あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。 作:喪家の狗
...ん、また来た。
前回村人に化けた兵士に与えられた指輪は、魔力を送った時の波が信号となっていて、それを解読することによって向こうからの連絡を受け取ることができる。
うん、この仕事始める前に受けた信号のセミナーは無駄にならなくて良かったです。
因みに今回の連絡内容は、
『帰りに塩買って来て』
だった。
なんのこっちゃ、新手の暗号かと悩んでいると、続けて信号。
すぐさま解読すると、
『ごめん、今の誤爆』
誤爆ってなんだ?
謎は深まるばかり。
指輪の贈呈と共に行われたサイジャクさん考案の作戦、『勇者の寝込みを襲っちゃうゾ♡ 大・作・戦!!』は見事失敗に終わった。
いや、それどころか勇者の更なる成長につながってしまった。
だ、大丈夫なのか?
と思われたそこのあなた、大丈夫なんです! ...うん、多分。
というのも、我々魔族の強さの秘訣は基本的に『魔素』。
普段は空気中にかなりの量があり、魔物の復活や魔道具のあれこれにも使われる便利なものなのだが、人間たちが生活をする区域ではこの魔素がとても薄い。
ええ、そうなんです。
実は我ら魔王軍、まだ本気出してないんです!
だからさ、今までの負けは負けであって負けじゃないんだよ。
ホントの戦いはこれからだ! って言っても過言じゃないんです。
いや、ホントに。負け惜しみとかじゃなくて。
休憩中、そんなことを思い出していると、
「ねえ、トウヤ。ちょっと良い?」
「ミサ?」
剣の素振りをする勇者に赤毛が近づき、話しかけていた。
「...トウヤ、アンタあの村から更に頑張りすぎじゃない?」
そうだそうだ、もっと体を休めろ。頑張りすぎて体壊しても知らんぞ?
いや寧ろ好都合だが。
「ありがとう、ミサ。でも、これは僕の為だけじゃないんだ...」
「と、トウヤ...」
「心配してくれてありがとう! でも僕は大丈夫だから!」
「全く...。そ、そういうところも嫌いじゃないけど...」
「え? なんか言った?」
「な、何でもない!」
ラブコメすんな。
☆ ☆ ☆
そんなラブコメ主人公ハーレム勇者御一行は1つ目の目標である魔王城西支部、その壁が見える岩陰で最後のキャンプをしていた。
「...いよいよ、ね」
赤毛の神官が覚悟を決めたようにそう言った。
「だ、大丈夫です! 皆さんとてもお強くなりましたし!その、いざと成れば...」
薄緑の弓使いが少し不安そうに言った。
「大丈夫だよ~、シイノ。ボクの魔法はすご~く強いんだから!」
ピンクの髪を靡かせ魔法使いがあっけらかんと言った。
「そうデス! 魔物なんてオレがハンマーでぶっ潰してやるデス!」
身長に見合わない大槌を肩に担ぎ、いつも通りといった感じでそう言った。
「...まもる」
幼女が仲間を最も安心させる言葉を掛けた。
「皆行けるね?」
皆、覚悟が決まったような顔で頷き...
...いや、ちょっと待って。あのオレっ娘さ、結局回復師なのハンマーバンバンなの?
良い空気で邪魔して申し訳ないけど、旅しててもよくわかんなかったんだけど...!?
☆ ☆ ☆
暫くするとそれぞれ武器や装備のメンテナンスが終わったのか、真剣な顔で立ち上がった。
おっと、もう行くのか。
俺は特に準備することが無かったからそのまま飛び立つと。
「あ、ちょっと、シロちゃん」
勇者に捕まれ、地面に優しく置かれた。
な、なんにゃ...?
「...ここまでありがとう、シロちゃん」
おや?
「僕たちは魔王城に行ってくるよ」
うん、知ってる。その事も昨日から報告してるからね。
「今日まで安全な道を教えてくれてありがとうね」
いや、あえて危険な道とか仲間と連絡しあって決めた道とかにしてたけど。
「ここからの戦いは熾烈を極める戦いとなって...えっと、うん、まあ、危ないから君はここに残るんだ」
難しい言葉を使おうとするな。中学生か。
「僕たちは必ずこの魔王城を攻略し、次の支部へと旅を続けるだろう」
勝った気でいるな。マジ本気のサイジャクさんとか強いからね。
「必ず勝利を治めまたここに戻ってくる。そしたら...もし、良かったら...」
一緒に行こって? いや、行かないよ。そもそも君らはここで負けるんだし。
「また一緒に旅を続けないかい?」
行かないってば。あと勝った気でいるなって。
「...」
(どうしよ、こう言ったは良いけど、この子がなんて言ってんのか全然わかんないや)
当たり前じゃん。まだなんも言ってないんだから。
...というか。
地面から飛び立ち、なんの反応も示さない俺に困惑している勇者の肩へと止まる。
うわ、コイツ筋肉すご。サイジャクさん達勝てるかな...。
「へ...? い、一緒に来てくれるのかい...?」
なんだその言い方。まるで俺がアンタ等を選んだような言い方はやめろ。
あくまでこれは俺が
「シロちゃん...!」
「シロちゃん!」
「シロさん...」
「シロちゃ~ん!」
「白いの~!」
「..しろ」
え、なにやめて。その熱い展開みたいなの。
「ありがとう、シロちゃん。僕達仲間だもんね」
【契約魔法】とか言う見えない糸で雁字搦めにされた関係だけどね。
「大丈夫、何があっても僕がシロちゃんを守るからね?」
あれ? これって俺の覚醒イベントかなんか?
いや、戦いの中で白い美少女とかに成ったりしないよ? 出来はするけど...。
「...よし、それじゃあ行こうか!」
「ええ!」
「はい!」
「うん!」
「おー!」
「...おー」
...あ、おー!
いや、何やってんだ俺。
勇者の肩から無事いつものピンク髪の手の中に回収された俺は、
...なんか、安心するー...。
じゃなくて!
超音波で信号を送った。
『勇者一行、行きます』
☆ ☆ ☆
「...勇者が、来るぞ」
「よし、直ぐに回そう」
☆ ☆ ☆
「サイジャクさん! たった今ハツカからの連絡が来ました!」
「おう! 来るのか、勇者達が!」
☆ ☆ ☆
「に、人間如きが...! 人間如きがハツカ様をペットだなんて...!
羨まし、じゃ無くて許せない...!ちょっと良いかも...なんて思ってない...!
く、首輪を着けたハツカ様なんてぜ、全然想像してない...。そんなハツカ様も見てみたいなんて思って...あ、鼻血出た」
「キキョウちゃ―――ん! これってどうすれば...って!? は、鼻血!? だ、大丈夫!?」
西支部攻城戦、始まります。
以下、コピペ挨拶。
どうもです。最後まで読んでいただきありがとうございます。
毎話文字数の少ない僕ですけど、気になっていただけたらブクマだけどもしていただけると、多分やる気が出ると思います。
評価や感想もいただければもっとやる気が出る気がします。
(意訳:ちやほやして)