前話はアニメ7話よりも結構前で今回は3話よりも少し前位でしょうか。なんとなくで大丈夫です。
また、タイトルが少し回りくどかったので変更しました。
2話目で早速どっかいってるけどな!
「皆様、このたびは宇宙ホテルサンライズをご利用いただきありがとうございます」
「スタッフ一同、またのお客様のご利用を心からお待ち申し上げます」
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「お疲れ様~、エステラ。さっきのお客様達は無事地球に向けて出発されたようだよ」
「お疲れ様、ルクレール。よかったわ、来た時は不安そうにしていた子もいたようだったけど……」
「あ~たまたま会ったけど、『ありがとう歌の綺麗なお姉さん』だって」
「あら嬉しい。……最後にはこのサンライズを堪能して頂けたようね」
宇宙ホテル サンライズ。宇宙を旅することが難しかった時代は過去の話。今では特別な訓練も必要なく、小学生くらいの子どもでも来ることができる。
それでも金銭的な問題や、限られた設備という関係で非常に贅沢な楽しみとして知られている。
「次のお客様は……ちょっと間があるようね。珍しいわ」
「う~ん、最近はちょっと立て込んでたけどシーズン的には少し落ち着いちゃう感じなのかな?」
「例年の傾向から少し早いかしら。でもそうね。無理に来ていただく訳にはいかないけど……どうしましょうか」
やはり旅行シーズンというのは決まっており、長期休暇がある時期には一気に混み合う。
シーズン終了時期には少しもの悲しい雰囲気になってしまうものだ。
「急に予約が埋まるわけでもないんだし割り切って別のタスク進めちゃえば?」
「別のタスクっていうと……あぁ、あの事かしら」
何かに思い当たった様子でエステラは指をぴんと立てる。
「料理についてのアンケート結果 ね」
「そうそう、人気の料理は色々試してみてるけど。どうにも芳しくなくてね~」
「私も今回はすぐ近くで様子を見たけど不満というほどではない様子だったわ。ただ…」
「ただ?」
「料理そのものというよりも『またこの料理か』というような印象を感じたわ」
「あ~……ちょっとそれは納得かも。でも人気料理はいくらでも調べられるけど……どう思われているかを調べるなんてねぇ」
難しい事この上ないと両手を上げるルクレール。
難しいとは言っているが、しっかりと対策については考えようとしているのは使命に忠実な証だろう。私だって『ライフキーパーとして人間のお世話をする事を使命とする』からには負けていられない。
「お客様からの不満点、クレームは少ないけれども……最近評価頂いてる件が少し減っている事が気になるわ」
「あぁ、リピーターのお客様に特に多かった傾向だよね」
オープンしてから6年ちょうどが経過した。初期のころから継続してご利用いただいているお客様も多い。しかしながら、少し刺激に慣れてしまっているという事実は否めない。
「どうする?ちょっと方針を変更してみる?」
「大幅な変更はいけないわ、ルクレール。お客様方は宇宙を楽しみたいという根幹がある事には間違いないもの」
だよねーと同意を示す。彼女も自分の計算では違うだろうと確信していたのだろう。
そこでエステラにちょうど報告が届く。
「ちょうどいいわ、ルクレール。この後の予定は少し変更できる?」
「大丈夫だよ?何かこの後予定入っていたっけ?」
「お客様と入れ替わりで新商品と臨時スタッフAIが入る事になったの」
ルクレールもそこで思い当たったようで驚いた顔を見せる。
「あれ、前倒しになったんだ。……本当だ、ついさっきの変更なんだね」
「連絡が遅れてしまっていたようね。でも大きな問題は無いわ」
向かいましょうとルクレールを促し、エステラは厨房に足を向ける。
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「初めまして、私は今回輸入担当のと申します。」
そう言って挨拶をされた人は、まだ20代の雰囲気を見せる男性だった。
「初めまして、私はオーナーのエステラ、それとルクレールです」
朗らかに握手をしてきた彼は実に紳士的に見える、お客様以外でこのサンライズに人が来られるのは珍しい。
「こっちが今回臨時スタッフのメイクだ」
「よろしく」
「…少しクールなAIだが、少し前に出たプロトタイプが好評でね。後継機、いわば兄弟にあたるのだろうな彼らは」
噂には聞いた事だ。かくいう私も史上初の自律人型AI製造型番A035624 通称ディーヴァに連なる直系機だ。そのため歌には少しばかり自信がある。
ディーヴァを初めとしてその後様々な自立人型AIは誕生していった。その中でも最近話題になっているのはお茶を淹れるAIだ。
ただ淹れるだけでない、ふさわしいサービスをしてくれる事が多いそうだ。今はその経験を積ませるために様々な場面に出張しているらしい。
「よろしく~メイク。私はそういった技術は全然ないから憧れちゃうな」
「お客様にどう満足いただけるかだけの違いです。私は茶を通じて。あなたはあなたの使命に則ったサービスで満足頂いているのでしょう」
何というか前オーナーを思い出す雰囲気を少し感じる。ルクレールも同様のようだ。
百年前の価値観と揶揄される一緒に働くAIは家族だと豪語されていた方、決して理屈ではないが確かな温かさを私たちは感じていた。それに似た無骨にすら感じる心を彼も持っているのだろう。
「さて、挨拶はこれで終わり……というのも少し寂しいものです。せっかくなので新商品の案内と合わせてもう少し時間を頂いても?」
「もちろん構いません。ちょうど我々スタッフも新商品について話題にしていたんです」
「それは実に光栄です。予定を変更してでも早く届けた甲斐がある」
「エステラ、そういえば新商品の詳細って?」
「ちょうど最近話題になっていた商品でね……初回輸入で臨時スタッフがついてくれるっていうものだから」
「臨時スタッフ……ってことは」
ええと頷いているとメイクが輸入されたものを取り出し、初陽が改めて品質を確認し満足げに頷く。
「ええ、紅茶です。それも極上のね」
短いから次回もなるべく早く(自己暗示