私のせいでとか、私がいけないとか、あ~だこ~だ言うのはもうやめよう。
私達はあの人に迷惑をかけることにした。
―――
“月の見える丘に行こう”
そうあの人は呟いた。
父親がいなくて、親とも疎遠で、近所付き合いも下手クソで、録に稼げもしなかった母親の言葉である。
高校を卒業したまでは良かったけれど、そこで母親はそれまで付き合っていた男と結婚することにした。
その男も高卒で、体も弱かったらしく現場で働くなんてことも出来ず。
それでもなんとか働いていたらしいんだけど結局は体を壊して寝込む羽目になった。
正直に想う。
後になって正直な感想なのだけれど、あの人はその時に死んでしまっていればよかったのだ。
あの人の入院費や薬代で母がパートをこなして溜めた、俺達のなけなしの生活費はほとんどが飛んでいったし、どんどんと悪くなっていくあの人の体は、その内録に話をすることも出来なくなった。
日に日に意識を保っている時間も少なくなって、少しづつ増え、段々と払えなくなっていく治療費。
あの人は毎回面会に来るたびに申し訳なさそうに“スマン”と呟いていた。
俺達の目なんて見る事が出来なかったんだろう。
日に日にうつむきがちになって、最後は俺達の顔なんて見なくなった。
あの人も耐えられなかったんだろう。
自分が痩せ、衰えていく姿を認識すると同時に、母も無理をして、段々と、少しづつ、やつれ、疲れ果てて行ったから。
“月の見える丘に行こう”
そう母が言ったのは、あの人が病院で眠る様に息を引き取った日の事だった。
俺達が住んでいた家の近くには小高い丘があって、誰が付けたのかは知らないけれど“満月の見える丘”という名前だった。
昔、家族で行ったことがある、うちの家族にとってほとんど唯一と言える家族での外出をした場所。
その日の空もとても澄んでいて、星が零れそうな位輝いて、冷えた空気が徒歩で来た俺達の暑くなった頬に心地よかった。
俺達は近くに生えていた木の根元に座り込んだ。
母が腰を下ろし、その前に俺が腰を下ろす。
自分が来ていた粗い布のマフラーとカーディガンを俺にも回して、包みこむ様に抱きしめてくれた。
今まで張りつめていた糸がピンと弾けて、今まで泣かなかった母には、そこが限界だったらしい。
ワンワン泣いたのである。
当時小学生だった俺が、顔負けする位大きな声で、え~んえ~んと、そりゃあもう泣き叫んだ。
俺の背中に顔を埋めて、垂れる鼻水が俺につかない様に一生懸命拭って、ポタリポタリと大粒の涙を流した。
なんで分かるかって?
一生懸命拭っても、俺の首筋に、何度もその水滴がおちてきたから。
それが鼻水だとか、考えたくないだろうが。
俺はその母の泣き声をバックに空を見上げていた。
本当に月が綺麗で、子供の頃の俺はその空に死んだあの人を探した。
「……好きだったのよぉ、やっぱり…………好きだったのぉ」
少し子どもっぽい母親の口調ではあったが、どんなにきつくても、どんなに辛くても、あの人に生きていて欲しかったんだろうか。
その悲しそうな呟きに、俺まで途中からワンワン泣いたのを憶えている。
「―よぉ、待たせたか?」
意識を元に戻し、俺は背中からかかってきた声に振り向いた。
「おせぇよ、結構待ったぞ」
「ワリィワリィ、ほら」
そうやって缶を投げてくる親父。
「馬鹿!暗いんだぞ!受け取り損なったらどうすんだよ!!」
「どんな心配してんだよ」
俺の言葉に笑う親父、そして俺の前まで歩いて来ると止まる。
「お話をしにきてやったぜ?」
ドヤ顔がうざい。
「いいからさっさと座れよ」
俺は展望台のベンチ、自分の横に目をやる。
親父はそれをみて黙って俺の隣に座った。
カチョ、っとプルタブの開く音がして一息のんだ親父の口から白い息がこぼれた。
俺もそれにならいプルタブを開ける。
「…………」
「…………」
しばらくの間無言の時間が流れた。
親父も俺も、チビチビとコーヒーを呑んで空を見上げている。
「星、綺麗だよな」
親父がそう呟いた。
「そう、だな」
実際俺は空を見上げてはいたが景色なんて目に入っていなかった訳で、その一言に焦る。
「流石は“満月の見える丘”とか言うだけあるわな」
「……そうだな」
再びの沈黙。
それ以降、親父は何かを話そうとする素振りも見せず、ただ空を見上げ、コーヒーを飲んで時間を過ごしていた。
「飛行機の事故、聞いたよ」
その返しに少し親父が緊張したのが伝わる。
「……そうか」
その一言だけが帰って来た。
「何で俺に言わなかった?」
少しづつ怒りがこみ上げてくる。
あぁ、やっぱり俺はいらついてたんだなぁ。
「俺、あいつらに酷い事言ったぞ?あんたがいない所で、俺はあいつらに両親の話をした……」
「“元々の親はどうした?”って、とっくに両親なんざいなくなって、葬式だした連中に俺は言っちまったぞ?」
「……すまん」
その一言に私はきれた
「“すまん”じゃねぇンだよ!!!そう言うのが一番だいっきらいな俺が、俺が、あいつらに酷い事言っちゃったじゃねぇかよ!!」
家族を失って、頼る所もなくて、それを親父が救って、やっと助かったと思った矢先に、俺みたいな奴からグリグリと傷口に塩を塗りたくられるのである。
「大体親父だってそうだ、何でいわねぇ?少しの事情の説明位、娘の俺にあっても良いじゃねぇかよ!」
「両親が死んだとか、頼れる人が親父だけとか、そう言うこと言ってくれれば俺だって黙るよ!」
「それとも、やっぱり俺はあんたの娘じゃねぇか?血の繋がった妹の娘達の方がそりゃあ大事だよな!所詮俺なんて血も繋がってないし、そう言うことなんだろう?」
叩きつけるようにそう叫んだ。
親父はそれを遮る事はしないで、ずっと聴いていた。
そして、俺が一段落した事を確認すると口を開いた。
「俺はさ、仕事も結構忙しくて、家にだってずっといない」
静かに、少しづつ、絞り出す様に親父は話す。
何を言ってるんだとおもった。
「家で一人っきりでいるのってつまらなくないか?」
そうやって親父は俺を見た。
「俺はよかったんだよ、することがあったから」
バイトして、金作って学校行って家に帰れば裕理がいた。
「でもな、裕理は違った」
バイトできる年齢でもない。
家に帰っても一人きり。
「遊びゃあ良かったんだろうけどな、ぶっちゃけあいつを遊ばせてやれる金がなかった」
そうやって親父は少し悔しそうに呟く。
「さいわい、裕理は元気な奴だったから友達はたくさんいてな」
それだけは少し安心したように。
「お互いに助け合おうって言ったのに、あいつは家で一人家事をして、外で俺は仕事仲間作って、申し訳なかった」
しみじみと話をする。
親父の顔は空を見上げていて、どんな表情かは分からなかった。
「当時の俺はそれに気付いてなくてよ、裕理が結婚するって言って裕理を旦那さんの所に送り出した後の家で思った」
タバコに火をつける。
夜の闇の中でそこだけが赤くて、自然とそこに目が向いた。
「家で一人ってさびしいなぁってさ、だから俺は家を飛び出してあいつと行った“満月の見える丘”に気まぐれで行った」
親父は俺を見る。
「そこで俺は一人あの幹で膝を抱えて泣いてたお前に出会った」
親父は少しだけ笑う。
「なんやかんやあって俺はお前の親父になったけど、……本当にうれしかった」
…………
「天の邪鬼でガサツで、乱暴者で、褒められた所なんかなかったかもしれない」
「でも、お前は学校に通いはじめて、下手だった料理もはじめた」
いてくれるだけで嬉しかったのにと。
自分の娘になってくれただけでも嬉しかったのにお前は頑張ろうとしてくれたと。
「愛してるよ」
親父は真顔でそんな事をのたまったのである。
「本当に愛してる。お前の事を、胸を張って誇りに思う」
私は、何も言わない。
というか言えない。
迷惑をかけて押しかけてきた俺を、胸を張って誇るといったバカ親父に、何と声をかけていいのか分からない。
頭は真っ白で何も言葉なんか浮かんでこなかった。
「そんな大切な娘に家で一人っきりの寂しさを味あわせるのは嫌だった」
―俺の我儘だけどな
そういってタバコに火をつける。
「それが全てじゃない。というかそんな理由だけで家族を増やそうなんて間違っても思わない」
「でも、みんな一緒がいいとあいつらが決めた」
俺は腐っても裕理の兄で、その妹の娘達が自分の意思で一緒がいいと言った。
「なら、助けてやりたいと思った」
自分でなんの力もない彼女たちの、少しでも力になれたらいい。
親父はそう言った。
「…………それはもういいんだよ」
事情を知って、父の思いを知って。
それを無理だと言える訳がない。
「でも、なんで俺に事情を説明しなかった?」
それが一番ムカツクのである。
「俺はいいよ、確かに親父が頭悩ませたのも理解した」
「でもさ、俺も事情を知ってたらあんなこと言わなかった……」
俺だったら相手を殺してやろうと思う。
そんな酷いことをあいつらに言ってしまった。
「……それは俺には出来なかった」
「なんでだよ!!」
「俺があいつらにお前の過去を伝えてねぇのと同じだよ」
「…………」
振り返って考えてみる。
たとえば、私の過去を彼女たちが知っていたらどうだったか。
「……そうか」
だから納得した。
他人に勝手に興味で知られたくはない。
他人の口から言うのではなく、言うのなら私の口から。
そう考えた親父は彼女たちの過去を告げることなく俺と彼女たちを会わせたと……
「ムリヤリすぎるだろ!!」
もっとうまい接し方が私達にはあったはずで、もっと無難な落ち着き方があったはずなのだ。
たとえば、前もって親父が双方の過去のことまで話しておくとか、どちらかに言い含めておくとか。
仲良くしてやってくれとか何かいっとけば少なくともあの三人は断らないだろう。
そうして私達はもっとありふれた家族になれたはずだった。
互いに遠慮だの同情だの変な気持ちを胸に宿して、私達は家族となったのだろう。
「……めんぼくない」
親父はそれが嫌だった。
互いの過去に気兼ねして、言いたいことも言えないで、大きくなって家を離れて、次第に疎遠になっていく。
そんなのが嫌だったんだろう。
「めんぼくないじゃねぇよ!」
俺だって嫌だ。
いつも遠慮して過ごすなんてゴメンだし、いつも遠慮されて過ごすのもゴメンだ。
でも―
「でも、家族同士で喧嘩がないのはつまらねぇな」
確かに私達家族は普通じゃない。
姉妹の母親はみんな違うし、私なんか赤の他人だ。
父親と少しでも血の繋がりがあるのも一人だけ、こんな家族構成みたことがない。
みんな父親が死んでいるんだもの。
私達の家族は普通ではない。
でも、私達の家族は不幸ではない。
「そう思うだろ?」
その言葉に途端に元気になるバカオヤジ。
「調子にのんな!」
「あだっ!!」
ポカリと一発お見舞いして私はベンチを立った。
「親父、タバコ一本くれよ」
「ダメだ」
即答であった。
「なんでだよ、そんなうまそうに吸いやがって」
親父はニヤリといやらしそうに笑うのだ。
「タバコは20歳になってからだ」
「親父が言っても説得力がねぇよ!」
「残念ながら我が家のルールだからな」
「ぜったい今決めただろ!!」
「うるせえなぁ、ほら」
そういって親父は自分の吸っていたタバコを俺に差し出してきた。
「一回だけだぞ?」
「分かったよ」
そういって俺は手にしたタバコを思いっきり吸いこむ。
「ウオェ!!ゲホッ……ゲホッ!!」
私が踏み出した大人の一歩は猛烈に煙たくて、とてつもなく苦いものだった。
―――――
「お兄ちゃん遅くない?」
伯父さんが出て行ってから、姉の態度はそれはそれは落ち着きのないものだった。
おちつきなくご飯を食べ、落ち着きなく皿を洗って、落ち着きなくお風呂に入った。
皿を洗っていた間に実は数枚落ちて割れていたのは内緒である。
「少し落ち着こうよ」
ひなの濡れた髪を乾かしながら姉に言ってみる。
「でも……」
そう言ってうつむいて姉は黙った。
落ち込んでいるというかおそらくまた気負っている表情だ。
「“また伯父さんの負担になった”そう思ってる?」
見るともなしに見ていたテレビから目を離し、姉は私を見た。
「思ってるよ、お兄ちゃんにバイトさせて、その言い訳まで考えさせちゃって、あげくにお兄ちゃんには娘がいて戸惑っている内にその人は家出しちゃった」
そこまで一息でいうと姉は再び黙り込む。
「ねーたん、おいたんのことしんぱいなの?」
ひながきいて来る。
「そうね、心配かな、とても心配」
姉は儚げに笑う。
自分がしたことを後悔して。
燻り続けていた私の中の思考だったけれど、噛み締めていた私の唇から、私の本当の気持ちを悟った。
「そうやっていつまでも悩むの?」
私は実の姉にムカついていた。
「え?」
姉は私の顔を見る。
「私のせいだとかいって、一生そんな顔してるつもりなの?」
「…………」
姉は黙って私の顔を見ていた。
「私達は自分から決めて伯父さんの所にいることを選んだんだよ」
部屋の中に音が反響する。
「伯父さんは笑って私達の苦労を背負うって言ったんだよ?」
寒さ故にしめきった部屋で、静けさの中こぼれる声は独特の響きを持ってその空間に響いていく。
「それなのにお姉ちゃんはそんな伯父さんの気持ちも無視して、そうやってウジウジ悩むの?」
姉のことは大好きだ。
私達のことを何時も心配してくれる姉のことが私は大好きだ。
でも、姉が決めた事をいつまでも後悔して、前に進めないでいるのなら、私は少し荒っぽくても、背中をおしてやりたい。
「ウジウジとか言わないで!!」
その言葉を聞いて姉が叫んだ。
「お兄ちゃんの負担になってる、お兄ちゃんに迷惑かけてる……やっぱり、そんなのやだよぉ」
うつむいた姉の顔は見えないけれど、その声がうわずってきていた。
「お兄ちゃんが無理するよぉ、おにいちゃんが我慢してるよぉ、おに゛いちゃ゛ん゛がきずづく゛のがいやなのよぉ!!」
ポタリポタリと涙が落ちて、それでも、姉はうつむいて、私に泣き顔は見せない。
「できることしたいよぉ、でも、なんなのよ娘って、きいてないよぉ」
新しい姉が出来ると聞いた。
一応私達は納得したけれど、笑顔で大丈夫だって言ったけれど、今まであったこともない女の人と、簡単に家族になるなんて出来るわけがない。
そしてあの人は私達に言ったのだ。
多分私達の事情なんてしらなかったんだろうけれど、私達の親はどうしたのかと、私達をおいていったのか?薄情な親だなぁと、あの人は言ったのだ。
そんな人が姉になるなんて言われて、安心なんて出来るわけがない。
「や、やめてよ、おねえちゃ゛ん゛、なんかわたしまでなきたく……」
じわりと、目元に涙がたまってきているのが分かる。
「おねーたんたち、なんでないてうの?」
ひなが私達の顔を覗いこんでくる。
「だ、大丈夫だよひな、ちょっとお姉ちゃんと、伯父さんの心配をしてたの」
慌てて涙を拭う。
ちゃんと笑ってひなに喋りかけれているだろうか。
そんな私をみて、ひなはとてとてとこちらにきて、ぎこちなく私と姉の背中をさすった。
「なきたいおきにわらったらめーなのよ」
ひなの心配そうな顔。
その一言が限界だった。
涙が止まらなくなる、止めようと思っても止まらなくなる。
「ひな……あ゛りがどう゛」
ひなを抱きしめて、姉と向かい合わせに泣く。
「「ヒ……ヒッグ、、、、エグ」」
しゃくりあげる音、しばらく無言で私達は泣いていた。
何が悲しくて泣いているかとか、どんなことがいやなのかとか、自分でもよく分からなかった感情が溢れて溢れて、気付けば姉とわんわん泣いていた。
漠然と胸の中には不安があって、何をしていいかも分からないまま私達の中で燻っていた焦燥感があった。
皆一緒がいいと言って私達はこの道を選んだけれど、そこにもやっぱり嫌な事はあるみたいで、どんな道を選んでも、結局楽しいだけで終わることはなかったんだろう。
「ひながぎゅ~ってしてあげうね」
泣いていた私達を包む込むように、ひなが私達に抱きついてきた。
腕の長さが足りていなくて、私とお姉ちゃんの肩をきゅっと自分に引き寄せる様な形になる。
そうやって抱きついたひなの体の暖かさに姉として恥ずかしながら心地よさを覚えてしまった。
「ありがとうね、ひな」
若干声は上ずっているけれど、ひなにお礼を言う。
「いいのよ~」
そうやってひなは私達を抱きしめながら嬉しそうに笑っていた。
良く考えたら、パパとママが死んだことを知ってから、私達は初めて泣いていた。
「お姉ちゃん」
「……なに?」
顔を真っ赤にしている姉に話しかける。
鼻も、目も、耳も、真っ赤にしたみっともない泣き顔だった。
「伯父さんに、……お父さんに、迷惑をかける覚悟をしよう」
私も同じ様なことになっているのだろう。
涙を服の袖で強引に拭いとって私は姉と向き合った。
「負担をかけよう、お父さんが無理をする姿と向き合う覚悟をしよう」
私達はあの人と本当の家族になろう。
「心配掛けよう、面倒見てもらおう」
遠慮なんていらない。
真正面からイタズラっぽく笑って、ちょっかいをだそう。
だって、本当のパパに私は遠慮なんてしたことがない。
「パパと一緒の洗濯はいやだって困らせよう」
洗濯を二回に分けさせて困らせてやろう。
「休みの日ぐらいどこかに行こうっていって困らせよう」
面倒くさがりながらもバイクで何処かに連れて行ってもらおう。
「疲れてこたつで寝ているパパに布団を掛けてあげよう」
ついでに顔にイタズラをしたら面白そうだ。
「お腹すかせてかえってくるパパに、おいしいご飯を作ってまってよう」
それはこれからの努力と新しい姉との話しあいである。
「私達が楽しいと思える思いでをいっぱいいっぱい作ろう」
私達の笑顔がパパの元気に繋がると信じて。
「新しいお姉ちゃんとたくさん遊ぼう」
料理を教えてくれたり、朝ご飯を用意していてくれたり、見た目とは裏腹に面倒見のいい姉とあそんで。
「私達はそうやって家族になろう」
ゆっくりでいいから、そうやってすすんでいこう。
「そんな感じでどうかな?」
そうやって私が姉に笑いかけると。
少しだけ、考え込んだ後―
「わかった、迷惑かける分、たくさん恩返ししよう」
そうやってニヒヒと猫の様に、姉は泣き腫らして真っ赤な顔のまま笑った。
私達が選んだ道は大変なことが一杯で、幸せになれる事を願って選んだ道だったけれど。
そこにもどうやら嫌なことはあるようで、他の道を選んでいたらどうなったのかと少し思わないでもない。
でも、私達が選んだこの道は、その中で一番マシな道だったと信じたい。
みんな一緒がいいと無理を言って選んだこの道が私達にとってどんな道なのかはまだ分からない。
本当にそうかは分からないし、答えなんて確かめようもないけど、だからこそ、その答えは私達でだして良いものなんだと思う。
私達の家族は普通じゃない、でも決して不幸ではない。
私達は私達の形で、少しづつ進んでいけばいい。
「ただいま~」
「……ただいま」
ちょうど帰って来たようだ。
玄関からはよく聞いた声が二つ聞こえてくる。
まずは何をするかは決まっている。
今まで伯父さんと呼んでいたあの人に、まだなんと呼んでいいか分からないあの人に。
“おかえりなさい”と言おう。
続く言葉に“お姉ちゃん”や“パパ”と付け加えて―
真愛美と三姉妹のあんな悪口言っちまったという部分にかんしては話しとして描写をしていません、いつか取り上げられてらなぁとは思いますがとりあえず一番最初に三姉妹と真愛美が出会ったチャーハンを作った日の出来事です。
今回はクオリティが低くてすいません。