あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。   作:喪家の狗

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魔王までの道

 

 

ヨウカに聞かされたのは魔王様と対峙してる勇者御一行と何故か同席してる俺の姿だった。

 

聞かされた時は何故そうなるのかわからなかったが、成程こんなことがあったのか...。

 

 

俺が聞かされたのはその景色だけだけど、どうせあいつのことだ、魔王様にはこれからの事、事細かに報告してんだろな。

 

 

「ね、ねえ、ハツカ?」

 

「ん~、何~?」

 

「ハツカはさ、緊張してないの...?」

 

 

魔王様の元へと行く道すがら、おどおど勇者がそんなことを聞いてきた。

 

 

「緊張してるよ。見て分からな(ぐぅぅーーー...)」

 

 

お腹が鳴った。

 

 

「よし、その前に何か食べよう」

 

「ねえ、ホントに緊張してる?」

 

「あ、あそこ! あそこの屋台が美味しくてね...」

 

「ねえ、無視しないで? あとその屋台教えたの僕なんだけど?」

 

 

何もそんな緊張しなくていいでしょ。何なら君らの最後の目的だったんでしょ?

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「ずっと思ってたけど、勇者スラッシュってなに?」

 

 

屋台でご飯を買って近くのテーブルで食べているときに気になってたことを聞いてみた。

 

 

...うん、この『パンで豚の腸詰肉を挟んだやつ』美味しいね。

 

 

「...え!? え、あー、あれね? あれはー...」

 

 

なんかこいつ、めっちゃ緊張してね?

 

 

ガールズもご飯食べずになんか気まずそうって言うか、俯いて顔が強張ってるように見える。

 

 

深い意味は無いけど師匠ですら緊張してるとは。

 

深い意味は無いけど。

 

 

皆、ご飯食べないの? お腹空いてないの?

 

 

「あの【固有スキル】はね、【勇者】の【称号】を貰った時に同時に会得したものだったんだ」

 

「あー、そうなんだー」

 

 

モリモリ食べながら話を聞く。

 

 

神官であるミサからのお告げを聞いた後、直接国王様との対談をしたそうだ。

 

そしてその場でいきなり禊? みたいなことが行われて勇者の称号を得た。

 

それと同時にトウヤの固有スキルである【勇者スラッシュ】という、何ともハイセンスなネーミングのスキルを頂けたらしい。

 

 

「ま、その勇者スラッシュも今は消えちゃったんだけどね」

 

 

ハハハッ...と元気なく笑う。

 

 

た、確かに、固有スキルとか消えたんなら国王様に怒られるのかな?

 

 

「...怒られるの?」

 

 

食べる手は休まずに聞く。

 

 

「え、いや。怒られないと思うけど...?」

 

 

怒られないんかーい。

 

じゃあ何でさっきからそんなに元気ないんだよ。

 

 

「いや~、僕の、僕だけの技。アイデンティティって考えると特別感が沸いてたからさ~...」

 

「あ、そう」

 

 

可哀そうに、こいつも厨二病患者さんだったのか...。

 

 

「ま、まあ今はそれよりも...」

 

 

勇者はゆっくり城に顔を向ける。

 

それに釣られて俺も顔を向ける。

 

 

「魔王との、『お話合い』、だからね...」

 

 

そんな意味深風に言わなくても...。

 

 

 

 

話し合いって言ったって、ただ

 

「これからどうしますか~?」

 

「よーし、じゃあこうしよう!」

 

「流石魔王様ー!」

 

ってなるだけでしょ?

 

 

初めてお会いした時のことはあんまり覚えてないからわかんないけど、魔王様ってば優しくて剽軽らしいからさ、リラックスしてこうよ。

 

 

「そ、そうだ! 無事帰ってこれたら何処か一緒に出掛けようよ! ハツカにも僕たちの国を案内したいからさ」

 

 

なんだそれ、死亡フラグか?

 

ダイジョブだって。話してなんかしてすぐ終わりだろうから戦闘に成ったり、死の淵に立たされたりしないって。

 

 

「だからさ、ハツカ...」

 

 

...。

 

 

 

 

「早くそれ食べ終わらないかな!?」

 

 

こらこら、食べてる人に急がせるもんじゃありませんよ?

 

急いで食べたって何も良いこと無いからね?

 

 

よく噛んで食べましょうね~。

 

 

「...お代わり、しようかな」

 

「君いつもそんな食べないよね!? 早く行って終わらせようよ~!」

 

 

悪かったわね、食べるの遅くて。

 

 

 

 

食べ終わる頃には皆ジト目だった。

 

 

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