あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。   作:喪家の狗

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勇者と魔王 1

 

 

「...着いたね」

 

「や、やっとか...」

 

 

どっかの誰かさんのせいで迷子になること計7回、予定していた時間を大きく上回ってしまい、子供たちはもう眠そうですね。

 

 

「...ねむい」

 

「眠いデス」

 

「眠いなら、寝てても良いよ」

 

「寝ちゃダメなんだよ! 皆で話を聞くんだよ!」

 

 

 

 

魔王城、その本殿にして大本命。それが中央。

 

 

標高1000m程度の山の上に堂々建つ巨大な、否、巨大すぎる漆黒のお城。

 

外から見ると常に黒い雷雲が空を包み、時折稲妻が迸っている。

 

 

...いや、なんでさ。

 

この演出要る? 雰囲気はばっちりだけどさ。

 

演出係さん達この前、常にやる必要あるのかね!? って嘆いてたよ。

 

 

 

 

そんな膨大な城内には様々な施設がある。

 

 

魔王様が御られる魔王室、通称魔王の間やその奥にある仮眠室。

 

 

その他にも第1から第3までの調理室。

 

 

人間の物まで揃えられた大図書館。

 

 

何にすればいいのか決められなかったかのように長年埃をかぶっている空き部屋。それが何百部屋とある。

 

全く持って土地の無駄遣い、計画性の無さだとは思う。

 

 

俺が何度ここで迷子になったことか。

 

 

更に今言っちゃうと中央の城下なんかは西支部の比じゃない。

 

西支部だって十分な広さで、暮らしや遊び、休日のゆったりとした生活にぴったりな広さをしているってのに、なんとこの中央の城下、その西支部の城下の約8倍。(推測)

 

 

各支部の周りの住宅発展が街レベルだとしたら、魔王城の周りは国レベルに発展している。

 

それが広いのなんの。何回か行ったことはあるんだけど、気付いたら元居た位置に戻ってくることが多々あったよ。

 

 

そして話は城内に戻る。

 

 

外も広けりゃ中も広いこのお城。

 

西支部から、各所に渡れる装置『わーぷぞーん』を使用して勇者たちと飛んできたのだが、そこからの道のりが険しかった...。

 

 

行き先々に現れる分かれ道や十字路(クロスロード)、クロスロードってカッコいいって思った俺と疲れてきた勇者、何回かの道間違いは許してくれる彼らと申し訳ない俺、4回目以降はなんかピリピリしてくる空気と焦る俺、疲れたから蝙蝠で運んでもらってる俺とそれを運ぶ幼女(ユウカ)

 

 

そんなこんなの紆余曲折があって、

 

 

 

遂に辿り着いた...!

 

 

「あの、すんません。魔王様のとこ行きたいんですけど...」

 

 

へと!

 

 

「ああ、それでしたら『わーぷぞーん』の元へ行っていただき...」

 

「ほほう」

 

「ねえハツカ、そこって最初の所だよね...?」

 

 

勇者、今はしーっだよ? 係りのお姉さんの話聞いてるからね?

 

 

「おっけ、お待たせ。完全に理解したわ」

 

「すみません、お姉さん。僕にも教えて貰っていいですか」

 

 

おいこら勇者、それじゃあまるで俺が信用できないみたいじゃないか。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

暗く長く、先の見えない廊下がある。

 

 

「「「おお」」」

 

 

そこを通ると火が勝手に灯る謎の蝋燭が大量に配置されている。

 

 

その長い長い廊下を抜けると魔王の間がある。

 

 

うわあ、久しぶりにここ来たけど、演出すごいなあ。

 

 

 

 

 

 

...ってことで我ら、

 

 

「...着いたね」

 

「や、やっとか...」

 

 

やっと着いたぜ!

 

 

「それじゃあ早速入ろうか」

 

「まって」

 

 

どうしたトウヤ、緊張してきたか?

 

 

「僕、ホントにあのお姉さんに道聞いて正解だったよ」

 

「...? そうなんだ?」

 

 

俺がそう言うとガックリと倒れてしまう。

 

な、なんだよ、どうした。言いたいことがあるならハッキリ言った方が良いぞ?

 

 

勇者は暫くミサとシイノさんに宥められてると立ち上がった。

 

 

「...トウヤさん、どうしたんだろ」

 

「ハツカさん。今度、地図の見方教えてあげるね~?」

 

 

なんかリリカにそんなこと言われた。

 

それも少し、可哀そうな人を見るような目で...。

 

 

勇者は立ち直ったみたいだからそろそろ行こうか。

 

俺はちょっと落ち込んでるけど。

 

まあ、些細な問題だ。

 

 

「...それじゃ、行くよ」

 

「え、何? さっきまでお気楽だった人が急に重苦しい空気出すと本気でビビるんだけど...?」

 

 

何を言ってんだこの勇者は。

 

 

「え、だから俺もずっと緊張してるって言ってたじゃん」

 

「本当にそうだったんだ!? 感情隠しすぎじゃない!?」

 

「...隠すのは、上手いからね(どやっ)」

 

「隠れるのは下手だったみたいだけど...?」

 

 

五月蠅いですね。

 

行きますよ?

 

 

「さ、行くよ?」

 

「ま、まって? ホントに待って? まだ心の準備が...」

 

 

コンコンコン

 

 

「お忙しいところすみません。トオカカン、ハツカです。勇者とその一行を連れてきました」

 

「ハツカ君? 僕、本当に君が友達なのか考え直す必要があるかもしれないよ」

 

「あ、ごめん。俺も緊張してて...」

 

『...ハツカか』

 

 

言い訳しようと思ったら中から声が聞こえてきた。

 

 

『わかった、入れ』

 

「は、はい」

 

 

言われ、重い扉を開け___

 

 

 

 

 

 

「...おっも、ごめ、トウヤ。手伝って...?」

 

 

 

___重くて開きませんわ。

 

 

 

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