あ、前線で戦うとか無理なんで偵察してきますね。   作:喪家の狗

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皆さん、ペットは好きですか? 僕は好きです。

イヌ然りネコ然り、蛇やうさちゃん、はたまたカワウソなんかも。

今回はそんなペットに関するお話です。


冒頭がキッズアニメみたいになってしまいましたが、内容はいつも通りなので良かったらどうぞ。



可愛いペットを拾いました 1

 

「じゃ、俺そろそろ行くわ」

 

 

サイジャクさんから偵察(しごと)を頼まれたので、遊んでいた同僚の部屋を出て向かおうとする。

 

 

「あー、おい、ハツカ」

 

 

部屋主兼同僚に呼び止められた。

 

 

「ん、なに?」

 

「今日、半人半魔、いるから、ひろって、きて、くれないか」

 

「拾うって...」

 

 

半人半魔。

 

人間と魔物の混種。たまーにいるんだけどこれが大変でね。片親が完全な魔物だから人間側から嫌われていて、人間とか言う劣等種wwwって感じの魔物側からも嫌われ(?)てる。

 

...のか?

 

 

うん、どっちからも嫌われちゃうんだよね。

 

 

 

そんな親の都合など知らないながらも、半人半魔としてこの世に生を持ってしまった少女がいた。

 

 

魔王城西支部からある程度近い位置にある人間の国、ドツイ。

 

 

その子はドツイのとある街の食堂でうまく姿を隠しながら生活できていた。

 

 

半魔と言えど、外観は人間とさほど変わらず、せいぜい髪の色が白黒で半々に変われているくらいだろうか。

 

 

なので賢い少女は自分の白髪(はくはつ)を墨で黒く塗った。

 

試しに水を掛けてみたが、墨が落ちることは無かった。

 

 

これで大丈夫だろう。安心だ。

 

 

だが残念、賢くても不測の事態には対応出来なかった。

 

 

 

酔っぱらって周りに麦酒を振り撒く客と、偶々浴びてしまった少女。

 

 

炭酸によって落ちる墨と、露わになる特徴的な白い髪。

 

 

疑惑と困惑。

 

 

逃走と追跡。

 

 

___気付いた時には、捕まってしまっていた。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

私は食堂からすぐに逃げ出した。

 

 

追いかけてくるのは武器を持った冒険者さん達。

 

 

私は、殺されてしまうのだろうか...。

 

 

魔物として処理されてしまうのだろうか...。

 

 

そんな未来を変えるように走る。

 

 

走る。

 

 

とにかく走る。

 

 

だが現実とは非情なもので、たどり着いてしまったのは細い路地裏。

 

 

行く先は何処も行き止まり、体力ももう限界。

 

 

もう、無理...。

 

 

そう諦めたとき私は、

 

 

 

 

 

 

___捕まった。

 

 

「...お、みっけ」

 

 

否、

 

 

「つっかまーえたっ! ...って、ええ!? な、なんで泣いてんの!?」

 

 

捕まえてもらった。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

あーあー、なんか大変なことになってんのな。

 

 

今日も今日とて勇者の偵察だったのだが、どうやら様子がおかしい。

 

 

 

勇者の思考を読み取り、理解した。

 

 

ちきしょう、アイツめ。こうなることが分かってんならもっと分かりやすく言ってくれよ。

 

 

 

.........しょうがない。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

街中を飛ぶ。

 

 

目が悪いのに大丈夫なのかと思われるかもだけど、超音波の跳ね返りとかで把握できるんだよね!

 

超便利ーー!

 

 

おっと、街中を飛ぶのは楽しいけど目的を忘れちゃダメだ。

 

 

 

...

 

 

......

 

 

おし、捉えた。

 

 

早速現場へと向かい、保護する。

 

 

 

☆ ☆ ☆

 

 

 

「...どう? 落ち着いた?」

 

「...はい」

 

 

 

...よかったあー。

 

 

捕まえた途端泣き出すもんだからビックリしたよ。

 

 

今の声でバレてないかな。

 

...大丈夫?

 

 

 

 

 

話を聞いてみると俺を見て殺すのかと思ったらしい。

 

失礼な。確かに空から人が降ってきたら勇敢な少年以外は皆ビビるだろうけど、俺は虫も殺せないような弱っちい蝙蝠やぞ?

 

 

泣かれたままも嫌なので宥めていると、もうあの店には戻れない、と呟いていた。

 

 

そうか、なら都合が良い。

 

 

「行くとこ無いなら魔王城(うち)来る?」

 

「...え?」

 

 

てことで勧誘してみた。

 

 

いやね、今魔王城では、新たに魔王様と契約した人と、その人を勧誘した人に特別な物が貰える『きゃんぺーん』? てのを開催してるらしくて、それ目当てであろう同僚に頼まれて連れて来いって言われてたんだよね。

 

 

何とか言い包めようと努力する。

 

 

(ここ)じゃあ白髪(それ)は目立つだろうけど、魔王城(あっち)じゃもっと色々いるからね」

 

 

証明させるように蝙蝠の姿へと成る。

 

 

「え、蝙蝠...? ...なんで、白いんですか?」

 

 

ふっふ~ん、それはね~?

 

 

人間の姿へと戻り、説明しようとして気付く。

 

 

___誰か来る!?

 

 

まずい、注意を怠った。

 

 

急いで移動しよう。

 

 

「こっち...!」

 

「...え」

 

「...待ちな!」

 

 

やっべ! 気付かれた!?

 

 

恐る恐る振り向き、苦手な戦闘を__

 

 

 

...って思ってけど普通の女性だ。

 

 

「お、女将さん...」

 

 

女将さん?

あー、この子が働いてた食堂の...?

 

 

な、なんだろ。その子を渡せとかかな?

 

この子が働いてた店ってことで景気が悪くなるのを恐れ、見せしめとしてこの子を殺s...おっえ。

 

想像しただけでおえってなった。

 

 

「やっぱり、アンタ半人半魔だったのね...」

 

 

む、ホントにその可能性出てきたな。

 

 

この子を守る意思表示として軽く抱き寄せる。

 

 

「んっ...」

 

 

不意に顔が赤くなる少女。

 

 

え、も、もしかしてピンチから救ったことによる謎の女の子惚れ状態...!?

 

 

 

...って無知な頃の俺なら思ってたんだろうなー。

 

 

これはきっとこの前勇者が言ってた『吊り橋効果』って言う名前の呪いだろう。その呪いのせいで俺に好意を抱いたと錯覚してるのだ。

 

 

危ない危ない、勘違いするとこだったぜ...。

 

 

「...その様子なら大丈夫そうね」

 

 

今のやり取りを見てた女将さんがポケットから何かを取り出す。

 

 

あ、あの! 今の俺に堕ちたわけじゃ無いですからね!? 俺にまで勘違いさせようとしないでくださーい!

 

 

そう思ってる間に取り出されたのは金色の薄い円盤型の殺人道具だった。それをこちらに向け...!?

 

 

 

 

あ、ああ、なんだお金か。

 

 

取り出されたのは中々の量のお金が詰まった袋だった。

 

 

「ほら、退職祝いだよ。アンタ、親がいないのによく今日まで頑張ったね」

 

 

話を聞くとこの子は両親がいないがために無理言って住み込みで毎日遅くまで働いていたらしい。

 

 

その際、住ませてもらってるからってことで給料の半分を女将さんに渡していた。

 

 

で、そのお金は女将さんが使うことなく大事に保管されていて必要な時に渡そうとしていたと...。

 

 

この女将さんは何回かこの子の白髪を見、半人半魔ではと疑いながらも住まわせてくれたと...。

 

 

 

 

あー、ダメだ。

 

こんな時に言っちゃアレだけど、すげーベタだ。ベタなんだよ。だけどなんだ、この感情は...。

 

 

やっぱベタだけど現物で見るとなんか泣きそうに...な、泣いてないけどさ...?

 

 

「それじゃ、私の役目はこれまでだよ。白い兄ちゃん、アンタ...泣いてんのかい?」

 

 

な、泣いてないって...。

 

 

「ま、まあ、兄ちゃん。この子をよろしくね。いい子だから」

 

「あ、ああ」

 

 

泣いてるから声がうまく出ない。泣いてないけど。

 

 

「顔もなかなか可愛いし、傷物でもない、何なら処女だよ」

 

 

最後の言わんくて良くない?

 

 

 

 

女将さんが人気のない道に案内してくれる。

 

 

それに付いていくと街の外まで出れた。

 

 

「ありがとう、助かった」

 

「良いんだよ。それよりもその子、よろしくね」

 

 

少女が手を握ってくる。

 

 

「わかった」

 

 

どうやら決心着いたようだ。

 

 

「...行くよ」

 

「はい」

 

「...女将さんに挨拶しな?」

 

「女将さん、今までホントにありがとうございました...」

 

「良いんだよ、私も娘ができたみたいで楽しかったからね」

 

「...うん」

 

「白い兄ちゃんの言う事よく聞くんだよ?」

 

「...うん」

 

 

ホンット良い人だなこの女将さん。唯一好きな人間だよ。

 

 

女将さんに別れを告げ立ち去ろうとする。

 

 

「...今度こそ、幸せになりなさい」

 

 

 

 

 

 

 

魔王城に着いた頃には目が真っ赤になってて門番の人にすっげえ笑われた。

 

 





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