あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。   作:喪家の狗

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ごめんなさいと...

 

 

 

 

外での熱烈なお話が恥ずかしかったのか皆一様に顔を真っ赤に染めて俯いて、ソファーに座っている。

 

 

恥ずかしいならやらなきゃ良かったのに...。

 

 

 

 

「えっと、皆さん、落ち着いてくれましたか?」

 

 

対面に座った俺が聞くと無言で、コクンと仲良く頷く。

 

 

 

 

よ、良かった。やっと落ち着いてくれたんだね。

 

 

「それじゃ、俺からも言うね」

 

 

皆だけ言いたいこと言ってずるいからね。俺だって言ってやらー。

 

 

「その...ごめんなさい!」

 

 

頭を下げた。

 

 

「一方的に色々言っちゃって、皆さんの気持ちも考えず、決まりだなんだと言い訳にして、話もろくに聞かずに帰ってしまって...ごめんなさい。

別れるのが寂しいからってツンケンな態度取ってごめんなさい」

 

 

ポロポロと涙が零れる。

 

今回は作り涙じゃない。本物だ。

 

 

 

 

さっき注してきた『まるで本物!? 涙目薬(号泣仕様)』は全く関係ない、綺麗な正真正銘の涙です。

 

注した量より多く出て来てるのは予想外だけど...。

 

 

「ハツカ...」

 

「ハツカ...」

 

「ハツカさん...」

 

 

3人がまた涙を出した。

 

まだ枯れてなかったんすね。

 

 

「ハツカ、良かったよ。僕らもう会えないのかと思ったし、嫌われたのかと思ったよ...」

 

 

勇者がそう言ってくれる。

 

 

ありがとう。

 

 

でもお前に嫌われたとか言われると、さっきの熱烈な告白も相まって、そっちの気があるんじゃないかって誤解しそうになるから気を付けてね。

 

 

さっきまで泣いてたはずのミサとシイノもちょっと興味深そうにしてるから。

 

やめて?

 

 

気を取り直してハルコ、師匠の方を向いて謝る。

 

 

「師匠にも、あんな嘘ついてごめんなさい」

 

「あ...! う、嘘、だったんデスね...! ま、まあ、弟子の嘘なんてすぐ見剥けたんデスけどね!」

 

 

喋りながらボロボロと涙を流し、ニッ、と笑った。

 

 

俯いて固まったままのユウカにも声をかけると、

 

 

「ユウカも、ごめんね。他の蝙蝠じゃヤダって言ってくれて嬉しかったよ」

 

「...うん」

 

 

顔を上げ、涙を流しながらも笑ってくれた。

 

 

「...」

 

 

そして誰より、

 

 

「リリカ」

 

「...」

 

 

この子だろう。

 

 

「怒鳴ったりして...勇気を出して言おうとしてくれた気持ちに対して否定して、ごめんなさい」

 

「...」

 

 

それと、もう1つ。

 

 

「どうせ記憶が消えるからってことで、ずっと憧れだったキザキャラ演じてみて、ごめんなさい」

 

「...に、似合わなかったよ~」

 

 

そうかい...。

 

 

笑って答えてくれてよかった。

 

 

「でも...」

 

 

...あ、あれ? まだなんかあったっけ?

 

 

「まだ~、許してはないよ~?」

 

「...え?」

 

 

え? な、なんで!?

 

今の流れ的に、みんな許してみんな笑顔、ハッピーエンドのその先へ、ってのをイメージしてたんだけど!?

 

 

「あ、当たり前だよ~。ボクは好き、ってこと伝えたのにその返事をもらってないもん...」

 

 

...あ、忘れてた。

 

 

ど、どうすんだい!? 俺ってば仕事と友達が充実してたから恋愛事情に関してはスッカラカンなんやぜ?

 

と、とりあえずその場凌ぎの理由でも適当にでっち上げよう!(最低)

 

 

「ま、魔素が、魔素が濃いところでは、感情が揺れ動きやすいらしく、自分のホントの感情ってのは見えにくくなるんだってさ」

 

「...ホントに~?」

 

 

いや、知らん。

 

 

「ってことなんでー、ま、またの機会に...」

 

「そのまたの機会、が無いんだけど~」

 

 

...そ、そうだったよ!

 

色恋沙汰に現を抜かしてる場合じゃ...!

 

 

「そ、そう! そのことで話が!」

 

 

と、とりあえず話を聞いて貰おう。

 

 

(あ、逃げた)

 

(逃げたわね)

 

(逃げちゃダメですよ?)

 

(ヘタレ、デス)

 

(...?)

 

 

こらそこーー。なんか聞こえてますぞーー。

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

「そー、それで...もっと重要な事、話しても良い?」

 

 

皆落ち着いただろうから本題へ入る。

 

 

「ハツカさ~ん? まだボクの告白の~...」

 

「実は、記憶を消すって件なんだけどー...」

 

 

いいやもう、強引にでも聞いて貰おう。

 

 

「「「「「「...」」」」」」

 

 

よし聞いてるね。

 

 

「元の話だと、記憶を消すことができる魔道具があるってことだったんだけど...」

 

 

一呼吸おいて。

 

 

「それ、無くしちゃったって...」

 

「「「「「「...え?」」」」」」

 

 

だよね、俺も最初そんな反応だった。

 

 

まあ、正確にはこれから無くしちゃうらしいけど...。

 

 

そんな反応を見せる勇者たちに、

 

 

「そ、それでさ...。今から、直談判しに行かない?」

 

 

俺は不敵な笑みを見せた。

 

 

「その魔道具が無くなったからどうなるのか、君たち勇者の記憶の命運を決めに」

 

 

涙を拭いた一行が顔を見合わせ頷き合う。

 

仲良いね。

 

 

「...それで、どうする?」

 

 

聞くと、

 

 

当たり前だ、と言わんばかりに再び頷いた。

 

 

 

 

...しょうがないな~。

 

 

 

 

「ほら、じゃあ準備して行くよ!」

 

「わかった! ところで、行くって何処...」

 

「直接! 魔王様のところ!」

 

 

言うと途端皆が固まり、

 

 

「「「「「「...へ?」」」」」」

 

 

そんな間抜けな声を上げて固まった。

 

 

 

 

「あれ、行かないの?」

 

 

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