あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。 作:喪家の狗
...どおお~~しよおお~~。
い、嫌なんだけど~~~...。
また勇者たちに会いに行くの恥ずかしすぎて嫌なんだけど~~...。
「あ、あの...。私も一緒に...」
「だめだぞ、てを、かしちゃ、ふふふ、くるしめ」
くっそ趣味悪いなコイツ。
あーーーーーーー。しょうがない.........。
腹とか色々括って行くかーーー。
行きたくね~~~。
☆ ☆ ☆
さっきやっちゃったばかりだから、来る途中の道もキツかったぜ。
3人との思い出が蘇る道を歩くのはキツかったし、なによりそこと思われるところに涙の水たまりができてることを知った時は泣きたくなった。
そんなこともあったが何とか到着。
何度も通った家の前に立ち、深呼吸。
何時かのように控え目ノックする。
う、うん、だ、大丈夫...。...多分。
この先の展開だって何通りも試案したし、何言うかも事前に決めてきた。
まずは相手のペースに飲まれず、自分の言うことをぶちまける!!
それに限る!
ので!
「あ、あのー! ハツカですけどーー!!」
ドンドンドン
ぜ、
全員外出かよ!
ちょっと待てよ。考えてたシュチュにこんな展開は無い...!
まって、まって! マジでまずいんだけど...!?
と、とりあえずいったん戻って作戦を練り直そう! ここでエンカウントしてしまうのが一番...
「は、ハツカ...!?」
...まずい。
って、言おうとした矢先にこれかよ!?
勇者御一行帰ってきちゃったじゃん!!
どうすんの!?
と、とりあえず!
とりあえず落ち着いて言いたいことだけ言ってしまおう!!
「...あっ! ...あ、あの......え、ええと...?」
まあ!
こんな時に台詞が飛ぶのはしょうがないよね!? 畜生!
ど、どうすんのさ!?
「ハツカ!」
「は、はいっ」
ガバッとお辞儀をした。
おお、綺麗なお辞儀。流石勇者......じゃなくて!
「さっきは! 我儘言って悪かった! でも、僕達やっぱり...!」
お、おいおい、これって...。
「お前との大切なここでの生活の記憶、無くしたくない!」
めっちゃ恥ずかしいやつだ!
や、やめろよ。家の中ならまだしも今は外なんだ。
よく通ってたからこの家の周りの方々とも顔見知り程度になってるからね! そんな人たちに見られてハズイ!
ほ、ほらー、今もなんかコソコソ言われてる!
や、やばいよ...! めっちゃハズイ!
「僕、ハツカの事今でも仲間だと思ってるし、ハツカの事大好きなんだ!」
おい、奥様方及び女性陣が顔を赤くしてるからその言い方はマズい! 今すぐ訂正しろ!
しかしそんな熱い勇者のハズイ話を聞けば聞くほど冷静になるものでね...。
よ、よーし。落ち着いた。まずは止めよう。恥ずかしすぎる。
「ちょ、あ、ちょっと、あの...一旦、一旦落ち着きません...?」
畜生! こんな時に陰キャ病が再発しやがった!
「だからハツカ、頼む! 僕達から君との思い出を奪わないでくれ!」
話を聞こう、まずはさ。
俺の声がちっちゃかったのは謝るからさ。
あとその言い方やめて? 俺が悪いやつみたいじゃん...。
いや、魔王軍だったわ。
「僕らにとってはかけがえのない良い思い出だった! ...君からしたら、違ったのかい?」
わざとか!? わざとやって俺を困らせようとしてるのか!?
それには及ばんぞ! もう既にかなり困ってるからな!
お願い、とりあえず落ち着いてー!?
「ハツカ...」
ちょ、ちょっと、ミサさんまでそんな涙ぐんだお顔をこっち向けないで?
説明しようとしてるのに聞いてくれないのは君達なんだよ?
「アンタが居なきゃ居ないで寂しいんだから、居なくなるんじゃないわよ...。アンタだってアタシ達の仲間なんでしょ?」
ツンデレヒロインが惚れた男意外にデレるんじゃないよ!
不覚にもグッてくるもんがあるでしょ!
って、そうじゃなくて! 今は話を...
「ハツカさん、私からもお願いです!」
「え...あ、あの...!」
なんだよこの口、壊れてんのか。
「またクッキーも焼きますし! ...あ、弓も! 弓も教えてあげます! 私の力はもうないのでお手本はできませんけど、指導ならできますから!」
「う、うん。わかったからさ。一旦、一旦話聞きません?」
ダメだこの人たち全然話を聞いてくれない。
な、なんで~...?
「は、ハツカさん!」
「は、はい...」
「ボク、もう1回よく考えたんだ。ボクにとってハツカさんがどんな人なのか...」
あ、そういえば俺のこの子気持ち真っ向から否定したんだった?
...ふっ、自分でもわかるくらいヒデーことしたんだな、俺。
「やっぱりね、ボク、君が好きだよ。ハツカさん...」
「...え、え~っと...」
ど、どうしよう...。
こんな時なのに真正面から告られて舞い上がってる自分(バカ)がいる!
前にも言ったけどさ、あの、ホントに勘違いしていまうんで...。
ていうか君は勇者様のハーレムじゃないのか?
それに...
「え、えっと...あの、俺、蝙蝠なんすけど...」
「愛に種族は関係無いよ!」
お、良いこと言うね~!
...じゃなくて!
何でここだけ会話成立したんだ!?
するならもっと重要なとこで...!
いや、これも重要だけどさ!
「だ、だから...その、は、ハツカさん...」
「ね、ねえ...ホントお願い1回落ち着こ? 俺も言いたいことあってね? とりあえず...」
「ハツカ!!」
うわっ!? びっくりした。今宥めてるの見えなかったの? 順番守ってよ。
「ハツカはオレに師匠じゃない、そう言ったデスね?」
「え、ああ、はい...」
そ、その説も大変ご迷惑を...
「オレが師匠で居続ける限り! ハツカはオレの弟子デスから! それに拒否権はないのデス!」
暴君思考じゃん...。
てか師匠、拒否権って言葉知ってたんすね。深い意味は無いっすけど。
てかダメだ。誰も会話のできる状態じゃねえ。
「...」
「あ、あの、もうそのままでいいん話聞いて貰っても...?」
こうなったら最初っから脚にしがみ付いてきてるユウカにでも...!
「...」
「あの、良いですか? とりあえず一旦...」
「...もりぃぃー...」
「...」
「...こうもりぃぃぃー...」
脚にしがみ付いて泣いていた。
いつかの再放送かよ。
「...こうもりは、はつかじゃなきゃ、やだぁ」
「あ、はい」
てか無理じゃんダメじゃんどうすんだよおー。
誰も話聞いてくれないんですけどー...。
___その時、俺は思い出した。
何時か先輩が掛けてくれた言葉を...
『すいませーん、注文いいっす...ッチ! すいませーん! 注文良いすか! ...あー、やっと来た。
...あ、良いかハツカ。何かあったらとりあえず大声出しとけ。そうすりゃ大抵どうにでもなる』
って言って次の日大図書館で怒られてたサイジャクさんを...!
そして、今、それを活かし...!
「あ、あの!」
「...え?」
「...なによ」
「...なんでしょう」
「...なに?」
「どうしたんデスか?」
「...」
よ、漸くだ...。漸く皆さま自分の言いたいことが言い終わってスッキリしたのか人の話を聞いてくれるようになった...。
なんだ、最初からこうしてれば良かったのか...。
...いや、何回か大声で呼ばなかった? 気のせい?
ま、まあいいや。
「...あの、一旦、家入りませんか? ここだと恥ずかしくて...」
「「「「あ...」」」」
あ、じゃないんだよ。やっと気づいたんかい。
「「「「「え~...!」」」」」
え~、じゃないんだよ。近隣住民(オーディエンス)は散りなさいよ。
「リリカちゃんとの行方が気になるわ~」
「わたしは『ゆう×ハツ』が...」
「違うわよ、『ハツ×ゆう』よ」
「何言ってんだい、ハツカちゃんにはキキョウちゃんがいるじゃない」
こら~、そこ~。うるさいですよ~。
早く散りなさ~い。
いつもありがたいです。