。愛してる。アスカが動く。キマる。アスカ。キマる。アスカ。キマる。アスカ。もうヤベえ。ヤバすぎる。キマりすぎる。好きだ。アスカ。キマる。好きだ。愛してる。好きだ。好きだ。好きだ!

 

 

 アスカ! 好きだ! 大好きだ!

 

 

 もっと、未来を選んでくれ!

 

 

 もっと、もっと、自由を楽しんでくれ!

 

 

 もっと、もっと、もっと、俺に自由なアスカの魂を見せてくれ!!

 

 

 

 

 

 

 

 俺は、アスカの運命の人をやめて、アスカのジャンキーになった。

 

 

 

 

 その自由な魂を見る度に、俺の魂にこびりついた焼印が、少しずつ薄れていく。

 

 

 

 

 そんな気がするんだ。

 

 

 

 

 ある意味、アスカの胸でシコったときから全然成長してない。むしろ悪化した。

 俺は完全な廃人になった。いや、廃エヴァか。

 とにかくアスカはなんなよ。こりゃダメ人間がなるやつだ。

 俺はもう、このドラッグを手放せそうもない。

 

 男なんて星の数だ。

 アスカなら男のベストを選べる。だってアスカが女のベストだ。好きにしてくれていい。

 あえて言うなら、加持さんはオススメしない。アイツはコブ付きだ。後、意外にしょうもないとこがある。カッコいいけど。

 その奥さんも実はかなりしょうもないからお前に譲る可能性すらある。気をつけろよ。アスカは綺麗なんだから。

 俺はもっと駄目だ。中学中退26歳肉体労働者犯罪歴多数のジャンキー。捕まってないだけ。終わってる。

 

 もちろん、その結果が俺なら死ぬほど嬉しい。

 あの時の約束を果たす。デートの約束も。ハネムーンの行き先も。子供の名前も一緒に考えたやつ全部覚えてる。

 でも、無理に選んじゃ駄目だ。今は無限の可能性がアスカにはある。あの時みたいに悲惨な状況じゃない。

 言っておくけど、ずっと好きだ。それだけは間違えるな。

 そして俺は絶対にアスカに優しく在りたい。そう決めた。もうどんな縁でも選んでくれ。

 

 

 ようやく思い出したよ。

 居場所は俺がつくるものじゃない。

 誰がつくるものでもない。

 全ては偶発的に起こる。

 居場所はただあるだけで、みんな、ただそれを選ぶだけだ。

 それが、最高なんだ。

 

 

 俺には未練がある。それで良いんだ。

 それが、最高なんだ。

 それが、俺に残った、最後の尊厳なんだ。

 

 

 ただ、リツコさんから聞いたけど、名前を「シンジ」と迷ってたって、ちょっとそりゃないんじゃないか?

 アスカと同じ選択肢じゃねえか。俺も人のこと言えねえけど、「リョウイチ」とか「シンイチ」とか、なんかもっとそういうさ、なんかねえのかよ、マジで。

 だめだ、加持さんとミサトさんに対する愚痴がとまんねえ。

 

 まあ細かいことはいいや。

 今はなりゆきでアスカとレイは妹と姉。血なんて繋がってねえのに。

 二人共誰よりも大好きだから一緒に住みたい。それに都合が良かっただけだ。元カノを囲ってる超最低のスケコマシのヒモと何ら変わらない。

 まあなんにせよ、俺とレイの顔と、俺とアスカの顔が、割と似ていて助かった。

 

 結論が出た。

 この世界はクズばっかだ。

 この世界は最高じゃなく、超最高だ。

 超最低な俺は許されまくってる。意味わかんねえよ。

 みんなが優しすぎて、みんなが最高すぎて、みんなが大好き過ぎて、俺は気が狂った。

 みんながみんなよりも好きだ。

 

 俺の面の皮は厚い。はっきり言って、親父以上だ。

 

 結局俺は、親父以下だ。矛盾の塊だ。

 

 俺は親父を成仏させたが、結局親父の問題を何一つ解決できていない。

 

 勝手に作った家族が誰よりも大事なくせに、実の親父は大嫌いだ。

 

 実の母親も、大嫌いだ。

 

「おい」

 

 

  ◎

 

 

「ずっとぶつぶつ一人で考えてんなよ、キモいな」

 

 ……腹いせに、ド底辺のクソのことを思い出してた。

 

「聞いてたよ。本当に、どこまでもくだらない同族嫌悪だ」

 

 はは、でもさ、やっぱこの世界は超最高だってことがわかったよ。不思議なもんだ。

 

「最高なわけないだろ。僕が滅茶苦茶にしたんだ」

 

 間違えんな。超最高だ。

 

「黙れよクズ。死は取り戻せない。死者の想いを軽々しく扱うお前は悪魔だ」

 

 じゃあアスカはどうした?

 

「……魂が残置してた」

 

 はっ、笑えるぜ。じゃあ全部そうだよバカ。アスカは死んだ。それが事実だ。

 

「違う。アスカは死んでない。それに時間も開いてなかった。だから、アスカをケンスケの家に還したんだ」

 

 今、還す、っつったな?

 

「……」

 

 死だよ。完璧な死だ。

 まさに見事な死に様だ。

 アスカは、決死の覚悟で、自分を侵す使徒の力を開放したんだ。

 一世一代の大勝負に出たんだ。

 誰よりも立派に戦った。

 誰よりも勇敢に立ち向かった。

 その結果、第13号機に取り込まれて、死んだんだ。

 アスカの人生は、誰よりも誇り高く、誰よりも高潔だった。

 

「……」

 

 アスカが大好きだからそれを認めなかっただけだろうが。調子のんなボケ。

 目の前で噛み殺された割には随分と余裕綽々だったなこのクソ野郎。

 わかってたんだろ。還せるってな。クズが。

 時間なんてもんはあの空間では無意味だ。俺はあの海でどれだけマリを待っていた?

 アスカとケンスケの覚悟の別れ、それすらもお前は踏みにじったな。

 本当に最低のカスだ。

 

 助ける、と、死から還す、は、大違いだ。

 それを履き違えたな。その時点で俺は罪を負った。

 

「……結局僕は、アスカを否定した」

 

 ……肯定したいんだ!

 

「……」

 

 ……でも結局、俺は肯定できなかった。

 だから、アスカの覚悟を否定し、アスカを強引に穢した。

 

 使徒もアスカなんだ。

 

 俺はケンスケにはなれなかった。

 

 焼印は薄れてない。また増えただけだ。

 

「……それでも、あの時までは、まだ一人だけだ」

 

 ……ドラッグにハマるやつはみんなそう言うよ。

 一発やったらおしまいだ。人間やめちまったな。おめでとさん。

 

「……なんでアスカを戻した」

 

 シコれるから。

 

「……なんでレイを戻した」

 

 同文。

 

「……なんでミサトさんを戻した」

 

 同文。

 

「……なんで加持さんを戻した」

 

 同文。

 

「……悪魔め」

 

 ……そんな可愛いもんじゃない。

 誰が戻ってるのかもよくわかってないんだ。

 

「……」

 

 ……どうすれば良かったんだろう。

 

「……肯定、できるようになるといいね。いつかさ」

 

 ……勉強するよ。大好きなみんなみたいになりたいから。

 決して叶うことの無い、儚い夢だ。

 

「……父さんを見習いたいんだね」

 

 断じて違う。てめえもイタいな。俺は知識を習得したいんじゃない。考えたいんだ。

 

「はは、でもさ、知識を習得したほうが良かったよ。それならいきなり会社員になれたし、京大も夢じゃないかもだ」

 

 ……確かにな。

 でもさ、バカでもいいから、自分で考えたい。

 俺は本気で、みんなを見習いたいんだ。

 俺もちゃんと成長してみたいんだ。

 

「……今日みたいなことがあったら、どうするの?」

 

 殺す。痴漢も殺す。

 

「やっぱバカだ……成長ゼロだね」

 

 そうだよな。じゃあ、ぶん殴るのにとどめとくよ。トウジみたく。

 

「……それじゃ甘いよ」

 

 ああ、そうだよな。俺は小さくて狭い。

 

「……それを再確認できただけでも、今日は一つ成長できたよ」

 

 ……アスカが、無事で、本当に良かった。

 

「……」

 

 ……本当に、良かったな。

 

「……もう、それだけで、いいよ」

 

 ……。

 

「……次は、マリさんを否定するの?」

 

 ……ああ。

 

「……」

 

 ……。

 

「……ちょっと、いいかな」

 

 ん?

 

「マリさんの前では、その口調やめろよ。本当に嫌がるだろうから」

 

 ……悪かった。レイとカヲルの前だけだ。これでも一応気をつけてる。

 

「……マリさん、まだ付き合ったりしてくれるかな」

 

 100%無理だろうな。

 

「……だよね。粘って駄目なら、別の人を探そう」

 

 精々やってみろ。市場価値は最低だ。

 

「はぁ……学歴ゼロの26歳の肉体労働者、かぁ」

 

 ……でも、当たって砕けろじゃねえか。頑張ろうぜ。

 いつか居るさ、そんなのでもいい変わり者は。

 

「うん。他人にけしかけてばっかりじゃ、示しがつかないし」

 

 ……マリが好きか?

 

「……うん」

 

 ……やっぱ、どう考えても、そうだよな。

 やっぱりマリは最高だ。最高にオッパイおっきいし、最高に頭いいし、最高に可愛いし、最高にいい匂いだし、大好きすぎる。最高に良い女だ。

 

「……はぁ、しょうもな……」

 

 良いんだ。

 どうやら俺は、ただのドーパミン出っぱなしの惚れっぽい面食いのバイのバカだ。

 だから俺は、みんながみんなより好きなんだ。

 それがわかっただけでも嬉しいよ。

 

「……決して幸せにはなれないだろうね」

 

 それでも、きっとこれが、俺の心の安らぎなんだろう。

 

「……もう、なんでも良いけどさ。とりあえず、ちゃんと粘れよな」

 

 もちろん。やってみるよ。

 レイに頼まれた。俺は本気だ。

 

「……カヲル君には悪いことをしたし、助けられた。彼にもお礼をしたい」

 

 ……日曜学校の手伝いに行こう。今の俺に出来るのはそれくらいだ。

 

「……そうしようか。あのさ、ちゃんと告解もしといたほうがいいよ」

 

 そうだな、悪かった。俺も勉強できた。俺は結局、友だちに頼ってる。

 だから俺は、まず友だちに相談する所から始めるよ。

 

「……あんまり変わんないよ、それ」

 

 いいよ、別に。少しはマシだ。

 

「……家を出るの?」

 

 もちろん。キツいけど、化学メーカーを狙ってる。

 そうなりゃさ、職場結婚も夢じゃないぜ。

 

「ダサいね、クソったれとか何とか言ってたじゃん」

 

 悪かったな。レイとアスカに背中をさすってもらった。もう大丈夫だよ、クソったれ。

 

「……ならいいんだ。じゃあね」

 

 ああ、またな。今日は悪かった。

 

「はっ、謝りすぎるなよ。僕そっくりだ」

 

 そりゃそうだ。

 

「さっきから僕は、ずっと風呂場の鏡と話してる」

 

 

  ◎

 

 

 長めの風呂に入って、僕はさっぱりした。ミサトさんの教えの通り、風呂は心の洗濯だ。寝室を覗いてみると、レイとアスカがグーグーと寝ていた。

 大好きな寝顔を確認した僕は、台所にもどって、適当なジョッキに氷とレイの土鍋ミルクティーを入れる。このペースなら明日には空だ。また作ってもらおう。

 ジョッキに入ったミルクティーをカランとならして、僕はベランダに出る。

 

 6月14日。

 いや、日をまたいで、今日は6月15日。

 この時期は梅雨で、今の日本では雨が頻繁に振る。だからこそ今日の快晴は珍しく、気持ちの良いものだった。

 空を見上げると、この街を囲う薄膜がキラキラと虹色に輝いている。

 今現在の第3新東京市は梅雨らしい天気で、雨がザーザーと振っている。

 けれど、それがこの街を洗い流すことはない。

 たとえ槍が降っても、それは変わらない。

 当然だが、風もない。

 

 これから、僕は電話をかける。

 深夜3時をとうに超えているけど、多分彼女は起きているだろうから。

 ミルクティーをごくごくと、喉を鳴らして飲み、ぶはっ、とジョッキから口を離す。

 

「……ここが正念場だぞ、僕」 

 

 そう一人でつぶやいて、気合を入れ直し、僕は首元のDSSチョーカーを操作した。

 目の前の空間に、3Dホログラムが投影される。

 このDSSチョーカーは最新型だ。

 血圧と脈拍を常に測ってくれる。当然万歩計機能もついててヘルスケア機能はバッチリ。GPS機能を使って周辺地域の天気予報も教えてくれるし、最新のニュースだって見れる。ブルートゥース対応の音楽再生機能もついてるから、もうS-DATは必要ない。他にも機能が沢山ついているけれど、まだ僕は把握しきれていない。

 もちろん爆発機能付き。絶対に手放すことができないユーティリティスマートデバイス。 

 

 万が一の故障時のため、その開発者であるオーナーにのみ電話がかけられるようになっている。

 

 僕は、その通話機能を選択した。

 

「……只今、留守にしているにゃー! ピーッっという音の後に、メッセージをどーぞ! 真希波より! ピーッ!」

「……惣流です。あ、シンジです。え、えと。久しぶり。元気かな」

「……」

「夜分遅くにごめん。今日は……」

「……」

「今日は、ありがとう。色々助けてもらって」

「……」

「……本当に、いや……ごめん」

「……」

「……今さ、風呂上がりで、ベランダから外に出てるんだ。レイが作ってくれた、アイスミルクティーを飲んでるよ。これ、凄く美味しくてさ。風呂上がりには最高だよ」

「……」

「いつかマリさんにもおすすめしたい。きっと、マリさんなら知ってる味だ」

「……」

「……ごめん、そんな要件で、電話したんじゃなくてさ」

「……」

「あのさ、明日、日曜日だろ。あ、ああ、もう今日か。はは、なんて」

「……」

「……マリさんを迎えに、ヴィレに行く。話したいことがあるんだ」

「……」

「それだけなんだ」

「……」

「……」

「……我在等待」

「……ありがとう。おやすみ」

 

 私は電話を切った。

 

「……シンジさんから電話?」

「まあね」

「……良かったわね」

「はん、人もどきからの電話なんぞ、嬉しくないわ」

 

 私は今タオル一丁姿だ。まさに長風呂上がりの最高の気分のところに、こいつから電話がかかってきちまうとは。

 

 正直に言おう、今の私は、今のわんこ君が大嫌いだ!

 

 だってこいつ、学もないし、すぐ暴力振るう盆暗じゃん!

 私が最も嫌いな人種だ! ヤンキーっていうのか知らんが、とにかく最悪すぎる! 今まで出会ってきた男の中でも最低だ!

 姫に未練たらたら! 男の腐ったような半端者! なーにがケンスケによろしくよ! 今でも腹立つ! そんなら責任もって姫を幸せにしてみろってんでい、この馬鹿者が!

 プリンセスにも未練たらたら! 結局ゲンドウ君と一緒じゃん! 全部殺す代わりに全部戻しちゃっただけ! おかげでこの世界はもう大混乱だ! デレデレしながら飯作ってないでちょっとは手伝え!

 レイさんにも未練たらたら! レイさんが強いから甘えてるだけじゃん! あのちょっぴりの大人の香りはどこにいっちまったんだよ! ちったぁしっかりしろ! レイさんも甘すぎじゃ!

 レイちゃんにも未練たらたら! 何なんコイツマジで! ていうかもうそれ犯罪だから! 幾つ年の差あると思ってんだ! 11個下だよ!? 阿呆か!

 それでいて、誰一人として自分で幸せにする気概もない、男の風上にもおけない最低のクズ!

 ユイさんになんて一ミリも似てない!

 頭がいいだけまだゲンドウ君の方がマシ!

 すぐ暴力で解決しようとする!

 何の解決もならないし、ケツを拭くのはいっつもヴィレ、ってか私だ!

 去ね!

 この中学すら出てない頭の悪い底辺の学のないつまんないゴミみたいな頭がお花畑の低学歴の阿呆の馬鹿の鈍遅の間抜けのどこまでも低級な自慰行為中毒の薬物中毒の暴力中毒の自己矛盾の自己中心の無軌道で滅茶苦茶な低所得者の甲斐性なしの女たらしのスケコマシのジゴロのヒモの男妾の我儘の売れ残りの女々しい糞野郎の惚け茄子が!

 

「……顔、赤いわ?」

「風呂上がりだよ」

「……ふふ、愛を受け入れるのよ」

「おい、調子のってっと、またブタ箱ぶちこむぞ」

「あら」

 

 アスカは笑った。

 

「シンジさんそっくり」







【次回予告】

仲睦まじきカヲル様とシンジ君を目撃するためだけに足繁く日曜学校に通う山岸マユミ!
そこには日曜学校を手伝う惣流シンジが居た!
同性愛が禁止のカトリック教会でイチャつくどこまでも罪深いシンジとカヲルとシンジ!
なんだか頭がフットーしそうなマユミに話しかける二人のシンジの思惑とは!

そしてついに開かれる惣流家での写真交換会!
二人のレイが黙って見せ合う写真はどれもこれも超弩級の爆発物!
誰が見ても問題しかないその写真たちにアスカの精神が汚染されていく!
そこにやってくるマリとアスカとアスカ!
乱入するマリにより、写真交換会はついに血で血を洗う抗争へと発展する!
さらに勃発するアスカ格付け決定戦!
アスカが購入したバーチャはまさかの2.0だった!
千本パンチの応酬に阿鼻叫喚のアスカとアスカとアスカ!
アスカとアスカとアスカとレイとレイとマリに死ぬ直前までこき使われるシンジに、ついにトウジとケンスケがその救いの手を差し伸べる!

次回、「説教」!
この次も、サービスサービス!










【おまけ】










◎何これ?

この駄文は、
海辺でマリさんと出会ったシンジ君が、
「現実に」あの駅でマリさんと出会うまでの、
その中間に位置するお話のつもりで書きました。


◎どこまでも無責任な次回以降の予定

海辺でマリさんと出会ったシンジ君。
その直後の話を書きたいと思います。


◎あまりにも雑な登場人物紹介(6話)

真希波・マリ・イラストリアス
好きなポップコーンは映画館のポップコーン。
絶対頼むが食うのを忘れるパターン。

葛城ミサト
44歳。好きなポップコーンはしょっぱい奴なら何でも。
酒のあてになれば。

加持リョウジ
45歳(31歳)。好きなポップコーンは塩。
塩は少なめが好き。

赤木リツコ
45歳。好きなポップコーンはキャラメル。
母さんとの思い出。

警保局長
好きなポップコーンは『ハローキティーポンポンパック3』で娘が作ったポップコーンの残り。
最近娘に嫌われだした。ウルトラエリート。

調査局長
好きなポップコーンは『それいけ!アンパンマン ポップコーンこうじょう(初代)』で息子が作ったポップコーン。
息子との思い出。叩き上げ。

内務大臣
好きなポップコーンは塩。
小学校以来食べていない。

惣流・アスカ・ラングレー
15歳。好きなポップコーンはキャラメル。
ちょっとシーが気になってる。

惣流レイ
29歳。好きなポップコーンはバター醤油。
っていうかポップコーン初めて食べた。バター醤油は、まあ普通。

惣流シンジ
26歳。好きなポップコーンはバター醤油。
久しぶりに食べて、こりゃ身体に悪いわ、今度自作しよ、と決意。

式波・アスカ・ラングレー
29歳(15歳)。好きなポップコーンはハニー。
ケンケンとのランドは、二人だけの秘密の思い出。

日向マコト
40手前。好きなポップコーンは特になし。
最近は生え際との漢の戦いを繰り広げる。

伊吹マヤ
39歳。好きなポップコーンは塩。
最近はNBの1700とか履いてる。北上ミドリにビビられる。独身貴族ここにあり。

青葉シゲル
40手前。好きなポップコーンはバーベキュー味。
最近は転職活動中。趣味人。

鈴原ヒカリ
29歳。好きなポップコーンはアルミでつくるやつ。
姉妹との思い出。

鈴原トウジ
29歳。好きなポップコーンはアルミでつくるやつ。
妹との思い出。

相田ケンスケ
29歳。好きなポップコーンはハニー。
何食わぬ顔で鞄の中に128PBポータブルSSDを忍ばせアトラクションに乗るアスカを特殊小型ガンマイクと特殊アクションカメラにより256bit6144kHz128K960fpsで録音撮影後機材開発者の真希波と共有した。もはや出力する機器がないので二人以外に漏れようがない。

渚カヲル
30歳。好きなポップコーンはない。
食ったことも興味もない。


◎あまりにも雑な登場人物紹介(7話)

惣流シンジ
26歳。学歴なし。8月に高認を取る予定。頑張れ。

惣流レイ
29歳。最終学歴は中学中退、だったが綾波レイと同一であるということから高認と同一のものをゲット。今は通信制大学に通っている(文学部)。

スタイーリの社長
最終学歴は大卒。

テレショップの社長
最終学歴は大卒。

四谷さん
最終学歴は高卒。

中野さん
最終学歴は大卒。

三鷹さん
最終学歴は高卒。

惣流・アスカ・ラングレー
15歳。現在高1。特進クラス。全教科全国一位。とっとと飛び級したい。

式波・アスカ・ラングレー
29歳(15歳)。大卒。院に行きたいけど暇がない。

洞木レイ
15歳。現在高1。特進クラス。奨学金のためならエンヤコラ。

加持ミサト
44歳。大卒。

加持リョウジ
45歳(31歳)。大卒。

相田ケンスケ
29歳。高認。最近は開いた時間で通信制大学に通う(工学部)。

冬月コウゾウ
75歳。博士。

真希波・マリ・イラストリアス
博士。

赤木リツコ
45歳。博士。

鈴原トウジ。
29歳。高認だが、色々功績が認められ、医師国家試験を受けることができ、医師免許を公に取得。

渚カヲル
30歳。神学校卒。実際にはデータベースいじっただけ。悪い奴。

霧島マナ
16歳。現在高1。特進クラス。

山岸マユミ
15歳。現在高1。特進クラス。

松風ネネ
15歳。現在高1。別の学校。

鈴原ヒカリ。
29歳。高認。

赤木ナオコ
71歳(51歳)。博士。

鈴原サクラ
24歳。医学部在学。研修中。

ペンペン
学歴なし。数少ないシンジの友だち。

イカリシンジ
16歳。現在高1。特進クラスだったが、不登校で普通クラスに落とされる。

加持リョウジ
15歳。現在高1。特進クラス。学内総合成績は二位。

六分儀・アスカ・ラングレー
29歳(15歳)。学歴なし。










◎信じられないほど言い訳がましくて自分語りでどこまでも読むに耐えない恥ずかしいあとがき


 シンエヴァ、面白かったです。見てからもう丸3ヶ月経ちましたが、今でもとても楽しいです。
 あのエンディング、あなたはどう思いますでしょうか。

 一回目、私は大爆笑しました。
 映画館で序を見て、一人でトボトボ帰っているかつての私に言ってやりたいです。
 「おい、その映画は焼き直しじゃねーぞ、シンジ君が宇部興産に出勤して終わる」と。

 二回目、私は心がとても締め付けられました。
 とうの過去に置いてきたはずの、LASという概念。ほぼ15年ぶりに、その唐突なフラッシュバックに襲われたのです。
 LASが大好きだったことを思い出したのです。

 三回目、私は違和感に気づきました。
 いや、シンジ君、戻しちゃってるじゃん。

 四回目、私はようやく、慣れました。
 私はようやく、自分なりの、安っぽい結論を出したのです。

 きっとあのホームは、シンジ君の妄想の世界なんでしょう。

 カヲルは死にました。
 そりゃそうです。目の前で首が吹き飛んだんです。
 マイナス宇宙で会ったそれは、作品を超え尽くした超越的な魂です。さらにシンジ君は、それにすらシャッターを締め、カヲル君を見送りました。
 それでも、カヲルの元気な姿を見ること、それがシンジ君の望みだったんでしょう。

 レイはわかりません。
 彼女はヒトの形をイメージすることを放棄し、シンジ君がエヴァに乗らないように努力しました。
 しかしそれでもシンジ君は、彼女を認識することができました。彼女の髪が伸びていたように認識したのは、彼女が懸命に耐え抜いたその14年を肯定する、労いの意味もあるでしょう。
 そして最期に、色々な生き方があると告げ、見送っていきました。
 あの後、完全にレイは自由です。そしてレイにシンジはもう一切関与するつもりは無いのでしょう。レイは完全に解き放たれて、どこまでも自由になりました。
 レイはカヲルと仲良くホームで話しますが、それはシンジの作ったイメージでしょう。
 「カヲル君は父さんに似ている」、なんというか、普通に悪口です。ですが、きっとレイとも仲良くなれるよ、そういう意味でもあったりしたんじゃないでしょうか。

 彼女は式波ではないでしょう。
 式波は彼が戻したのですから。
 一体彼女が誰なのかはわかりませんが、ホームで一人、孤独でした。
 そしてシンジ君は、彼女のもとには、けして駆け寄ってはいきません。
 シンジ君との間に何があったのか、それも全くわかりませんが、きっと、合わす顔がない、そんな所でしょう。

 シンジ君は、電車に乗っていく、そんな彼らを見送ります。
 これがきっと、シンジ君のやりたかったことなのです。

 でもそこで終わらない。
 その妄想の閉じた世界にも、どこからともなくマリさんはズケズケとやってきて、DSSチョーカーを外します。
 そしてシンジ君も負けじとマリさんを口説き、手を引き、階段を駆け上がり、マリさんと一緒に出勤します。
 僕も黙ってばかりじゃないんだぞと。
 そこがシンジ君の、愛くるしくって、憎たらしい魅力だな、と、私は勝手に思いました。

 シンジ君とマリさんのリアリティのその後。そこは本当に誰にもわかりません。
 少なくとも、私はそう思ったのです。


 しかし。
 五回目、私は愚かにも、こう考えるようにもなりました。

 「それを踏まえて、もしあれが、あの第3村が存在する地続きの世界だとしたら」

 それを思うと、なんとも業が深い話だなぁと、そう思ったのです。
 それが、生まれて始めて、ifもののショートストーリーを書くようになったきっかけです。

 あくまで僕の妄想ですが、あれを現実にしてしまうシンジ君は、きっと相当のダメ人間でしょう。
 自分のしでかしたことに対するケジメなんて、一ミリもとってません。
 死者の尊厳を、死者の覚悟を、死者の想いを、なんとも思っていません。
 ゲンドウなんか目じゃないです。本当にどうしようもないやつです。

 でも、それはそれで、憎たらしくって、愛くるしい魅力なんじゃないか、と思った次第です。

 私が言うまでもありませんが、くれぐれも受け取り方は自由です。
 解釈は人の数です。
 きっと作品のみがそこにはあるのだと思います。

 シンエヴァが作品として優れている1つのポイントは、その余白の配置とデザインが絶妙である、という点だと思います。

 エヴァンゲリオンは終わりました。
 だから安心して、各自で勝手に続きを考えることができます。
 エヴァンゲリオンは終わってません。

 本当にまた公式が始まっちゃったら、それはそれで。
 有り得そうなのが恐いところです。

 愛する人を否定し続けて、力があることを良いことに暴れまわり、料理人の荒れ果てた手で懸命にペンを握り、必死に勉強する、中学もろくに出てない馬鹿。

 このお話のそんな彼を、ほんの少しでも、気に入ってくれたら幸いです。

 下手糞な文章を読んでいただき、ありがとうございました。

 昨日、六回目を見ました。面白かったです。

 ではでは。






(6/15追記)

 読み返してみると、へんな所がいっぱいあります。自分の中でも2年が埋めれてません。

 すまん。

 いつか書き直します。今度は前から書いていきます。
 
 ではでは。






(8/9追記)

 およそ2ヶ月ぶりに読み返し、誤字脱字の修正をしました。

 あの後もシンエヴァを、そして今までのエヴァンゲリオンの過去作を見続けています。
 今は私は、エヴァの世界では何が起こっていたのか、キャラクターがどんな性格なのか、どんな考えをもって生きているのか、それをもう一度、自分の言葉で整理している段階です。

 そんな奇特な人が居るのかはわかりませんが、もし続きを楽しみにしてくれている方には、待たせてしまって本当に申し訳ないです。
 もうシンエヴァのブームも去った後、またひっそりと書き始めるかもしれません。
 今見ると、本当にあとがきも恥ずかしい。しかしその分、少しはマシなものをこれからは書けていければなと、そう思います。
 これ以上奇特な人を期待するのも甘え過ぎですが、お待ちいただければ幸いです。

 4000回もアクセスをしていただいたこと、本当に嬉しく思います。

 ありがとうございました。

 ではでは。
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